負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~   作:シロツメクサ

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X2

やはりと言うべきか、レプリロイドの生みの親であり現在のロボット学の権威、ケイン博士の手にかかってもゼロの修理はままならなかった。

シグマの反乱から何ヶ月と過ぎてもゼロ復活の情報は一切無かった。

私は私で独自にあの散乱したパーツ類……それと、コサック先生に一時期教材として見せてもらっていたDWNシリーズの設計をヒントに図面を引いていた。

それっぽいのは出来る、ですが……あのゼロのスペックを出そうとすると何かが足りない。

フォルテニウムの存在……いや、それだけでは説明がつかない。

技術者としてのセンスというものの歴然とした差を感じさせられる。

技術力だけで言えばこの数十年の間に素材の技術革新や基礎的な技術の進歩があって目覚ましい。

 

それでも、近い所に持っていくのが精々なんだ。

ロボットの身体になり、演算装置なども少々手を加えて現行の性能が良いものに更新しても尚解析、設計演算をしてもコレだ。

設計段階での試算でこれなんだから実際に組み立てとなればより違ってくる。

ともかく、数カ月単位で悪戦苦闘しても私の技術……いえ、センスではだめだったという事です。

こればかりは凡人と天才の隔絶した差でしょう。

まぁ私も他に何もしていなかった訳ではなく、修理ついでに解析した面々から私に落とし込めそうなプログラムや機能はいただきました。

アルマージのシールドやイーグリードの飛行制御ですね。他は残念ながら解析は出来ても私に落とし込むアイデアが出なかった……

 

『緊急指令、エネルゲン結晶加工工場にてイレギュラー事件発生、負傷者多数!付近のレスキュー隊員は至急向かえ!』

 

減少傾向にあったイレギュラー事件もココ最近再び増加傾向に転じていてイレギュラーハンターが破壊される事件も多くなっている。

ついに来てしまったか、カウンターハンター事件。

といっても私が特に何かするってわけでもない、負傷者が出たら急行する。

私にイレギュラーを即刻どうにかする能力はない、時間をかければ叩き潰せるけれど……餅は餅屋ってワケです。

ただ……私的には見逃せない相手がいる、是が否でもボコボコに伸してメモリをちょーっと覗かせてもらいたい相手がいる。

カウンターハンターのトップでありあのゼロのパーツを再生産した謎のレプリロイド……サーゲス!

ほんの少しのセリフ、各書籍媒体から散らばってる情報からもゼロの設計開発者であるワイリー博士関係が濃厚。

本人と言うには少々……ロボット愛が足りないといいますか言い回しに引っかかりを感じるんですよね。

助手ロボットを製作していたというのが総合的な判断の結果ですが、はてさて。

思案していても仕方がない事です、私は私の今の仕事に注力しましょう。

 

 

 

 

 

加工工場は人間の監督者、品質管理の人間……そして運搬を担当しているレプリロイド達が殆ど。

イレギュラーはそんな運搬担当のレプリロイドが暴走し、エネルゲン結晶を独り占めにしようとしているらしい。

幸いにして戦闘用のレプリロイドではなかったのが良かった所。

 

「患者はどちらに?」

「ここだ!呼吸が弱まってる!!」

「少々お待ちを……装備を展開しますので……データの共有は……あ、来ましたありがとうございます」

 

ただまぁ、大暴れした結果製造機械を派手に破壊するなど酷い有様でその爆発に人間が巻き込まれる事案が。

他のレプリレスキューによって救助はされましたが……命をつなぐにはもう一段階必要なレベル。

緊急車両到着まではまだ時間がかかる、こういう時を考えての装備がちゃんとあるんですよ。

私が設計した大型の盾……これが命を護るんです。裏面に格納されている装備で……人工呼吸器と輸血ポンプ、そしてAEDがあるんですよ。

これ含めた結果デカくなったともいいますが……携行出来るようにしたのはかなりのアドバンテージ。

そしてそれらを稼働させるAPU……これはE缶を応用したカートリッジ式のモノで安定したモノでして。

 

「APUオンライン……呼吸器、輸血セット……アジャスト完了、応急処置は完璧ですね、流石です」

「次の患者を運んでくる」

「お願いします」

 

私が命をつなぐリレーの中継点にはなれるんですよ。

しかし……こうしてイレギュラー事件が多くなっていくとレプリロイドに対する不信感というものが社会に渦巻いていくのが目に見えて……

進化の為の犠牲、そう言うでしょうけど……強引な手段に訴えては反感を買うばかり。

それは過去の人間の歴史からも分かることでしょうに。

とにかく……人工呼吸器を付け、バイタルチェックをしながら容態が安定するまで診ましょう。

呼吸が弱まっているのは……失血による一時的なモノだと分析しますが……次運び込まれる患者の容態次第では対応がまた変わってしまいますね。

呼吸器だけなら最大でも4人までは何とかなりますけど、輸血装置は最大二人まで

はてさて、最大稼働する事がなければ良いんですが……

 

ありゃま次の患者はレプリロイド、派手にぶっ壊れてますけどこれくらいなら大丈夫そう。

エネルギー補充をしてあげて破断している回路を修復してあげれば……

 

 

 

 

 

 

