負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~ 作:シロツメクサ
MiniTale3:ハンターベースの日常
大規模イレギュラー事件が勃発する度に死傷者が出て規模を縮小し続けているイレギュラーハンター。
クロエの善意で壊滅的な被害、戦力低下は免れていても戦力低下は顕著な問題だった。
人手不足の中士気を保っているのはハンターベースの中に華があったからだ。
「パトロール任務も立派なハンターの仕事だ、気を抜かずに無事に戻ってくるんだぞ」
「ハッ、エックス隊長!!」
シグマの反乱にて多大な戦果を挙げた英雄、エックス。
人望は厚く、力に反してその人格はかなり優しさに溢れた好青年そのもの。
いつイレギュラーが発生し即応にまわるか分からないパトロール任務に出かける新米ハンターたちにも気をかける姿は良く見かけられた。
多くのハンター……C級ハンター達は人型でアームバスターではなく人間と同じ様な携行火器を用いることが多い。
同じ人間型でありながら高い戦闘力を有していて柔軟に戦局に対応し……イレギュラーを狩る姿は憧れの的だった。
そうしたヒーローの存在はエックスだけではない。
「戻った、武器生産工場を占拠した連中は残らず始末した」
「ゼロ……無事で何よりだ」
「後で損害レポートを出す、チェックしておけ」
「あぁ、後は俺にまかせてゆっくり休んでくれ」
そのもう一人のヒーロー……それはゼロ。
第0特殊部隊の隊長でありエックスと双璧を成すイレギュラーハンターの切り札。
その鋭い眼光、冷静さを欠かない任務に生きる男の姿は憧れを抱かせる。
イレギュラーには一切の手心を加えない容赦なさがまたエックスとは違った魅力になる。
イレギュラーハンターはこうあるべき……その見本であった。
「やっぱエックス隊長とゼロ隊長……良いよな」
「俺達も経験を積んで少しでも貢献したいな」
「だな……ジョンソン、お前はこの前のシミュレーターの結果はどうだった?」
「Bに届きそうなCって所だな……エリック、お前はどうなんだよ」
「同じだな……はぁ……」
ゼロが属する特A級のハンターは上澄みも上澄み、上から指折り数える程度。
エックスの階級はBとされているが近々特Aとされる。
Aですら数%、Bも上澄みの方とされる。C級ハンターは母数としては多く……ハンターベースの業務を回す主戦力。
惹きつける存在は多ければ多いだけ……良い。
C級ハンターの二人がパトロール任務に出撃する中……別な華が彼らの士気を高める。
『聞こえますか、本日のオペレートを担当しますアイリスです』
「はいっ、バッチリ聞こえています!!」
「……隣のバカのせいでちょっと耳がキーンとなったが、聞こえている」
『あはは……パトロールルートの確認をしますね』
オペレーターとしてレプリフォースから出向しているアイリス。
声だけでも可憐と分かる雰囲気、モニタ映像ではさらに幼さを残した美少女そのものが出る。
単純なモノで大多数のレプリロイドはこれで心を掴まれる。
この子の為に頑張ろう……と。
『本日のパトロールルートはエイリアさんが解析してくれた新ルートです、イレギュラー発生確率が高まっているそうですので警戒は厳にお願いします』
「「了解」」
『新装備のブラスターも性能は上がっていますけれど……無理はしないでくださいね』
話題に上がった解析担当のエイリア、この女性レプリロイドもまた近々オペレーターに加わる。
こちらはアイリスとはまた少し違った方向の美人だった。
年齢はすこし上がり、アイリスの射程外のハンターの士気向上の華となり得るだろう。
「頑張るか」
「あぁ」
まだまだ未熟かもしれないハンターは憧れの上司の為……可愛い女の子に良い所を見せるため……
理由はなんであれ街の平和を護るために今日も動いていく。
MiniTale4:模擬格闘戦 マグマード・ドラグーンvsクロエ・クローバー
ハンターベースで勤務となって暫く……保護観察は続いてますが段階的に制限は解除されていってほぼ私の所属がレプリレスキューからハンター所属に変わってしまった。
元々契約隊員、手が空いている時に救護に駆けつけてっていう数合わせの所属でしか無かったので向こうからしてみれば厄介払いですかね。
そうして晴れて行動制限が完全解除となったその日、ハンターベースに戻ってきていたのが私に果たし状を叩きつけてきたんです。
レプリフォース大戦未遂でやらかしてくれやがったドラグーンさんですよ。
「あの、私は救護レプリなんですけど?」
「だがお前は欲に狂った俺を打倒した……それも殺さずに」
「必要だからやったんであって……それより貴方、エックス隊長との手合わせは出来ました?」
「あぁ……強化アーマーも無しにやられたよ、欲にくらんでいてはもっとひどい有様だったかもしれんな」
「エックス隊長の心の強さっていうものかもしれませんね、危うい時はありますけど」
「うむ……で、だ……もう一度、今度は一武闘家としてお前と戦いたいのだ」
「えー……」
正直あのステゴロ暴力は止めたいんですけど……イレギュラーでも何でも無くなったんでしょう貴方……
だがまぁもう外堀を埋めているといいますか、受けてくれるの前提で場所やら何やら申請して取ってやがる。
「……ダメか?」
「お互いダメージが無いようにってすると貴方納得しないでしょう?」
唸って黙った、やっぱそうだよね。
滾る戦いには命がけで……って言うくらいだし、生ぬるいのはお嫌いでしょ?
