負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~ 作:シロツメクサ
MiniTale6:眠り姫と騎士と限界オタク
レプリロイドに睡眠は不要である。
そもそも欲望という欲望が不要なのがロボットである。
だから寝落ちしてしまうっていうのもおかしな話だけれど……それだけエネルギーに気を向ける事も出来ずに……ってのはある。
あとはこれはプログラムを処理する都合上どうしても出てくる問題だけど……不要データの堆積による動作不良がある。
だから睡眠が不要というのは半分正解半分嘘になる。
あとは……いわゆる低電力モードに移行するのを一般的に眠るとも言う。
実際目を閉じて微動だにしなくなるんだから寝てるといって良い。
「すぅ……んん……ぜろぉ……」
なぜこんな事をと言ったらシグマウィルスに関する研究データをドップラー博士に送付して、エニグマの整備データ等を解析。
あとは現状入手可能ないろんな物品を私個人的に納入してもらうようにしたりと……X5の大惨事を見越しての手を打って徹夜徹夜でやったんですよ。
名目?勿論レプリフォースが強硬手段で衛生砲を担ぎ出そうとしてたから対抗手段があったほうが良い、抑止力って名目。
そんでデスマーチ明けでへっろへろな状態で研究室から出てみれば……ゼロの肩にもたれて眠るアイリスの姿がですね。
ゼロはといえば……恐らくアイリスの提案で見晴らしが良いテラス席で書類仕事をしていたんでしょう!!
片手にはタブレット、片手はアイリスに握られてて動かせない状態がぁ……おっほー!
『おい、見てないで助けろ』
『……いえいえ、お二人とも働き詰めだったんですから丁度いい休憩になるんじゃないですかぁ?』
『アイリスはそうかもしれん、俺はまだ仕事が……そのニヤケ顔はやめろ』
下手なエネルギーリキッドよりもずーっと効くエネルギー補給を受けてウッキウキな私でしたが……
ゼロはといえばどうやら仕事の方を優先したいご様子。この短距離で通信を入れて助けを求めるですから。
いやぁ……どちらかと言えば……見られる場所で密着しているのは後々響くから……でしょうか?
自ら起こしにかからないのは満更でもないからですかねぇ……
『頼む、俺はからかわれても構わんがアイリスは……』
「……確かに……アイリスさん、お疲れな所でしょうけどココで寝ては良くないですよー?」
「……えぁっ!?あっ……お、おはようございます……」
んーめっちゃ赤面して縮こまってるアイリスちゃま……脳内保存フォルダが潤う……
真隣のゼロ、自分がどこから跳ね起きたか理解してあーあーあー……顔真っ赤っかにした上ぷっしゅーっと蒸気まで……
「目が覚めたか、俺は仕事の続きをする。アイリスは先に休んでいろ」
「……迷惑だったら起こしてくれて良かったのに」
「少しの遅れはどうということはない……無理に起こすよりも暫く安眠させたほうが良い、そう判断しただけだ」
「あ、確かにそうですね。寝ちゃうほど消耗していたなら無理に起こすのは……お優しいですね、ゼロさん」
かぁー……甘いっ……あー魂に染み渡るっ……
完全にアイリスを護る騎士じゃないですかぁ……
思わぬ援護射撃にこっちに目が来る、ぐっどですよっ……!
「……お前も休んだらどうだ、ふらついているぞ」
「あははは……自覚はあるので、さっさと寝ますよ」
ふらついてる?あぁそら2徹後ですからね。
まぁ、悪夢を見るかもしれませんが……エネルギーは枯渇気味。
メモリキャッシュに不要ダンプがくそほど溜まっててリフレッシュはしないといけませんからね。
「あの……一緒にメンテナンスポッドまで行きましょうか?」
「ひょっふ!?」
「本当に、大丈夫ですか?クロエさん……」
「ダイジョウブデス……い、行きましょうか……」
アイリスさんはちょっと、ご自身の破壊力を自覚なされたほうが良いと思います。
一瞬仮面が剥がれましたよ……オタクの叫びが漏れなくてよかったぁ……
MiniTale7:エックス隊長と知り合いのマーメイド、お買い物クロエ
「ふむ、たしかに他の隊はしっかり休暇を取っているし……シグマもそうだったのか」
「デシ、大多数はエックス隊長に休んで欲しいって思ってるデシ……」
「隊長の業務の大変さに慣れるまではそんな暇はないって思ってたけれど……」
「適度に手を抜いて部下に任せるのも出来る隊長だぞ、ってゼロ隊長やイーグリード隊長も言っていたデシ」
ダブルが持ってきた資料は……正直俺にとっては重い内容だった。
休息の重要性……俺達イレギュラーハンターに休んでいる暇は到底無いと思っていた。
だけど稼働率という名のデータ過去1年分を集計した物を持ってこられては流石にね。
休息と言う名のパトロールという面もあるかもしれないけれど……一番は市民との交流が多くなることがメリットだとも。
確かに……警察組織も日常的に人と交流しているしイベントやキャンペーンをしている。
俺達イレギュラーハンターもそういった催しもするべきなのかな……
「ともかく、エックス隊長には休んでもらって、イレギュラー鎮圧はクワンガー先輩やゼロ隊長に担ってもらうデシ」
「分かったよ……」
「そうそう、この話しをしたらオクトパルド先輩が良い案内人を呼ぶって言ってたデシ、もうすぐ到着すると思うデシ」
「……もうちょっと早めに言ってほしかったな」
「ごめんデシ」
――――甘い隊長殿は先の大戦でも心を痛めている事でしょう、街に出て貴方が守ったものを直視するべきです、ついでにメンタルケアも自分でなさい
――――そうだねぇ、今のエックスは昔以上に……なーんか危なっかしく思うよぉ、偶にぐーっすりぐうたら寝るのもいいと思うよぉ?
