ミリしら魔法少女アニメ系の男モブに転生したと思ったら、やばい魔導書と契約してTS魔法少女に変身できてしまった   作:春海とまと

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第12話 え!? ムラムラ!? なんで!?

「みんな、お疲れ様」

 

 薪原(まきはら)とアポカリプス・グリモワールを魔法管理局に引き渡した後、元々の予定であった魔災レベル4の現場に向かった。

 

 そちらは特にトラブルもなく、魔獣系オルケプスの討伐で完了した。

 

「お疲れ様。一時はどうなるかと思ったけど、どうにかなったね」

「終末厄災布教会の幹部の一人もKOしたし、オルケプス達も一掃したし。マリン達もお風呂に突撃しよー」

「ええ、あの熱気の中で随分汗をかいた上、連戦でしたもの。シャワーが浴びたいですわ」

 

 俺達がいるのはFMS司令部に併設されたリフレッシュルーム。

 

 魔法少女だけが利用でき、一時間ほど疲れを癒やすのが定番と三人が教えてくれた。

 

 クー太郎との契約で女性に変身したままの俺同様、三人も外的変化は残っている。

 その外的変化が解ける一時間をここで過ごすのだ。

 

 フラメル司令が以前話していたアポカリプス・グリモワールをパク――研究して、作り上げたフェアリーテイル・グリモワール。

 

 神話や伝説上の存在に、寓話(ぐうわ)やおとぎ話を混ぜた理由が理解できた。

 クー太郎と契約している俺が言うのもなんだけど、アポカリプス・グリモワールをそのまま使うのは危険すぎる。

 

 薪原が変身したスルト・バーンの火力は恐ろしく、一瞬で周囲を消し炭にできるレベルだった。

 

 たまたま薪原の癖とバーベキューパーティーで中和されているだけで、もしも放火魔みたいな奴が使っていたらゾッとする。

 

 もし魔災レベル4の現場に対応していた時に、御籠聖女学園(みかごせいじょがくえん)に放火されたらどうなっていたことか。

 

 ……ないとは思うけど、実際はフェアリーテイル・マジカルストライカーの世界がそういう流れだった可能性もあるよな。

 

 なんにせよ、今回は無事に被害もなく討伐できた。

 

「そうだな。三人ともお風呂に入ってきなよ」

 

 だから、シンク、マリン、カグヤにはしっかりお風呂に浸かって疲れを癒やしてほしい。

 

「お姉さんは入らないの?」

「俺は後でいいよ。ここって元々魔法少女――女性専用の部屋なんだろ? お風呂も一つだしね。俺のことは気にせずどうぞ。その間にリフレッシュルームを探検しておくからさ」

 

 シンクの誘いをやんわりと断る。

 しかし、なにかおかしなことを言ってしまったのか、三人は納得がいかない様子だ。

 

「一緒に入れば早くない?」

「え? いや、今は女性だけど、元は男性だし。まずいだろ? 倫理的にも世間的にも」

 

 俺は三人に信頼されて、行動を共にすることが許されているだけ。

 まだ厄ネタ疑惑は晴れたわけじゃない。

 

 ただでさえ危機管理力のない、ずぼらなダメお姉さんなのだから、これ以上の失態は許されない。

 

「でも、お姉さんは自分の身体を見るよね?」

「お風呂に入って身体を洗うなら、そうなるな?」

「なら、少なくとも女性の身体は直接、自分の目で見るよね? しかも……凄く、綺麗で、っちな……身体」

 

 シンクが狼耳を垂らし、顔を真っ赤にして呟いた。

 

 最後の方は聞き取りづらかったけど、意図は理解できた。

 これまた自分でも言うのもなんだけど、今の俺の身体は凄く……エッチだ。

 

 男性の時の身長と同じ170くらいで胸もデカい、ウエストは引き締まって、お尻に太ももはほどよい肉付き。

 

 顔立ちも男性の時の俺なんて霞(かす)んで消し飛ぶレベルの美人っぷりだ。

 

 ……もちろん、自分に欲情したわけではなく、客観的な視点から。

 

