昨日は投稿できずすみません。
大学終わりに友達と遊びに行って普通に投稿忘れました。
以降気をつけます。
遡ること、ほんの10数分前。
アビドス地区の繁華街にある柴関ラーメンにて、ゲヘナのお尋ね者である便利屋68は食事を始めようとしていた。
「へい!!お待ちどうさま!!芝関ラーメン並、4つ!!」
「キター!!いただきま〜す!!」
柴大将がラーメンを運んでくると、嬉しそうに声を上げてムツキが早速ラーメンに手を伸ばす。
「い、いいんですか?こんなにしていただいて...」
「おうよ。君ら、セリカちゃんのお友達だろう?なら、いっぱい食べて貰った方が嬉しいってもんよ!!」
ハルカがおずおずと聞くと、大将はキッパリとそう口にする。
そうして気持ちよさそうに晴れやかな顔で『んじゃ、まだ仕事があるんで俺は引っ込むが、替え玉が欲しかったらいつでも声掛けてくれよ!!』と言ってカウンターの中に引っ込んでしまった。
「...いい店だね。ほんとに。」
「だね〜!!ご飯も美味しいしこんなに大将さんもいい人で最高だよ!!」
「...で、ですが...その割にはお客さんは少ないですよね...」
「立地じゃない?アビドスって人居ないし」
ラーメンを頬張りながら3人はそんな会話を続ける。
なんとも平和な空間。
少し店の中は静かとはいえ、穏やかな空気に当てられて便利屋も普段のアウトローな空気を消して穏やかに食事を...と、思っていたが...
「...じゃない...」
「...?アルちゃん、なにか言っ――」
「友達じゃないわよ〜!!!」
先程から黙っていたアルが勢いよく立ち上がると、そう堰を切ったようにように声をあげる。
「ちょ、お店に迷惑...!!」
「どうしたのさアルちゃん...!!」
「どうしたじゃないわよ!!!ここのバイトの子とは友達じゃないじゃない!!むしろ敵対関係でしょ!?」
「そもそも、私たちは仕事でここに来てるのになんでこんなほんわかラーメン食べてるのよ!!?私の目指すアウトローは、こんなほっこりしたりしないわっ!!!」
アルのマシンガントークに気圧され皆が発言を控えるとアルはさらに言葉を重ねる。
「だいたい、悪いのはこのお店よ!!雰囲気はいいし、暖かいし、親切だし、料理も美味しいし、大将はいい人だし...!!こんなに雰囲気のいいお店が傍にあったら、アウトローになんてなれないのよぉ!!」
「...分かりました」
「へっ...?」
アルのマシンガントークがようやく途切れた頃。
アルの隣に座っていた小柄な少女はぽつりと言葉を零した。
その声にアル達の視線はその少女...伊草ハルカへ集まる。
「つまり...こんなお店は破壊するべき...ということですね」
「え...は、ハルカ?ちょっと待ってそれってどういう...」
アルが困惑しながら声をかける。
だが、それはあまりに遅かった。
ハルカの右手に、c4爆弾の起動スイッチが握られ、全員が一瞬たじろいだ。
「ちょ、ハルカちゃんそれ...!!」
「は、ハルカ、待っ――ッ!!!」
カチッ!!
瞬間、轟音と共にアビドス繁華街にて黒煙が上がった。
場所は、柴関ラーメン。
犯人は、便利屋68。
***
そして、時は現在へ戻る。
アビドス高校から、柴関ラーメンまでの道中。
「セリカ、飛ばしすぎだっ。ペース落とせ、先生が着いてこれてねぇ。」
「...だってライセ先輩...大将がッ...!!」
セリカは焦っていた。
自身のバイト先である柴関ラーメンが爆発した。
バイト先が無くなったとか、仕事が無くなったなんてどうでもよかった。
ただ、今の彼女の中にあったのは焦燥感と怒りだけだった。
柴関ラーメンの大将に、ヘイローはない。
店が吹き飛ぶほどの爆発を店の中で食らっていたのなら、一体どれだけのダメージを抱えているだろうか...
