ワーウルフになったら毎日が大変! 略して「ワー大変!」   作:べあうるふ

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あたりには人の気配は全然しなくなった、人間の姿でいた時より眼や耳、鼻が研ぎ澄まされてるのはさっきも言ったとおりだけど、それ以上に「何かがいる気配がする」っていう不思議な感覚がするようになってきたんだ。これが動物の超感覚ってっやつかな(これはネットで知ったことだけどね)。

 

 

 

人も車もいなくなった深夜の道路を、俺はおもいっきり走った。ネコとは違って爪が引っ込んでくれないから、どうしても地面を蹴るときにチャッチャッチャって面白い足音が出ちゃう。

 

あと、さっき逃げるときに手を使って走ったんだけど、狼男に変身してそれを実行すると、速度がもっと早くなることが分かった。でもその走りを続けているとだんだん肩や二の腕が疲れてきちゃって…やっぱりこういうとこは人間の身体に近いんだな。

 

 

 

そう考えながら走っているうち、俺は高速道路へ差し掛かる場所まできてしまった。標識から察すると、となりの市まで行っちゃってたみたいだ。

 

車で言えばゆうにここまで1時間はかかる時間。自分の足じゃそれほど経ってないように感じたのに……

 

凄いな、俺って車より早いんだ。

 

出来れば高速へ入ってどこまで行けるかな、なんて確かめてみたいけど、一般の道と違って交通量は多いわけだし、なによりもそんな時に人間に戻ったりでもしちゃったら、それこそ大事件だ。

 

 

 

ふと空を見上げると、まだ月は俺の頭の真上だ。

 

姉貴がきっと心配してるだろうな。なんて考えながら、俺は今きた道を戻ろうかな……って思ったんだけど、それじゃちょっとつまらないし、だったら!

 

 

 

ここはちょっとしたオフィス街、道路の両端にはたくさんの高いビルが並んでる、しかも建設途中のビルもだ。ならば帰り道はこれっきゃない!

 

 

 

俺は信号機伝いに電信柱を登り、そこからビルの窓へと飛びついた。垂直になってる建物だって、よくみりゃ凹凸はたくさんあるんだ、そこを利用すればすいすいビルなんて駆け上がることができちゃう。まるでどっかのヒーローみたいだ。

 

十数階建てのビルを一気に駆け上がり、今まで走ってきた道を見渡してみた。普段の人間だったらこんなビル街のてっぺんを飛び移るなんて不可能に近いけど、今の俺ならできる!

 

 

 

助走をつけて、俺はたんっ! と勢いよくジャンプした。

 

 

 

もちろんビルだって同じ高さのばかりじゃない。でも今の俺にはそんな高低差なんて関係ない。飛んじゃえばみんな一緒だ。そしてこんな場所になんて誰もいない、夜は俺だけの練習場……いや、遊び場だ!

 

いくつくらいのビルを走って飛び越えたか、俺はもう数えるのさえ面倒になって来た、それにちょっと息が切れてきたし、足もかなり疲れが来たのか、ひざがガクガクしてきた。体力そろそろ限界かな。

 

俺は建設して間もない、まだ鉄骨状態の高層ビルの屋上に腰掛けた。それも一番鉄骨の伸びた先端に。

 

さすがにここまで来ると風が強く吹いている、だけどこの風がすごく気持ちいいんだ、汗ばんだ身体を瞬時に冷やしてくれるからね。

 

あの時俺が変身した山の方角から空が白み始めてきた、もうすぐ夜が明けてくる……ってことは4時くらいかな、そろそろ新聞配達のおじさんとかバイクで来る頃だな。

 

って言葉が自然に口から出ちゃった。

 

そうだな、俺も新聞配達のバイトでもしてみようかな。

 

 

 

さて、家までもうちょっとだ、一気に家まで行くか!

 

でもその前に、もう一回。

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 

 

はぁ、すっげえ気持ちいい!

