校内放送をした翌日の昼休み、早速3バカを始めとしたDクラスの人たちがぞろぞろと教室を訪ねてきた。
おいこれ8人もいるくね?仲良く借金しに来ましたってか?あと半月の振込ぐらい待てねぇのかよ。というか10万使っておいて更に何買うつもりだよ。
「俺は池寛治。木透だよな?俺達ポイント借りに来たんだけど」
「ここにいる皆様は契約をご希望ということでよろしいですね。では説明させていただきます」
はい、ここで普通にタメ口を使うのではなく、敬語で話して距離を取っておきましょう。
理由はどこまで言っても性根が小市民の私は、少しでも仲良くなった人から搾取することになったら、かなりの精神的ダメージを負ってしまうからです。
昨日辺りまで真面目に龍園とかに業務代行依頼しようかなとか考えてたもん。
自分で言ってても情けなくなってくるなぁ…
ならこんなことするなって?うるせぇ!この学校じゃ勝たなきゃゴミなんだよ!
「基本的に融資額の上限は最初は20万で統一です。返済実績などを積み上げると上限が上がります。返済期限日は再来月の1日までです。プランは2通りあります。1つ目は利子が無い代わりに、返済期限を過ぎたら自主退学。2つ目は利子が複利で10日1割。契約の際にはこのどちらかのプランを選んでもらいます」
あ…怪しすぎるぜ…
第一、退学の方は期限内に返済できたらデメリットがまったく無いとか、貸金業として成り立ってすらいないぞ…
こんなの現実社会での取引だったら絶対に裏がありそうで怖すぎて誰一人契約しないよぉ!
だが!この学校で月10万(幻想)に浮かれてるDクラスの人になら、きっと通る!通してみせるぜ!
内容を伝えたらおっぱいランキングこと池寛治が質問してきた。
「利子がある方は理解できるけど、自主退学っていうのはどういう意図があるんだ?」
まあ疑問に思うよな。もちろん言い訳は用意している。
「融資する側は、確実にポイントを返してもらえるという確証が欲しいんです。高い利子も、自主退学も、確証を得るには十分じゃないですか?」
冷静に今の俺の言い分を聞いたら「お、おう。なんか必死で草」みたいな感じで、まだ到底納得できるわけがない。
確かに自主退学を条件にすれば必ず返済するだろうが、そうだとしても利子をなくす理由がまったくない。
ただ一時的にポイントがどっかに移動するだけだ。なんの利益もない。ということはポイントは重要でなく、自主退学を利用することを目的としていると誰でも考えつく。
なぜ利子をゼロにしたのかについて質問してくるだろうが、言い訳は用意できている。さあ!来るなら来い!
「わかった!じゃあ自主退学の方で金を貸してくれ」
……何……だと………?
あ…頭の弱ぇヤツなのか……?
いや…違う!池がニヤニヤしている!!なぜだ?俺は何を見逃している?
あ、そうか。俺はこの契約の目的が退学をちらつかせての生徒の奴隷化だということを前提に考えているから、契約の違和感に気づけただけ。おそらく目的を金儲けだと勘違いしているDの生徒達は、退学の方の条件を、法外な利子の選択を飲ませるための罠だと思っているのか!
いやー、相手の視点で考えることは大切だってはっきり分かんだね。
まあ、そういうことならここはノッてやるか。
「いいんですか…?返済が遅れたら退学になってしまいますよ…?」
「俺は気づいたぜ!お前の目的はこの自主退学で俺達をビビらせて、高い利子を押し付けることだな!」
はい!今です!ここでアドリブを入れましょう。
「チッ…気づいたか。まあ今回は俺の負けだな。さっさと契約するぞ。その代わりこれは貸し一つだからな」
こうして口調を変えて素の性格を見せることで、池の言っていたことが正解で、見破られたから本性を表して観念したかのように見せかけます。
何やらDクラスのみんなが騒いで、池を持ち上げているようです。そりゃ彼らからしたら、相手の企みを見抜いて、実質デメリット無しのポイント前払いを受けられるようにしたんだから(なお実際の来月のポイントはゼロ)池はかなりのお手柄ですよね。
普通に考えたら2ヶ月待てば20万は手に入るんだから(なお実際の来月のポイントはゼロ)今ポイントを借りる必要はないけど、勝利ムードと一瞬でまとまったポイントが手に入るという高揚感が、冷静な思考を邪魔しているみたいです。
「いやー俺すごいかもなー!今回は俺の手柄で完全勝利じゃん!」
「はいはい。じゃあ全員希望金額と名前を契約書にサインしろよ。俺が金欠になっちまうからなるべく早く返しやがれ」
だ…駄目だ まだ笑うな… こらえるんだ… し…しかし…
「わかったわかった。はい、これで全員書いたから、早くポイント送れよー」
ということで!あの後数日経って、最終結果Dクラス12人、Cクラス4人と契約を結びました!
疑ってきたやつも、「高育に入れる優秀な人達に、できるだけ恩を売っておきたかったんです」とかおだてたら、気分よくして引っかかった。
ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな?心がチクチクするぜ…
ちなみに俺のところに来たDクラスの人は全員もれなく契約したし、借りれるだけ借りたれ!の精神で20万借りていきました。
Cの4人は典型的なドパガキで、契約書をちょっと難しい言葉で長めの文章にしたら、何も考えず自主退学の方で署名してくれました。
まあCの人は一ヶ月で1000ポイント落とすとかいう激ヤバクラスと違って、普通に支給されるポイントで返済できちゃいそうなので意味ないんですけどね。高利子の方に誘導すればよかったかな?
他の生徒も、なんなら冷やかしとか含めるとAクラスの人達とかも結構来たんですけど、みんな流石に怪しすぎて帰っていきました。
この怪しい契約に引っかかる打率100%のクラスがあるってマジ?
