ポケットモンスター ―君と目指す頂―   作:あああああ

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第61話 ガルーラのこもりうた

ララミー族の草原で行われたポケモンレースから数日。

 

サトシたちは再び旅を続けていた。

 

「次はサファリゾーンか」

 

サトシが地図を確認する。

 

「ピカ!」

 

肩の上からピカチュウが覗き込む。

 

「この森を抜ければ、かなり近づくはずだ」

 

タケシも地図を確認しながら答えた。

 

「でも、この森……思ったより深そうね」

 

カスミが前を見る。

 

高い木々が陽射しを遮り、昼間だというのに森の中は薄暗い。

 

「コダ?」

 

カスミの横を歩いていたコダックが首を傾げる。

 

「迷子にならないでよ」

 

「コダ」

 

本当に分かっているのかは怪しい。

 

少し前ではフシギソウがつるを伸ばし、道を塞いでいる枝を器用に退けていた。

 

「ソウ!」

 

「ありがとう、フシギソウ」

 

「ソウ!」

 

進化してから続けてきた『つるのムチ』の調整も、今ではほとんど日常動作の中に溶け込んでいる。

 

以前のように力加減を間違えて枝を弾き飛ばすこともなく、必要なだけの力で動かせるようになっていた。

 

「かなり馴染んだな」

 

タケシが感心する。

 

「うん。あとはバトルの中でどこまで使いこなせるかだな」

 

「ソウ!」

 

その言葉を聞いたフシギソウが、任せろと言わんばかりに胸を張る。

 

その後ろでは。

 

「ベットォ!」

 

「ゴースト!」

 

ベトベトンがゴーストを追いかけていた。

 

「またやってる……」

 

カスミが呆れる。

 

ゴーストは木の幹へ潜り、反対側から顔を出す。

 

「ゴースト!」

 

「ベット?」

 

ベトベトンが首を傾げる。

 

次の瞬間。

 

別の木からゴーストが現れた。

 

「ゴースト!」

 

「ベットォ!」

 

ベトベトンが嬉しそうに追いかける。

 

「元気なのはいいけど、あんまり離れるなよ!」

 

「ベット!」

 

「ゴースト!」

 

返事だけはいい。

 

サトシが苦笑した、そのとき。

 

森の奥から低い音が響いた。

 

ズン。

 

ズン。

 

何か大きなものが歩いている。

 

「……何だ?」

 

ピカチュウの耳が立つ。

 

「ピカ」

 

ロコンも足を止めた。

 

「コン……」

 

次第に。

 

一つだった音が増える。

 

ズン。

 

ズン。

 

ズン。

 

木々の向こうから、いくつもの大きな影が現れた。

 

「ガルーラ!」

 

カスミが声を上げる。

 

一匹ではない。

 

何匹ものガルーラ。

 

群れだ。

 

腹部の袋には、小さな子供を入れている個体もいる。

 

「近づくな」

 

サトシがすぐに足を止めた。

 

「ピカ?」

 

「子供がいる」

 

ピカチュウも納得したように一歩下がる。

 

フシギソウたちもサトシの様子を見て、その場で止まった。

 

ガルーラたちはこちらを警戒している。

 

「ガルゥ……」

 

前にいる一匹が低く鳴く。

 

「大丈夫。何もしない」

 

サトシは両手を見える位置に出した。

 

ポケモンたちにも動かないよう合図する。

 

「通りたいだけだ」

 

言葉そのものが伝わるわけではない。

 

それでも敵意がないことくらいは伝えられる。

 

しばらく。

 

ガルーラとサトシたちが互いを見る。

 

やがて。

 

「ガル」

 

先頭のガルーラが警戒を少し緩めた。

 

「良かった……」

 

カスミが息を吐く。

 

ところが。

 

「ガルー!」

 

突然、別の声。

 

群れの奥から何かが飛び出した。

 

「え?」

 

サトシが目を見開く。

 

小さい。

 

二本の足。

 

髪。

 

服。

 

「……人間?」

 

