翌日。
出勤して早々、俺はヴェリナに呼び出されていた。
外計局の会議室。
いつもの席にはヴェリナとノルムーがいて、机の上にはいくつかの資料が並べられている。
昨日まで休暇だった人とは思えない。
「おはよ、ヴェリナ」
「おはよう、アステル。座ってちょうだい」
「もう完全に仕事モードだな」
「休暇は昨日で終わったもの」
ですよね。
昨日、予定なんて決めずに歩くのも悪くないと分かったばかりなのに、今日はもういつものヴェリナに戻っている。
まあ、仕事の日まで予定を捨てられても困るけど。
「それで、何かあった?」
「ええ。昨日の夜、新エリー都側から正式な連絡が入ったわ」
ヴェリナが手元の資料をこちらへ滑らせる。
受け取って目を通す。
資料には、ロスカリファへの入境予定者が記されていた。
その中に、見覚えのある名前が二つ並んでいる。
「……リンとアキラ?」
「知っているのだ?」
横からノルムーが覗き込んでくる。
「知ってるも何も、新人研修で新エリー都にいた時に世話になったんだよ。プロキシの兄妹だ」
ついこの前もリンと一日遊んだばかりだ。
まさか数日後に仕事の資料で名前を見るとは思わなかったが。
「そのプロキシ兄妹と同行者について、ロスカリファへの入境が正式に許可されたわ」
「こっちに来るの?」
「ええ。本日到着予定よ」
俺はもう一度資料を見る。
リン。
アキラ。
そのほかにも、見覚えのある名前がいくつか並んでいた。
数秒考える。
「……あいつら、今度は何に巻き込まれたんだ?」
「今度は、とはどういう意味なのだ?」
ノルムーが眉をひそめる。
「いや、新エリー都にいた時も色々あってさ」
「色々?」
「説明すると長い」
「なんなのだ、その雑な説明は」
ノルムーが不満そうな顔をする。
ヴェリナは俺と資料を見比べてから、静かに口を開いた。
「あなた、彼らとはかなり親しかったのね」
「まあな。普通に友達だよ」
新人研修で新エリー都にいた頃。
Random Playには何度も遊びに行ったし、リンやアキラとは三人で出かけることもあれば、どちらかと二人で出かけることもあった。
研修が終わってからは、顔を合わせる機会も連絡する回数も減った。
それでも、付き合いが切れたわけじゃない。
今でもRandom Playへ普通にビデオを借りに行くし、ついこの前だってリンと一日遊んだばかりだ。
ヴェリナはそれ以上追及せず、資料へ視線を戻した。
「今回については、リンさんの治療も目的の一つよ。それ以外にも、新エリー都との協力関係を広げる動きがあるわ。外計局もその調整に入ることになるでしょうね」
「リンの治療?」
思わず聞き返す。
ついこの前会った時には、そんな話は聞いていない。
少なくとも俺には、普段と大きく変わったようには見えなかった。
「詳しい状態については、算枢局で改めて確認することになっているわ」
「そっか……」
何があったのかは分からない。
ただ、わざわざロスカリファまで治療を受けに来るというのは少し気になる。
この前会ったばかりだからこそ、なおさらだった。
「ノルムーには現地の案内を任せるわ」
「任せるのだ!ロスカリファの素晴らしさを骨の髄まで叩き込んでやるのだ!」
「観光案内じゃないからな?」
「分かってるのだ!」
本当に?
