「ん……」
日の光がテントから射し込む。
光が瞼ごしに入って、眩しい。
「ふぁ…」
昨日はかなりリラックスして寝れた。
今日の朝は爽やかな気分だ。
疲れは確かにある。
でも、精神的な疲れが取れたよう。
最近、ずっと働いていて、余裕がなかった。
たまには、こうしてみるのも悪くはない。
昨日と同じようにテントを片付ける。
やはり、杭を抜くのは力が必要だ。
指示された通りにプログラムするだけだったから、かなりきつい。
1本抜いたとき、カールンは2本抜き終わっていた。
でも、昨日3本カールンが抜いていたから、少しは上手くなったようで、少し嬉しかった。
川が日を反射して、キラキラと光る。
木々には実がなっている。
その実は、ひょうたんみたいな形をしていて、昨日のとは随分違うようだった。
食べれるのか?でも、毒があったら危ない。
ここは、好奇心を抑えることにした。
鍛えてた訳でもないので、疲れるのは仕方ない。
足の痛みは誤魔化せないようだ。
また、2人で休むことにした。
いつまで歩くのかはわからない。
スーツも汚れてきたし、汗も吸ってる。
でも、着替えがないからいずれ買わないと。
その時に、草が押しのけられるような音が遠くから聞こえた。
その音を聞いたカールンの雰囲気が変わる。
「Pase ecehote.Juen fal kelow.」
何者かに警戒しているかのような声。
全く言っていることは分からない…
でも、その方向から離れる。
カールンが弓を構える。
確か、初めて会ったときも、警戒していた。
何かあるのだろうか。
その時、草むらから何者かが出てきた。
四足歩行で銀色の毛並み、牙をもっている。
その正体は狼だった。
「Gurr...」
涎が垂れている。
怖い。初めて狼を見て、足がすくむ。
呼吸が浅くなる。緊張感があたりを支配する。
カールンと狼が膠着状態に陥る。
どちらが、先に動くのか。
1秒が何秒にも感じられた。
「Gual!」
先に動いたのは狼だった。
パシュン ドス
と、弓の音が鋭く聞こえ、狼に刺さる音がやけにはっきり聞こえた。
「Guaaa!!」
狼が痛みに悶える。
矢の先端から血がトクトクと流れる。
もう、狼には戦意はないように思えた。
狼が立ち上がる。
カールンはまた弓を構えた。
しかし、狼は痛みに耐えながら、森の中へと去っていった。
あの狼が頭から離れない。
怖かった。全く動けなかった。1人でいたらと思うと、想像したくもない。
でも、あの狼、あの涎からして、飢えていたのだろう。
食べるものがない。思えば、あのひょうたんの果物も固そうだし、ナイフがないと到底食べれそうにない。
……あの怪我で、飢えているのなら、あの狼は生き残れるのだろうか…
死んでしまったら、可哀想だ。
自分がやった訳では無いが、何故か申し訳なかった。