1週間ぶりです。
投稿数=伸びじゃないのは理解してますが、読者が増えないのはなかなか堪えますね。
タイトル変えるのも視野に入れてます。
ともかく、ここから加速していきます。
お楽しみ下さい。
「...んぁ...」
目が、覚める。
時計を確認すると、現在の時刻はまだ早朝4時。
どうも早くに眠りすぎて起きる時間が早まったらしい。
「...あれ?」
半分起こした体に乗っかっている毛布に気が付きよく見れば、何故か私は寝落ちしたはずのソファではなくライセのいつも使用しているベットの上で寝ていることに気がついた。
おそらく、何度か起こそうとして起きなかった私をライセが運んでくれたのだろう。
「...うへ、やっぱりいた」
キョロキョロと見渡してみると、やはりというか、ベッドの脇に敷布団を敷いてライセが眠っていた。
私が寝落ちしたのが悪いんだから、わざわざベットまで運ばないでソファに放置して自分がベットを使えばいいのに...
なんて、優しいライセのできないことを考えながら静かに笑みを零す。
それと同時に、鼻がムズムズして小さくあくびが漏れた。
「ふぁ...少し目が冴えちゃったなぁ...少しだけお水貰うねライセ」
笑ったからだろうか。
少し冴えてしまった目を戻すためにも、今は少しの水分が欲しいと思い私はキッチンの流しで水を飲もうと静かにベットから抜け出し足音を殺してアパートには珍しい小さな寝室から抜け出す。
「...あれ、消し忘れ?」
そこで気がついた。
洗面所の方面から僅かに光が漏れている。
普段のライセなら気づいていてもおかしくないのに消えていないということは、私を運んでそのまま布団を敷いて寝てしまったのだろう。
時期的に日の出はまだなので、きっと昨晩からつけっぱなしなのだろうとか考えた私は代わりに消してあげようと洗面所に近づく。
ぼんやりと扉の隙間から漏れるオレンジ色の光がどこか暖かく私を導くような気がして、私はあくびしながら扉へと向かって歩く。
「...ふぁ...早く消して水飲んでもう一眠りしよぅ...」
かちゃっと洗面所の扉を開くと、足元に紙が落ちていることに気がつき、無意識にそれを拾い上げる。
そうして、何気なく拾ってしまったことを後悔した。
昨日、ハンガーを借りてかけた制服。
おそらく昨日寝ぼけながら歯磨きした時にでも制服にぶつかって落っこちたであろうそいつを、私は睨みつける。
『契約書』
よりにもよって、穏やかな今の時間にいちばん見たくないものを拾ってしまった。
そう思いながら制服のポケットに再び戻そうとするが、ふとそういえば未だに内容を確認していなかったことを思い出す。
「...くだらない...けど...」
『数日以内に、貴女の考えは大きく変わると思われますよ?』
やつの言葉が、脳内で木霊する。
四つ折りにされた契約書の端に手を伸ばすと、僅かに自信が震えていることを自覚し大きく深呼吸をする。
「...大丈夫。変わるわけない...危ないものは、確認しないと...。...よし」
呼吸を整え、私は契約書を開く。
カチカチと、嫌に壁掛け時計の音が大きく聞こえる中、私は契約書の内容に目を通した。
「...ふ、ざけてる...っ...!!」
契約書を握る手に力が籠り、クシャッと契約書にシワができる。
震える手から力を抜き、再び目を通す。
「.....」
正直、受ける気にはならない。
「...お水、飲んで寝よう」
契約書を制服のポケットに押し込み、洗面所の電気を消し、私は最初と異なり重い足取りでキッチンへ向かう。
...契約書のこと、ライセに相談するべきだろうか...
...でも、それは...
***
朝目が覚めると、ベットから落ちたのか気がつけば敷布団の中にホシノが潜り込んでいた。
「...落ちたのか?」
いや、布団を被ってるし寝てる時に人が落ちてくる衝撃に気づかないとは思えない。
おそらく1度目を覚ましてこちらに移動したのだろう。
普段はこういう時すぐに起こしていくら俺らの仲でも危ねぇだろと怒るところだが...