 

何回吠えたかわからなかった、けど吠えるたびに、自分の中にある気持ちよさが開放されるんだよね…運動会の100m走で1等取った気分のような、いや、似てるけどぜんぜん違う、1等賞よりもっと上の、空の上まで登ってしまいそうな……快感っていうのかなこれ。

 

 

 

そして俺は通りの向かいにあるアパートへと戻ってきた。今まで俺は狼男に変身するのは怖かった、けどもう今は違う。確かに人目を避けなきゃいけないし、いつ変身できるかわからない怖さはあるけれど、でも、変身した時の風を切るスピードとジャンプ力、そして遠吠え……正直元に戻らないでいたい、いいや、もうずっとこのままでいいやって気持ちに駆られてくる。

 

でもとりあえず、姉貴にこのことを報告だ、通信切っちゃったのも謝らなきゃいけないし。

 

 

 

屋上はさっき言ったとおり行き来不能にされてるし、結局のところ普通に玄関から入るっきゃない。まだ元の人間の姿に戻ってないから、なんかすっげぇ変な気分だな……

 

階段を登っていくのも面倒だから、俺は一気にジャンプでドアまで飛んだ。

 

鍵はかけてないはずだ、そしてバカ力出すとまたドアノブを破壊しちゃうから、ゆっくり、そっと……

 

俺は静かに玄関へと入った、しかしやっぱうちの玄関は臭いな。原因は俺だって分かるんだけどさ。それに洗濯物もここ最近かなり溜め込んじゃったし。

 

肉球の効果で足音はしないけど、やっぱ癖なのかなそろりそろりと歩いてしまう。

 

やばい、足拭くの忘れたけど、まぁいいか。

 

居間のガラス戸の向こうには姉貴の影がみえる、ごめんな、ずっと起きてて待ってたみたいだ。

 

「ただいま、姉貴」戸をゆっくりと開けて、俺はまず姉貴に謝った。

 

 

 

「いっ!?」俺の姿を見た瞬間、姉貴は妙な叫び声を上げてそのまま失神しちゃった。

 

そうだ、俺の姿ってまだ姉貴知らないんだった!!

 

 

 

やっべぇ…姉貴白目になってる、どうしよ。

 

 

 

とりあえず姉貴を布団に寝かせることにした。ずっと俺を待ってたみたいで、コタツは点けっぱなし。テーブルの上には空の缶ビールが何本も転がってた。

 

 

 

でもって、いざ布団を敷こうとしたんだけど、手の爪が長いわ鋭いわで、これがけっこう厄介なんだ……

 

布団持ちづらいし、しかも爪にやたらと引っかかる。破けてなきゃいいんだけど。

 

まぁいいさ、縫うのは俺の仕事だし。

 

姉貴は気絶したまま全然目を覚まそうとしない。普通に寝息は立てているんだけどね。寝不足とか疲れも一気に出ちゃったんじゃないかって、俺はその時感じた。すっごく俺の心配してたもんな、ごめんよ姉貴。

 

 

 

しかし、家に帰ってきたら、なんだか俺も一気に疲れが出てきちゃった感じがした。ここ三日間くらい眠ってなかったのもあったし、今夜は飛んだり走ったりで、その疲れが一気に出たのかもしれない。

 

姉貴の看病しなくちゃならないし、まずは風呂かシャワーでも浴びようかなってことで、俺は風呂場に行った。

 

その時ふと思ったんだけど、俺の身体っていま毛に包まれてる状態なわけじゃん、だからこの状態で風呂したら、いっぱい毛が浮かぶ状態にもなりそうな気がするわけで……これはいけないな、と思って俺は急遽シャワーに変更した。水道代がかかるのはこの際置いといて。

 

 

 

ちょっと熱めの温度にして、シャワー全開。気持ちいいわ~。身体から一気に力が抜けてきそうで、そのまま寝ちゃいそう。

 

ついでに姉貴愛用のシャンプーを、俺の青い毛並みにふりかけた。フローラルな香りが風呂場に香ってきた、いや、つーか今は嗅覚が研ぎ澄まされてるから、逆にだんだんこの香りがキツくなってきた、ダメだ!!

