【チラ裏】ダンジョンに十字軍が攻めるのは間違っているだろうか   作:d_chan

33 / 35
第32話 迷宮の声

 ゼノスを巡る議論が始まってから半年ほど経った頃、迷宮に異変が起きた。

 

 最初に気づいたのは冒険者ではない。ウラノスだった。

 

 いつものように地下祭壇で祈っていた彼は、突然目を開いた。何千日、何万日と繰り返してきた祈りの中で、迷宮から返ってくる感触は常に曖昧だった。怒りとも、苦しみとも、生物的な脈動とも言える何か。それを鎮めるように神威を送り続ける。それが彼の役割になっていた。

 

 その日だけは違った。

 

 返ってきた。

 

 言葉ではない。

 

 声でもない。

 

 それでも、明確に。

 

 何かがこちらを向いた。

 

「……私を見ているのか」

 

 返事はない。

 

 しかし地下深くで、巨大なものが身じろぎしたような感覚があった。

 

 直後。

 

 オラリオ全域が揺れた。

 

     *

 

 揺れは短かった。建物が倒れるほどではなく、棚から瓶が落ち、吊り下げられた看板が音を立てる程度だった。しかし問題は、その直後から始まった。

 

 迷宮上層で魔物の出現数が急減したのである。

 

 冒険者たちは最初、幸運だと思った。

 

「今日は楽だな」

 

「こんな日もあるんだな」

 

 だが二日目。

 

 三日目。

 

 五日目。

 

 異常は続いた。

 

 討伐数が減れば、当然魔石の供給も減る。冒険者の収入が落ち、魔石を利用する工房や商会が不安を示し始めた。

 

 その一方で。

 

 中層。

 

 深層。

 

 より深い場所では、逆の現象が起きていた。

 

 魔物が増えている。

 

 しかも。

 

 上ではなく。

 

 下へ向かっていた。

 

「避難?」

 

 ギルドの調査官が、報告を前に呟いた。

 

「何から?」

 

 誰にも分からなかった。

 

     *

 

 パチカンへ緊急書簡が届いたのは七日目だった。

 

『下へ逃げてる?』

 

「そのように推測されております」

 

 ソフィアが地図を広げる。

 

「上層・中層の複数地点で、魔物が冒険者との交戦を避け、より深い階層へ移動する行動が確認されております。通常は縄張りを離れない種まで含まれます」

 

『ゼノスは?』

 

「同様に移動を始めているとのことです」

 

『理由は聞いた?』

 

「彼らにも分からない。ただし、『下から呼ばれているように感じる』と」

 

 神聖四文字は黙った。

 

『……呼ばれてる』

 

「はい」

 

『誰に?』

 

「分かりません」

 

『嫌な答えばっかり増えるね』

 

 その日のうちに。

 

 ウラノスから通信が入った。

 

「来られるか」

 

『オラリオに?』

 

「いや」

 

 少し間があった。

 

「ダンジョンへ」

 

 神聖四文字は止まった。

 

『……俺が?』

 

「そうだ」

 

『入っていいの?』

 

「今さらそこか」

 

『二千年近く止められてたんだけど』

 

「今回は私が許可する」

 

『ウラノスに決定権あるの?』

 

「少なくともギルドにはある」

 

『俺の騎士団が納得するかな』

 

「それは君が何とかしろ」

 

『急に雑だな』

 

 それでも。

 

 神聖四文字は断らなかった。

 

 二千年間。

 

 ずっと見たかった場所だった。

 

     *

 

「なりません」

 

 予想通り。

 

 教皇は反対した。

 

『だよね』

 

「当然でございます。主御自身が迷宮へ入られるなど、危険以前の問題です」

 

『どういう問題?』

 

「主が迷宮で死亡された場合、十字教そのものがどうなるかという問題です」

 

『死ぬかどうかも分からないけど』

 

「だからこそ試してはなりません」

 

『でもウラノスが来てほしいって』

 

「ウラノス殿には丁重にお断りを」

 

