ポケットモンスター ―君と目指す頂―   作:あああああ

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第40話 ポケモンひょうりゅうき

ミシ……ミシミシ……。

 

暗闇の中で、不気味な音が響いていた。

 

海底へ沈んだサントアンヌ号。

 

転覆した船内では床と天井が逆転し、テーブルや椅子、割れた食器などが至るところへ散乱している。非常灯の僅かな光だけが周囲を照らし、その向こうでは船体が水圧を受けるたびに低い軋みを上げていた。

 

その中で向かい合っているのは、サトシ、カスミ、タケシ。

 

そして――。

 

「なんであんたたちと一緒なのよ!」

 

「こっちの台詞だ!」

 

ムサシの声に、サトシも思わず言い返した。

 

「そもそも、この船でポケモンを奪おうとしたのはお前たちだろ!」

 

「細かいことを気にする男は嫌われるわよ!」

 

「細かくない!」

 

「そうだそうだ!」

 

コジロウもムサシの後ろから顔を出す。

 

「我々だって好きでこんなところに残っているわけでは――」

 

「だったら黙って脱出方法を考えるニャ!」

 

珍しくニャースがまともなことを言った。

 

「……それもそうね」

 

「そうだな」

 

サトシとムサシが同時に頷く。

 

次の瞬間。

 

ゴゴゴゴ……!

 

船全体が大きく震えた。

 

「きゃっ!」

 

「うわっ!」

 

傾いている船内で、全員の身体が一斉に滑る。

 

「ピカ!」

 

ピカチュウがサトシの肩へしがみつき、サトシも近くの柱を掴んで踏み止まった。

 

「だから言っただろ!」

 

揺れが収まったところで、サトシはロケット団を見る。

 

「今ここでバトルなんかしたら、本当に全員死ぬぞ」

 

「……」

 

さすがのムサシも言い返さなかった。

 

カスミが腰へ手を当てる。

 

「今だけ休戦よ。いい?」

 

「仕方ないわね」

 

「命には代えられない」

 

「賛成ニャ」

 

こうして、普段なら絶対に成立しない一時休戦が決まった。

 

とはいえ、問題はここからだった。

 

「それで、どうやって出る?」

 

タケシの問いに、全員が黙る。

 

外は海。

 

普通に扉を開ければ、大量の海水が流れ込んでくる。

 

しかも船は完全に転覆している。

 

「……待って」

 

カスミが周囲を見回した。

 

「確か……」

 

「何か分かるのか?」

 

「昔、この船の模型を作ったことがあるの」

 

カスミは頭の中で船の構造を思い出しているらしい。

 

やがて、上下が逆転した船内を指差した。

 

「今、この船はひっくり返ってるのよね?」

 

「ああ」

 

「だったら、元々の船底が今は一番上にある」

 

サトシは頷く。

 

知っている。

 

前世で見た物語でも、それが脱出の鍵だった。

 

だが、今ここで船の構造を最も理解しているのはカスミだ。

 

「上まで行ければ、船底から外へ出られるかもしれないってことか」

 

「そういうこと!」

 

カスミが頷く。

 

「ただし、船底まで行くには機関室の方を通らないといけないと思う」

 

「じゃあ決まりだな」

 

サトシは立ち上がった。

 

「カスミ、案内頼む」

 

「任せて!」

 

◇

 

問題は、転覆した船内をどう進むかだった。

 

本来なら床だった場所は頭上。

 

廊下は至るところで家具や瓦礫に塞がれ、普通に歩ける状態ではない。

 

「タケシ」

 

「ああ。イワーク!」

 

タケシがモンスターボールを投げる。

 

白い光とともに巨大なイワークが現れた。

 

「イワァーク!」

 

狭い船内で完全に身体を伸ばすことはできないが、その長い身体は十分に足場になる。

 

「イワークの身体を使って上へ行こう」

 

「よし!」

 

まずタケシが登る。

 

