負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~   作:シロツメクサ

3 / 11
X1 After

イレギュラー事件としてかなり大規模なものとなったシグマの反乱。

最強のイレギュラーハンターによるイレギュラー事件賛同した者も多く被害は少なくなかった。

イレギュラーハンターに限っても死傷者はその総数の半分に至る。

なぜ反乱を起こしたか……その真意はシグマ本人にしか分からない事。

だが、事実として語れるのは……イレギュラーハンターとして人とレプリロイド社会を守るべく立ち上がったエックスとゼロがシグマに引導を渡した。

そして、各所で暴れまわっていたイレギュラーは鎮圧されて一時の平穏が戻ってきた。

ミサイルによる被害もあったが……対空システムが無事に動いていたことで被害は最小限に留められていた。

 

「全員処分ってならなければ良いんですけど……」

 

復興に向かっていっている街、新たなスタートを切ったイレギュラーハンターの基地を見る姿があった。

こそこそとイレギュラー嫌疑の修理をしていたレプリロイド……クローバーであった。

憂いているのは無論、応急処置をして命を繋いだレプリロイド達の処遇だった。

 

「あちらを憂いていても仕方ないですね……今は私の仕事をするだけ」

 

仕事の現場に向かうため、翼を広げ大荒れの街の中を飛んでいく。

ミサイルや暴走メカニロイド達による破壊が行われた中に要救助者がいる。

その救護、早期発見が私の職務だった。

高機動救護レプリロイド……その特性を遺憾無く発揮する戦後処理班。

ロボットも人間も等しく救うべき対象でその生存の為には速度がキモになる。

設計コンセプトがモロに刺さるシチュエーションだった。

 

 

 

 

 

「レプリフォースも出張ってきていて瓦礫の除去に活躍されているようで……」

 

空から見ていれば地上でのほかのレプリロイド達の動きというのは丸わかり。

大勢のレプリロイドが統率の取れた動きで瓦礫の撤去、発見した要救助者の搬出を行っていた。

まぁそれもそう、レプリレンジャーとレプリレスキュー……911サービスに該当する連中だけでは追いつかない規模。

ハイウェイが爆破され、空港周りも大荒れ……発電所もそうだった。

さて、私の担当区画に到着……

 

「こちらレプリレスキュー、契約隊員クロエ救助活動を開始します」

『了解、周辺地域の隊員と協力し活動に当たれ。当該区域の共有通信の周波数は146.55 幸運を祈る』

 

反乱当日のデータから算出して人が埋もれているだろう場所の試算はできる。

私一人で対応するものではないが……一分一秒が命に直結するこの救助の現場では……できるだけ素早く……

周波数を合わせてみると怒号の嵐だ。

 

『ポイントデルタ2にて要救助者発見!レスキュー隊員は急行してくれ!』

『ポイントアルファ4、意識不明の人間を発見、出血が酷い!レスキューは早く来てくれ!!』

 

当該区域に配備された隊員は一般的な人型レプリロイド……高機動なんてのは持ち合わせてない。

 

「デルタ2の方は意識は?」

『……無い、呼びかけには応答しない』

「では呼吸は安定していますか?」

『少し待て……安定はしていると思う』

「……アルファ4へ向かった後急行します」

 

通信でのトリアージは簡素にしか分からないが……より重篤な方を優先しましょう。

幸い、アルファ4は近い……全速力で飛んでいけばすぐでしょう、救護の特急便が今向かう。

 

 

 

到達までは一分と掛からなかったが……これは酷い。

 

「患者の容態を見ます、搬送車両の手配は?」

「既にやっている……助かりそうか?」

「……」

 

出血は推定量ではあるけれど、かなり厳しい、輸血が必要だ。

骨折は複数……ただ、内蔵は大部分が無事そうだ。

止血処理をしっかり出来れば命は繋がる。

 

「血液型の診断は?」

「我々レプリレンジャーにそんなもの出来るわけがない……お前も?」

「……特別な型じゃないみたいです」

 

指先ですこし撫でると解析は出来る。光学的な分析ですけどね。

より細かくとなると舌で舐め取るとかしないといけないので絵面が非常にまずい。

とにかく、一番大事なRH型と血液型が判別できたのでよし。

出撃前にバックパックに格納していた血液パックを取り出して……

 

「貴方はこの止血帯をここに、ここまでギュッと締めて下さい」

「分かった!」

「……応急処置が完了したら搬送車両到着まで呼びかけて下さい」

 

骨折箇所への添え木、包帯固定……失血への対処の輸血処理……あとは本人の生きるチカラにかかってる。

こういう患者の為の手動式の輸血キットは持ち込むんですよ。

 

「応急処置完了……他のレスキューがコチラに向かっています、車両もあと5分ほどで到着する模様です」

「それまで呼びかけていたら良いんだな?」

「励ましの言葉は案外バカになりませんよ、容態が悪化した場合は無線で呼びつけて下さい」

「了解した、そっちも頑張れよ!」

「はいっ……そちらも捜索、頑張ってくださいね」

 