「アステルには外計局側の連絡調整をお願いするわ。ずっと彼らに同行する必要はないけれど、何かあれば対応できるようにしておいて」
「了解」
つまり、顔を合わせることくらいはありそうだ。
この前は新エリー都で別れたばかりなのに。
今度はこっちか。
◇
昼前。
仕事で算枢広場の近くまで来た俺は、遠くから聞き覚えのある声を聞いた。
「すご……!」
足を止める。
まさかと思って声の方を見ると、案の定だった。
リン。
その隣にはアキラ。
さらにビリーとシーシィア。
先頭では、なぜか胸を張りながらノルムーが歩いている。
来たか。
「おーい」
軽く手を上げる。
最初に気づいたのはリンだった。
「……え?」
目が合う。
一瞬止まったあと、リンの目が大きく見開かれた。
「アステル!?」
「この前ぶり」
「なんでここにいるの!?」
「なんでって、職場だから」
「職場!?」
随分と驚かれた。
そういえば、新人研修で新エリー都にいた頃も、仕事の詳しい話はほとんどしていなかった。
ロスカリファのことも、外務計策局のことも、当時の俺から話せる内容じゃなかった。
「聞いてないんだけど!」
「言えるわけないだろ。秘密の空島だぞ」
「それは……そうだけど!」
リンが納得しきれない顔をする。
その横でアキラが少し笑った。
「なるほど。研修が終わってから連絡が減った理由は、ここへ戻っていたからか」
「まあな」
「まさかこんなところでまた会うとは思わなかったよ」
「俺も数日前までは思ってなかった」
「おいおい、ちょっと待ってくれよ!」
今度はビリーが大きく手を上げる。
「店長たちだけで盛り上がんなって!アステル、久しぶりじゃねぇか!」
「ビリーも元気そうだな」
「当然よ!このスターライト・ビリー、場所がどこだろうと絶好調ってワケだ!」
相変わらずだな。
「アステル久しぶりじゃん!」
今度はシーシィアがひょいと手を上げる。
「久しぶり、シーシィア」
「いや~、こんなとこで会うとは思わなかったわ。ていうかさ」
シーシィアが俺を上から下まで眺める。
「アステルって、ここで働いてたの?」
「まあな」
「聞いてないんだけど!新エリー都からいなくなったと思ったら、秘密の空島にいたとか予想できるわけないじゃん」
「だから言えなかったんだって」
「え~?一言くらい匂わせてくれてもよくない?」
「匂わせた時点で怒られるだろ」
「そりゃそっか!」
シーシィアがけらけら笑う。
「でもヤバくない?新エリー都で普通に会ってた知り合いが、実は秘密の空島で働いてました~って。ドラマなら絶対途中で正体バレるやつじゃん」
「設定みたいに言うなよ」
「だって設定盛りすぎなんだもん」
「俺に言われても困る」
「でもちょっとカッコいいじゃん。あーしなら絶対一回くらい自慢するけど」
「だから怒られるって」
「はいはい、真面目~」
軽い調子も相変わらずだった。
リンを見る。
「それにしても、ほんとに来たんだな」
「うん。私もまだちょっと実感ないけど」
リンが辺りを見回す。
初めて見るロスカリファの景色。
新エリー都とは何もかも違う。
ついこの前までホビーショップでフィギュアを抱えていたやつが、今度は秘密の空島で目を輝かせている。
忙しいやつだ。
「アステル!貴様、仕事中じゃねーのだ!?」
ノルムーが俺を指差す。
「仕事でここ来たんだよ」
「なら邪魔すんじゃねーのだ!今はノルムーが案内役なのだ!」
「はいはい」
「というかノルムーっち、さっきから案内っていうか自慢ばっかしてない?」
シーシィアが横から口を挟む。
「うるせーのだ!ロスカリファの素晴らしさを伝えてるだけなのだ!」
「それを自慢って言うんじゃない?」
「言わねーのだ!」
ビリーが楽しそうに笑う。
「いやぁ、賑やかでいいじゃねぇか!」
ここで俺が前に出る必要もない。
ロスカリファについて説明するなら、今日のノルムーは珍しく適任だ。
「じゃ、またあとでな」
「うん!」
「おう!またな、アステル!」
「今度ロスカリファのウマい店教えてよ~!」
