ヤンデレ逆行プレナパテス(女)に愛されて夜も眠れない! 作:nalnalnalnal
「あの……そろそろ離してくれませんか」
「……もう少し、こうさせて」
「でも、見られてますけど」
「知ってるよ」
遂に見つけ出した"彼"を強く抱きしめていているといつの間にか廃墟の中に多数の人気が集まって来ていた。
その正体は私は既に理解していた。何故ならこの時点での彼は──
「り、リーダー!? 女ができたんすか!?」
「い、言ってくださいよ! それならせめて諦めがついたのに……!」
「しかも大人っすか!? 年上がタイプなんすか!?」
「くっ、なんじゃあのプロポーションは……胸でけぇ……」
──遡行の悪い生徒達が他党を組んでいる不良武装集団、通称『ヘルメット団』の最も位の高い地位にいた子なのだから。
おまけにヘルメット団員の生徒達も彼のことを好いているのが殆どの割合を占めていて──これから私の恋のライバルになる子達だ。
以前もそうだった……何度ヘルメット団の子達と彼を巡って争ったことか。
あっ、バレンタインとかクリスマスの話で本当に争った訳じゃないよ。
しかし、そうか……もし仮にこの世界が私が経験した過去の世界と言うのならば、同じ行動を繰り返していては結局結末は同じだ。
ならば行動を変える必要がある──ヘルメット団の子達が好反応を示すかどうかだけれど、やる価値はある。
以前は彼からの要請で
「……」
「……えっと……?」
思い立ったら吉日と言う為即行動に移そうとしたのだが、不意に彼の顔を真正面から見ればとても健康的な肌艶の良さや唇がぷるんとしていて可愛らしさを目の前からぶつけられてしまう。
不味い。今の私の視界には彼の唇しか映っていない。このまま見続けてしまえば唇を奪って舌まで入れてしまいそうだ。
ここいらで一旦離れて……彼等と話をしよう。
「コホン……えっとね、君達に少し話があるんだ」
「話……?」
「うん。単刀直入に言うね──皆、シャーレに来ない?」
***
「良かったんですか? 俺達にこんな支援までしちゃって」
「今更じゃない? もう
「いや……凄いんですけど、赴任して数日で
「他の子達にも早く居住区を与えてあげたいんだけどね……」
「どっからその資金が湧いてるんですか……?」
「企業秘密……だね」
彼等と話をしてから数日が経過し、シャーレはヘルメット団の子達で賑わっていた。
その話というものは単純明快──シャーレの業務や奉仕活動をする代わりに、衣食住を与えるというもの。
私が住んでいるD.U地区周辺の土地も買い取り、ヘルメット団員の子達の為の居住区を建設中だ。
それまではシャーレで寝泊まりすることを私が許可した。
ヘルメット団員の子達が案外すぐに了承してくれたのには驚いた。まぁ、それはひとえに彼の人望の厚さや根っからの優しさが起因しているのだが。
人望が厚すぎるのには少し嫉妬してしまうけれど……私は彼女達よりも一歩踏み出している。
それは何故か──
「あと──何で俺の家は先生の家なんですか」
「大丈夫だよ。一緒に温かい家庭を築いて行こうね」
「……?」
私は既に彼と同棲を始めているのだ。
半ば無理矢理彼の家を私の家にして何度か添い寝したこともある。
その過程で彼は全く抵抗という抵抗をしないものだから少しイタズラ心が湧いてしまって頬ずりやハグをしながら寝たりしていた。
これで私のことを少しでも意識してくれる筈──襲うんじゃなくて、彼からの愛を貰ってこその幸せなんだ。
それで、シャーレに住んでいる子達だけど……余りにも私に対して彼等が協力的すぎるということを思う人もいるかもしれない。
だけど本当に彼の存在がヘルメット団にとって大き過ぎたんだ。
とは言っても、彼からの好感度が低かった訳ではない。元来の性格が人を嫌うようなものではないのもあるし、ただ雇われて生活の為に、何よりヘルメット団の子達に少しでも満足できる生活を送ってもらう為に彼は戦っていた。