続いてカスミ。

 

ロケット団。

 

そして最後にサトシ。

 

「ピカチュウ、落ちるなよ」

 

「ピカ!」

 

慎重に上へ進んでいく。

 

だが。

 

パチッ。

 

突然、残っていた非常灯が消えた。

 

完全な暗闇。

 

「きゃあああ!」

 

ムサシの悲鳴。

 

「何も見えないニャ!」

 

「落ち着け!」

 

サトシはボールを手に取る。

 

「ヒトカゲ!」

 

「カゲ!」

 

現れたヒトカゲの尻尾の炎が周囲を照らした。

 

柔らかな橙色の光。

 

「助かった……」

 

カスミが息を吐く。

 

「ヒトカゲ、悪いけどしばらく照らしてくれ」

 

「カゲ!」

 

ヒトカゲは力強く頷いた。

 

炎を無闇に大きくする必要はない。

 

周囲を確認できるだけの明るさを保ちながら、一行はさらに進んでいく。

 

「右よ」

 

カスミが先導する。

 

「この先を抜ければ機関室へ近づけるはず」

 

だが、その直後。

 

ミシッ。

 

嫌な音。

 

「止まれ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

次の瞬間――。

 

ガシャァァン!

 

前方の通路が崩れ落ちた。

 

「危なっ!」

 

目の前に大きな隙間ができる。

 

下には折れた配管や金属片。

 

落ちればただでは済まない。

 

「どうするのよ、これ」

 

ムサシが覗き込む。

 

「飛び越えるには広すぎるな」

 

タケシが言う。

 

サトシはすぐにボールを取り出した。

 

「フシギダネ!」

 

「ダネ!」

 

「向こう側へ『つるのムチ』!」

 

「ダネ!」

 

二本の蔓が伸びる。

 

先端が反対側の丈夫な配管へ巻きついた。

 

「よし」

 

サトシが引っ張って強度を確認する。

 

「これを使って渡ろう」

 

「私たちも?」

 

ムサシが聞く。

 

「嫌なら残れば?」

 

「渡るわよ!」

 

即答だった。

 

一人ずつ慎重に隙間を越えていく。

 

最後にニャースが渡り終えると、深いため息をついた。

 

「敵に助けられるなんて屈辱ニャ……」

 

「じゃあ戻るか?」

 

「絶対嫌ニャ!」

 

カスミが呆れたように笑った。

 

「こんな時でも変わらないわね、あんたたち」

 

◇

 

機関室へ近づくほど、船体の軋みは大きくなっていった。

 

時折、小さな亀裂から水が吹き出している。

 

「急いだ方がいい」

 

タケシが言う。

 

「船がいつまで保つか分からない」

 

「分かってる」

 

カスミも表情を引き締める。

 

やがて。

 

「ここ!」

 

大きな機械が並ぶ空間へ辿り着いた。

 

「この辺りなら船底に近いはず」

 

カスミが天井――本来なら船底に当たる部分を見上げる。

 

「ここを抜ければ外よ」

 

「でも、外は海ニャ!」

 

「穴を開けた瞬間に水が入ってくるぞ」

 

コジロウも青ざめる。

 

「だから、準備してから開ける」

 

サトシが答える。

 

まず全員が外へ出る方法を確保しなければならない。

 

「カスミ、水中は任せられるか?」

 

「もちろん。私を誰だと思ってるの?」

 

カスミがモンスターボールを取り出す。

 

「水ポケモンなら私に任せて!」

 

タケシも頷く。

 

サトシはゼニガメを呼び出した。

 

「ゼニガメ!」

 

「ゼニ!」

 

「外へ出たら頼むぞ」

 

「ゼニ!」

 

そして。

 

「ヒトカゲ」

 

「カゲ?」

 

サトシは船底の一角を指差した。

 

「あそこへ『かえんほうしゃ』。でも一気に壊すな。周りを少しずつ焼いて、最後に抜けるようにする」

 