「時間あったらな」
「絶対ね!」
俺も軽く手を振る。
今日は到着したばかりだ。
この後にも向こうの予定があるだろうし、俺もまだ仕事が残っている。
ノルムーに案内を任せ、今度こそその場を離れた。
◇
翌朝。
算枢局へ届ける書類を抱えて広場の近くまで来ると、見覚えのある一行が前を歩いていた。
リン。
アキラ。
ビリー。
シーシィア。
そして、今日も先頭にいるノルムー。
昨日に続いて、ずいぶん縁がある。
「また会ったな」
声をかけると、リンが振り返った。
「あ、アステル。おはよ!」
「おはよ。今日は治療だろ?」
「うん。これから算枢局に行くところ」
昨日聞いた話を思い出す。
見たところ、やっぱり普段と大きく変わったようには見えない。
だからこそ、何の治療なのか余計に気になった。
「アステルも算枢局?」
アキラが俺の持っている書類を見る。
「仕事。俺も算枢局まで行くよ」
「ならノルムーの完璧な案内についてくるといいのだ!」
「昨日も聞いた」
「今日の案内は昨日より完璧なのだ!」
何が違うんだ。
シーシィアが横で笑っている。
そのまま一緒に広場を進んでいると――。
周囲の空気が変わった。
さっきまで行き交っていた人たちが、一斉に同じ方向を見る。
俺も足を止めた。
リンたちも気づいたらしい。
広場の正面。
多くの視線が集まる場所へ、一人の女性が姿を現した。
エルダ。
さっきまで好き勝手に話していた群衆が、自然と静かになっていく。
さすがだな。
普段何度か顔を合わせている俺ですら、公の場に立つ彼女を見ると印象が変わる。
エルダは広場を見渡し、静かに言葉を紡ぎ始めた。
始まりの主が再び脅威となったこと。
その戦いの中で、多くの犠牲が出たこと。
長い間ロスカリファは自らを外界から切り離し、使命を果たしてきた。
だが、これから先も同じやり方だけで戦い続けることはできない。
新エリー都をはじめとした外部との協力を広げ、これまでとは違う一歩を踏み出す必要がある。
広場に響く声には迷いがなかった。
普段の彼女を知っていても、ああいう場に立つと本当に別人みたいだ。
隣を見る。
リンもアキラも真剣な表情で聞いている。
ビリーもさっきまでの軽い調子を引っ込めていた。
シーシィアも珍しく口を挟まず、壇上を見つめている。
演説はしばらく続いた。
やがてエルダがその場を離れると、張り詰めていた空気が少しずつ緩み、集まっていた人たちもそれぞれ散り始める。
俺たちも算枢局へ向かおうとしたが――。
ちょうどエルダがこちらを通る。
なら。
「演説お疲れ、エルダ」
近くにいた職員がぎょっとした顔で俺を見る。
分かる。
普通はサンブリンガーにこんな声のかけ方はしない。
けれど、本人は特に気にした様子もなかった。
エルダがこちらへ視線を向ける。
「……アステルか。お前も来ていたのだな」
「外計局の仕事でな」
「そうか。今後はそちらも忙しくなるだろう」
「一昨日休んだばっかなんだけどな」
「把握している」
「そこまで知ってるんだ!?」
エルダの視線が一瞬、俺の胸元へ落ちた。
本当に一瞬だけ。
すぐに顔へ戻る。
「変わりはないようだな」
「まあ、元気」
「なら、それでいい」
それだけ告げると、エルダは同行していた職員たちと共に歩いていく。
俺としては、いつものやり取りだった。
だが。
「……アステル」
「ん?」
振り向く。
リンたちが揃ってこっちを見ていた。
特にリンの顔が分かりやすい。
「知り合いなの?」
「前に何度か会ってる」
「何度か会ってるで済ませる距離だった!?」
「そう?」
「そうだよ!」
「いやいや、オレもさすがに今のは気になるぜ!」
ビリーが横から入ってくる。
「アステル、お前サンブリンガーとあんな感じで話すのかよ!?」
「普通じゃない?」
「普通じゃないだろ!」
「ね~。あーしも今ので分かった。アステルって自分の交友関係がおかしいって気づいてないタイプでしょ?」
「失礼だな」
「褒めてる褒めてる」
絶対褒めてない。
