負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~ 作:シロツメクサ
エックスは途中で目が覚めて私から慌てて降りた……アルティメットアーマーがボロボロになったのもあってアーマーはファルコンに切り替えてた。
ゼロという核を失った空間は電磁障害などは消え失せてすぐにエスケープ装置などが使用可能になった。
ボロボロになったエックス、ハンターに戻ったゼロを無事にベースに届けた後……私とゼロはフルスキャンされることになった。
「クロエ」
「はいはい、なんでしょうか?」
「お前は……俺の事をどこまで知っている?」
スキャンというか、メンテナンスポッドに仲良くぶち込まれた私たちはほぼ隔離。
特に私はあの環境下でいきなり出力が跳ね上がったのが怪しまれてゼロ共々って感じですね。
まぁこれはライフセーバーの懸念もご尤もだけど……
で、暇を持て余している私とゼロ……だったんですが、隔離されたのもあって色々聞きやすい状況ですね。
意を決してといった感じでしょうか。
「貴方の製造目的などは把握しているつもりです」
「……じゃあ、俺が見る夢の……語りかけてくるジジイも知っているのか?」
「心当たりはありますよ……」
「そこまで知っていたなら、何故俺を止めなかった!!止めれたんじゃないのか!?」
あの……本来のゼロに戻る事を忌避しているんでしょう。
エックスとの戦いも無かったんじゃないかという事がゼロの中にはあるんでしょう。えぇえぇ、そりゃご尤も。
「私が何もしなかったと思っています?こんな荒唐無稽な事を説明する為の証拠集めもしてましたよ」
私だって技術者としてゼロのこの悪夢、ひいてはロボット破壊プログラムの無効化というのを目指しました。
しかし……ゼロの頭脳回路のどこにそれが詰まっていて、どこを弄って良いのか分からなかった。
図面が無けりゃイチからシミュレートしてからテストしていかないといけない。
ゼロの回路をハード的にスキャニングできても内面はどう見ても訳が分からんプログラムの羅列だった。
部分的に分かる所はあっても難航したんですよ。
今ならデータ素材がたんまりあるから時間さえかけりゃ何とか出来るでしょうよ。
ワイリーのあの殺意に溢れた零空間……あれがそもそも巨大なプログラムコードの塊だったんですから。
そう、今なら出来る……だけど、今日ここに至るまで……手も足も出なかったんですよ。
「でもですね、ゼロ……貴方の機械的構造、プログラムどれ一つとっても難解極まるモノで解明するのにはもーっっっと時間が必要だったんです」
「すまん……」
「恐らくは気付いていることでしょう……あの、エックスとの死闘を繰り広げた貴方が本来想定されていた貴方の姿です」
「……そう、か」
「最強のロボット、エックスよりもずっと優れたロボットである事の証明……それこそが博士の目的だったのではないかと推測します」
確執はあれどお互いを認め合っていたライバルであったのは間違いない。
ライト博士もどこかで歩み寄りを……ワイリー博士の発明への理解というのをしていたならここまでになったんでしょうかね?
ロックが野望を食い止め続けた……その後のあの社会情勢で社会に対しての憎悪がすべてを曇らせたかもしれませんが……
推測の域を出ませんが、信憑性は高いと思います。
ワイリー博士はプライドが高く目立たがり屋で……諦めが非常に悪い人ですから。
「でもですね……博士の若かりし頃に掲げていたロボットの理想像……今の貴方にそっくりだったりするんです」
「破壊の権化か……」
「違いますよ……ロボットとはヒーローであるべき……そう、語っていたそうです」
腑に落ちない顔をしていますが……少なくともハンターとして動いているゼロは誰もが認める頼れる存在であり、ヒーローですよ。
少なくとも一人の少女にとっては白馬の王子様でしょうよ。
「少なくともアイリスにとってはヒーローでしょうね」
「……」
「まぁ……今回ので色々分かった所もあります……任せてくださいよ、貴方の中の病巣を取り除いてみせますとも」
完全に除去出来るかは不明ですが……少なくとも抑制は出来ると思う。
ゼロ本人が望まない、イレギュラーの元凶になることを防ぐ事が私の目的。
ひいては……ゼロが長い長い眠りにつくということを防ぐ為にやることをやらねば。
「フン……なら、少し任せるとしよう……シグマの処理もエックスに任せてしまうしな」
私が今後やるべきことは……ゼロのロボット破壊プログラムの除去or抑制……ライト博士の宿題……
そして先生の言った私自身を大事にしろという正直難しいオーダーへの対応ですねぇ……
「まるっと上手くいったら……ゼロはゼロで任務を盾に逃げていることへの対応をお願いしますよ?」
「何のことだ?」
「アイリスとの関係ですよ?やんわりと自覚してるくせに……」
「……顔が同じのお前が言うな」
X8でのゼロが恋愛関係に疎くなったのってアイリスの事がトラウマになってるからなんじゃないですかね。
少なくとも、今私が観測している限りでは……アイリスからのアプローチに満更でもなさそうですしー……
色々と意識しているのは間違いないですし……今の応答からしても脈アリふっふぅ!!
