ワーウルフになったら毎日が大変! 略して「ワー大変!」   作:べあうるふ

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空を見上げてみると、だいぶ明るくなってきている。腕時計持ってきてないから何時かはわからないけど、俺のいつもの経験からしてもう4時は過ぎたんじゃないかって思うんだ。

 

さっき持ち上げた時はそれほど重くなかったリュックが、今ではもう方に食い込んで痛くなるくらいに感じられる。

 

ヤバイな、もしかして人間の姿に戻り始めてきてるのかな、なんてヒヤヒヤしつつ、俺はガードレール脇にあるミラーをのぞき込んだり、顔とか触ってみたり、手足を確認してみた。

 

うん大丈夫、まだ戻ってない。

 

とはいうものの、あの時折れたような右足首がさっきより太くなってきているような気がするんだ、しかも痛みは全然引かない、むしろ増してきてる感じがする。

 

無理もないか、何十キロもあるリュック背負って、どうにか歩いてるんだもんな……

 

 

 

こんな時だっていうのに、走ることができないのは致命的に辛かった。コンビニまで一気に走って行って、レジカウンターにリュックを置いて帰る……それが一番スマートなやり方だってのに、これじゃスマートでも何でもない。

 

 

 

もう一時間くらい歩いてるだろうか、もうそろそろコンビニまで着けそうだ。

 

道路を通る車にも、人にも出くわさず戻れたのが唯一の幸いだった。ヒーローは正体がバレちゃいけないもんね。ちょっとかっこ悪い終わり方だったけど、これで一件落着って思ったんだ、ついさっきまで。俺はどうにかなるだろと信じてた。

 

 

 

遠くに小さく見えるコンビニの脇に、赤く点滅するライトが1つ、2つ……

 

これって、もしかしなくてもパトカーと救急車!?

 

そうだ、俺が警察呼んだんだ、俺が犯人追ってる間に来ちゃったんだ!

 

 

 

背中に冷たい汗がすうっと流れていくのが分かった。どうしよう、つーかどうすりゃいいんだ!

 

俺はまだ人間の姿に戻れてない、こんな格好でお金返したりでもしたら、俺が犯人扱いされちまう。

 

いや、その辺にお金放って帰っちゃおうか……その方がいいか、ギリギリ近い場所に置いとけば、すぐに見つかるだろうし、俺はとりあえずここから逃げる方法だけどうにかすればいいし。

 

うん、そうしよう。なんかヒーローっぽくないけど、コソコソやるのは俺の性分に合わないけど、今はしょうがない。

 

俺は痛みを我慢して、歩道の脇からコンビニの裏口までどうにか歩いて行った。もう十分かな、ここにリュックをこっそり置いとけば…

 

 

 

ジャラジャラっ!

 

 

 

裏口のドアの前に置こうとしたら、一気にリュックが軽くなったんだ、ものすごい音とともに。

 

持ってるリュックの底から、百円、十円の小銭がドバっと下にばら撒かれた。穴が、それも大きな破れた穴が開いて、そこからお金が全て落っこちていった。

 

ヤバいヤバいヤバい!

 

これじゃもうどうしようもない、逃げようかとしたその時、目が合っちゃったんだ。

 

 

 

警察の人が、お金の音を聞いて表から飛び出してきて……

 

俺の姿、見られた。

 

俺は固まった。でもお巡りさんはそれ以上に、すっげぇ驚いた顔で固まってた。

 

もうヤバいどころの話じゃない……よな。

 

 

 

コンビニの裏口に通じる路地で、まだそれほど年行ってない若いお巡りさんが、まるで石にでもされちゃったみたいに驚いた顔のまま固まっている。

 

俺の足元には大量の小銭。一体何でこれほどまでに大量にあるんだろう? って思っちゃうくらい破れたリュックの穴から一気にこぼれ落ちた。

 

 

 

どうすりゃいいんだ、姉貴以外の人に見られたなんて初めてだ。いや、コンビニのおじさんにも見られちゃったけど、直後に気絶したからあれはセーフなんじゃないかって信じてる。

 

いやそうじゃない、強盗にも見られてるじゃないか、でもあれだって何かのコスプレだと思ってたみたいだし、あれもセーフか。

 

俺はこの場から急いで逃げようとした……けど、足が動かない。なんて言えばいいんだこれ、ハンターに見つけられた動物っていうのかな。お巡りさんの目から顔を逸らすことが出来ない。

 

 

 

やがてお巡りさんは、ガタガタ震える手で俺を指さし、こう言った。

 

「ご、強盗かお前!?」

 

違う違う! 俺は強盗なんかじゃねぇ。俺はあいつから金を取り返しに来ただけなのに!

 

って言いたかったんだけど、俺も緊張してて言葉が出ない。どうにか顔の前で手をブンブン振るくらいしかできなかった。

 

お巡りさんは、今度は腰にある警棒を抜いて、また俺に警告した。

 

「その着ぐるみを脱ぐんだ!」

 

やっべぇ、これってもしかして俺が犯人そのものじゃないか。いや、もうどこから見ても犯人としか言いようがないし。

 

でも、相手は俺のことをコスプレか狼の着ぐるみ付けてるものだと思い込んでるみたいだ。でもまぁ当たり前だよな、本物の狼男だって思える方がどうかしてるし。

 

でもこの場合、一体どうすればいいんだ……お巡りさんに説明する? それとも逃げようか。

 

俺はその2つしかとっさに思い浮かばなかった。でもどっちにしたって無理な結論だ。この姿で偶然強盗と出くわして、そして乱闘の末に盗られたお金取り返してここに置こうとしたんです。なんて絶対に信じてもらえないだろう。

 

逃げようとしたって、この足じゃまともに走れないし。

 

でも…

 

我慢出来るか、俺。

 

 

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