俺にとってはもう見慣れた反応だ。
けれど、最初からこうだったわけじゃない。
現代のサンブリンガーが三人に分かれていると知った時。
俺は自分から三人に会いに行った。
百年前のことを、何か覚えていないか。
俺のことを知っていないか。
少しだけ期待していた。
結果は、駄目だった。
俺の名前を聞いても。
顔を見ても。
昔の俺を思い出すことはなかった。
それでも、最初に会った時から妙だった。
エルダも。
ドラキナも。
リンドヴェルヌも。
俺に対してだけ、初対面の人間へ向けるような警戒が薄かった。
理由を聞いても、三人ともはっきりとは答えられない。
そのまま何度か会ううちに、今の距離になった。
「まあ、色々あってな」
「絶対その『色々』に大事なところ入ってるでしょ……」
リンが疑わしそうに見る。
「そのうちな」
「もう。アステルってそういうところあるよね」
何の話だ。
「ほらほら!演説も終わったのだ!」
ノルムーが手を叩く。
「次はリンの治療なのだ!時間に遅れたらノルムーがヴェリナに怒られるのだ!」
「それは大変だな」
「他人事みたいに言うんじゃねーのだ!」
俺もちょうど算枢局へ向かうところだ。
そのまま一緒に歩き、算枢局の入口まで来た。
「よし!ノルムーのお仕事はここまでなのだ!」
ノルムーが満足そうに胸を張る。
「このあとは別の仕事があるから、ノルムーは行くのだ!」
「案内ありがと、ノルムー!」
リンが手を振る。
「うむ!ロスカリファで迷子になるんじゃねーのだ!」
「子供じゃないんだけど!」
「店長なら普通に迷いそうだけどな」
「ビリー!」
騒がしい声を背に、ノルムーはそのまま別の方向へ走っていった。
俺は手元の書類を見る。
「じゃ、俺は中まで行くよ。ちょうど届け物あるし」
「じゃあ一緒だね」
◇
算枢局。
建物へ入ったところで、ヴェリナが俺たちを待っていた。
「来たわね」
「ヴェリナさん!」
リンが声を上げる。
ヴェリナは仕事中らしいいつもの表情で一行を迎えた。
一昨日、予定表を取り上げられて困った顔をしていた人と同一人物には見えない。
俺と目が合う。
ほんの一瞬。
ヴェリナの目元が柔らかくなった。
けれど、すぐにいつもの仕事の顔へ戻る。
「治療の準備は整っているわ。今回は算枢局側でも特に慎重に対応することになっているの」
「ありがとうございます」
「それと、治療を担当される方もすでにいらしているわ」
リンが少し緊張した顔になる。
その時。
奥から小さな人影が歩いてきた。
「思っていたより元気そうね」
リンが瞬きをする。
アキラも同じだった。
シーシィアは明らかに首を傾げている。
まあ、初見ならそうなるよな。
「ヴェリナさん、この子は……?」
「リンさん」
ヴェリナが静かに答える。
「こちらが算枢局を統括されているサンブリンガー様よ」
「えっ」
リンの顔が固まる。
「この子が!?」
シーシィアも思わず声を上げた。
「お、おいシーシィア!その言い方はさすがにマズいんじゃねぇか!?」
ビリーが慌てて小声で止める。
「だって想像と違いすぎるんだもん!」
そのやり取りを見て、本人は楽しそうに笑っていた。
「そんなに驚かなくてもいいでしょう?」
彼女はリンたちの前まで来る。
「あたしはドラキナ。今のサンブリンガーの一人よ」
「一人……?」
そこから、ドラキナとヴェリナによる簡単な説明が始まった。
かつて一人だったサンブリンガーは、今は三人。
政統局のエルダ。
算枢局のドラキナ。
空巡局のリンドヴェルヌ。
三人は同じ起源を持ちながら、それぞれ別の存在としてロスカリファを支えている。
そして、百年前の記憶をすべて共有しているわけでもない。
「じゃあ、さっき広場にいた人と……ドラキナさんは」
「元を辿れば同じ。でも今は別々、って考えてくれればいいわ」
「そんなことできるんだ……」
リンが驚いている横で、俺は特にすることもなく話を聞いていた。
全部知っている。
最初に聞いた時は、俺も似たような顔をしていたと思う。
「あら?」
