今日の日差しは一段と眩しい。
鳥のさえずりが街を覆うかのようだ。
子供たちの元気な声が外で響く。
窓を見れば、雲一つない爽やかな朝。
小学生の登校する景色を見て、ほのぼのしていた。
「あぁ、眩しいなぁ………登校、あれ?、登校時間って…」
時計を見て、焦る。
時計は8時15分を示している。
「やっべ!」
仕事は、9時からだ。
急いで支度する。朝食を食べる暇などない。ただ、持っていくべき物だけをバッグに詰め込む。
なぜ、昨日用意してなかった?なぜ、目覚ましをかけたのにこの時間なのか?
ただでさえ、通勤には40分かかる。
ギリギリだ。
スマホを確認する。充電は48%。
メールは38件溜まっているが、特に急ぎのものはない。
公式アカウントのものだけだ。
そう、安心する。
無意識の内に、SNSを開こうとしたが、我に返り、スマホを閉じる。
スーツのボタンがまるで抵抗してくるかのようにずっぽ抜ける。
震える手が余計に焦りを生み出す。
なんで、こんなにボタンは通しづらいのか?と、イライラする。
ようやくスーツが着終わった。
バッグを持って、家から飛び出す。
間に合え、間に合え。そう考えながら、走り続ける。
ただ、それが命取りだった。
必死に走る中、沢山の小学生の声が聞こえる。
「今日の授業、だり〜」
「見てみて!昨日、このストラップ買ったんだ!」
元気な声。昔の自分は、そうだったのだろうか?
ふと小学生から、走っている自分が変な目で見られているような気がして、そそくさと走り去った。
大きな道に出る。
信号だ。
ピヨピヨ、声がするような信号。
赤信号がいつもよりとても長く感じられる。
時計を何度も見る。43秒、44秒、45秒。
1秒1秒が焦りへとつながっていく。
爆速で走る車が通り過ぎ、その直後に風を感じる。
その風が、内なる焦りを飛ばしてくれればどれほど楽だろうか。
信号が青になり、左右を確認せずに、そのまま走り出した。
人と人を縫うようにして、できる限り走る。
すれ違う人が見てくるような気がする。でも、走るしかない。
自分の、名誉のためなのだから。
汗が自分の後方へ落ちるように感じる。
4月なのに、暑いものだ。
駅につく。時計の針は8時何分だろうか?
見る暇もない。
階段を下る。だが、そこは濡れていた。
「清掃中」の看板が映る。
手すりさえ掴めば助かったのだろうか?
重力を感じる。
ただ、浮遊感がある。
地面との距離が、次第に近づく。
ゆっくりと、迫ってくる。
その光景に、最期まで目を閉じられなかった。