少年だった。

 

だが。

 

「ガルー!」

 

四つん這いになり、ガルーラの真似をするように鳴いている。

 

「ええっ!?」

 

カスミが二度見した。

 

「子供!?」

 

少年はガルーラたちの間へ入ると、こちらへ向かって威嚇する。

 

「ガル! ガルー!」

 

「いや、俺たち何もしないって」

 

「ガルー!」

 

「人間の言葉、通じてないのか?」

 

サトシが困ったように眉を下げる。

 

タケシは少年を観察していた。

 

「この子……ずっとガルーラたちと暮らしてるのかもしれない」

 

「ガル?」

 

少年がタケシを見る。

 

その直後。

 

ガルーラの一匹が少年を抱き上げた。

 

「ガルー!」

 

「ガル!」

 

少年は嫌がらない。

 

むしろ嬉しそうに、その胸へ身体を預ける。

 

「……本当に家族みたいだ」

 

サトシが呟いた。

 

◇

 

少年の名がトミーだと分かったのは、それから少し後だった。

 

森の中へ響く大声。

 

「トミー!」

 

「トミー、どこなの!?」

 

一組の男女が必死に走ってきた。

 

「人?」

 

カスミが振り返る。

 

二人はガルーラたちの中にいる少年を見つけた瞬間、顔色を変えた。

 

「トミー!」

 

「やっと見つけた!」

 

女性が駆け出そうとする。

 

「待って!」

 

サトシが止めた。

 

「どうして!?」

 

「今いきなり近づいたら――」

 

「ガルゥ!」

 

予想通り。

 

ガルーラたちが一斉に警戒する。

 

子供たちとトミーを守るように前へ出た。

 

「トミー……!」

 

女性の目に涙が浮かぶ。

 

少年はガルーラの後ろから二人を見る。

 

「ガル?」

 

知らない相手を見る目だった。

 

男性が拳を握る。

 

「私たちは……あの子の両親なんだ」

 

サトシたちは驚いた。

 

◇

 

二人から事情を聞く。

 

トミーがまだ幼かった頃。

 

家族で旅をしている途中、事故が起きた。

 

その際にトミーは両親とはぐれ、そのまま行方が分からなくなってしまった。

 

二人はずっと探していた。

 

何年も。

 

そしてようやく、この森でガルーラたちと暮らしている少年の噂を聞きつけたのだという。

 

「トミー……」

 

母親が離れた場所から息子を見る。

 

「ずっと探してたのよ」

 

「ガル……?」

 

トミーは首を傾げる。

 

「お母さんよ」

 

一歩。

 

トミーが下がる。

 

ガルーラへ身体を寄せた。

 

母親の足が止まる。

 

「……」

 

その顔を見て、カスミも何も言えなくなった。

 

「無理もない」

 

タケシが静かに言う。

 

「トミーにとっては、ガルーラたちと暮らした時間の方が長いんだろう」

 

「でも私たちはあの子の親なの!」

 

母親が振り返る。

 

「連れて帰りたいって思うのは当然でしょ?」

 

「はい」

 

サトシは否定しなかった。

 

探し続けた。

 

やっと見つけた。

 

一緒に暮らしたい。

 

それは当然の気持ちだ。

 

けれど。

 

サトシはガルーラへしがみつくトミーを見る。

 

「でも、トミーにとってガルーラたちも家族です」

 

「……!」

 

「どっちかだけが本物って決めなくてもいいと思います」

 

父親がサトシを見る。

 

「じゃあ、どうすればいい?」

 

「それは俺が決めることじゃないです」

 

サトシは首を振った。

 

「トミーがどうしたいかだと思います」

 

トミーはまだ幼い。

 

すぐに答えを出せるとは限らない。

 

だからこそ。

 

大人たちだけで決めてはいけない。

 

「ピカ」

 

ピカチュウがサトシの肩で小さく鳴いた。

 

◇

 

それから両親は、無理にトミーへ近づくのをやめた。

 

少し離れたところに座る。

 

話しかける。

 