『俺も行きたい』

 

「なりません」

 

『二千年待ったよ』

 

「二千一年お待ちください」

 

『来年ならいいの?』

 

「言葉の綾でございます」

 

 交渉は二時間続いた。

 

 最終的に。

 

 折れたのは教皇だった。

 

 ただし条件は多かった。

 

 護衛。

 

 退路。

 

 地上との通信。

 

 探索階層の制限。

 

 危険を感知した場合の即時撤退。

 

 さらに。

 

 第十三騎士団。

 

「我々まで同行する必要がありますかね」

 

 ハインケルが言った。

 

『あるらしい』

 

「銃使いにくいんだけどな、ダンジョン。音響くし」

 

「ならば刀でよい」

 

 由美江が答える。

 

「お前みたいに何でも刀で解決できねえんだよ」

 

「鍛錬不足だ」

 

「そういう問題じゃねえ」

 

 アンデルセンだけは機嫌がよかった。

 

「主をお守りしながら魔物を討つ。実に分かりやすい任務です」

 

『今回はゼノスいるかもしれないから、見境なく斬らないでね』

 

「……急に複雑になりましたな」

 

     *

 

 ベル・クラネルも同行することになった。

 

 理由は単純だった。

 

 ゼノスと意思疎通できる。

 

 迷宮にも詳しい。

 

 そして何より。

 

 ウラノスが推薦した。

 

「僕が、唯一神様の護衛ですか?」

 

 ベルは聞き返した。

 

『護衛というより案内役かな』

 

「でも、僕より強い人なんていくらでもいますよ!」

 

『強い人なら他にもいるよ』

 

 ベルは周囲を見た。

 

 アンデルセン。

 

 由美江。

 

 ハインケル。

 

 さらに十二騎士団から選抜された数名の古参騎士。

 

 一人一人から感じる圧が普通ではない。

 

「……ですよね」

 

『だからベル君は、強さ以外の担当』

 

「何をすれば」

 

『何か変なの見つけたら、先に話して』

 

「それだけですか?」

 

『それが一番大事』

 

 ベルは少し考えた後。

 

 頷いた。

 

「分かりました」

 

 ヘスティアは最後まで反対した。

 

     *

 

「嫌だ!」

 

 出発前夜。

 

 ベルの部屋で。

 

 ヘスティアは全力で反対していた。

 

「ベル君が危険なところへ行くのはいつものことだけど、今回は規模がおかしい! ウラノスと唯一神が揃って調査するような異変だよ!? そういうのは絶対、普通じゃない!」

 

「でも、僕が必要だって」

 

「神様に頼まれたら何でもやるの!?」

 

 ベルは言葉に詰まった。

 

「……ヘスティア様に頼まれたら」

 

「僕なら危ないこと頼まない!」

 

「前に戦争遊戯やらせましたよね」

 

「それとこれは別!」

 

 しばらく言い合った末。

 

 ヘスティアは諦めた。

 

 ベルの胸元を掴み。

 

 額を胸へ押しつける。

 

「帰ってきて」

 

「はい」

 

「英雄にならなくていいから」

 

「はい」

 

「誰かを助けられなくても、自分だけ逃げていいから」

 

 ベルはすぐには返事をしなかった。

 

「……努力します」

 

 ヘスティアが顔を上げる。

 

「その答え、唯一神にも怒られたんでしょう?」

 

「何で知ってるんですか」

 

「君ならそう答えると思ったからだよ!」

 

     *

 

 一行が迷宮へ入ったのは翌朝だった。

 

 神聖四文字にとって。

 

 初めてのダンジョン。

 

 入口を越え。

 

 地下へ続く石段を見る。

 

『おお……』

 

 ベルが振り返る。

 

「どうしました?」

 

『いや。二千年間ずっと入りたかったから』

 

「二千年?」

 

『最初から騎士団に止められてた』

 

「……それは、長かったですね』

 

『分かってくれる?』

 

「少しだけ」

 

 ベルも。

 