あとBクラスの人には普通に貸してあげました。ナカマ、ダイジ。
はぁ、5月1日になったらDクラスは阿鼻叫喚だろうなぁ…
5月1日、星之宮っちがポイントやらなんやらの仕組みについて話して、各クラスのポイントが発表された。
Aクラス 940
Bクラス 830
Cクラス 490
Dクラス 0
ゼゼゼ、ゼロ!?WWW
物語として読んでたときにはよくわからなかったけど、実際に体感してみてこの一ヶ月に1000ポイント落とすのは相当に頭おかしいと実感できた。
Bクラスは月の半ば辺りから授業態度を改善したとはいえ、普通の高校と同じぐらいの居眠りとかはあった。それで800を超えるポイントだぞ。暴力王国のCもほぼ500だぞ。
な…何をしたらこうなるのかさっぱりわからない。契約のときは心が痛んだけど、結構自業自得だな。
あとは希望進路の特権はAだけだとか、色々話してた。
クソが…前から思ってたが、そういうの普通入試説明会で話すよな…
この学校にムカつきすぎて、どうにかして痛い目に遭わせれないか考え始めてしまったぞ…
普通だったらこれを聞いた生徒が先生を問い詰めて、それに対して先生が「ようこそ、実力至上主義の教室へ…」とか言ってタイトル回収して第1話のエンディングに入るんだろうが、Bクラスは一之瀬&神崎の説明があって心の準備ができていたし、かなり現実的にAクラスに勝つことを考えられるようなクラスポイントの差だったので、みんなかなり冷静だった。
俺がDクラスの生徒だったらこの時点でAクラスでの卒業は諦めて、チマチマ小遣い稼ぎして楽しく学校生活を送ることにシフトすると思う。
朝のホームルームが終わったら、早速何人かの生徒がBクラスの教室を訪ねてきた。
「ごめん木透くん!僕はDクラスの平田、ちょっと今時間いいかな!」
お、平田くんと櫛田ちゃんと…借金ボーイズ&ガールズじゃん。
堀北さんはいないのかな?リーダーになろうとしてそうだったから来ると思ったんだけど。
あ、このときの堀北さんは馬鹿が退学するなら自己責任。無能は切り捨てるわみたいなスタンスだったんだっけ?
「Dクラスの生徒と結んだ契約について話がしたいんだ!」
まあそうなるよね。もう準備してますよ〜。
「ああ、来ると思ったよ。20万×12人で240万。今月1ポイントも得られなかった君たちが、来月1日までにそれだけ集められるわけがないもんね。じゃ、この新しい契約書クラスに持ち帰って話通してね。もう授業始まるから、またねー」
あ…危ない。借金組の、特に女子の顔を見てると罪悪感に押しつぶされそうになっちゃう。
やっぱ龍園に業務委託するか?いや、クラスの利益考えるならBの人がいいな。神崎とかどうだろう。
「こ…これは…」
平田くんが契約書を見て絶望してますね。もう肩の力抜けよ…苦しいだけだぜ平田…
内容は
1.今後Dクラスは獲得したクラスポイントを全てBクラスに渡す
2.今後Dクラスの生徒は獲得したプライベートポイントを全て木透明に渡す
3.今後Dクラスの生徒は木透明の指示に全面的に従う
4.この契約は現D,Bの両クラスの順位が変動しても続く
みたいな感じだ。ふっかけすぎだろ!!!いい加減にしろ!!!
しかもDクラスが気づくかわからないけど、自主退学の契約を破棄するとはどこにも書かなかった。
まあもちろんこの激ヤバ契約が全部通るとは思ってない。
けど言うだけなら自由なのだ!1〜3のどれか1つでも通ったら俺の勝ちなんだよ!なんなら契約破棄が盛り込まれていないことにさえ気づかれなければ、他にいくらでもやりようはあるんだよ!
いやー借金組の人数が過半数の20人に達してたら、退学許さないマン平田と八方美人櫛田含めて多数決のゴリ押しで契約させたけど、流石に無理だったなー。
「き、木透くん…これは流石に、借金に関係ない生徒が…」
「確かに借金してない人は可哀想だね、櫛田さん。けどここで条件を飲まずに12人が退学になったらどうする?ただでさえ実力が下なのに、圧倒的に数が足りない状態で上位3クラスと色々な試験で戦えるの?まあ全部の条件通せとは言わないからさ、それなりの誠意を見せてね。ほら、帰った帰った」
Bクラスのみんながすごい顔で俺のこと見てくる…俺だってDの真面目な生徒には悪いと思ってんだよ?
スマソ平田…スマソ櫛田…見逃してくれ高円寺…見逃してくれ綾小路…
けど今回に関しては綾小路が本気を出したとしてもどうしようもない領域に入ってるから大丈夫だろう。
借金をどこかのクラスに肩代わりしてもらうとしても、Aクラスは派閥闘争が激化し始める頃だろうから葛城・坂柳両派閥とも他クラスを支援する余裕はないはず。
Bクラスは仲間意識が強いから、最終的には俺の意見を聞いてくれるだろう。
Cクラスは龍園がカツアゲ祭りしまくればクラスのポイントを効率的に集められるかもしれないけど、そもそも月4万9000ポイントじゃ全額集めてもギリ足りないし、詳細を知らない案件に首を突っ込むタイプじゃないだろうからセーフ。
つまりDクラスはもうどこにも頼る相手がいないんですよね。
俺が
高育に入学してから、やることなすことうまくいってる気がするな。
後は最終的にどんな契約になるかの結果を楽しみに待つだけですな〜。
南雲「何やら1年で面白いことが起きてるらしいな」
次回 大ガバ主人公、全力でリカバリーする。