昔のことを話す。

 

「あなた、小さい頃から元気だったのよ」

 

「ガル?」

 

「高いところに登って、降りられなくなったこともあったわ」

 

「あなたが慌てて助けに行って、一緒に転んだんだろう」

 

「あなたも泣いてたじゃない」

 

「それは言わなくても……」

 

二人が笑う。

 

トミーはガルーラのそばから、そんな二人を見ていた。

 

すぐには近づかない。

 

それでも。

 

逃げもしなくなった。

 

「少しずつだな」

 

サトシが言う。

 

「ピカ」

 

その様子を見ながら。

 

サトシは自然と自分の肩へ手を伸ばした。

 

ピカチュウがいる。

 

「ピカ?」

 

「なんでもない」

 

笑って頭を撫でる。

 

血の繋がりだけが家族ではない。

 

サトシにとっても。

 

一緒に旅をしているポケモンたちは、もうそれに近い存在だった。

 

◇

 

平穏な時間は。

 

突然破られた。

 

バシュン!

 

森の中から巨大な網が飛んできた。

 

「何!?」

 

網がガルーラの群れへ降りかかる。

 

「ガルー!」

 

「ガル!?」

 

「危ない!」

 

サトシが走る。

 

「ピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが跳ぶ。

 

「アイアンテール!」

 

「ピッカ!」

 

光る尻尾が網を切り裂いた。

 

だが。

 

一枚ではない。

 

「今よ!」

 

「どんどん捕まえるんだ!」

 

「ガルーラをまとめてゲットするニャ!」

 

上空。

 

気球。

 

「やっぱりお前たちか!」

 

サトシが睨む。

 

「なんだかんだと聞かれたら!」

 

「今はいい!」

 

「まだ何も言ってないじゃない!」

 

ムサシが怒る。

 

「アーボック!」

 

「マタドガス!」

 

進化した二匹が気球から飛び出した。

 

「ガルゥ!」

 

ガルーラたちが子供を守るように集まる。

 

「トミー!」

 

実の両親が叫ぶ。

 

「ガルー!」

 

トミーは逃げない。

 

育ててくれたガルーラたちを守ろうと、前へ出ようとする。

 

「待て!」

 

サトシが腕を掴んだ。

 

「ガル!」

 

「気持ちは分かる。でも一人で行くな」

 

「ガルー!」

 

「守りたいんだろ?」

 

トミーが止まる。

 

「だったら一緒に守ろう」

 

「……ガル」

 

サトシは腰のボールへ手を伸ばした。

 

「みんな、頼む!」

 

光が次々と広がる。

 

「ソウ!」

 

「カゲ!」

 

「ゼニ!」

 

「ゴースト!」

 

そして。

 

「ベットォ!」

 

ベトベトン。

 

「ガルーラたちを網から出すぞ!」

 

◇

 

「フシギソウ、つるのムチ!」

 

「ソウ!」

 

二本のつるが伸び、捕獲用の網を掴む。

 

「そのまま引け!」

 

「ソウ!」

 

以前なら力を入れすぎて狙った場所まで壊していたかもしれない。

 

今は違う。

 

網だけを引き剥がす。

 

「ゼニガメ!」

 

「ゼニ!」

 

『みずでっぽう』で別の装置を押し返す。

 

「ヒトカゲは右!」

 

「カゲ!」

 

『きりさく』でロープを切る。

 

「ゴースト!」

 

「ゴースト!」

 

指示するより先に、ゴーストが網の中へ潜り込んでいた。

 

内側からガルーラたちを誘導する。

 

「ベトベトン!」

 

「ベット!」

 

以前なら、ここで細かく指示を出していた。

 

だが。

 

セキチクジムで一緒に戦った。

 

少しだけ。

 

分かるようになった。

 

「前を塞いでくれ!」

 

「ベットォ!」

 

それだけでいい。

 

ベトベトンが大きな身体を広げる。

 

アーボックが突っ込んでくる。

 

「アーボック!」

 

「ベット!」

 