ドラキナがこちらを見る。
ようやく気づいたらしい。
「あら、アステルも来てたの?」
「今気づいたのか」
「患者さんの方を見てたもの」
ドラキナはそう言いながら、何のためらいもなくこっちへ歩いてきた。
そして。
近い。
俺のすぐ横で足を止める。
肩が触れそうなくらいの距離。
まあ、いつものことだ。
「元気そうね」
「おかげさまで」
ドラキナの視線が顔から下がる。
一瞬。
胸の辺りで止まった。
またか。
けれど彼女は何も言わず、すぐに俺の顔を見る。
「うん。問題なさそう」
「何の確認?」
「さあ?」
「さあって」
本人にも分かっていないらしい。
「……ねえ、アステル」
今度はリンだった。
「何?」
「近くない?」
「何が?」
「ドラキナさんとの距離!」
言われて横を見る。
確かに近い。
「ドラキナは大体こんな感じだぞ」
「そうなの!?」
ドラキナ本人も、自分たちの距離を確認するように俺と自分を見比べる。
「言われてみれば、そうかも」
「自覚なかったの?」
「ないわね」
悪びれる様子もない。
少し考えてから、ドラキナが首を傾げる。
「理由はあたしにもよく分からないんだけど……アステルって、最初に会った時からあんまり他人って感じがしないのよね」
「またそれか」
「また?」
「エルダも似たようなこと言ってた」
リンドヴェルヌもだ。
少なくとも最初の頃は。
三人とも反応が少しずつ違うのに、その部分だけは妙に似ていた。
「ふふ。不思議ね」
ドラキナはそれ以上深く考えることもなく、俺から離れる。
リンはまだ納得していない顔だった。
「……サンブリンガー様と普通に知り合いなの、やっぱりおかしくない?」
「こっちでは普通なんだよ」
「絶対普通じゃないと思う」
「オレもリン店長に一票だぜ」
「はいはい!あーしも一票!」
「多数決取る話じゃないだろ」
アキラが横で苦笑している。
「さて」
ドラキナがリンへ向き直る。
その瞬間、空気が少しだけ変わった。
さっきまで柔らかく笑っていた顔に、治療を担当する者としての真剣さが混じる。
「リンちゃん。まずは状態を詳しく確認させてちょうだい。焦る必要はないから、一つずつ進めましょう」
「はい」
「ヴェリナ、準備は?」
「整っています。いつでも始められます」
「じゃあ行きましょう」
ドラキナが治療区画の方へ歩き出す。
リンとアキラもその後へ続く。
ビリーとシーシィアも顔を見合わせてからついていった。
ヴェリナも資料を確認しながら歩き出す。
「アステル」
「ん?」
ヴェリナが一度だけ振り返る。
「外計局側の引き継ぎはここまでで大丈夫よ。あとは私たちに任せて」
「了解。何かあったら呼んで」
「ええ」
俺はその場に残り、遠ざかっていく背中を眺めた。
ドラキナ。
さっき広場にいたエルダ。
そして、今ここにはいないリンドヴェルヌ。
百年前。
サンブリンガーは一人だった。
そして俺の胸には、あの頃から今までずっと動き続けているものがある。
三人は、俺を覚えていない。
なのに。
最初から、俺を知らない人間みたいには扱わなかった。
胸元へ手を当てる。
規則正しい鼓動が返ってくる。
「……やっぱり、こいつなのか?」
もちろん、答えはない。
治療区画の扉が閉じる。
しばらくその扉を眺めてから、俺は胸元から手を離した。
考えたところで、今はまだ分からない。
俺は外計局の仕事へ戻るため、その場を後にした。
少し今後の参考にしたいのでアンケートさせてください!シグリット回はギャグ多めで作ったんですがギャグの量はどれくらいが好みですか?
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シグリット回と同じくらい多め
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普段と同じくらい
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話の内容とキャラに合わせて