私としてはそういう無駄な血が流れるのは中指立ててくたばれと言いたくなるので……
「アイリスとゼロが見物に来ると言ったんだがな」
「それを早く言いなさい、行きますよハリハリー!!」
おっしゃかっこいい所見せてやろうじゃない。
勝負の条件はお互いに飛行禁止、徒手空拳のみ。
物理的に使えるのは純然たる格闘技能だけ。
致命傷になりかねない箇所に打撃が通ったら一本。二本先取。
判定はすべてコンピューターで計測、制限時間は120秒。
破壊に繋がる攻撃は即失格……エックスとの試合でも同じ条件をつけていた。
「手加減なしで行きますよ」
「全力で行くぞッ!!」
クロエにとってはかなり不利な条件が揃う。
盾は無し、体格的に大きな差が生じるドラグーン相手に飛行も禁止。
ダッシュも封じられて翼は当たり判定がデカくなるだけのデッドウェイトに成り下がるので格納。
格納不能な胸部というデカイ重りもある。
手足のリーチもかなり違う……が、既に大体の行動は解析済みではある。
挙動、思考アルゴリズムは丸裸同然、であれば対策は打ち様がある。
それはドラグーンの方も理解している。
「先手必勝」
「おぉおぉ、よっと……チッ、そっちも学習しますよね」
「見事ッ……くぅっ、一筋縄ではいかんか」
真っ先に動いたのはドラグーンの方であった。
地面を全力で蹴り、肉薄……豪速の蹴りを2連続で放つがクロエも反応してバックステップ。
二発目を受け流しつつ返す形でサマーソルトキックを叩きつけようとするが……こちらも受け止められる。
「やぁっ!!」
「ぬるいっ!」
「チィッ……やっぱり純粋な力比べでは分が悪いですね!!」
「足を止めている暇は無いぞ、昇竜拳!!」
「ぐっ……」
動きは見切り、ガードも予測して貫くパンチを繰り出すが……クロエの弱点が露呈する。
純粋なパワーではドラグーン、ゼロ、エックス達には劣る。
クロエの強さは装備全て揃ってこそであり、相手を止める時であれば遠慮なく破壊するが……模擬戦ではそうもいかない。
純粋な戦闘ではクロエは……ジリ貧を強いられる弱者であった。
昇竜拳を避けられず腕で庇い受けるが体重差もあって吹き飛ばされる。
「……勢いを相殺したか」
「あったりまえでしょう、マトモに喰らうつもりはありませんので」
「それでこそだ、貴様の守りを抜いてこそ俺は頂きへの活路を見いだせる……!!」
「……」
殴打のラッシュが始まり、ジリジリと引き下がりながら打ち合いに合わせる。
リーチは短くとも腕は二本、同時に出せる拳もまた一つに限られる。
引き絞る動作もあるからラッシュは片方それぞれを捌けば良い。
イーブンであればそれでいい……クロエが劣勢で押され続ける……
「この試合、もら――――ゴッ!?」
「シャァッ!!ふぅ……はぁ……しんど、一本いただきましたよ」
「……油断してはならんな」
ラッシュを解析し……付け焼き刃程度ではあるが隙を見つけたのは……押され、もうすぐで背中が壁につく寸前だった。
たった数コンマの隙を突くために自ら懐に飛び込み、昇竜拳を返した。
女型とはいえレスキュー、その全力はドラグーンの身体を浮かすだけはあった。
「さ、次……私から一本とってみてくださいよ、ドラグーンさん」
「良かろうっ!!」
また、拳と拳の応酬が始まる。
「すごい、一瞬で攻防が逆転して……」
「不利を一瞬で……パワー差もひっくり返すか」
「世の中の戦いも……こんな風に血が流れない形だったら良いのに……」
