負けない愛が無かったなら作ってしまえ~いれぎゅらぁC~   作:シロツメクサ

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X4 クロちゃんのアンサー

その日、レプリフォースには悪夢が降り掛かっていた。

人類の走狗にして不祥事だらけの下位組織イレギュラーハンターによる襲撃ではなく……

たった一人の赤い機械天使により戦闘指揮を取っていた各部隊のトップを殴り倒されるという憂き目を見たのだ。

 

圧倒的な速力で接近してきたと思えば一般隊員の動きは全部見切られ拳一つで腕を殴り飛ばされ戦闘力を奪われ……

大火力で迎え撃とうとしたならば光学迷彩を有しているのかすり抜けられ……

リーダーが迎え撃つも4分後にはボコボコにのされて武装解除命令が下される。

どのリーダーもレプリフォースに正義があると信じ、頑なに投降を拒否したからだ。

イレギュラーハンターのやり方ではない、ハンターであれば容赦なく処分していくはず。

しかし女は拳一つ、破壊は最小限にとどめて侵攻していった。

 

ストームフクロウルは自分のテリトリーであるはずの空から殴られ叩き落とされる恥辱を味わった上。

ウェブスパイダスは絡め取ることもままならずワイヤーで捕縛された。

フロストキバトドスは自慢のパワーを発揮させること敵わず首裏の弱点を一撃で蹴り砕かれ停止。

スラッシュビストレオは突撃した所を盾で受け流された上で昇竜拳をねじ込まれてノックアウト。

 

どれも時間こそ少しかけられたが機械的構造や動きのクセというものを見極められた上で詰将棋のように戦闘力を奪いに行っていた。

最短で最適解として破壊するハンターではない。

思い悩むエックスの特徴でもない……残忍なイレギュラーでもない。

 

「軍人の生き方は死ぬことに見つけたりだァ!?じゃあその信念をぶち殺してやるッ!!命を粗末にして言い訳無いでしょうが!!」

 

暴力的な手段に訴えた救護であった。

赤いアーマー、見慣れたハズの可憐なオペレーターの顔をした暴力の化身……同じ天使は天使でも戦乙女、ヴァルキリーと揶揄されることに。

ヴァルキリー・レッド……レプリフォース内でそんな異名がつけられたのはクーデター組壊滅後の事だった。

 

 

 

 

 

 

あーしんど……流石に単独で動くには限度がある……ジェネラルを止めるのは流石に暴力じゃ止められない。

私の出力で殴ってもあのバカでかい身体の弱点はぶち抜け無い。純粋にデカイとそれだけ強度補強が頑丈になる。

まさかの天敵ってわけですよ……顔面張り付いてタコ殴りしても止められはしないでしょうしね。

やれるのはエックスやゼロ……目下大変なのは衛星軌道上の兵器、ファイナルウェポンをどうにかしないと。

多分だけどあの中にシグマが居座ってるでしょう?

反乱に乗じてあれこれやってそうなのよね……だからスペースポートからシャトルは一個拝借しないとだし、あの中の動力炉を緊急停止させる手段を入手しないと。

ジェネラルは……うん、私の大暴れを見て残存戦力を宇宙に飛ばそうとしている。

止める人員は居ないが……いや、居るたった一人だけ……イレギュラーハンターの内部に。

存在は確認していないけれどハンターベースに裏切り者のダブルがいる。

ビートブード君には連絡しているし動向は見ているだろうからぶちのめしたレプリフォース隊員が殺されるってのはないと思うけれど……やっぱり気になる。

特にアイリスに牙を向いた場合が私は怖くてならない。

ついでに……長官に物申したいし……行くか、ハンター本部

 

「気が進まないなぁ……」

 

こっちは非武装とはいえ、向こうは確実にこっちを破壊して止めに来るでしょ。

対応しに出てくるのだって多いでしょうし……どうしたものかなぁ。

全員相手してられないし私は顔が割れている……光学迷彩なんてのはバレるでしょうし。

何よりなぁ……私はアイリスが立ち塞がったら何も出来ない……!!

絶対に、手を上げることも出来ない……!推しに命令されたらワン!と鳴くしか出来ない……!!