「カゲ!」

 

ヒトカゲが息を吸う。

 

「『かえんほうしゃ』!」

 

「カゲェェ!」

 

炎が船体へ浴びせられる。

 

赤く熱せられていく金属。

 

場所を少しずつ変えながら、脱出口となる部分を弱らせていく。

 

「もう少し!」

 

「カゲ!」

 

やがて――。

 

ミシッ。

 

船体に亀裂が入った。

 

「止め!」

 

炎が消える。

 

サトシは全員を見る。

 

「準備は?」

 

「大丈夫!」

 

「俺もだ!」

 

「こっちも……たぶん」

 

ロケット団を見る。

 

「水ポケモンは?」

 

「ふっふっふ」

 

突然、コジロウが得意げに笑った。

 

「こんなこともあろうかと!」

 

「嫌な予感がするニャ」

 

コジロウが一つのボールを掲げる。

 

「私には最強の水ポケモンがいる!」

 

ボールが開く。

 

現れたのは――。

 

「コイキング!」

 

「……」

 

サトシが黙る。

 

「……」

 

カスミも黙る。

 

「……」

 

タケシも黙った。

 

「なんだ、その目は!」

 

コジロウが叫ぶ。

 

「このコイキングはな! 将来大金を生む素晴らしいポケモンなんだぞ!」

 

サトシはコイキングを見る。

 

「コイ……」

 

力なく跳ねている。

 

(やっぱり買ったのか)

 

前世の記憶通りだ。

 

そしてサトシは、この先に何が起こるのかも知っている。

 

コイキング。

 

今は弱いポケモンだと思われている。

 

だが、その進化先は――。

 

「まあ、水ポケモンなのは間違いないけど」

 

「だろう!」

 

「泳げるかどうかは別問題だぞ」

 

「え?」

 

コジロウの笑顔が固まった。

 

◇

 

全員が準備を整える。

 

「いくぞ!」

 

ヒトカゲが最後の一撃を加えた。

 

船底の一部が外へ外れる。

 

ドッ――!

 

大量の海水が一気に流れ込んできた。

 

「行け!」

 

カスミの水ポケモンたちが先導する。

 

サトシはゼニガメにつかまり、ピカチュウをしっかり抱える。

 

「ゼニ!」

 

ゼニガメが水を掻く。

 

海中へ。

 

船の外へ出た瞬間、サトシは思わず振り返った。

 

巨大なサントアンヌ号が、暗い海底に横たわっている。

 

あれほど豪華だった船が、今は静かな海の底で少しずつ沈んでいた。

 

(すごい光景だな……)

 

前世では画面越しに見ていた。

 

だが実際に目の前で見ると、その巨大さも恐ろしさもまるで違う。

 

ゼニガメが力強く泳ぐ。

 

上へ。

 

さらに上へ。

 

水面が近づく。

 

「――ぷはっ!」

 

サトシが海面へ顔を出した。

 

「ピカァ!」

 

「ゼニ!」

 

周囲でも次々と仲間たちが浮上する。

 

「カスミ!」

 

「いるわ!」

 

「タケシ!」

 

「大丈夫だ!」

 

ロケット団も――。

 

「助けてぇぇ!」

 

「コイキングが全然役に立たない!」

 

「だから言ったニャ!」

 

どうにか浮かんでいた。

 

「とにかく、全員出られたな」

 

サトシは息を整える。

 

その背後で。

 

ゴゴゴゴゴ……。

 

海中から低い音が響いた。

 

サントアンヌ号がさらに深い場所へ沈んでいく。

 

誰も言葉を発さなかった。

 

巨大な船影が、暗い海の底へ消えていく。

 

◇

 

幸い、海面には船の残骸がいくつか浮いていた。

 

大きな板や壊れた設備を集め、どうにか全員が乗れるだけの即席の筏を作る。

 

「……助かった」

 

