Jemitent   作:2.71

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出発

杭を抜こうとする。

少しだけしか抜けない。

何度も繰り返す。そうやっていく内に抜ける。

1本抜く内に、男は3本抜いていた。

だが、杭がなくなり、テントはコンパクトになった。

彼は支えを1つにまとめ、布で包む。

それは随分手慣れていて、早かった。

 

焚き火の火はもう消えている。

少し、名残惜しいような…

焚き火の跡の炭を見てそう思った。

そして、2人は川に沿って歩き始めた。

 

 

 

ずっと同じ景色。

ずっと川の音が聞こえる。

鳥の声は静まり、虫は鳴く。

太陽は朝よりも少し高くなっていた。

 

ここまで歩くと地面が丸い石なのもあって足が少し痛い。

その様子を見て、察してくれたようで、

「Japas bental esi keterorm ghulotie.」

と言って、果実を採り始めた。

 

その果実は大体握り拳ほどの大きさで、黄色だったり赤色だったり、色とりどりな物が多かった。

そして、彼はナイフでその果実を切った。

ナイフの切れ跡から果汁が飛び出す。

彼の手から滴り落ちる果汁が新鮮さを主張してくる。

「Zant keterorm.」

食べよう。と、言っているのだろうか?

切られた果実を手に取り、食べる。

 

甘さが口いっぱいに広がり、まるで疲労が取れるかのようだった。

酸味は不思議と少ない。こんな季節なのになぜこんなにも酸味がないのだろうか?

「Jet un romis.」

多分、美味しいと言っているのだろうか?

全く分からないが、それでもその幸せそうな顔を見て、雰囲気はかなり和んだ。

 

 

食べた後、少し会話する機会ができたように感じた。

「あの……」

「Qunt?」

話しかけたのは良いものの、話す内容を思いついてなかった。

「え〜……これは何?」

と、石を持ち上げて指をさしてみた。

「...Ou,Jot un orast.」

少し間があったが、意図は伝わったようだった。

言った内容を考えてみると、毎回unがある。

unは英語のbe動詞みたいなのかな?

それにorast。十中八九、石だろう。

こうやって聞けば良いのだろうか。

少し、この言葉について知るきっかけが増えたような気がする。

こうやって、質問していけば良いのかも。

 

一つ気づきを得た午前だった。

 

 

また歩き始める。

午前は影があったから、まだ涼しかったのに、昼になると少し暑くなってきた。

まだスーツのままだし…もう軽めの服に変えたい…

そう思いながら、川をふと見る。

川の生態系はかなり豊かなのだろう。

小さい魚の群れが泳ぎ、そこに1匹の大きめの魚が通りかかる。

そして、その小さな魚が逃げる。

あ、食べられた。

可哀想だけど、これが自然の理なんだよな……

そう考えながら進む。

枯れ葉が川に流れ、船みたいに下っていく。

水草が流れの向きになびくようにユラユラしている。

ここも、世界に一つしかない。

そう考えると自然というのは凄いなと、ただそう感じた。

 

 

また、歩くのが痛くなってきた。

最近、電車ばっか使って、足腰が弱くなっていたのだろうか?

いや、現代人、みんなそうだ。

無意識に機械に頼り切りだったことを実感する。

いや~、昔の人はよくこんなに歩いても大丈夫なんだろう?

ずっとそうしてきたから?多分、そうなんだろう。

 

 

太陽が少し低くなって、川の反対側の影も増えてきた。

「Japas unakal gumont.」

と、彼の声が聞こえる。

振り向くとテントの用意を始めていた。

…まずはテントを立てるか。

と、また手伝いを始めた。

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