いや、そんな事はしないでしょうけど……

 

「よっし……改造はこんなモノでしょうか……文献を色々見ていたらヤンマークのデータも取れたので反映しましたけど……どこまでやれるか」

 

私の一番のアドバンテージは……装備の設計開発者が私自身であること。

改造改良はお手の物、根本的なアップグレードが出来る点……

さて、これで目にもの見せて差し上げましょうか。

 

 

 

 

 

ドップラー博士の事件の後、第17部隊に無事に戻れた俺は任務に追われていた。

レスキューのクロエさんがイレギュラー嫌疑かけられてるのは……ショックだったけど。

そのクロエさんからあったメッセージ、ダブルには気をつけろって言うのを頭の片隅に入れていたんだ。

兄ちゃんも興味深そうに観察していたし何かあるのかもしれない、そう思ってたんだ。

 

「ケッ、甘ちゃんハンター共の中にも味があるやつが居たとはなぁ」

「お前っ……うわっ!?」

「だけどまぁすっとろい弱虫かァッ!!エックスを切り刻む前菜にもなりゃしねぇなぁ!!」

 

ダブルのヤツ、一瞬で変身したと思ったら俺達第17部隊の同僚を切り刻みやがった……!

気をつけていた俺は間一髪……それに俺自身はかなり硬い装甲を持ってるからなんとかなった……

けれど、どうしよう……変身したダブルのヤツ、早すぎて追いかけきれない……!!

バグホールを出そうにもそのスキすら与えてくれない……!!

 

「ギャハハハ!!無駄に固くて爪研ぎにはちょうどいいかもしれねぇなぁ!!」

「ぐ、くぅっ……」

 

だれかが気づくまで耐えきれるか……でも今皆レプリフォースの宇宙基地に向かうことに集中していて……!!

一矢報いたいけれど……!

 

「そろそろ飽きたな、トドメェ!!」

 

やられるッ……!!

 

「はァッ!?ぐッ、誰だァ!?」

 

恐る恐ると構えていた腕をどけると……そこに居たのは……

 

「外道に名乗る名前は無いよ、ダブル君」

「お前もエックスともども切り刻みてぇと思ってたんだよぉ……!」

 

盾を構えた天使の背中があった……赤い装甲、青く光る羽……マスク姿じゃなくなってるけど、間違いない。

クロエさん……流石に、これでイレギュラー扱いで捕まえるのは、無理……だなぁ。

隊長はスペースポートへ向かってる、本部に居るので戦えるのは俺くらい……ある意味、助かったかも。

 

 

 

 

ダブルの主兵装は両手の爪。

破壊衝動、裏切りの快感というものに染まりきった外道。

エックスやゼロの動向をシグマに垂れ流していた張本人。

取り入りやすい様に変身していた上ドジな新人を演じていた……液体金属ボディのレプリロイド。

 

「どうしました?攻めあぐねている様子ですけど?」

「チィッ、木偶の坊とは大違いだ」

 

可変なのはちょっと厄介ですが基本的な関節等の部分は変わらない。

狙う場所がずれる程度ですが……正直、純粋な戦闘力だけで言えばカーネルのほうが厄介ですよ。

強いて言えばあの液体金属を蹴っ飛ばさないように……って所ですか。

 

「あらら怖い怖い、っと……」

「チッ……」

「便利なモノですね、飛散した後にどう動くかプログラムしてるわけで」

 

流石に複雑な事はインプット出来ない様子ですが戦闘特化なら複数から狙うというのが強力になる。

自分から飛び散らせてあちこちから斬撃が飛んできたり砲台が出るんですからまぁー面倒くさい。

回避もしますけど、ちょっと胸元に掠っちゃいましたね。

奇襲もバッチリと……あの液体金属、レスキューに使えそうだなぁ……

 

「遊びはココまでだ!!デビルスラッシュ!!」

 

突っ込んできた、これはチャンス……!

向こうも時間は無いでしょうからね。

 

「あらら」

「ハンッ、甘ちゃんがァッ!?何ィッ……!?」

「貴方の思考回路もあらかた読めたので、こっちの出方を学習済みと思ってましたのでねぇっ!!!おねんねの時間ですよっ!!」

 

私の無力化プロセスは大凡割れている事でしょう。

カーネルに続いてドラグーン、レプリフォースの面々と大部分を弱点ピンポイントでぶち抜いてるので。

相手も分かりやすいでしょう……狡猾で残忍なコイツの事ならその為にブラフは混ぜてくるのは分かっていましたよ!!

かなり乱暴ですが……!!コア配線をっ……!