カスミが仰向けになる。

 

「もう動けない」

 

「俺もだ」

 

タケシも座り込んだ。

 

「ピカ……」

 

ピカチュウも疲れてサトシの膝へ座る。

 

サトシ自身もかなり消耗していた。

 

だが、周囲を見渡す。

 

海。

 

海。

 

どこまで見ても海。

 

陸地は見えない。

 

「まだ安心できないな」

 

「分かってるけど……」

 

カスミが身体を起こす。

 

「どっちへ行けばいいのよ」

 

サトシはボールを取り出した。

 

「ピジョン!」

 

「ピジョォン!」

 

海上へピジョンが舞い上がる。

 

「悪いけど、周りを見てきてくれ。島でも船でもいい。何か見つけたら戻ってきて」

 

「ピジョン!」

 

翼を大きく広げる。

 

海風を捉え、一気に高度を上げた。

 

サトシは遠ざかる姿を見上げる。

 

障害物のない海上。

 

強い潮風。

 

それでもピジョンは安定して飛んでいた。

 

やがて小さな点になる。

 

「ずいぶん飛べるようになったわね」

 

カスミが言う。

 

「ああ」

 

サトシも嬉しくなる。

 

捕まえた頃から飛行能力は高かった。

 

旅を続け、何度も戦い、風を使う技を磨いてきたことで、その翼はさらに強くなっている。

 

まだ伸びる。

 

そう感じさせる飛び方だった。

 

しばらくすると。

 

「ピジョォォン!」

 

声が聞こえる。

 

「戻ってきた!」

 

サトシが立ち上がる。

 

ピジョンがこちらへ飛んでくる。

 

その後ろ。

 

海面に何かが浮かんでいた。

 

「船か!?」

 

期待する。

 

しかし。

 

「た、助けてぇぇぇ!」

 

聞き覚えのある声。

 

「ムサシ!?」

 

「コジロウ!?」

 

「ニャース!?」

 

いつの間にか別の残骸へ流されていたロケット団だった。

 

「……」

 

「……」

 

サトシたちは顔を見合わせる。

 

「放っておく?」

 

カスミが真顔で聞く。

 

「さすがに死ぬだろ」

 

「冗談よ」

 

結局、ロケット団まで回収することになった。

 

「助かったぁ!」

 

「命の恩人だ!」

 

「この恩は忘れないニャ!」

 

「じゃあ今後ピカチュウを狙うのやめろよ」

 

「それとこれは別よ!」

 

「恩を返せ!」

 

◇

 

時間だけが過ぎていった。

 

太陽が高くなる。

 

海面から照り返す日差し。

 

食料はない。

 

飲み水もほとんどない。

 

「お腹空いた……」

 

カスミが呟く。

 

「俺も」

 

タケシも力がない。

 

「ピカ……」

 

「もう少し我慢してくれ」

 

サトシがピカチュウの頭を撫でる。

 

その横では。

 

「全部お前のせいだ!」

 

コジロウがコイキングを睨んでいた。

 

「コイ?」

 

「大金を生むって言われたから買ったのに!」

 

「そこから間違ってるニャ」

 

「泳げない! 役に立たない! 食べようとしても身がほとんどない!」

 

「コイ……」

 

サトシの眉が寄る。

 

「コジロウ」

 

「なんだ!」

 

「騙されたのはコイキングのせいじゃないだろ」

 

「うっ」

 

「買ったのは自分じゃないか」

 

「だ、だがな!」

 

コジロウは空腹と苛立ちで冷静さを失っていた。

 

「こんなポケモン!」

 

「やめろ!」

 

サトシが立ち上がった時には遅かった。

 

コジロウの足がコイキングへ当たる。

 

「お前なんか、もういらん!」

 

コイキングが宙を舞う。

 

「コイィィ……!」

 

海へ落ちる。

 

バシャン!