 

ってことで俺は、大急ぎでシャンプー洗い流しちゃった、もったいなかったなー。しかもボトルの半分くらい使っちゃったから、姉貴怒るだろうな。

 

ってなわけであわててシャンプーを流した時、ふと、目の前にある鏡に俺の姿が映った。自身で顔かたちを何度か確かめたことはあったけど、こうやってじっくりと鏡を見ることは初めてだった。

 

毛が濡れてぺちゃんこになってるんで、ちょっと変な姿にはなっている……けど、改めて自分の姿を見ると、格好良さより逆に怖さのほうが頭をかすめたんだ。「これが、俺?」なのかってね。

 

人間の頃の地震の面影なんて全然存在しない。眼の色だって完全に変わっちゃってる、今の瞳は金色に光っているんだ。

 

たしかにいきなりこんな姿を見ちゃったら、誰だって気を失うだろうな。

 

それに、もしこのまま元の姿に戻れなくなったりでもしちゃったら、さっきまではこの姿でもいいやって思っていたのに、急に怖くなってきた。

 

 

 

「はぁ……」思わずでっかい溜息が出てしまう。

 

気落ちした時にため息を付くのは俺の悪い癖なんだよな。幸せが逃げちゃうよって姉貴や友達に何度も言われてるんだけど、この癖だけは治らない。ずっと昔っからなんだ。不幸なのかな俺って。まぁ他の人から見れば絶対的に不幸せな家庭だって言われることは百も承知だ。だけど両親がいなくったって今の俺は、自身は昔よりずっと幸せに思っている。嘘じゃない。誰にだってそんなことは言われたくない。

 

そう考えていてまたため息が出そうになったのを、俺は急いで飲み込んだ。身体も拭かないとな。

 

あ、そうだ! 狼の身体なんだ、ならばやることは決まってるじゃん!

 

ってことで……

 

ぶるぶるぶるぶるっ!!!!

 

俺は頭から上半身から思いきりぶるんと振り回して、濡れた毛の水を一斉に払い飛ばした。

 

一度これやってみたかったんだよ! 犬みたいだけど、けど面白い、張り付いていた水が一瞬にして飛んでっちゃうんだもん。

 

 

 

その時だった。ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴ったんだ。

 

「タケちゃんかおねえちゃんいるかな? ご飯持ってきたよ」って、年配のおばちゃんの声が、ドア越しに元気よく聞こえてきた。

 

1階にいる前田のおばちゃんだ!!

 

あのおばちゃん、俺達の家庭の事情をいち早く知ってくれて、とっても優しくしてくれるいい人なんだ。ときおり夕食で多く作った煮物なんかをいっぱい分けてくれる、それがすごく美味しくってさ……俺も勉強させてもらいたいくらい。

 

 

 

じゃない! 姉貴まだ気絶してるみたいだし、っていうか俺まだ狼のまんまだし!

 

「いるんでしょ、ちょっとおじゃまさせてもらうよ」

 

ヤバーーーーーーーい!!!

 

「声聞こえないんだけど、誰もいないのかい?」っておばちゃんの声がした。大好きなおばちゃんだからいいんだけど、いつも勝手に家に入ってきちゃうんだよね。別にいいんだけど……だけど今はヤバいんだよ!

 

 

 

「いますいます! わぁァーっ!!!」おばちゃんが玄関から入る寸前、俺はギリギリ侵入を食い止めることができた。

 

頭から一番大きなバスタオルをかぶって顔を隠し玄関までダッシュ。間一髪だった。

 

「ちょ、タケちゃん一体どうしたの? 息切らしちゃって」

 

驚いた顔でおばちゃんは言った。大丈夫、俺の姿は見られてないみたいだ。姉貴が気絶するくらいだもん、おばちゃんがこんな姿みてしまったら、マジで心臓止まるか逃げ出しちゃうんじゃないかって思うんだ。それこそ警察でも呼ばれたりしたら一大事だ。

 

「ごごごめんおばちゃん! 姉貴が風邪ひいちゃって寝込んでるんだ、だからおばちゃんにまで伝染ったりでもしたら大変だし、その、今はウチに入らないほうがいいよ」

 

とっさに口から嘘が出ちゃった、ごめんよおばちゃん。

 

「あらそうなの。でももし風邪こじらせちゃったら大変だし、おばちゃんがちょっと診てあげよっか?」

 

「へ、平気だよ、ただ昨日から薬飲んで熟睡しちゃってるから、そんな重い風邪じゃないから大丈夫だよ!」思わず俺は開きかけたドアを押さえ込んだ、まるでセールスマン追い出してるみたいで、すごく辛い。

 

「う~ん、じゃあまた落ち着いたらお邪魔させてもらうわね、それとこれ、昨日たくさん作っちゃったんだけど、タケちゃん食べるかな?」と、おばちゃんはドアの隙間から、皿に盛り付けられた料理を差し出してくれた。

 

ラップの蒸気で分かりづらいけど、この香り……大好物の肉じゃがだ!