 

「ふぅ……」

「お、終わったのかい?」

「えぇ、あとはちょっと処置をしてから……ちょーっと長官の所に直・談・判してきます」

「あまり……暴れないで欲しいな、イレギュラー嫌疑がイレギュラー認定に格上げされちゃうから」

 

ビートブード君は隊長みたいに穏健で助かります。

ハンターとしてはちょっと微妙かもしれませんけど、ダブルも動きを見切られたらこの角で手痛いリベンジ貰ってたかと……

さて、軽く修理する前に……ダブルの処置をどうするか……とてもシンプルな事で二重人格で残忍な性格とドジの人格……どっちを残すかは明白。

元のドジっ子なら今後のハンター業務に良いでしょうし、エックスの好む性格という所もあります。

液体金属の形状記録も削除してしまい、シグマとの通信も出来ないように物理的に切除。

 

「うへぇ……」

「あんまり見ないほうが良いですよ、レプリロイドからしてみたらグロ画像でしょう?」

「いやぁ、鮮やかに迷いなくやるんだねって感心してるんだよ……修理の手際、ドップラー博士に匹敵しそうだよ」

 

お褒め預かり光栄ってね、真正面きって言われると照れくさいですね。

さて、液体金属もちょっと回収しまして……四肢はちょっと細工、動けないようにしてっと……

 

「再起動後のダブル君は何も覚えてないと思います……まぁ残忍な方が残っちゃっててもプログラム弄ってこの小太りボディ固定なので……」

「観察しろって事?」

「えぇ、経過観察をよろしくお願いしますね……では……」

 

おう長官、ちょっと話しようぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

長官も思う所はあったらしく証拠を精査する時間もないままにイレギュラー認定した事はまずかったと認めた。

そこはいい、メンツを重視してそもそもこれまでのイレギュラー事件で助けを求めなかったのはどうなんだよ……

って事でこっちもこっちでプライドが先行していたらしいので一発全力で顔面殴りました。

ただまぁ……ここで私の運の尽き、修理が終わったカーネル始めとしたレプリフォースの面々やオクトパルド達ボコした復帰ハンター組に取り囲まれてですね……

 

「とほほ……でもありませんか、当然ですよね……」

 

手錠をかけられた上で取調室に拘束ですよ。装備である翼ははぎとられてますか。

はてさて、ファイナルウェポンの攻防はどう転がったか……気になる事が多いですが……

地球が無事な所を見るにシグマの悪意は止められたと見ていいでしょう。

妨害はかなり削ったんですから当然それくらいはやってくれなければ……

後頭部にごすっと一発イイの貰って強制スリープ……起きたのがそれから9時間後なんですから。

 

「あーあ……取り調べは誰がやるんでしょうね……」

 

こういう所は描写されてなかったですし一般隊員がやるんでしょうかね?

それとも忍び部隊の面々でそういうのに特化した聴取のエキスパートみたいなのが……

おっと、扉のロックが解除されて誰かが入って来ますね、取り調べ開始ですか。

 

「……ヒュッ」

「お待たせしました、取り調べを担当しますアイリスです」

「同じく、エックスだ……素直に話してくれたらすぐに解放するから」

 

あばばばばばば、生アイリス……こっちを見た瞬間のなんとも言えない顔ぉぉぉぉうぐぅぉぉぉぉぉぉ……脳内ライブラリに保存しなければ。

すぅーふぅー……推しに取り調べされるなんてイベントはて天国かな?

 

「……大丈夫かい?」

「あ、ハイッ……」

 

挙動に出てしまっていたか、不覚……さて、応対しくじったらイレギュラー認定で処分ですかね。

 

「名前と所属は言えるかな?」

「クロエ、レプリレスキューの契約隊員です」

「……登録している顔と違うけど」

 

隣で応対ログを取ってるアイリスを見ると……興味ありでこっちを見返してるぅ……

全部は話せない!!ですけどっ……

 

「防護用のマスクを装着してましたので」

「……見れば見るほどアイリスとそっくりだけど、姉妹?」

「いえ、偶然の一致だと思います。要救助者を安心させる天使のような顔にデザインされた結果ですので」

 

あ、アイリスがめっちゃ顔を赤くしてる。可愛い、ガン見したい……!