 

「コジロウ!」

 

「なによ、ただのコイキングじゃない!」

 

ムサシが言う。

 

だがサトシは海面を見つめていた。

 

「……来る」

 

「え?」

 

海中から光が漏れ始める。

 

「何よ、あれ」

 

カスミが立ち上がる。

 

海面が揺れる。

 

コイキングの身体が白い光に包まれた。

 

「進化……!」

 

タケシが息を呑む。

 

光の中で身体が伸びる。

 

大きく。

 

長く。

 

先ほどまでの小さな魚の姿が、見る間に変わっていく。

 

そして――。

 

ザバァァァン!!

 

巨大な身体が海面から飛び出した。

 

青い鱗。

 

大きく開かれた口。

 

鋭い牙。

 

凶暴な眼光。

 

「ギャラァァァァァァ!!」

 

海面が震えた。

 

「ギャ、ギャラドス!?」

 

カスミが叫ぶ。

 

「やっぱり……」

 

サトシは見上げる。

 

知っていた。

 

それでも実際に目の前で見る迫力は凄まじい。

 

コイキング。

 

最弱と馬鹿にされることも多いポケモン。

 

しかし進化すれば――ギャラドス。

 

「お、おお!」

 

コジロウの表情が一変した。

 

「素晴らしいぞ! さすが私のポケモン!」

 

「……」

 

サトシは呆れる。

 

「さっき捨てたばっかりだろ」

 

「細かいことは気にするな!」

 

「ギャラドス! 私の言うことを――」

 

「ギャラァァァ!」

 

「ひぃっ!」

 

ギャラドスの咆哮だけでコジロウが尻餅をつく。

 

「怒ってるわよ!」

 

カスミが叫ぶ。

 

「当たり前だ!」

 

サトシはすぐに周囲を見る。

 

海上。

 

逃げ場がない。

 

ここで戦うのは危険すぎる。

 

「カスミ!」

 

「分かってる!」

 

「とにかく離れるぞ!」

 

水ポケモンたちに筏を引かせる。

 

「ゼニガメ!」

 

「ゼニ!」

 

ゼニガメも海へ入り、筏を押す。

 

少しずつ距離が開く。

 

だが。

 

「ギャラァァァァ!」

 

ギャラドスが空へ向かって咆哮した。

 

その声に答えるように。

 

遠くの海面が盛り上がる。

 

「え?」

 

一匹。

 

ザバァン!

 

二匹。

 

さらに三匹。

 

次々とギャラドスが姿を現す。

 

「ちょっと待って……」

 

カスミの顔から血の気が引く。

 

「一匹でも大変なのに……」

 

筏を囲むように、複数のギャラドスが集まってくる。

 

「まずいニャ!」

 

「逃げろぉ!」

 

「もう逃げてる!」

 

海面が激しく揺れ始める。

 

風が巻く。

 

波が渦を作る。

 

カスミがそれを見て叫んだ。

 

「『りゅうのいかり』よ!」

 

巨大な水の渦が立ち上がる。

 

「全員、何かに掴まれ!」

 

サトシがピカチュウを抱き締める。

 

「ピカ!」

 

タケシが筏を掴む。

 

カスミも必死に伏せる。

 

ロケット団も互いにしがみつく。

 

だが。

 

水流が強すぎる。

 

筏そのものが浮き上がった。

 

「うわああああ!」

 

「きゃあああ!」

 

巨大な水の竜巻。

 

サトシたちは筏ごと巻き上げられた。

 

「ピカチュウ!」

 

「ピカァァァ!」

 

上下すら分からない。

 

水。

 

風。

 

空。

 

海。

 

すべてが混ざり合う。

 

サトシはただピカチュウだけは離さないよう、強く抱き締めた。

 

そのまま。

 

サトシたちの身体は、遥か彼方へと吹き飛ばされていった。

 

そして彼らはまだ知らない。

 

その先に待っている場所が――。

 

普通の島などではないことを。

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