「解析にどれだけ時間がかかる?」
「んーむ……色々と下地がありますからあとは演算速度によりけりだと思います、貴方の内面にかけられてるプロテクトがバカ硬いので……」
「そんなにか」
「そんなにですよ、エックスも修理が出来るくらいには構造はいくらか理解できてますけど……貴方はほんっっっっとうに苦労してようやくって所なんですから」
「……ケインのジジイが匙を投げたのにな」
「そこは……私の執念ってヤツですよ」
真っ当な死を投げ捨ててこうなるくらいには執念深いですよ、私は。
そういう意味でも私とワイリー博士、ライト博士は同じ穴の狢ですよ。
はぁ、はやく検査終わってくれー……私に仕事をさせてくれー……
アルティメットアーマーを置いてガイアアーマーを着て出ていったエックスは物の数時間もしないウチに戻ってきた。
きっちりとシグマをブチのめして……ウィルスにもケリをつけて帰ってきた。
途中でライト博士に会ってアーマーは全部返却したそうです……私のこの宿題をさっさと終わらせたらエックスには楽させてあげられますよねー
で、元凶がどうにかなった後はウィルスバスターの開発や私が粗仕上げしたキラープログラムの最適化などが進んでレプリロイドの壊滅的なイレギュラー化は食い止められた。
ドップラー博士が雪辱を果たした結果ですね、シグマに翻弄された後ですから執念は……私以上だったことでしょう。
今後はこれから発展したシグマウィルスに犯されたイレギュラーを正常化するプログラムの作成に取り掛かるそう。
私は検査の上オールグリーンが確定したので解放、ゼロも同じく……ですが、不明瞭な部分が多い為ライフセーバー達はかなり慎重な目で見てる。
現在は壊滅的な被害こそ避けられましたが……コロニー落下の影響であちこちに被害が出ているものでその復興に向かっている最中。
維持されていた自然環境は管理システムの暴走で酷いことになっているのでそちらの回復にも注力されている。
「で、復帰後最初の仕事がコイツラのお説教ですか」
「いやさ、目覚めたら何にもない状態でジャングルのド真ん中よ?盗みとかするって」
「キキキッお説教だァ?俺様は誰の指図も受けないぜ、キキキッ」
スパイクローズレッドにダークネクロバット……ローズレッドはシグマウィルスから偶発的に生まれたレプリロイド……
ネクロバットはX2時代にシグマによって製造された生まれながらのイレギュラーですが……脱走した経緯がある。
不完全な時間停止能力があり要注意なレプリロイドなのは間違いない。
そしてコイツラ……ローズレッドはまだ矯正が出来そうな根性してますが……ネクロバットがどうか。
「ローズレッドはつまるところ……生き抜くためにあの環境下で盗みを働いていたしエックス相手に戦いを挑んでボコされたと」
「そうだねぇ、オレとしてはそっちのほうが早いし上手く行けば支配っつーの?まぁそういう階級に回れると思ってさ」
「……クラブロスと同じ感じですか……まず、地球が終わりかけた状況下でその判断はアホです、支配もクソもなく貴方も死んでオシマイだったでしょうね」
「あちゃーそれは盲点だったわ」
元がジャングルの管理AIか何かだったのか……あまり知性がある感じではない、ヘチマ君に邪悪さを少し加えた感じですかね。
行動理由がとにかく原始的で欲望に忠実な感じ。
「要観察として奉仕活動に勤しんでもらいます……暴れたら怖いのが飛んできますよ」
「へぇ?もしかしてゼロとかエックス?」
「……レプリフォースでたんまりお説教されたディノレックスが貴方を燃やしにくるかもしれませんね」
「ヒエッ、じょ……冗談っしょ?」
まぁ実際は私がゲンコツ食らわせに行くか、ラッシングバーナー担いだハンターが向かって燃やしに掛かるんでしょうけどね。
大穴でドラグーン派遣で歪んだ根性を叩きのめされるか。
すくみ上がっているからとりあえずローズレッドは良いでしょう。
後の処理はライフセーバーにまかせて……ネクロバット、コイツなぁ……
「偽善だなぁ、ハンターなんてのは処分して処分してぜぇんぶぶち殺すクソ野郎どもだろ?」
「えぇ、偽善ですよ。じゃなかったら態々直してこうして話し合って向き合う時間なんて設けませんよ?」
「キキッ、じゃあどうするんだ?オレも処分かぁ?」
「人間にも何にも縛られたくない……その心を聞かせていただけますか?」
生まれながらのイレギュラーだったとして、この思考回路に落ち着くまでの間のプロセスがあるはず。
そこを紐解いて、プライドが原因なら鼻っ面を叩き潰す。
構って欲しいとかそういうのだったら肯定される場を設ければ良い。
「しらねーな、お前になんで喋る必要があるんだよ!」