理由としては本当ですもの、これはマジですから。

 

「今回の凶行はなんで……カーネルの怪我はキミがやったらしいね?」

「……見てられなかったからですよ、合法的に止められるならそっちを取ってました。けど一介のレスキューレプリにそんな権限は無いので」

「組織に掛け合うとかはしなかったのかい?」

「ヒラっていうか、ほぼ外部のレプリロイドみたいな所ありますので」

 

濡れ衣から始まった戦争なんて見てられるもんですかね。

色々手を尽くしましたけど結局止められなかったから……最終手段として絶対にカーネルは止める。

そして……できるだけレプリフォースの力を残したまま戦闘不能に持ち込んで……ドラグーンの自白、シグマの関与を表に引っ張り出して……

なるべく平穏な形で落としどころを作りたかったんで……

 

「暴力に訴えたのは最終手段だった、と」

「えぇはい、プライドとか鼻っ面が高いのは……そのプライドをへし折ってやらないと聞いてくれませんもの」

「それは……そうかもしれないね」

「はい、兄さんは私の言葉でも止まってくれませんでしたから……ゼロの説得でも、そうでした……」

「あそこまで頑固なのは初でしたよ……その、やりすぎたのは自覚してます、ごめんなさい」

 

まぁ十分に修理はされていると思いますけど、恨まれてないかなー……

 

「ハンターベースに提出されていた匿名の情報は……キミかな?」

「スカイラグーン墜落の件ですよね、あれは私です。ドラグーンボコボコにして放置したのも私です」

「……長官を殴ったのは?」

「えっ!?この人、そんな事まで!?」

「シンプルに決めつけでイレギュラー判定するのに腹が立ったんです、他に理由は無いですよ」

 

エックスは苦笑い、アイリスは信じられないモノを見る目……うっ、結構来る物がある……

はぁ……判決はどうかな、イレギュラー判定は無いと思いたいですけど。

保護観察処分か何か罰則がつくか……

 

「すぅー……殴る以外にあっただろ!!何を考えているんだキミは!!」

「グェーッ!?ぐぉぉぉ……まぁ、そう……かも……しれませんけど……」

 

た、隊長のゲンコツ……いったぁ……一瞬ブラックアウトしたんですけど。

ガチで殴ってますよね……ガイアアーマーとかではないノーマルエックスでこの火力……うぉぉぉ……

思えばマトモに食らったのはこれが初……

 

「最後に聞くけど……過去にあったシグマの反乱、カウンターハンター事件、ドップラー博士の反乱事件……現場で修理救護を行っていたのはキミだよね」

「いったたたぁ……えぇ、まぁ」

「なんで危険を顧みずに……そんな事を」

「イレギュラーだからと処分一択は酷いと思ってたんですよ……情状酌量の余地があるイレギュラーも居たんですから……ま、善意の押し付けですよ」

 

狂ってるって思われるか……エックスにとっては戦う以外に選択肢を求めていた事でしょうから、まぁ酷い話しでしょうね。

かなり表情が目まぐるしく変わるな……

 

「取り調べは以上だ」

「あの……私から個人的な事を……良いですか?」

 

アイリスから……はて、なんだろう?

 

「兄を止めてくださり……ありがとうございました、ゼロと戦って傷つけ合うなんて事にならなくて良かった……ぼっこぼこにしたのは……複雑ですけど」

「う゛ッッ……」

 

くっそ、笑顔のアイリス尊い……死ぬっ、しんじゃう……

 

「……俺からも、殺してしまったと思っていた同僚たちを助けてくれてありがとう……感謝してる」

「善意の押し付けって言ったじゃないですか……」

「ならコレは俺からの感謝の押し付けだよ」

「……さいですか」

 

取り調べは終わった、あとは判決が出るまで独房ですかねー……誰が連れて行くんで……しょぉ?

あ、ゼロ先輩じゃないですか、マジ?厳重ぅ……

 

「ソイツが……随分しおらしいな、レプリフォースを素手で片付けたとは思えん」

「……あの、さっさと連行してくれません?」

「フン……少しでも抵抗してみろ、叩き切る」

「しませんよぉ……あぁ乱暴に引っ張らないで……歩けます、歩けますから」

 

ま、恨まれるくらいでイイですよ……警戒して然りでしょうよ。

最愛のアイリスの顔した不審者なんですから。

 

「一つだけ聞く、なぜカーネルを止めた」

「……さぁて、理由は色々ありますけど……愛、でしょうかね?」




区切りが良いところまで書いたので許して!!!
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