「...」
ぎゅっと、俺の服の裾を強く握るホシノ。
そんないつもよりどこか不安そうに眠るホシノを見ているとそんな気も失せ、俺はそっと彼女の手を解くと静かに布団を抜け出し朝食を作り始めた。
とはいえ、昨日の飯も残っているので料理を温めつつ少し米を炊くだけだ。
普段なら米が炊けるまでの間にホシノを起こしに行って、自分の準備も終わらせるんだが...
「...今日はもう少しだけ寝させてやるか」
今日は別に別室にいる訳でもないため、準備中に寝ないかいちいち確認に行かなくていい。
そう思った俺は、少し長めに寝させてやることにした。
...まぁ、わざわざ布団に潜り込んでくるくらいだし怖い夢でも見て夜中に目覚めたりでもしたんだろ。
そう考えた俺はできるだけ静かに準備を済ませ、いつもより20分ほど遅くホシノのことを起こすのだった。
***
「...あの、ライセ」
朝食の最中。私は口を開いた。
「どうした?」
好物だらけの食卓、いつもよりのんびりした朝の時間、大切な相棒との穏やかな時間。
全て私を癒してくれるはずなのに、今はどこかそれら全てが遠く感じていた。
「...その...今日おじさんオフじゃない?だから、少しアビドスのパトロールでもしよっかなってさ!!ほら、最近バタついてできてなかったでしょ〜?」
「あ〜...そういやそうだな...俺もついて行くか?」
「...いや、散歩がてら行くから平気だよ〜。」
...また、言えなかった。
言おうと思って口を開いたのに、また話題を変えてしまった。
...勇気が、でない。
「...」
「...ホシノ。」
「うぇ!?あ...な、なに?」
「...いや、何かあるならいつでも言えよ。...それと...そうだな。今はごたついてるから言えねぇが...ヘルメット団の件が少しでもマシになったら、昨日の話の続きをしよう。...そんときは、ちゃんと話すよ」
...なんで、今そんな話をするんだろう。
そんな思考を一瞬して、すぐに思い至った。
あぁ、そうか。私は今そんなに酷い顔をしているのか。
だから、ライセは先にそんなこと言ってくれたんだね...
「...うん。期待しとく。おじさんの話は...。...ごめん、もう少し...待って欲しい」
「あぁ、ゆっくりでいい。いつまでも待ってる」
ご飯は暖かい。
部屋の中の空気も、重い訳ではない。
だと言うのに、朝食を食べている間私たちの間にそれ以上の会話はなかった。
***
「...」
ライセを見送ったあと、私は制服を抱えて自室へ入る。
昨晩はライセの部屋に止まっていたからか、嫌に部屋の空気は冷たく淀んでいた。
バサッとカーテンを開けると、まだライセの後ろ姿が見える。
少し先を歩いているが、振り返る気配はない。
きっとライセなら私の視線に気づいているはずなのに、本当に私を信用して振り返らないのだろう。
「...ごめん、ライセ」
そんな相棒に申し訳なく思い、謝罪がこぼれる。
そのままライセが見えなくなるまで眺めていると、曲がり角を曲がる直前、こちらに振り向き大きく手を振ってきた。
やっぱり、気づいていた。
わざわざ手を振る辺り、心配するなって伝えてるのだろう。
...ごめん。
私はそんな相棒に手を振ることはなく、見えなくなる彼を見送ってカーテンを締める。
そうして寝巻きから制服に着替えると、私は玄関を開けてとある場所へ歩き出そうとして...
ピロン
スマホの通知オンに、私の足は止まった。
誰から、だろうか。
スマホを確認すると、ライセから一言だけメッセージが届いていた。
『言い忘れてた。行ってらっしゃい』
その一言が、心を抉る。
私は、今からこんな優しい相棒を裏切るんだ。
...でも...でも、どうか...許して欲しい。
これは、そんな優しい貴方を...守る、為だから。
メッセージを閉じようとして、他の人が並ぶモモトーク画面を眺める。
その中に並ぶ名前に、少しだけ目を奪われた。
【先生】
...相談、するべきだろうか。
黒服のこと、ライセのこと、契約のこと...
...無理だ。
大人は、信用出来ない。
黒服だろうが、先生だろうが...どうせ、同じなんだから...
