次の日も、タクヤはビリリダマのことが気になっていた。昨日投げた電池がなくなっていたのを思い出し、ビリリダマが食べたのかもしれないと思っていた。
ビリリダマが電池を食べるところを見れば、本当に食べるのか分かるかもしれない。口が見えなかったのに、どうやって食べるのかも見てみたかった。
外遊びの時間、タクヤは遊具の近くでケンタたちと遊んでいた。ときどき、物置の方を見る。今日は、赤と白の丸いものは見えなかった。
先生が、タクヤのそばへ来た。
「タクヤ、さっきから物置の方を見ているね。何か気になるの?」
「ビリリダマがおるかなって」
「ビリリダマ?」
「昨日な、物置から離れたとこから電池投げてん。あとで見たら、なくなっとってん。ビリリダマが食べたんかなって思て。食べるとこ、見てみたいねん」
タクヤは物置から離れた遊び場にいた。先生はタクヤの顔を見た。
「そうだったんだ。物置には近づかなかったんだね。でも、物を勝手に投げるのはやめようね。誰かに当たったら危ないし、ポケモンもびっくりするかもしれないから。ビリリダマに何かあげたいときや、何かしてみたいときは、先に先生に言ってね」
「わかった」
タクヤはうなずいた。
*
次の日、タクヤは外遊びに出る前に、先生のところへ行った。
「先生、ビリリダマって何食べるん?」
「先生も知らないなあ」
「電池あげてもええの?」
「それも分からないよ。何を食べるかも、電池をあげていいかも分からないから、勝手にあげるのはやめようね」
「うん」
「見つけたら、ここから一緒に見ようか。近づかないでね」
その日も次の日も、ビリリダマはいなかった。タクヤは遊びながら、物置の方を見ることがあった。見えないと、ケンタたちの遊びに戻った。ポケモンの話をする日もあれば、車のおもちゃやブロックで遊ぶ日もあった。
何日かたった午後、子どもたちは部屋で絵を描いていた。クレヨンを箱へ戻そうとしたとき、タクヤは窓の外の物置に気づいた。
物置の前に、赤と白の丸いものがいた。
「先生。ビリリダマおる」
先生も窓の外を見た。
「ほんとだね。ここから見ていよう。外へは出ないよ」
「うん」
タクヤは先生の隣で、窓の向こうを見た。
ビリリダマは、物置のそばで止まっていた。丸い体が少し向きを変え、目のある赤い面が窓の方を向いた。こちらへは来ない。しばらくしても、すぐには逃げなかった。
電池は持っていなかった。何を食べるのかも、まだ分からない。
それでも、今日はビリリダマがいた。
タクヤと先生は、窓の内側からそれを見ていた。