 

「わあ、ありがとうおばちゃん!」

 

「タケちゃんもお姉ちゃんも大好きでしょ肉じゃが。これ食べて元気つけてね」おばちゃんは俺たち姉弟のことをホント気に入ってくれてるんだ。なんでも自分のとこは子供を早くに亡くしちゃったみたいで、俺の姿がそっくりなんだって。おばちゃん大好きだ、俺があと何年かして働けるようになったら、おばちゃんに毎日すき焼きごちそうしてあげるから、だから今日だけはごめん!

 

そしてお礼言いながら肉じゃがを受け取ろうとした時だった……

 

おばちゃんの腕が、突然硬直した。

 

「タケ、ちゃ……」

 

「ん、どうしたのおばちゃん」

 

 

 

「その手、一体……」

 

 

 

しまったあああああああああぁ!!! 狼男状態の腕で受け取っちゃった!!!

 

どどどどうしようヤバい。いつもより倍くらい大きな、でもって長く鋭い爪の生えた手を見られちゃった。

 

なんて言い訳すればいいんだ、ヤバい、頭が真っ白に!!

 

「ごめんなさいおばちゃん、タケルが今度学校で劇やるらしくって、その着ぐるみ着たまんまで」

 

後ろから声が……姉貴だ!

 

「あぁ、だからこんな変な手だったのね、それじゃお姉ちゃんもタケちゃんも身体に気をつけてね」

 

そう言っておばちゃんは、下の階へと帰っていった。危なかった。

 

姉貴が起きてこなけりゃ、マジでどう言い訳したらいいのか分からなかった。

 

「サンキュ、姉貴……!?」

 

ゴン!

 

姉貴のゲンコツが、俺の脳天に炸裂した。

 

 

 

ーその後ー

 

 

 

「なんであたしの呼びかけに答えなかったのか、説明してくれる?」

 

テーブルに置かれた肉じゃがが美味しそうな湯気を立ててる、だけど向かいに座ってる姉貴は、すっげぇ不機嫌そうだ。

 

確かに姉貴の言うことも分かる。通話ブッチして行っちゃったこととか、夜が明けるギリギリまで帰らなかったこと、姉貴が俺の姿見てぶっ倒れたこと。

 

まぁほとんどは姉貴がいけないんだけど、でもなんか俺のほうがほとんど悪いみたいになっちゃってる。

 

「だって、いきなり大音量で姉貴の声が聞こえたんだぜ、そばに人もいたからさ」

 

「あんだけ使い方教えたじゃないの、音量調整のやり方だって。それ全然聞いてなかったんじゃないの」

 

俺はもうごめんと謝ることしかできなかった。

 

それに参ったことに、いまだに俺は元の姿に戻ることができずにいる。姉貴の説教も嫌だけど、戻れないのもちょっと嫌だった。

 

すると突然、姉貴は立ち上がって、無言で俺の身体をチェックし始めた。

 

耳とかヒゲをつんつん引っ張ったり、長い鼻面を持ち上げたり、まだ乾ききってない身体中の毛をもふもふとかき回したり、肉球つつかれたり。すっげーくすぐったいんだけど、姉貴。

 

これが狼の身体なんだ……って姉貴はボソッとつぶやいた。

 

姉貴はさっき俺を見て失神した後だから、狼の身体に関してはそれほど驚きもしなかった。なんて言えばいいのかな、いまはもう研究者っぽい目なんだよね。じっくりと調べあげられている感じで、正直居心地が悪くなってきた。

 

 

 