そうして私はスマホを閉じ、歩き出す。
つぎは、メッセージは届かなかった。
***
1時間ほどだろうか。
歩いていると、目的の建物が見えてきた。
半ば砂に埋もれた、廃墟ビル。
だと言うのに、その一角には何故か灯りが灯り、エレベーターにも煌々と電灯が点灯していた。
私は迷わず13階のボタンを押すと、エレベーターはぐんぐんと上がっていく。
何故こんなに古びているのに機能が正常に作動しているのかは分からないが、不気味であることこの上なかった。
チーンという無機質な音が響き扉が開くと、窓のそばにあるデスクに目的の人物は静かに座っていた。
「...おや、随分とお早いご到着ですね。予想ではもう数日は待つと思いましたが...」
黒服。
昨晩、私に接触を測ってきた人物。
「...契約をしに来た。」
「...クックック...それは大変僥倖ですが...よろしいのですか?そちらの資料には書いてあったはずですよ?この契約に必要な条件が」
「条件は私の服従の意志と、私の神秘、そして...私の、アビドス高校の退学...そうでしょ。知った上で、来たんだよ」
「それはまた、どうしてです?」
私の発言を聞いて、黒服はくつくつ笑いながら幾度も質問を繰り返す。
そんな奴の態度が腸を煮えくり返らせ、私の口調は次第に激しさをましていく。
当然だ。
なんせ、この契約書には...っ!!!
「惚けるなッ!!...この契約を私が受けなかったら...この契約は次にライセに持ちかけると書いたのはお前だろッ!!」
「...クックック...」
***
「...はよー」
「あら、おはようございますライセ先輩♣︎...あれ、ホシノ先輩は一緒じゃないんですか?」
「あぁ、今日ホシノはオフだからな。色々あったしのんびり昼寝するからなんもないなら昼まで連絡すんなってよ。」
「なるほど♤了解です♪」
ホシノと別れて1人。
いつも通りに登校してくると、既に委員会室にはノノミがおり、ひとりで読書中であった。
「それにしても、今日も早いな。いつもこんな早くて無理してないか?」
「ふふ、ご心配ありがとうございます♪大丈夫ですよ、私も朝は得意なので、のんびり出てきたくていつも早めに出てるだけなので♪」
「...そうか。なら、あとは早朝の不審者に気をつけろってしか言えねぇな。もっとも、ノノミ相手にセクハラなんかしようもんなら蜂の巣だろうがな」
「えぇ、勿論です!そんなことする人にはお仕置ですよっ☆」
なんて軽く雑談しながら荷物を整理していると、ガラリと先生...とほぼ同時にアヤネ、セリカも登校してきた。
「おはよう2人とも。...あれ、ホシノとシロコは?」
「ホシノ先輩は今日オフなのよ。だからきっとどこかでお昼寝じゃないかしら。シロコ先輩は...」
「ん、私はここ」
「うわぁ!?お、おはようシロコ...!!後ろに立つのはびっくりするからやめて欲しいかなぁ...!?」
「ん...面白いから保証はできないけど善処する」
ワイワイと楽しそうに会話する4人を見つめながら、俺は1人今後のことを考えていた。
俺とホシノの時とは違う借金地獄。
後輩たちに、俺たちとおなじ苦しみなんて味合わせる訳には行かない。
1人考えていると、ノノミが俺の頬をぷにっと押してきた。
「...なんらよ」
「先輩、怖い顔してますよ〜?なにかお悩みですか?」
「...んや、なんでもねぇよ。金儲けの方法を探し中ってだけだ」
「あらあら。なら、みんなで考えないとダメですよ♪なんせ私たちはみんなでアビドス廃校対策委員会なんですから♪」
そう言うノノミが笑いながら目線を外す。
その視線を追いかけると、先生や後輩たちと目が合う。
...随分頼もしい後輩たちだ。
「...あ〜、そうだな。もっとも、今日は委員長のホシノはいねぇが...うし、ホシノが居なくても少しはやれんだぜって言うためにも頑張ってやるか!!」
そうして俺たちは意思を固め、ホシノの居ない対策会議を始めるのだった。
***
...結論から言うと特にこれといっていい案は出なかった。
だが...集まっていてよかった。
会議から1時間後。
アビドス繁華街にて黒煙が上がった。
如何でしたでしょうか。
面白いと思えましたら感想評価いただけると嬉しいです。
次回更新は10/28(水)です。
それでは、また来週。