 初めて迷宮へ入った日のことを覚えていた。

 

 恐怖。

 

 期待。

 

 胸が高鳴る感覚。

 

 唯一神が同じものを感じていると思うと。

 

 妙に親近感が湧いた。

 

     *

 

 第一階層。

 

 異常はすぐに分かった。

 

『魔物いないね』

 

「普段なら、もう何体か出てます」

 

 ベルが周囲を見る。

 

 洞窟は静かだった。

 

 足音だけが響く。

 

 時折。

 

 壁が小さく動く。

 

 通常ならそこから魔物が生まれる。

 

 だが。

 

 何も出ない。

 

 神聖四文字は壁へ近づいた。

 

「主」

 

 アンデルセンが止める。

 

『触らないよ』

 

 黒い球体が。

 

 白い壁の前で静止する。

 

『……何か感じる』

 

 全員が止まった。

 

「何を」

 

『分からない』

 

 ハインケルが小さく笑う。

 

「最近それ多いな」

 

『本当にね』

 

 しかし。

 

 冗談を言った直後。

 

 壁が震えた。

 

 神聖四文字の前だけ。

 

 ゆっくりと。

 

 脈打つように。

 

 一度。

 

 二度。

 

 三度。

 

 ベルが息を呑んだ。

 

「これ……」

 

 ソフィアの翼が開く。

 

 騎士たちが武器へ手をかける。

 

 由美江の刀がわずかに抜かれる。

 

『待って』

 

 壁は攻撃してこない。

 

 ただ。

 

 震えている。

 

 神聖四文字は。

 

 なぜか。

 

 その動きを見て。

 

 一つの言葉を連想した。

 

『……心臓?』

 

 誰も答えなかった。

 

     *

 

 さらに下へ。

 

 五階層。

 

 七階層。

 

 十階層。

 

 異常は強くなった。

 

 魔物は少ない。

 

 いる個体も。

 

 一行を見ると。

 

 襲うのではなく。

 

 逃げる。

 

「こんなの、見たことありません」

 

 ベルが呟いた。

 

 一体のゴブリンが通路の奥へ消える。

 

 由美江が追おうとした。

 

 ベルが止めた。

 

「待ってください」

 

「通常の魔物だぞ」

 

「でも、今こっちを襲いませんでした」

 

「それだけで?」

 

「今は」

 

 由美江は不満そうだったが。

 

 刀を収めた。

 

「主の悪影響だな」

 

『悪影響って言った?』

 

「良い意味です」

 

『便利だね、その言葉』

 

     *

 

 第十二階層で。

 

 ゼノスと合流した。

 

 リド。

 

 レイ。

 

 グロス。

 

 その他数体。

 

 神聖四文字が彼らと直接会うのは初めてだった。

 

 互いに。

 

 しばらく見つめ合う。

 

「……これが」

 

 リドが言った。

 

「人間たちの神?」

 

『十字教徒の神。人間全体じゃないよ』

 

「黒いな」

 

『よく言われる』

 

 レイが周囲を飛ぶ。

 

「本当に顔がないのね」

 

『ないね』

 

「不便ではない?」

 

『二千年慣れた』

 

 ベルが少し笑った。

 

 ゼノスたちの緊張も。

 

 わずかに解けた。

 

「呼ばれる感じって、まだする?」

 

 ベルが尋ねる。

 

 リドが頷いた。

 

「ああ。下だ。ずっと深いところからな。声じゃねえ。でも、行かなきゃならねえ気がする」

 

『怖い?』

 

「怖いさ」

 

『でも行く?』

 

「仲間も同じものを感じてる。放っとけねえ」

 

 神聖四文字は少し黙った。

 

『ベル君と似てるね』

 

「え?」

 

「誰が?」

 

『両方』

 

     *

 

 問題が起きたのは十五階層へ向かう途中だった。

 

 通路が。

 

 閉じた。

 

 後方の壁が。

 

 突然隆起したのである。

 

「退路が!」

 

 騎士が叫ぶ。

 