――――護りならば任せろ、その点で言えばお前にも負けない自信があるぞ?
――――トラウマ克服するキッカケをくれた男が安心して休める為に働けるってんだったら俺ぁ喜んで突っ走るぜ
――――諜報は欠かしていない、何か分かればすぐに連絡を入れる。まぁ何、お主が動くまでもなく我々忍び部隊が始末して報告を上げようではないか
報告書の端に添えられたメッセージには嬉しさがこみ上げる。
さて、俺の案内人は誰だろう?オクトパルドの知り合いかぁ……
ボルト・クラーケンは違うだろうし……人型となったら……あれ、俺の友好関係って狭すぎる?
働きかけをして外堀からがっつり埋めてエックスの1日休暇をもぎ取った私でしたが……
名目として私のお買い物に付き合っていただこう……そう思っていましたが思わぬ先客が。
ふむ、これはこれは……中々趣深い組み合わせが……
「エックス隊長……そちらの方は?」
「あぁ、クロエ。こっちはマーティ、シグマの反乱の時に知り合ってね……オクトパルドが今回街遊びの案内にって紹介してくれたんだ」
「そっちのが……お噂はかねがね、同じレプリレスキューのマーティよ」
「クロエです、まぁやんちゃしちゃって今はこちらでお世話になっております……」
マーメイド型レプリロイドのマーティさん。
エックスシリーズのコミカライズ版オリジナルの方ですね……ふむふむ。
この並びもまた美味、ちょっと警戒気味にこちらを睨んでるのも可愛らしいことで。
握手すると結構強くニギニギしてくれるじゃないですか、あっはっはっ。
これは私のモノってバッチバチじゃないですか。
「正直助かりました、私も実は街での遊び感覚が無くて。エックス隊長をよろしくお願いします」
「え?じゃあクロエはどうするんだい?」
「私は一人でお買い物しますよ、付き合っても正直楽しくない電子機器とか工具の買い物なので」
援護射撃といいますか、お二人でって言うことを言い出すと露骨に眼に鋭さが抜けていくじゃないですかーあらあらあらぁー♥
ほほぅ、となるとエックス隊長……オクトパルドを止めに行った際になにかしましたね。
射止めておいて連絡先も交換しないとは……マーティ隊員のアドレスは……後で引っ張ってくるとして……
「所で隊長、街にそのアーマー姿で行くんですか?」
「あぁ、なにか問題かい?」
「いえ……まぁ、威圧感は少ないから良いでしょうけど……」
「休みでもあるけどいつイレギュラーが発生するか分からないし」
そういえば……隊長のアーマーデータってハンターベースに保存されているんですっけ。
フォースアーマーは私が大暴れしちゃったから実戦データは少ないようですけど……
それ利用してカジュアル服みたいなの出来ないですかね……ハンター組織の再編が完了したらちょっと意見してみようかな。
「ほら、エックス行くわよ……その、前に助けてもらったお礼でもあるんだから」
「わわわ……分かったよ、だからそこまで引っ張らないでくれぇ……」
「ふふ……良い1日を」
んーむ……これはこれで……ヨシ!!
私は私で……ボディや装備のアップグレードの為の素材を買い漁りましょうかね。
記憶媒体は年々徐々にアップグレードされてますし……可能な限り良いものに更新しておきたいところ……
あとは純粋に……陳列されているモノを見るのって心躍るんですよね。
公共交通機関のバスを使って街へ行くというのが初だったから新鮮な気分だ。
ゆっくりと流れていく町並みは実に平和だ。
俺達が守った光景……か。
「引っ張っておいて何だけど、あの子一人にしてよかったのかしら?」
「クロエなら大丈夫さ、キミと同じでお転婆だからね」
「ちょっと、どういう意味よ!」
「ある意味マーティよりおっかないよ、彼女……凄いよ」
「私はあんなぶっ飛んだ暴れ方はしないわよ」
街に着いてみるとマーティがクロエの事を気にかけていたけれど……正直心配することは一切ないと思う。
クロエは確かに魅力的な見た目はしてるけど襲ったらボコボコにされるだろうし……
俺に休めって言う位だから大丈夫だろうさ。
「しかし、街に出てるレプリロイドは基本的にオシャレしてるんだね」
「そういうアーマーパーツもあるのよ、隊長サン」
「そういう物なのか……」
そこそこ稼働しているつもりだったけど、日常に関してはあまり知らなかったな……
街に出る=パトロール任務であまりじっくり見れなかったししょうが無いか?
「アンタに似合うのを見繕ってあげようか?」
「良いのかい?じゃあ、俺からも……」
「アンタのセンスは私に合わないからいいッ!」
「ケイン博士に頼んだあのボディの事まだ根に持ってるのか……流石にもう一度そういう系統は選ばないって」
「フンッ、どうだか……まぁ、そういうならもう一度チャンスをあげるわ」
こういうのを選んであげるっていうのも良いな。
Next X5 コロニー墜落の危機