もしかしたら、もう――
そんな感じたことの無い冷たい焦燥感と、こんな荒事を起こした相手に対するグツグツと煮えたぎるような怒りだけが今の彼女の足を急かしていた。
そんなセリカ相手に、ライセは焦らず早る彼女の肩を掴み速度を落とさせる。
「落ち着け。...気持ちは分かるが、状況が分からない以上こっから全力で突っ走って向こうでろくに動けない...なんてことになったらシャレにならねぇ。」
「でも...今ここで止まらなかったら助けられるかもしれないんだよ!?」
「...あぁ、かもな。でも、それでお前が危なくなったら意味が無い。...無慈悲なことを言うが、守れるモンには限りがある。何が起こってるか分からない現状で、俺は今安否すら分からない柴大将と目の前にいて今後危なくなる可能性のあるお前らなら、俺は迷わずお前らを選ぶ。たとえ、柴大将になぜ来てくれなかったって恨まれてもな」
「ッ...!!!」
ライセがそういうと、セリカは表情を強ばらせて思わずライセの横っ面に拳を叩き込む。
その瞳には怒りが浮かんでおり、身近な人の命を切り捨てると言ったも同然のライセに強い怒りを感じているのは明確だった。
だが、同時に親しい先輩に手を挙げたことに動揺したか、手を出してすぐにハッとした顔をして数歩下がったセリカに、ライセは冷静に声をかける。
「ッ...少しは、頭冷えたか?」
「...ぁ...」
「謝罪はいらないからな。冷静になったなら、今はそれでいい。...今日はホシノも居ないんだ。無理はするな」
「...先走ったわ...ごめんなさい...」
「いいよ。俺もお前を傷つけた。おあいこだ」
少し先走ったせいで先生に付き添ってるノノミとシロコ、アヤネの姿は見えない。
おかげで殴られたことがバレなさそうで助かった。
そう思いながらライセはシロコたちと合流するまでの数分間、少しばかり昔を思い出していた。
『ライセには分からないよッ!!!私のせいで...先輩は...!!』
『...あの時、俺だってそばに居たっ!!お前が殺したって言うなら、あの時止めなかった俺だって同罪だっ!!』
『...ッ!!ふざけるなっ!!わからず屋ッ!!』
「...嫌な経験が生きたな」
「...先輩...?」
「...なんでもない。柴関に着いたら真っ先に大将を探そう。何があったかは知らねぇが...大将のことだ。ただ爆発を受けただけとは思えねぇ。きっと無事だ。」
「...そうね。そうよね。...シロコ先輩たちが来たらすぐに行きましょう!!」
「あぁ。そうだな。...次は、失いたくねぇからな...」
***
シロコたちと合流したあと、ライセたちアビドス廃校対策委員会は爆発現場へ急行し、到着すると現場に居たのは便利屋68だった。
「便利屋68ッ!!!」
「ん...?」
「これはこれは...柴関ラーメンのバイトちゃんにアビドスの子達じゃ〜ん♪」
「あんた達...ここで何してんのよ!!」
「くふふ〜♪なんだと思う〜?♪」
セリカの問いに煽るように返答を返すムツキに、シロコはキッと目付きを鋭くして質問を続ける。
「まさか...柴関ラーメンを爆破したのは...!!」
「...だったら、どーするの?」
シロコの問に、次に答えたのはカヨコだった。
その瞳は鋭く、敵対の意が強く感じられた。
「...それ相応の対応をさせていただきます!!」
ガチャリ...とミニガンをノノミが構えながら威嚇するとそれに対応してカヨコもサイレンサーの着いた愛銃をライセ達へ向ける。
「...こりゃ、今更誤解をとくのは無理かもね。向こうはやる気だよ社長」
「...タイミングはズレちゃったけど〜...どの道いずれ白黒つけないといけない勝負だし〜...ここでつけても問題は無い...そうでしょ?アルちゃん♪」
周りからの圧と味方からの期待の狭間に挟まれたアルは何を考えるのか、数秒固まった。
...だが、怒りでいっぱいのセリカからするとその数秒はあまりに長かった。
「...ちょっと、黙ってないで何か言いなさいよッ!!」
「う、うるさいわね!!...そうよ!!柴関ラーメンを吹き飛ばしたのは私たちよ!!」
「ッ...!!!」
一触即発。
だが、セリカの中にはまだ葛藤があった。
『柴関に着いたら真っ先に大将を探そう。何があったかは知らねぇが...大将のことだ。ただ爆発を受けただけとは思えねぇ。きっと無事だ。』
ライセの言葉が、未だに心の中で燻っていた。
あの4人の後ろの瓦礫の下に、大将がいるかもしれない。
そう考えたら、戦闘してる余裕なんて...!!
ガガッ!!