 そう男性のボディビルダーの筋肉が美しいと思えるように、今の俺の姿も完成された究極の美なのだ。

 

「どちらにせよ、見るのは俺だけだし。そこは許してくれると助かるかな」

 

「その、責めたいわけじゃなくて……あたしは嫌じゃないから。今日一番頑張ってくれた人を一人にしておけないだけで」

 

「そーだよ。師匠がいなかったらスルト・バーンにもっと苦戦していただろうし」

 

「そうですわ。嫁様がお膳立てをしてくれたから、スムーズに倒せたのですわ」

 

 三人がそう言ってくれるのはとても嬉しい。

 同じように俺を気遣い、労(ねぎら)ってくれている。

 

「ありがとう。でも、俺は平気だから。ほら、早く入っておいで」

 

 ここで押し問答をしている時間がもったいない。

 しかし、三人も譲る気はないようで動かない。

 

「じゃあ、逆に聞くけど。あたし達がお姉さんの身体を見たり、触れたりするのは平気?」

 

 シンク!? とマリンとカグヤまで驚いてしまった。

 

「え!? いやまあ……いいのかな?」

 

 俺も思わずあいまいな返答をしてしまった。

 

 男性の時だって海やプールに入る時は上半身裸になるし。

 

 女子が友達と洗いっこするのは別におかしいことじゃない……のか?

 少なくとも身体は女性なのだ。

 

 彼女達が見たり触れたりするのは俺が許せば合法、なのか?

 

 女性のお風呂事情なんて俺が知るわけもなく。

 そもそも女性に変身した事例なんてあるわけもなく。

 

 つまり、俺達だけで納得するラインを作るしかない。

 三人は今、そのラインを探っているのだろう。

 

 ……俺のために。

 

「別にバスタオルすればいいし。お姉さんがあたし達を……うん、今は。大事にしてくれるのは分かったから。ただ今日のお礼をしたいだけ。それにお姉さん、腰まで届く長い髪を一人で洗える?」

「う。それは……」

 

 確信の一打だった。

 

 たまらず天井を見上げれば、髪の重さで後ろに引っ張られる感覚になる。

 ここまで伸ばしたロングヘアーなんて俺の人生であるわけがない。

 

「だから、手伝ってあげる。洗う時に何もしないで座ったら、床についちゃいそうだし」

 

 シンクが尻尾に指を絡ませ、ポツリ呟き続ける。

 

「もちろん、あたし達の……外的変化の部分、触っていいから」

「え?」

 

 なんか今、とんでもないことを言ったような。

 

「だって、お姉さんが変身した姿に触れるんだから。あたし達も同等の対価を支払わないとダメだよね? お姉さんならあたしの狼耳と尻尾……好きなだけ触っていいよ」

 

 シンクは間違いなくとんでもないことを言っている。

 顔が真っ赤なのがその証拠だ。

 

「さすがにギザ歯はレベルが高すぎるしなあ。でも、師匠ならマリンの鮫尻尾ならいくらでも触って……いーよ?」

「え、ええ……そう、ですわね。嫁様なら私の細長い耳に、堕天使の翼を存分に堪能していいですわ」

 

 マリンとカグヤまで顔を真っ赤にし、賛成した。

 年下オーラ全開の三人が俺を取り囲み、圧倒される。

 外的変化の部分に興味がない、と言えば嘘になる。

 

「俺の負けだよ。一緒に入ろうか」

 

 途端に、三人の顔が明るくなり、嬉しそうに頷き合う。

 今は女同士と思い、俺が理性を保てばすむ話だ。

 

 鋼の意思で臨もう。

 

 四人で脱衣所に入る。

 

 着替えの置き場所や備品の説明を受けてから着替えを始める。

 

 作業着を脱ぐ。

 ずっと着ていたから窮屈(きゅうくつ)だったな。

 

 今後を考えると、男性の時でも余裕のある服装を選ぶべきかな――っと。

 シャツを脱ぎ捨てると、とてつもない解放感に襲われた。

 

 上半身裸になり……初めて女性になった自分の姿を見る。

 これは、想像以上に凄い。

 本当に凄い。

 