 前方も。

 

 変形する。

 

 迷宮が。

 

 道を作り変えている。

 

「主を囲め!」

 

 アンデルセンの声。

 

 騎士が神聖四文字の周囲へ集まる。

 

 由美江が刀を抜く。

 

 ハインケルも隠していた銃器へ手を伸ばした。

 

 だが。

 

 ベルだけが。

 

 違うものを見ていた。

 

「待ってください」

 

「何です!」

 

「閉じ込めようとしてるんじゃない」

 

 新しい通路が。

 

 開いていた。

 

 本来の地図には存在しない。

 

 下へ。

 

 一直線に伸びる道。

 

 リドの顔が強張る。

 

「……呼んでる」

 

 全員が。

 

 新しい道を見る。

 

『俺たちを?』

 

「たぶん」

 

『誰が』

 

 リドは。

 

 壁へ手を触れた。

 

「ダンジョンが」

 

     *

 

 普通なら。

 

 撤退すべきだった。

 

 未知の通路。

 

 地図にない。

 

 迷宮自身が作った可能性。

 

 危険要素しかない。

 

「戻るべきです」

 

 古参騎士が言った。

 

「後方の壁を破壊し、既知の経路へ復帰します」

 

「賛成だ」

 

 ハインケルも頷く。

 

「何があるか分からねえ」

 

 由美江は反対だった。

 

「進めばよい。敵なら斬る」

 

「お前は毎回それだな」

 

 ベルは新しい通路を見ていた。

 

「僕は……行った方がいいと思います」

 

 全員の視線が集まる。

 

「理由は?」

 

 アンデルセンが尋ねる。

 

「ダンジョンが本当に僕たちを殺そうとしてるなら、こんな道を作らなくてもいいと思うんです。もっと魔物を出せばいい。壁を閉じて潰すことだってできるかもしれない」

 

「だから安全だと?」

 

「安全とは思いません。でも、何か伝えたいんじゃないでしょうか」

 

 アンデルセンが神聖四文字を見る。

 

『俺も行きたい』

 

「主」

 

『分かってる。でも』

 

 神聖四文字は通路を見る。

 

『二千年ずっと、ここのこと知りたかった』

 

 沈黙。

 

『それに』

 

 少し間を置く。

 

『向こうから話したいって言ってるなら、無視したくない』

 

 アンデルセンは長く神聖四文字を見た。

 

 やがて。

 

「では」

 

 銃剣へ手を置く。

 

「我々が先頭を」

 

     *

 

 道は。

 

 深く。

 

 深く。

 

 続いていた。

 

 本来の階層構造を無視している。

 

 階段でもない。

 

 坂でもない。

 

 どこか。

 

 空間そのものを折り畳んでいるようだった。

 

 ベルの感覚でも。

 

 どれほど下ったのか分からない。

 

 やがて。

 

 通路の先に。

 

 光が見えた。

 

 白い。

 

 迷宮の壁と同じ色。

 

 しかし。

 

 柔らかい。

 

 広い空間へ出る。

 

 そこには。

 

 魔物はいなかった。

 

 宝もない。

 

 建物もない。

 

 ただ。

 

 中央に。

 

 巨大な白い壁があった。

 

 いや。

 

 壁ではない。

 

 ゆっくり。

 

 上下している。

 

 呼吸するように。

 

「何だ……これ」

 

 ベルが呟いた。

 

 ゼノスたちが。

 

 一斉に膝をついた。

 

「母……」

 

 レイが。

 

 小さく言った。

 

『母?』

 

 その瞬間。

 

 空間全体が。

 

 震えた。

 

     *

 

 声は。

 

 聞こえなかった。

 

 それでも。

 

 神聖四文字には。

 

 分かった。

 

 何かが。

 

 目の前にいる。

 

 大きすぎて。

 

 形を認識できない。

 

 迷宮という建造物そのものなのか。

 

 その奥にいる何かなのか。

 

 分からない。

 

 ただ。

 

 意識がある。

 

 そして。

 

