負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~ 作:シロツメクサ
ドップラー博士、研究者型のレプリロイドでありシグマの中に形成されていたシグマウィルスの発見者。
同じ様な研究者型レプリロイドは今の時点でも後年問題になる連中の名前を見かける。
レスキューとしての実績を積み上げていっているからこそ開示されたデータベースで今諸々チェックしている。
カウンターハンター事件の後処理はつつが無く終わり、上空をイーグリードとオストリーグの隊が飛んでいってたのを見かけた。
よしよし……と私としてはホクホク顔です。
ドップラー博士のシグマウィルス論文も発表されていて研究者には追加で資料を送るともあった。
純粋にレプリロイドのイレギュラー化を止めたいのが伺える。
抗体の開発にも着手していて完成までもうわずかと噂されている。
私もクロエの名前を出しながらデータ解析を担ってみることに……
これで後の暴走の原因になる偽の抗体ではなく真の抗体のデータを入手できれば後の……
そう、起こるかもしれないコロニー墜落事件やナイトメア事件への対抗策を握れる。
元がワイリー博士謹製の特注プログラム、それがさらにシグマの中で独自の進化を遂げた物……
解析は一朝一夕でなるものじゃないし解析出来たとして変異したプログラムを修正する為のパッチをどう当てるかは別問題。
ロボット工学の履修の為に一定のプログラム知識は身につけているけれども……はたしてどこまで通用するか。
少なくともがっつりとしたロボット用のAIプログラムを組み立てる論理は分かっても実践したことはない。
実務経験ゼロでいきなり高度なモノをっていうのが厳しい所ですが、やってみないことにはねぇ。
この抗体を独自に完成させるか……もしくはドップラー博士自身を殴って止められればドップラー事件は防げるかもしれない。
まぁそんな事したら私がイレギュラー扱いで処分対象にされかねませんけどね。
「……だぁーッ、ようやく問題ないレベルで再現が出来るようになりましたよォッ!!」
今私がやってたのはサーゲスから吸い上げたゼロの設計データから集中解析を行った動力炉の製造です。
費やした期間はなんと4ヶ月……コサック先生からのお題でもここまで掛かったことは無いのに……
まぁそれもそうか、教えるつもりで出している物と伝われば良い設計図では理解に至るまでのプロセスが段違いですよ。
ロボット工学のノウハウがあってこれなんですから全くもう……ワイリー恐るべし……
ロボット破壊プログラムに関してはそもそもが別口だったのかサーゲスの頭の中には無かった。
ゼロの根本的な対策が取れないのが歯がゆい……きぃぃ……
これをどうにかできれば後々のゼロの悩みを一つ根本から根絶出来るというのに。
かと言って今動いているゼロの頭脳回路を見せてもらうなんて到底無理な話ですし……八方塞がり。
ともかく問題は……シグマウィルス、あのウィルスによるイレギュラー化は修理だけではどうにもならない可能性が高い事。
ドップラー博士も研究中に感染、シグマに洗脳された経緯があったはず。
勿論これはあくまでケースの一つ、実際にどうかは分かりませんし……うーむ。
結局は実際にドップラー事件が起きてみないことにはどうなるか。
現実と前提知識は剥離して然りと見るべきですからね。
「ふぅー……この成功体験を糧にワイリーの技術体系を取り込んでいきたい所ですね」
私を構成している技術系統は主にコサック先生の物、第2としてライト博士の系統はあります。
だからまぁエックスも大なり小なりロックの直系なので応用を利かせられるとは思いますし……
大雑把に駆動系統から推測は出来ているので修理はできると思うんですよねぇ。
やっぱりネックはゼロですよ、がっでむワイリー……
「物語上でのドップラー博士は戦闘後正気に戻っていましたし……案外他のイレギュラー化させられた皆さんも殴れば元通りになったりして」
そういう意味合いではエックスにぶちのめされた後修理して影響の具合を見るのが良いのかもしれませんね。
今までとはイレギュラー化のメカニズムが違ってくるとは思いますので慎重にならないとですね。
ドッペルタウン設立は存外早く、ドップラー博士は人とレプリロイドの共存を実現するケースシティとしてドッペルタウンを設立しました。
レプリロイドの立ち位置というのにもメスを入れた……自治体単位ではあるものの人とレプリロイドが完全に同一ラインに立つことが明記されていた。
それだけだったなら大きな一歩……だったと思う。
権利が同列になったというのは自由も責任も同様に降り注ぐ。
傀儡とは言わせず、虐げているとも言わせない……真の平等がそこにはあった。
各所から優秀なレプリロイドが集められていき発展を遂げていく……その中に私も何故か含まれていましたとさ。
優秀な救助実績と非凡なプログラム解析、思想はすこし古いながらに非常に優れたロボット工学知識を買われての事。
教えが良いのでまぁ後半は当然でしょうよと胸を張りたい所ですが……まぁ、はい……
ドップラー軍の蜂起ですよ……私はドクター補佐として編入されたのでコレ幸いにとドップラー博士の研究データにアクセスしまして……
完成間近の抗体を発見、残りもうちょっとって所だったので完成させたんですが……一人正常だったのがバレて追いかけ回されるハメに。
まぁそれも途中で無くなって……侵入者、つまりはエックスとゼロの対応に追われ始めたって所です。
念の為にと自分のヘルスチェックをしましたがオールグリーン。
ウィルス耐性はボディ設計開発はコサック博士、中身は私……人間の成れの果てなんですからね。
ある意味では私も生まれながらのイレギュラーですからイレギュラー化しないってのも道理なんですよ。
まぁそれにですけど、データ見てみりゃ案外ロボットインフルエンザのデータが役に立ってるんですよね。
私が転移した時より前に発生したロボットが暴走する風邪……処方箋のデータもあります。
まぁ、完全に使えるわけではないのでやっぱり進化するウィルスは直で研究しないといけないんですよねぇ……はぁ。
ま、そこからは私の何時ものお仕事って感じですよ。
直して大丈夫そうならハンターベースに送って、鼻っ面が高いならボコして様子見、だめそうなら処分。
しかしまぁ……ゼロは本当に容赦なくスパスパと叩き切ってくれちゃってますねぇ……
「シュリンパーは完全に頭脳回路ごとすっぱりですから処置のしようがないですね……」
ゼロの思い切りの良さといいますか、容赦なさが出てます。
エックスがやった相手はまだ修理の施しようがあるんですけどね……
幸いな事にそこまですっぱりと行ってたのはシュリンパーだけで他はバスターで動力炉をぶち抜かれていたり……狙いやすい急所を一撃だったので……
それだけシュリンパーの言動がナウマンダーだったのか……ちょっと気になる所ですね。
いや……本当、ビームサーベルの威力が尋常じゃないですね。
後のゼットセイバーもこれくらい火力があると考えると恐ろしいことで。
結果から言えばやはりというべきか、イレギュラー洗脳されていた方々は修理後暫くすると正気を取り戻したんです。
グラビティビートブードはそもそも参戦フラグがへし折れているから居ないと思っていたら洗脳されていました!!
