Jemitent   作:2.71

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焦燥

今日の日差しは一段と眩しい。

 

鳥のさえずりが街を覆うかのようだ。

 

子供たちの元気な声が外で響く。

 

 

窓を見れば、雲一つない爽やかな朝。

 

小学生の登校する景色を見て、ほのぼのしていた。

 

「あぁ、眩しいなぁ………登校、あれ?、登校時間って…」

 

 

 

時計を見て、焦る。

 

 

時計は8時15分を示している。

 

 

「やっべ!」

 

 

仕事は、9時からだ。

 

 

急いで支度する。朝食を食べる暇などない。ただ、持っていくべき物だけをバッグに詰め込む。

なぜ、昨日用意してなかった?なぜ、目覚ましをかけたのにこの時間なのか?

 

 

 

ただでさえ、通勤には40分かかる。

ギリギリだ。

 

スマホを確認する。充電は48%。

メールは38件溜まっているが、特に急ぎのものはない。

公式アカウントのものだけだ。

そう、安心する。

無意識の内に、SNSを開こうとしたが、我に返り、スマホを閉じる。

 

 

 

スーツのボタンがまるで抵抗してくるかのようにずっぽ抜ける。

震える手が余計に焦りを生み出す。

なんで、こんなにボタンは通しづらいのか?と、イライラする。

ようやくスーツが着終わった。

バッグを持って、家から飛び出す。

間に合え、間に合え。そう考えながら、走り続ける。

 

 

 

ただ、それが命取りだった。

 

 

 

必死に走る中、沢山の小学生の声が聞こえる。

「今日の授業、だり〜」

「見てみて!昨日、このストラップ買ったんだ!」

元気な声。昔の自分は、そうだったのだろうか?

ふと小学生から、走っている自分が変な目で見られているような気がして、そそくさと走り去った。

 

 

 

 

大きな道に出る。

信号だ。

 

ピヨピヨ、声がするような信号。

赤信号がいつもよりとても長く感じられる。

時計を何度も見る。43秒、44秒、45秒。

1秒1秒が焦りへとつながっていく。

 

爆速で走る車が通り過ぎ、その直後に風を感じる。

その風が、内なる焦りを飛ばしてくれればどれほど楽だろうか。

 

信号が青になり、左右を確認せずに、そのまま走り出した。

人と人を縫うようにして、できる限り走る。

 

すれ違う人が見てくるような気がする。でも、走るしかない。

自分の、名誉のためなのだから。

 

 

 

汗が自分の後方へ落ちるように感じる。

4月なのに、暑いものだ。

 

 

 

駅につく。時計の針は8時何分だろうか?

見る暇もない。

 

階段を下る。だが、そこは濡れていた。

「清掃中」の看板が映る。

 

手すりさえ掴めば助かったのだろうか?

 

重力を感じる。

ただ、浮遊感がある。

地面との距離が、次第に近づく。

ゆっくりと、迫ってくる。

 

 

その光景に、最期まで目を閉じられなかった。

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