 こちらを見ている。

 

『こんにちは』

 

 ハインケルが。

 

 思わず神聖四文字を見た。

 

「最初それなのかよ」

 

『他に何て言えばいいの』

 

 返事はない。

 

『俺は……神聖四文字』

 

 空間が。

 

 震えた。

 

『名前。俺の』

 

 また。

 

 震える。

 

 ソフィアが息を呑む。

 

 この場で。

 

 その名を聞いている者は。

 

 全員。

 

 最高機密を知る者か。

 

 今ここで初めて知った者だった。

 

 ベルの目が大きく開いている。

 

「それが……お名前?」

 

『あとで秘密ね』

 

「今言うんですか!?」

 

『必要な気がした』

 

 巨大な何かは。

 

 再び。

 

 動いた。

 

 そして。

 

 神聖四文字の中へ。

 

 感覚が流れ込んだ。

 

 痛み。

 

 恐怖。

 

 怒り。

 

 孤独。

 

 長い。

 

 長い。

 

 時間。

 

 生まれて。

 

 殺されて。

 

 また生まれる。

 

 無数の命。

 

 地上へ出れば殺される。

 

 迷宮内でも殺される。

 

 それでも産む。

 

 止められない。

 

 止まらない。

 

 そして。

 

 時折。

 

 生まれたものの中に。

 

 違うものが現れる。

 

 考えるもの。

 

 夢を見るもの。

 

 地上を望むもの。

 

 ゼノス。

 

『……君が作ったの?』

 

 震え。

 

『ゼノスを』

 

 震え。

 

 意味は。

 

 肯定。

 

 そう感じた。

 

 神聖四文字は。

 

 しばらく何も言えなかった。

 

     *

 

 次に流れ込んできたものは。

 

 映像に近かった。

 

 地上。

 

 空。

 

 太陽。

 

 人々。

 

 神々。

 

 オラリオ。

 

 そして。

 

 ベル。

 

「僕?」

 

 ベルにも。

 

 見えていた。

 

 幼いゼノスが。

 

 地上を夢見る。

 

 しかし。

 

 出られない。

 

 出れば殺される。

 

 何度も。

 

 何度も。

 

 それでも。

 

 願う。

 

 地上へ。

 

 青い空へ。

 

 その願いが。

 

 積み重なっている。

 

「この子たちは……」

 

 ベルの声が震える。

 

「ずっと、外に出たかったんだ」

 

 リドが拳を握る。

 

 レイが泣いていた。

 

 由美江は。

 

 刀を握ったまま。

 

 動かなかった。

 

 アンデルセンも。

 

 何も言わない。

 

 神聖四文字は。

 

 ようやく。

 

 理解した。

 

 迷宮が彼らを呼んだ理由を。

 

『……助けてほしいの?』

 

 長い。

 

 長い沈黙。

 

 そして。

 

 空間全体が。

 

 一度だけ。

 

 大きく。

 

 震えた。

 

 神聖四文字は。

 

 それを。

 

 肯定だと受け取った。

 

     *

 

『困ったな』

 

 その場で。

 

 唯一神が最初に言った言葉は。

 

 それだった。

 

「何がでしょう」

 

 アンデルセンが尋ねる。

 

『また、知らなかった相手から助けてって言われた』

 

 ベルは。

 

 神聖四文字を見る。

 

『俺、こういうの断るの苦手なんだよね』

 

 ベルが。

 

 少し笑った。

 

「僕もです」

 

『知ってる』

 

 そのとき。

 

 二千年の時を生きる神と。

 

 まだ少年の冒険者が。

 

 初めて。

 

 同じものを見ていた。

 

 地上へ出たいと願う。

 

 怪物たち。

 

 そして。

 

 その願いを。

 

 抱き続けてきた。

 

 巨大な迷宮。

 

 問題は。

 

 彼らを救えるかどうかではない。

 

 救った後。

 

 地上が。

 

 彼らを受け入れられるのか。

 

 その方が。

 

 はるかに難しかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。