『大将を発見ッ!!無事を確認しました!!近くのシェルターに避難させた後、私たちもそちらに合流します!!』
セリカが躊躇い、戦闘を避けようとした瞬間。
アヤネから大将の無事が告げられた。
つまり...躊躇う必要は無くなったのだ。
安堵と共に、押さえ込んでいた怒りが心の奥からふつふつと湧いてくる。
ゆっくりと、セリカの中で意識が切り替わっていく。
冷静になるよう抑えていたものが溢れ、今にもその身を焦がさんとばかりに煮えたぎり、銃を掴む手に力が籠る。
大将は無事だった...ライセ先輩がついてるなら、もう危なくない...なら...今度は....ッ!!!
――大将の優しさを踏みにじったコイツらに、復讐をッ!!
「セリカ」
「...ごめん、シロコ先輩...!!冷静に...なれないっ!!」
「...大将は無事だった。なら...次は無法者たちの排除。つまり...冷静になる必要はない。」
「お仕置の時間ってことですね!」
ガチャリと3人が揃って銃を構える。
それに対して、鏡写しのように便利屋も銃を構える。
「...かかってきなさい!!」
「...行くわよッ!!」
ふたつの勢力が衝突する...と、思われたその時だった。
どごおおおぉぉんっ!!
空から風切り音とともに数発の榴弾が降り注いだ。
「けほっ...!!何...!?」
「砲撃です!!でも、一体どこから...!!?」
対策委員会の3人が困惑していると、近くからこちらへ向かってくる足音がふたつあった。
「皆、無事かい!?」
「先生!!アヤネちゃん!!」
「大将はライセ先輩が連れて行ってくれました!!もう安心です!!ただ...この状況は...!!」
アヤネが榴弾の飛んできた方向へ顔を向ける。
するとそちらの方向から続々と複数の生徒...とそれよりかなり前に出ている銀髪のツインテールの女子生徒が歩いてきた。
「先生、あれって...」
「...うん。ゲヘナ風紀委員会だ」
ゲヘナ風紀委員会。
キヴォトス三大学園の1つ、ゲヘナ学園に存在するゲヘナの風紀を守る委員会だ。
「そんな組織がなんでこんな所に...」
「それは私から説明してやるよ。」
ノノミが声をあげると、それに返事をするように銀髪の少女...銀鏡イオリは言葉を紡ぐ。
「私たちはゲヘナ風紀委員会。知ってると思うが、ゲヘナ地区の管理を行ってる生徒会の下部組織だ。んで、今日わざわざここに来た理由は...そこにいる無法者共を引っ捕らえに来た。」
堂々と歩み寄り、そんなことをこぼすイオリ。
それは他学園からすれば侮辱に等しい...が、交渉の苦手なイオリにはそんな考えなどなく、思うことをそのまま言葉にしているつもりなので、たちが悪い。
そんな彼女の言葉はやはり誤解され、その言葉にアヤネが言葉を返す。
「こ、ここはアビドス自治区ですよ...!?事前連絡もなしに戦闘行為は明確な条例違反です!!」
「...まぁ、そういうなよ。こっちも便利屋には苦労させられてるんだ。わざわざこんなとこまで足運ばされるくらいにはね。...わかるだろ?そんだけ苦労してきたんだ。協力してくれるよな?」
そう言って、まるでどけとでも言うように手を振るイオリ。
それに対して、シロコは逆に銃を握り直してイオリの前に立ち塞がる。
「...協力はできない。」
「便利屋68が問題を起こしたのは私たちのアビドス自治区です!!...それに、私たちの可愛い後輩ちゃんの大切な人を傷つけたのも...だから、この件は私たちが解決します!!」
シロコ、そしてノノミが声をあげる。
...だが、交渉は決裂。となれば同然...
「そうか...んじゃ、実力でどいてもらうだけだ!!」
イオリは犬歯を剥き出しにし、凛々しい笑みとともに銃弾を放つ。
単発式の狙撃銃から放たれた弾丸はアビドスの子達の銃とは威力が違う。
そのため対策委員会は回避行動を起こそうとして...
ガキンッ!!
という金属音とともに回避行動をやめた。
なぜなら...
「...爆発音が聞こえたんで、大将を置いて急いでアヤネの端末を追ってみれば...」
右腕のアーマーでイオリの銃弾を明後日の方向へ弾き飛ばし、シロコ立ちを庇うように立ちはだかるライセが到着したからだった。
「何がどうなってんだ、こいつは」
次回はVSゲヘナ風紀委員会となります
お楽しみに。