自分で設計開発したモノだけれども……この機動翼は本当に良い。

助けが必要な命の場所まで急行できる、救命の現場ではこれ以上ない。

まぁ……私だけの……私と先生を結ぶ大事な一品、誰にも譲る気はないけど。

量産化の為の設計図を引いても良いかもしれない……時間がある時にやってみようかな。

今回ので……大規模なイレギュラー事件があった時に役立つのは分かってくれると思うし。

 

「ん……こちらレプリレスキュー隊員、クロエ……上空より人間と思われる生体反応を感知、救助に向かいます」

『了解、ポイントは?』

「ポイントベータ3……あ、デルタ2の患者に向かえるレスキューは?」

『こちらレスキューのマハ、患者を視認出来る距離にいる。クロエ隊員はそのまま救助に向かってくれ』

「あ、良かった……了解、救助続行します」

 

目まぐるしく変わっていく状況ですけれど……少なくとも、いい方向には転がっていっている。

出来ればここで私の素顔を晒してアイリスの株をあげ……いや、そんなのはノイズだ。

 

「たす……け……」

「もう少しの辛抱です……もう、大丈夫ですよ」

 

よし……圧迫されていた様子はない。

これなら毒性が一気に回って……なんていう事故も無さそうだ。

瓦礫はちゃっちゃかどけて……抱えてっと。

 

「かぁ……さん……」

「救助対象を確保……少年ですね、外傷軽微……ただ安心したのか寝ちゃいましたね」

『良くやった、近くに一時収容テントがある……座標を送信する』

「……確認しました、抱えていきますね」

 

んんー……胸元をぎゅっと握られたら降ろせませんしねぇ、テントに連れていくしかない。

この子の親も無事だったら良いんですけど……それはどうにもならないですね。

 

まぁ、こうして……つつが無く戦後処理は進行していった。

死者はどうしても出てしまった、人もレプリロイドも……同じく。

 

その中には確実に死んだ……いえ、私が看取ったモノもあった。

アイシー・ペンギーゴ、スティング・カメリーオ、バーニン・ナウマンダー……それぞれ、イレギュラーとして処分された。

コイツラも出来れば生かしたかった、生きる道があるとは思っていた……

けれども……根っからのイレギュラー思考であるなら、どのみち再びイレギュラーと認定され処分される。

ボコボコにしても変わらないのならもう処分するしか無い。

 

この戦後処理の救急現場で言う黒を与えるのと同じです。

もう処置のしようがない……私の手では救えない命だった。

きっと、この先も増える……私に出来るのはその見捨てた命を忘れない事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

シグマを倒した俺は戦後処理に追われていた。

ケイン博士への報告、穴が空いたハンター部隊の再編成……第17精鋭部隊の隊長への抜擢……

一気に俺の生活というものが変わった。

報告をまとめるに当たって辛かったのは……処分したイレギュラーの報告を作成する事だった。

イーグリード……彼はあんなバカな真似をするレプリロイドではなかった。

後の調査で分かった事だが、シグマに部下を人質に取られて反乱に参加させられていた。

この事実が発覚した時は……膝から崩れ落ちてしまった。

イーグリードの言葉、不本意なのに戦うしか無かったというこの……事実に……シグマへのやりようのない怒りと悲しみが込み上げた。

 

気が滅入る事はまだある……ゼロは大破してしまい頭脳回路は無事にハンターベースに回収されたは良いけれど修理が難航している。

親友が隣りにいない……同僚だった者を破壊した……その事実が俺の心を苛んだ。

 

「はぁ……ようやく終わった、隊長の書類仕事ってこんなに大変だったんだな」

 

慣れない仕事を終えて立つとすこし外が騒がしい事に気がつく……何なんだ?

 

「どうしたんだ、何かあ……った……」

 

……信じられない光景を、俺は目にしてる。

幽霊っていうものがレプリロイドにもあるのか?

 

「フッ……どうしたエックス、幽霊でも見たような顔だな?」

「イーグリード!!どうして……俺は、貴方を……!」

「逞しくなったと思ったら泣き虫は変わってないんだな……まぁ、ちょっとレプリレスキューの隊員に助けられちまってな」

「良かった……だ、だけど反乱に加担してしまったんだ、処罰は?」

「まぁ避けられんよ、謹慎処分と観察期間が設けられたよ暫くは復帰はできないが……罪滅ぼしはさせてくれよ、エックス隊長」

 

誰が助けたのかは知らない、ただ……戦友をこうして死の淵から戻してくれた事に感謝してもしきれない。

……やっぱり、戦う以外の道は無いのだろうか?

 

「おい、エックス隊長」

「あ、あぁ何だい、イーグリード?」

「書類持ってくんじゃないのか?」

「あぁ……イーグリードは?」

「フフッ、これから謹慎房行きさ……出所したら奢ってくれよ」

「勿論さ!でも……本当に、良かった……!!」

 

さて……ケイン博士に報告書を提出しよう。

こんなサプライズは良いな。

 

え?他にも応急修理されて戻ってきているって……本当なのかい?

リストを受け取って見てみると目を疑いたくなる……本当に、これだけ……だ、だけど……ペンギーゴは……?

全員が助かった訳じゃないのか……そうか……

修理したのは不明、レプリレスキューが救助した……だけ?

その隊員も名前を明かしてない……か……救助された面々もあまり話したがらないし……何なんだろう。




Next:X2


捏造設定ゴリゴリ祭り開催中
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。