「そうだな……」
そんな攻防は休憩室B-06のモニターに中継されていた。
視聴者はゼロとアイリスの二人。
ドラグーンの願い出によって見ることになっていたが、手に汗握る攻防に思いの外アイリスも見入っていた。
クロエが張り切っていたのは無論、この二人が観戦するからというもの。
そう、張り切ってようやくワンチャンスをもぎ取った。
『ゴッ!?かひゅっ』
『……す、すまん、これも避けると思っていたんだが』
「あっ……首に……」
「……見てられんな」
読み違えたクロエが急所の首に一発かなり良いのを喰らってノックアウト。
顔面を避けたのは偏に大天使、アイリスの顔を歪ませるのは自分であっても避けたかったからかもしれない。
後日クロエはきっちり翼装備だけ許可をもらって返り討ちにしていた。
MiniTale5:エックス隊長の休暇って?
エックスはほぼ毎日イレギュラー事件対応に出ている。
非番であっても事件が起きればすぐに駆けつけて人手が足りないと判断すると飛び出していく。
これはゼロも同じ、正義感とハンターとしての誇りがそうさせるのかも。
でも……働き詰めは非常によろしくない。
「エックス隊長っていつ休んでるんですか?」
「うん?それなら一週間前に点検で寝てるよ」
「……あの、隊長……それを休んでるとは言えないと思うんですけど」
イレギュラーとして処分したのを担ぎ込んだエックスに直接聞いてみたらコレですよ。
ハンターとしてはそれでも良いかもしれませんけど……そんな事してたら……
「そうかな?」
「そうですよ……隊長も少し羽休めといいますか、のんびりする時間が要ると思いますよ?」
「うーん……でも、俺はイレギュラーハンターだ。イレギュラーが発生している間休むわけにはいかない」
「そのための非番とか……大規模事件の時はそうも言ってられないでしょうけど!」
上司の鏡かもしれませんけど……そのために各方面の隊長を生かしたんですよ……!!
貴方も休んでちょっとは心安らぐ時間を捻出させて……!!
「……あ、そうです。ならちょっと私のお買い物に付き合ってくれませんか?」
「そんな暇あるかな」
「クワンガーやビートブードに捻出させます」
「いやいや、それは……」
「隊長も休むって事をしないと部下が休みづらかったりするんですよ」
「え゛っ……」
ちょっとアンケート取ってみますか……人間臭いレプリロイドの事です、この論理は案外バカにならないはず。
お仕事用のタブレット開いて、簡単なフォーマットを作成して……第17精鋭部隊の隊員達に送付……っと。
「クロエ、キミ一体何を……」
「現場の声ってヤツを取ろうと思いましてね」
「えぇ……休む必要ってそんなにあるかなぁ」
「ぜっっっっったいにあります!!ゼロを見習いましょう!?」
この働き者すぎる隊長を理解らせなきゃいけませんよね。
提出期限は3日としたけれどさぁどうでしょうね?
エックスの人望厚いですね、その日の終わりにはほぼ全員のアンケート結果が返信されたんですけど。
やっぱり休んでくれって声が多数じゃねーか!!
X7で限界向かえてニートする前に息抜きしましょうよ、ね?
クロエは案外条件がすこしでも外れるとそこまで……になるんですよ。
逆に条件がかっちりハマるとバカみたいに強い、そういう類の子なんです。
追記:10/08日
いぇーぃ評価人数10人で赤バー二段目です
ありがとうございます