ワーウルフになったら毎日が大変! 略して「ワー大変!」   作:べあうるふ

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プロローグから大変!

ドン! と身体を殴られるような衝撃。

 

 

 

……そこから先の記憶はなんにもない。目が覚めたときは真っ白な天井と、ちょっと硬めなベッドの上だった。

 

 

 

なんだ、ここ?

 

 

 

ゆっくりと起き上がりたかった……

 

けど腕に点滴が刺さってて痛いし、鼻と口に変なモンが被さってるわで、全然動けねーし。

 

 

 

つまりここ、病院だよな……? って思い出そうとしたけれど、頭の中はモヤモヤした霧の中みたいな感じで、全然記憶自体がダメダメというか。

 

 

 

いや、自分のことはわかる。

 

狩野タケル。緑の丘小学校の4年……いや、この前進級したんだよな、つまりは5年だよな。

 

親は……父さんと母さん。いたことは分かる。

 

でも顔も……あれ?

 

違う、いたんだっけ?

 

 

 

そんなことをずっと考えているうちに、カーテンの向こうのドアが開いて、白衣を着たオールバックのメガネのお兄さんが入ってきたんだ。2人ほどお姉さんな看護師さんと一緒に。

 

いきなり俺の姿を見て驚いてた「狩野くん! よかった……目が覚めたんだね!」って。

 

そしたら突然、耳にいっぱい電子音がなだれ込んできた。寝たまま左右を見渡せば、たくさんの機器が並んでて。

 

心電図に……なんだこりゃ? 初めて目にするモンばかりだ。

 

 

 

「えっと、俺……」

 

「やはりな、ケガも全て治っている。この治癒力は……」俺の言葉なんて聞いちゃいなかった。

 

看護師さんと3人は俺の姿を目にしてずっと驚きあってて。

 

「狩野タケルくん、君は自動車事故に遭い全身打撲と頭蓋骨骨折で、生死の境をさまよっていたんだ……」

 

そっか、なんか衝撃の記憶があったから……つまり事故か。

 

 

 

「どのくらいここにいたの……?」そうだ、ここには時計も何にもない。とはいえ俺が事故に遭った記憶すらもだ。

 

「半月……いや、2週間くらいかな」

 

「で、いっぱい手術した……ってこと?」

 

いや、それが……とオールバックの先生は俺の言葉を手で制した。それに表情もなんか曇ってきたし。

 

「最初にここの病院に運び込まれた時は全身にひどい怪我をしていたんだ……だけど」

 

「先生、それ以上は」

 

いいところだったのに隣の看護師のお姉さんが止めに割り込んできた。なんでだよ!

 

 

 

そのまま、なにかに急かされるように3人とも部屋を出ていったんだ。

 

いや……先生は一言だけ残してたっけ。

 

「自己治癒能力が……」ジコチユ? 初めて聞く言葉だったけど、後からそれは俺自身の回復能力のことだって気づいた。

 

それが証拠に、俺の身体にはキズひとつ付いてなかったんだ。ケガの痕も、そして手術した形跡も。

 

 

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

 

 

翌日、今度は警察の人がやってきた。

 

「記憶喪失か……それは追々思い出していくしか……いや」

 

って柔道をやってそうなすっげ肩幅した警察の人は口ごもった。

 

なんなんだよ……昨日の先生といい、なんか隠してね?

 

とりあえず教えてくれたことは、俺は車の衝突事故で外へ投げ出されたこと。

 

そして父さんと母さんは……

 

 

 

「残念だけど……」

 

その言葉で全てを察した。亡くなったんだって。でも不思議だった。

 

ショックとか悲しさとか全く湧いてこなかったんだ。それどころか……

 

 

 

「俺、父さんとか母さんなんていたんだっけ?」

 

 

 

そして、俺の新しい毎日がはじまった。

 

 

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