「……もう一度問います、何が原因で誰にも縛られたくないと?」
「キキキッ、誰が喋るもんかブフォェアッ……テメェ……!!」
「反抗的なのは結構、でも今は真面目に聞いてるんですよ……言いな、クソガキ」
「キキーッ!更年期かぁ?ババアが!」
……処置なし、これはどう足掻いても人に危害を加えそうな考えが改まりそうにないです。
一発ビンタをくれてやりましたが駄目でしたし……うん、顔面ベコベコにしても駄目でしょうね。
「はぁ……」
「何をしやがる……き、キキィッ……」
「では……処分しましょう、私の手で……」
ババア呼びはまぁ間違っちゃいませんけど……見た目が最高に天使な私を何だと……
いや、待てよ……コイツこの顔に対してババアと言ったな?アイリスに対して言ったも同然……
「……やっべ、顔面ぺしゃんこにしちゃった」
やっちまった、処分はするけどこれだとー……うん、まぁしょうが無いか。
チップとかは破壊して……あとはスクラップヤードへ移送して貰いましょう。
今回の騒動でイレギュラー化し処分と相成ったのはクラーケン、ネクロバットの二名だけに留まった。
バーンディノレックスはレプリフォースに引き渡されてしばき倒されるのが確定している。
ああいうならず者気質のを残しているのはどうなんです?
実力至上主義も過ぎれば足元から崩れていきますからね?
ペガシオンは正気に戻った後も暫く私の事をかなり危ない目で狙ってきたので正直……めっちゃくちゃ苦手意識が……
フクロウルがしょっぴいて行ってくれましたが……あれ、そのまま放ったらかしにしてたら何をされたことやら……
「私を大事に……私の幸せ、ですか……」
何十年も前に捨て去ったも同然の概念、はて……私自身の事となるとどうにも頭をひねる事案になる。
ハンター本部の屋上で眼下に広がる町並みを見下ろす。
苦みを再現したコーヒー味のエナジーリキッドを啜り、缶を揺らす……
人とレプリがあれこれと喋りながら復興作業に取り組む姿はこの身体で目覚めた当初を思い起こさせる。
シグマウィルスへの特効薬が完成したのが大きいでしょうね。
暫くは復興事業が多くこれから徐々に大規模イレギュラー事件以前の状態に戻っていくことでしょう。
では幸せとはなんだろう……と考えた時に肉のある身体であれば充実した衣食住……というものでしょう。
人間の身体を捨て去った事による弊害とも言いましょうか。
これをしたい、あれをしたい……自分に帰結するモノがあまり無いんです。
そも生活というものがハンターベース内で完結してしまうのだから本当に……ファッションとかそういうのを楽しむ程度?
かと言って私のこのボディも現行型のレプリロイドとの互換性はほぼ皆無。
結局何かをしたいと思うならば技術を蓄えて、後から生まれたレプリロイドにあれこれと教えて……
何十年も前に一度途絶えたロボット工学の生きた技術を継承する事くらいでしょうか。
ですがこれを私の幸せと呼んで良いのかが甚だ疑問で……
「……一番キツい宿題を残していきましたね……先生」
今更私自身の事をというのが本当に、難しい事ですよ。
ゼロのプログラムは解析できる見込みがある。
ライト博士の宿題も教える気満々だったのかこれまた取っ掛かりを見つけたらあっという間に解けたし……
私の宿願成就はカウントダウンが始まってるも同然。
……だからこそ一度立ち止まって後の事を考えろって事ですかね。
「まぁ……時間はあるんです、色々考えますか……」
エックスを取り巻く環境は幾分マシに出来ました、アイリスとカーネルは存命。
レプリフォースも大幅な弱体化の憂き目を見ることはなくなった。
ゼロの問題も解決傾向……少なくとも黙って眠る判断はしていない。
後は……ハンターがヒマになるくらいにイレギュラー発生件数を減少させられたら良いですよね。
『クロエ、ちょっと良いかしら?』
「ん、何でしょう」
『貴女暫く非番でしょう?こっちの解析作業も一段落ついたから一緒にカフェに行かない?』
「……まぁそれも良いですね、気分転換は大事ですからね」
エイリアとは何かと話が合いますしこうして連れ出されるのも良いかもしれません。
純然たる女子ではありませんが、女子会みたいで……
『良かった、アイリスも行くわよ』
『あ、はいっ』
ちょっと聞いてませんが????
……アイリスとお茶ですか、まぁ……少しは欲張っても良いんですかね?
私がクロエとして生きていく時間はこれから何十年とあるんですから……偶にはいいですよね?
一旦これで区切りとします、ご愛読感謝でっす♥
X6?ナイトメア?すまんがそれは書くか不明じゃよ!!!