X2の具体的な開始時期は分からない、けれども……物語の始発点になるキーアイテムが発見された。

挑発的にも見えるシグマのマークが印字されたチップが発見された。

解析してみればその中身はイレギュラー化する様に思考を偏向させる追加回路。

作られたイレギュラーである、一般には公開されない警察・救急等の公安に展開された情報はそう締めくくられた。

同時に……イレギュラーハンターを襲うレプリロイドの情報も出てきた。

来ましたよ、カウンターハンターの連中ですよ。

といっても動向を知っているのはイレギュラーハンター連中……レスキューの私には情報が回っては来ない。

まぁ、通信を傍受してしまえば良いんですよ。無論これはアウトもアウトの違法行為ですけどね。

目的のためです、他に流すわけでもありませんから……バレたら素直に自首しましょうかね。

向こうもそれを想定して細かな位置情報は向こうの規格で話すから分からない様にはなってる。

けれど、重要なのはそれぞれどこに向かっていて、何が何処に居るのか……それさえ把握できれば良い。

私の身体は一つ、出来ることなんて……たかが知れている。

 

両手で抱えられる命を救う、背中の翼で急行できる命ならば救う。

救いようのない手遅れの者なら安らかに……

 

本格化していく騒動、8箇所で大規模なイレギュラー……始まった。

そして、その対応にはエックスが向かい……ワイヤーヘチマールが最初に選ばれたか。

気象コントロールセンターを占拠、自由気ままに楽しいからとコロコロ変えて遊んでいる。

実際に振り回される人間はたまったものではないし……インフラも酷いことになりかねない。

人が自然の手綱を握ろうとしたツケがこうして回ってきたワケ。

技術が進歩し、自然も科学技術で掌握……なんて事をしたからそれを乗っ取られた時に痛い目にあう。

まぁ、こんなのを想定しろというのは酷な話かもしれませんが。

 

イレギュラー掃討後の気象コントロールセンター内はもはや鮮やかとも言えるイレギュラーメカニロイドの墓場になっていた。

エックスがそれだけ迷いというものを封じ込めて内心はどうあれ、戦うことを決心した証。

……やっぱり、私はライト博士に物申したい。

 

「優しいロックの弟なら悩んで悩んで病む事が大いに予想されるのに……どうして……」

 

動力炉を撃ち抜かれ、武器チップも抜き取られたワイヤーヘチマールの残骸を見つけた。

頭脳回路は平気そう……メモリは焼損……修理だけなら出来る。

あとはこの子の心が消えてなければ良い……

 

「ボディは直してあげられる……だから、もう一度……」

 

やはりというか、修理の為に中身を見てみると正規の工場で生産はされていない。

該当するシリアルコードが何処にもない……これは完全にチップと同じ工場で生産されていたと見て良いでしょう。

頭脳回路がそもそもイレギュラーな可能性が高い……どこを見てもシグマチップは無かった。

あとは……修理した後のこの子の挙動次第。

 

「よし……ストックしてるパーツで代用が効いたのは大きい……あとはエネルギーを再補充してあげて」

 

ボディチェックよし、解析結果も機能的には問題なし……再起動処理完了。

あとは起き上がった本人がどれだけメモリに残っていて……考えを改めてくれるか。

 

「ん、んー……」

「おはよう、ヘチマールくん。ご機嫌はいかが?」

「おはよー……あちこちギシギシするなぁ、身体がかたいよぉ」

「あららそれは大変、ちょっとまだエネルギーが回りきってないのかも」

「……あれ、お姉さん誰?それに起き上がれないけど……あっ、そうだったエックスってのが来て、おいら……」

 

メモリは問題ない様子、暴れることを考えて四肢の駆動制御接続は繋げていない。

あとは問診を続けてボディに問題が無いか……そして、考えに変化が無いかを見極める。

 

「落ち着いて……今はもう大丈夫だから……ちょっとお姉さんの質問に答えてくれるかな?」

「……うん、そのあと遊び相手してくれる?」

「遊びの内容は?」

「んー……ダンス!ダンスしようよ!!リズムに乗って身体を動かすんだよ!!」

「ふふっ……それは良いですね、それならお相手しますよ」

 

無邪気な子供そのもの……レプリロイドとしては知能があまりよくない。

性格も子供に準じたモノで情操教育をしてあげたら改善される可能性もある……かな。

 

「じゃあ、質問していきますよ……最近のこと、今日の事は覚えていますか?」

「うん、シグマってヤツにここで遊んでろって言われて遊んでた、エックスってのが来るからそいつと遊べって」

「遊びの内容は?」

「それも決められてたんだよなぁー……あのパネルをめっちゃくちゃにカタカタカター!!ってして遊んで、それからエックスとヒーローごっこ!」

「なるほど……ヘチマール君自身はどうやって遊びたかったの?」

「ダンス!日光浴!!それからそれからー……うーん……とにかく身体動かすのとのんびりするの」

 

生まれながらのイレギュラー……と言うにはちょっと、邪悪さが無い。

恐らくヒーローごっこでメカニロイドを破壊したりしたから適任と思われたんでしょう。

実際、このボディの出力は高いし柔軟性がある。

これで全力で叩く蹴るをされれば普通のレプリロイドは一溜まりもないです。

ワイヤーもかなりの剛性がありますし……シグマめ……

 

「迷惑とか、人に怒られるって事は考えました?」

「ヒト?なにそれ」

「……じゃあ、ここで遊ぶのが本当はだめだった、怒られちゃいますってなったら?」

「えー!?やだやだ、怒られたくない!!」

「じゃあ……どうしたら良いと想う?」

「んー……ごめんなさい?」

「そうですね、一生懸命ごめんなさいしましょう。少し待ってくださいね、今最終仕上げしますから」

 

この子は全然更生出来る……なら、救わない手はない。

そして暴れる事が懸念されないなら最終仕上げしてもいい、マンドリラーと同じですね。

さて、流石に怪しまれるというか、職務質問とかされないか……

 

 

 

 

それにしても……この子のワイヤーはどうにか増設出来そうですね。

翼に増設するのも悪くはないかもです。




岩本テイストはちょっとあります
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