正面から受け止めた。

 

柔らかな身体が大きくへこむ。

 

しかし。

 

倒れない。

 

「そのまま!」

 

「ベットォ!」

 

身体でアーボックを包み込む。

 

「アーボック!?」

 

「よし!」

 

細かく言わなくても。

 

今度は合った。

 

「ベトベトン、離せ!」

 

「ベット!」

 

勢いよく投げ返す。

 

「アーボック!」

 

「マタドガス、助けろ!」

 

「マタドガース!」

 

マタドガスが前へ出る。

 

だが。

 

「ピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが走る。

 

『でんこうせっか』。

 

一気に距離を詰める。

 

「アイアンテール!」

 

「ピッカ!」

 

マタドガスへ直撃。

 

「マタドガース!」

 

二匹がまとめて吹き飛ぶ。

 

「何やってるのよ!」

 

「進化したんだぞ!」

 

「相手も強くなってるニャ!」

 

「そこ冷静に分析しないで!」

 

◇

 

ロケット団が騒いでいる間にも、ガルーラたちは次々と網から抜け出していた。

 

「ガルー!」

 

自由になった一匹が前へ出る。

 

その後ろ。

 

トミーがいる。

 

「ガル!」

 

ガルーラとトミーが並ぶ。

 

「トミー!」

 

母親が叫ぶ。

 

その瞬間。

 

壊れかけた捕獲装置が傾いた。

 

「危ない!」

 

大きな金属部品が落ちる。

 

トミーの真上。

 

「ガル!?」

 

育ての親であるガルーラが動く。

 

同時に。

 

「トミー!」

 

実の父親と母親も走った。

 

二人は迷わず。

 

トミーへ飛びついた。

 

「!」

 

地面へ倒れ込む。

 

直後。

 

ガルーラが落下してきた部品を身体で受け止めた。

 

「ガルゥ!」

 

「フシギソウ!」

 

「ソウ!」

 

『つるのムチ』が伸びる。

 

金属を掴む。

 

「ベトベトン!」

 

「ベットォ!」

 

ベトベトンも身体を押し込み、支える。

 

「今だ! 離れろ!」

 

両親がトミーを抱えて転がる。

 

「ソウ!」

 

フシギソウが金属を横へ投げる。

 

轟音。

 

「大丈夫か!?」

 

サトシが駆け寄る。

 

父親も母親も傷だらけだ。

 

それでも。

 

最初に見たのは自分たちではない。

 

「トミー……!」

 

母親が抱きしめる。

 

「怪我はない?」

 

「……」

 

トミーは目を見開いていた。

 

「ガル……」

 

少し離れた場所。

 

育ての親であるガルーラも心配そうに見ている。

 

トミーは母親を見る。

 

父親を見る。

 

そして。

 

ガルーラを見る。

 

「……」

 

しばらく。

 

誰も動かなかった。

 

やがて。

 

トミーの手が伸びた。

 

母親の服を。

 

小さく掴む。

 

「トミー……?」

 

「……マ」

 

掠れた声。

 

母親の目が見開かれる。

 

「今……」

 

「マ……マ」

 

「トミー!」

 

強く抱きしめる。

 

トミーは驚いた。

 

けれど。

 

今度は逃げなかった。

 

その背中へ。

 

「ガル」

 

ガルーラが優しく手を置いた。

 

トミーが振り返る。

 

「ガルー!」

 

ガルーラにも抱きつく。

 

母親。

 

父親。

 

ガルーラ。

 

その真ん中で。

 

トミーが笑った。

 

◇

 

「アーボック!」

 

「マタドガース!」

 

その頃。

 

まだロケット団は諦めていなかった。

 

「感動してる場合じゃないわよ!」

 

「ガルーラは全部いただく!」

 

「ピカチュウもニャ!」

 

サトシが振り返る。

 

「……まだやるの?」

 

「当然!」

 

「なら」

 

サトシはピカチュウを見る。

 

「ピカ」

 

だが。

 

今回は。

 