歴史の修正力というものでしょうかね……クソくらえですけど。
「兄ちゃんに見劣りしない弟、ビートブードってなりたくて……来たんだけど、暴れちゃったしやんなっちゃうなぁ……」
「まぁまぁ……イレギュラー化していたのは洗脳が原因ですから、ヒャクレッガーさんと同じですので」
「けどなぁ、兄ちゃんに顔向け出来ないや……あ、でも助けてくれてありがとうね、レスキューのクロエさん」
「いえいえ私は眼の前で罪のない命が散っていくのを見るのが大っ嫌いなので」
まぁービートブードさん始めとした集められていたレプリロイド達の人格者たること……
エックスやゼロに対しての恨み言一つ言う事は無いしなんなら止めてくれた事に礼を言いたいと……
シグマめぇ……絶対に許しませんよ、直接殴れたらぶん殴ってます。
まぁ、はい……私の怒りはどうでも良いんです、エックスとゼロが問題なくシグマをブチのめすことでしょうから。
問題は……ドップラー博士の命運です。
正気に戻れるか、戻った後のフェールセーフをシグマが仕掛けていた場合……
特に正気に戻ってもらっては困る相手がドップラー博士でしょうからね、あり得なくはない。
「もう行くのかい?」
「えぇ、ドップラー博士の所にカチコミに行きます……多分もうエックスとゼロの両名が大暴れしてる事でしょうから」
「そうだねぇ……ゼロ隊長は元からすごかったけど、エックスも凄くなっちゃって……俺のバグホールも何のそのって感じだったから」
「あ、そうです……後でそのバグホールについて……詳しく教えてもらいますよ、私もちょっと使いたいので」
「レスキューに使えるかなぁ?」
「使えますとも、瓦礫撤去にどれだけ役立つか……それに重力制御を物に出来たらそれこそレスキューの現場では……」
「そっかぁ……うん、なら俺が分かる範囲で教えるね」
ドッペルタウンの中心部、ドップラー研究所の方へと飛んでいく。
光線が飛び出していったり外から確認出来る爆発があったり……進行はしている様子。
爆発音の発生源の数からしてゼロは無事な様子ですね。
「ぐっ……キミは、クロエ君か……」
「正気に戻られた様子ですね、ドクタードップラー」
「キミにも申し訳ないことをしてしまったね……まて、何をするつもりだ」
「何を?愚問ですよ……貴方の修理です、それと完成間近だった抗体の投与もですよ」
「キミは……」
「貴方が死んではドクターケインも悲しみますので」
最奥まで行ってみれば全身ボロボロのドップラー博士の姿が。
戦闘用に改造した姿ですが……まぁ、その改造部分も分からないわけではないので修理は全然できます。
資材はそこらに転がっていた破壊されたメカニロイド達の残骸ですが。
これで応急修理くらいは出来ちゃうんですよ。
「さ、応急修理は出来ました、動けます?」
「あ、あぁ……」
「では後はエックスとゼロにまかせて我々は避難しましょう」
「まて、シグマは……あの存在は……!!」
「動力炉付近のコンピュータールーム……完成品があったのでは?」
「何故それを……いや、それは今はどうでも良い、都合良く見つけられる物か?」
「不安ならゼロに通信を入れてみては?」
まぁ、ハンター本部にも情報は流していますし、ドップラー博士が通信を入れるとスムーズに通った様で……
「ご自身に封じ込めて爆散、それで罪滅ぼし……なんてのはだめですよ?」
私の目的のためにも……貴方には絶対に生きていてもらいますので。
生きて、シグマウィルスの治療の第一人者として前線を張ってもらいますよ?
「さてさて……動力炉が完全に爆破されるまえにちょっと良いですか?」
「何だね、問診をしている時間は無いと思うが」
「研究データのバックアップ装置などはどちらでしょう?」
「そこのHDDラックがそうだが……まさか?」
「そのまさかですよ、ハンターベースで取り調べを受けた後の罪滅ぼし……その手助けです、ふふ」
レプリロイド一人とHDD装置を抱えてってのは中々ですが、私の翼はとーっても性能が良いので……
出来ることならナイトメアポリスの二人もと思いましたが……エックスとゼロが早すぎた。
遠ざかるドップラー研究所を背に……もしかしたらを自問自答し続けるしか出来なかった……
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