「……お姉さん。もしかしてずっとノーブラだった?」

 

 少し離れた場所で着替えていたシンクに声をかけられる。

 

「まあ、そうだな?」

 

 隠すべきか悩んだけど、ここまで凄いと誇らしげになって堂々と振るまえる。

 監禁部屋の時のように確かめるような愚はおかさないけど。

 

 テンションがあがっても、まだ理性は保たれている。

 それでもごねていた自分はなんだったのかと思える清々しさだ。

 

「当然だけど、あたしより……」

「マジでマリンより……」

「おほほほ……私よりは小さいですわ!」

 

 まあ、そういうわけで下だけバスタオルを巻いて、風呂場に突入する。

 おとぎ荘と同じくらいの浴室で、四人で入っても余裕がある広さだ。

 

「じゃあ、最初にお姉さんの髪、洗うね」

「そうだな。お願いするよ」

 

 素直に従い、椅子に座って目を閉じる。

 シャワーで髪を洗ってから、ヒンヤリとしたシャンプーが付いた手に触れられる。

 

「うわ、サラサラ」

「すご。シャンプーなくても手ぐしで一方通行じゃん」

「ええ、まさに絹のような髪、ですわ」

 

 髪を切りにいく時は、理容師さんに髪を洗ってもらっているけど。

 なんか、それとは次元が違う気持ちよさだ。

 目を閉じている分、感覚が研ぎ荒まれ、力が抜けるほどの心地よさ。

 

「じゃあ、マリン。リンス取ってくれる?」

「りょー。はい、みんなにリンス散布ー」

「任されたからにはキッチリと綺麗に仕上げて見せますわ」

 

 至れり尽くせりに満足していまっているのだから、俺って奴は現金な人間だ。

 

「……お姉さん。次、身体洗って……あげるね?」

「うん……頼むよ」

 

 シンクの言葉に快(こころよ)く返事をし、身を預ける。

 

「うわ……お姉さんの……柔らかい」

「はあ……師匠のがこんな凶悪兵器だなんて……絶対殺すやつじゃん……」

「嫁様のは私より大きさは劣りますが、ハリや弾力は上ですわ……」

 

 スポンジで全身が洗われ……すっかりボディソープまみれで……双丘から隙間まで……隅々までモニュモニュと……ん? あれ、身体洗われてる!?

 

「ごめん!? 身体は洗う約束だっけ!?」

 

 我に返り、目を開いて三人に問いかける。

 背後からなにやら不穏な気配、魔力の動きを感じる。

 

 鏡越しでも分かるほどに。

 恐る恐る、後ろを振り向く。

 

「ごめん。お姉さんの髪とか身体……洗ってたらなんか、ムラムラするんだ……」

「マリンも……なんか師匠の凶悪兵器を見ていると……ムラムラしちゃった……」

「お二人もですの……? 実は私も嫁様を見ているとムラムラが止まりませんわ……」

「え!? ムラムラ!? なんで!?」

 

 どうして三人の方が理性が保てなくなって、ムラムラしてるんですか!?

 

「うーん……お兄さんがお姉さんだから?」

「えっと……師匠は師匠だし」

「ええ……婿様で嫁様ですもの」

 

 答えになっていない。

 

 三人は肉食獣のような雰囲気で、俺を見下ろしている。

 

 いやしかし、フェンリルは狼だし、リヴァイアサンは鮫だし、アザゼルはなんか堕落系……?

 

 とにかく捕食者側がよく似合うな――じゃなくて。

 

「三人とも落ち着いて。理性を保って……別に、俺の身体を洗うのはいいよ? でも、ムラムラはやめよう」

 

 これもフェアリーテイル・グリモワールの影響なのか?

 しかし、外的変化以外に影響はないと言っていたし。

 

 少なくとも彼女達ではなく、俺側に問題があると言うことか。

 

 とにかく今はこのピンチを――。

 

「そうだね。でも、今は女同士だし、別に平気じゃない?」

 

 切り抜けられるんだろうか、お姉さんの俺は。

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