サトシたちが動くより早かった。

 

「ガルゥゥゥ!」

 

ガルーラの群れが一斉に前へ出た。

 

「え」

 

ムサシが固まる。

 

「ちょっと待て」

 

コジロウが下がる。

 

「これ、まずいニャ」

 

ニャースの毛が逆立つ。

 

ガルーラたちの視線。

 

その後ろには。

 

子供たち。

 

トミー。

 

そしてトミーの両親。

 

守るものがある。

 

「ガルーラ!」

 

群れが突進した。

 

「ちょっとおおおお!」

 

「話し合おう!」

 

「さっきまで捕まえようとしてた奴が言う台詞じゃないニャー!」

 

吹き飛ぶ。

 

気球ごと。

 

アーボックも。

 

マタドガスも。

 

ムサシも。

 

コジロウも。

 

ニャースも。

 

空の彼方へ。

 

「やな感じー!」

 

森に静けさが戻った。

 

「……俺たち、最後ほとんど何もしてないな」

 

サトシが言う。

 

「ピカ」

 

「まあ、あれだけガルーラがいたらね」

 

カスミも苦笑した。

 

◇

 

夕方。

 

サトシたちは旅立つ準備をしていた。

 

トミーは育ての親であるガルーラの袋に入っている。

 

「ガルー!」

 

その横。

 

両親もいた。

 

「本当にここに残るんですか?」

 

タケシが聞く。

 

父親が笑う。

 

「ああ」

 

「トミーを無理やり連れて帰るのはやめたの」

 

母親もガルーラを見る。

 

「この子たちも、トミーの家族だから」

 

「だったら私たちが一緒に暮らせばいい」

 

「簡単ではないだろうけどな」

 

「それでも、また家族を引き離すよりいいわ」

 

ガルーラが二人を見る。

 

「ガル」

 

先ほどまでの警戒はない。

 

母親がおそるおそる手を伸ばす。

 

ガルーラは逃げなかった。

 

「よろしくね」

 

「ガル」

 

トミーが袋から顔を出す。

 

「ママ!」

 

「トミー!」

 

「ガルー!」

 

「……どっちを呼んだんだ?」

 

サトシが首を傾げる。

 

母親とガルーラ。

 

二人とも反応していた。

 

カスミが笑う。

 

「両方でいいんじゃない?」

 

「そうだな」

 

サトシも笑った。

 

トミーにとって。

 

どちらも家族なのだから。

 

「じゃあな、トミー!」

 

「ピカピカ!」

 

「ガルー!」

 

トミーが大きく手を振る。

 

ガルーラたちも歩き出す。

 

その横を。

 

実の両親が一緒に歩いていく。

 

今までとは少し違う。

 

新しい家族の形で。

 

サトシたちは、その姿が森の奥へ消えるまで見送った。

 

◇

 

「家族か」

 

再び歩き始めてから、サトシが呟く。

 

「ピカ?」

 

肩のピカチュウを見る。

 

その後ろには。

 

フシギソウ。

 

ヒトカゲ。

 

ゼニガメ。

 

ゴースト。

 

ベトベトン。

 

そして、カスミとタケシ。

 

研究所にはピジョットやバタフリー、クラブもいる。

 

離れた場所では、オコリザルが修行を続けている。

 

一緒にいる場所が違っても。

 

繋がりが消えるわけではない。

 

「俺たちも似たようなもんかな」

 

「ピカ?」

 

「なんでもない」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが頬を寄せてくる。

 

サトシは笑った。

 

「サトシ!」

 

前を歩いていたカスミが振り返る。

 

「何してるの? 置いてくわよ!」

 

「今行く!」

 

サトシが走り出す。

 

森の出口。

 

その先には。

 

広大な自然保護区が待っている。

 

サファリゾーン。

 

まだ見ぬ、多くのポケモンたちが暮らす場所。

 

サトシは知らず知らずのうちに歩調を速めていた。

 

「行こう、ピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

その場所で新しい出会いが待っていることはまだ知らない。

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