だからヘルメット団の子達は彼を信用している。そしてそんな彼が団員の子達に私を信用してもいいと働きかけてくれたお陰でスムーズに事が運んだ。
恐らくはシャーレが連邦生徒会長が作った部活であることを確認し、以前までの連邦生徒会長の手腕があってこその信用なのだろうけど……本当に人を疑うということをして欲しい。
彼以外の団員達はしっかりと警戒してくれているのが救いだけれど……
『……先生。アンタのことはリーダーが信用してるから、私達も今は信用してる……って体でやってる。でもな──リーダーの優しさにつけ込んで妙な真似をしようものなら、アンタのことを撃つ。全員、その腹づもりだ』
『リーダーは優しすぎるんだ……今までだって、依頼人がどんな悪人であれ信用してしまってた節もある。そもそもあんな優しいリーダーが無理して戦う必要だってないってのに……だから、リーダーを安心させてくれ。それだけが私達の願いだ』
『本来なら人を撃つことすらリーダーは躊躇うほどそもそも戦闘に不向きなんだ。私達だって止めなきゃいけないのに……それでもリーダーは戦うことを選んだんだ。だから先生。リーダーをこれ以上追い詰めないでくれ……皆あの人がいなくなったら、生きていけないんだ……』
ヘルメット団の子達も、彼も──
……この世界では何があっても守り抜く。
そして──彼と添い遂げ、皆が幸せになれるようなエンディングを迎えるんだ。
っと、少し話が逸れたね。
それで、資金源の話なんだけど……まぁ、その、何と言うか。
まぁ、単刀直入に言えば株ってやつだね。
実を言うと以前にも興味本位で株をやったことがあるのだけど悉く失敗してね……何度ユウカやリンちゃんに叱られたことか。
まぁ、以前の株の上昇傾向や下降傾向は覚えているんだよね。記憶力には自信があるから。
お陰で中々の資金を得ることができて……それは全てヘルメット団員の子達に使うつもりだ。
でも資金も無限じゃないからね。知識があるとは言え大損するリスクはいつも付き纏っているのだから集中していこう。
「……あっ、もうこんな時間だね」
「ですね。あ、俺皆にご飯分けて来ますよ」
「じゃあ私も手伝うね。それで……全部終わったら、今日も一緒に、寝よっか」
「あ、はい」
***
「それじゃあ、私達は帰るね」
「皆、また明日」
「いや何普通に二人で帰ろうとしてんだ」
「リーダーマジで同棲してんすか……」
「わ、私の方が先に好きだったのにぃ!」
「な、何で卑劣な野郎だ……住む場所をくれたのはありがたいけど、リーダーのことは譲れねぇよ……!」
「ずるいぞ先生ばかり! 大体先生と生徒っていう関係には一線を引くべきだろ!?」
「そうだそうだ!」
「大体私達の方がリーダーのことをよく分かってる!」
彼女達の言うことは至極真っ当な意見だ。彼の優しさにつけ込んでしまっている私が、どれだけ醜くて卑怯かなんてとっくのとうに理解している。
だけど私は魅了されてしまったんだ。彼の魔性の魅力に。
──だから、少しは許してね。
「皆──キヴォトスでは、先生と生徒の恋愛は犯罪じゃないんだよ」
「おいとうとう言いやがったぞ! 許すまじ先生!!」
「よくないっすよねそういうのはぁ……犯罪じゃなくとも弁えるモンがあるでしょうよ!」
「リーダーからもなんか言ってやってくれ!」
──恋愛以外のことでも同じ。時は私達を待ってはくれない。
──ハヤイモノガチナンダカラ。
──生徒相手でも、彼は絶対に──ユズラナイ。
「……いや、皆とだって一緒に寝たことはあるでしょ。一緒に寝ることの何が問題なの? 寝付きが悪くなるとか?」
『……』
ふふ……こういう純粋で、何も知らないところは心配するべきところなのだけど──可愛らしい。愛おしい。狂おしい程に。
だから何があっても彼を穢させない……それが例え生徒であったとしても。透明な彼を染め上げるのは──私なのだから。
だから、少しずつ、理解していこうね。
私が全部──オシエテアゲルカラ。
ちなみに私は株とか全く理解してないのでだいぶガバガバなのは理解してます。
み、見逃してください……