姉貴は色々と俺に質問をしてきた。狼になる前の身体の調子とか今の気分はいいとして、俺が道路走った時にどのくらい早く走れたかとか飛べたとか、身体能力のことまで聞いてきたんだ。もちろん俺は全部細かく答えた。あ、そんなこと言われても速度とか分かるわけなんてないからさ、あくまで気持ちだよ。

 

そして俺が答えたことは全部、姉貴の持ってるノートパソコンに記録していた。冗談半分に「病院に報告するの?」って聞いたんだ。姉貴はンなわけないでしょって笑いながら答えてて、俺は安心した。

 

 

 

この記録はあくまで俺と姉貴だけのもの。そして変身した日とかをパソコンに入れて計算していけば、狼男に変身する兆候とかサイクルがきっと分かるはずだって。そこから対策を立てていくんだって姉貴は話してくれた。

 

そして、最後の問題……って姉貴が言おうとした時、俺の全身が急に激しく痛み出してきたんだ。

 

頭のてっぺんから足の先まで、筋肉痛をもっとひどくしたみたいなような痛みが、一気に襲ってきて、俺は倒れこんだ。

 

姉貴の大丈夫かって声が遠くから聞こえてくる。だけど声を上げようにも、もう喉からなにも絞りだすことができない、身体の中も焼けるように熱いんだ。

 

だんだん意識が遠くなってくる中、俺はふと思った。

 

もしかして、元の俺の姿に戻ってきてるのかな……って。

 

 

 

暗闇の中、誰かが俺を呼んでる声が聞こえる。あー、間違いない、これは姉貴の声だ。

 

そしてゆっくりと目を開けて起き上がろうとしたけれど、やっぱり、思ったとおりだ。全身が痛くて身動きひとつ取れない。

 

首をゆっくり動かして辺りを見回す。

 

ここは俺の部屋だ。そして布団の中、俺は眠っている。

 

枕元の隣には姉貴が座ってる、ずっと看病しててくれたんだ、

 

姉貴が言うには、倒れた後、俺は丸一日眠り続けていたんだって。しかしそうは言われても全然そんな気はしない。だいいち夢の記憶すらないんだもん。

 

姉貴は続けた「この痛みは副作用なんだ」って。俺の狼男の姿を見た時、身体がいつもの俺よりか二回り近く大きくなっていたらしい。つまり、一瞬の間にこれだけ体格が変わるんだから、筋肉、そして骨にかなりの負担がかかっている状態にある、そしてそれがまた元に戻るということは、狼男であった時の反動が一気に自分の身体に襲い掛かってくる……

 

それが、今の俺のものすごい筋肉痛ってわけみたい。

 

でも、なんで狼男になったときに身体が痛くならないんだろう、って俺は逆に質問した。姉貴は少し考えた後「変身中は肉体がパワーアップしてるから、身体の痛みも抑えこんでいるのかもしれない」だって。要はよくわからないのかもね、姉貴も。

 

 

 

あと、俺が倒れる前に言おうとしてたこと。

 

前回の時もそうだったけど、今、俺の身体にはたくさんの湿布と包帯が巻かれている。

 

 

 

「出歩くんじゃないからね」と、姉貴が付け加えた。

 

そうだよな、もっと時間短縮してくれないと正直困るんだ、学校を休もうにも、理由が見つからないんだよな……そんなしょっちゅう風邪って理由で学校休んじゃったら先生だって疑うに決まってる。今まで皆勤賞だったのに。

 

それに俺の成績にも響くわけで……いや、まぁ自慢できるほど成績良くないけどさ、保健体育以外はね。

 

姉貴は、今日一日安静にしてれば明日は大丈夫だよって話してくれた。

 

明日は月曜日か。よし、学校休まずに行ける!

 

ってなこと考えてたら、俺の腹がググーと大きな音を立てた、そうだ、おばちゃんにもらった肉じゃが食べたいな……

 

そのことを姉貴に話したら「全部食べちゃったよ」ってオイ姉貴!!!

 

肉じゃがもらったの昨日の朝だし、それにお前は食事できる状態じゃないでしょ、って。

 

あとでおかゆ作ってあげる。って言ってはくれたが、ショック。

 

 

 

おばちゃんの肉じゃが食べたかったなぁ…ハァ。

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