イカレポンチは意地でも勝ち逃げをし続ける。 作:永く輪
おはよう!朝の日課をするよ!
自分はきっと幸せにはなれないだろう。幸せを知らないし、忘れる。恐らく足るを知ることも無い。そも、幸せとは平穏だ、心安らかなる平穏だ。
……刺激が足りない、そういう己がおかしいのだろう。分かってはいる。だが直せるものでもない。
結局有為無為幸せを自ら壊してしまう。しょうがないだろう、そっちのほうが性に合ってしまうのだから。
せめて、誰かに迷惑を掛けないように……
ツライツラい辛いつらい。味気なくて。
いつかボロが出てしまいそうだ。
線引を超えてしまったらどうなるのだろうか。
善悪の分からない子供を邪悪にした感じになりそうだ。
道端で見かける蟷螂が好きだった。
最初は見た目が好きだった。
蟷螂というのはオスはメスに喰われることがあるらしい。食いながら喰われるというやつだ。
夜に目が真っ黒だったのは少し怖かった。
虫であるからか、上半身だけの状態で動き回っているものもいた。あれはどこへ消えたんだっけ。
よくコンクリートの上で轢死した個体を見つけることがあった。3日後くらいには消えていた。
寄生虫に寄生されると川へ誘導され、空になった腹から出てくるらしい、光の反射に引き寄せられるようになるらしい。どうりでよく見つける訳だ。
いつからか蟷螂が羨ましくなった。そこに蟷螂が当てはまったのは偶然だろうか。
死んだとしても大した影響はなく、数日後には跡形もなくなる。軽くて、当然のように。まぁこっちだったら大体皆そうなんだけど。
とはいえ、自殺したいわけじゃない、だから俺は不可避などうしょうもない事象を求めた。
そんで_______
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__日
目が覚めた。この部屋が何だか久しぶりの気分だ。何か夢をみていたせいかな?
二度寝しようかな…昨日デカイノシシに追いかけ回されたせいか身体がまだダルい。頭も痛い。
いや平常運転だなこれ。
「よいしょー」
間抜けた声とともに木板と布のベッドから起きる。
外を見ると少し白く、霧がかかっている。時刻はいつもより早めかな?人通りはほとんどない。
……二度寝しようかな。いや今日は妙に目が覚めている。早めに行って良さげな依頼を享受しよう。
俺はまだ宿屋のおっさんがいない受付を後にして外に出た。機嫌よく日課の朝のランニングだ。(ギルドまで)
ギルドの方はまだ閉まっていた。嘘だろ…
朝のギルドまでランナウェイ(目的地通過)は続いてしまった。
この時間帯の街は暗くないのに人気がなく新鮮だった。
目が合う人がいないので街並みを観察しながら走る。
「早朝の街ってなんだかいいなぁ」
気分が回ってきたのでこのまま人気が出るまで散策してようか。
少し疲れたので歩きながら散策する。
決して体力がない訳じゃないなどと誰に向かってか分からない弁明をしていると、ふと人気のない(今は何処も人気はないのだが)路地裏が気になったのでそっちを歩くことした。ギルド方面なので戻るついでだ。
少し歩いて思えば路地裏は誰かが荒らしたように見えなくもなかった。泥はねが所々。
目につく足跡はちっこいのと並くらいの2つ。雨が降ったのは昨日の朝くらいだから割と最近かな。
こういうのは狩りの練習の成果が出てるななんて思いながら、呑気な彼の背中は裏路地へと消えていった。
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子供が裏路地に倒れていた。
白い服が汚れを目立たせる。
庶民の服は薄茶色が基本的だ。麻由来の服は薄茶色故に。染色があるにしても白はない。
となると何処ぞの商人の子供か。
マントの男の背景に横たわっているのである
呑気に歩いていた俺は顔に傷のあるマント男に絡まれていた。
「……おい聞いてんのか?」
男は話しかけながらこちらに近づいてくる。まぁ会話するのにはちょっと遠いかな。
実に困った、おっさんが保護者か何かなら良かったのだけれど、服装が目深いフード付きのマントにバンダナマスク、トドメは片手に握られてた大きめの麻袋。多分帯剣もしている。
十中八九人攫いである。どうしよっか。どうであろうと知らんし逃げたい!!のだが何か胸騒ぎがして実行できずにいた。オロオロしてしまっていた。
そんな停滞はマント男によって終わりを告げられた。
あっまずい殴られる。黒だなコレ。
多分顎を狙っている容赦が無いね★
後ろに跳びつつ、何処の人ですか?と聞く
返事は舌打ち。
あわ、
ちょ
剣を抜いてきたヤバい!
所属を聞くのはいけなかったみたい!
距離を取りつつ取り敢えず腰のナイフを投げつける。
金属音とともに弾かれる。怖ぇ
取り敢えずプランは決まった。
「繕え!!」
相手の踏み込みの足を釘付けにして体勢を崩させる
「このクソガキ!!」
ヒュオォォォ
剣が飛んでくる。
咄嗟に転ぶようにして避ける。
「縫え」
男が地面についた片手を釘付け。
このまま叩く!!
腰から外した円盾で殴る。
「っがっぐ」
自由な片手に注意しつつ弱らせ、追い繕いする、魔封じのためでもある。
変にうずくまって動かなくなった辺りで一旦休憩。
「はぁーふぅ…で、何処の誰?」
まだ意識あるだろ。
「だから、…あのガキの親だ。」
嘘だろうに。それを聞きたいんじゃない。
ヒュガッ
トサ
気絶したみたいだ。手足を縛る。マントは無地で服装も特に特徴が無かった。
分かりやすく印なり紋章なりあってくれれば所属が予想できて楽なのだが。
一応口に即席縄猿轡をつけておく。仲間呼ばれて袋小路だなんて二度と無くていい。
男の方はひとまずこれでいいだろう。
立ち上がって子供の方を見やる。
頬が腫れていて所々擦り傷があるが、端正な顔つきだ。
初見時はマント男が絡んできて慌てていて気付かなかったが、改めて見るとコイツ、希少属性持ちだ。
俺はその手の属性への耐性が死んでいる為、敏感なのだ、よく分かる。いわば感度1000倍。
希少属性(聖)の子供が偶然攫われると言うよりかは、面倒事な感じがする。ほっとこうかな。
「うーん、起こすか」
マント男やっつけたしここまでして放置は馬鹿だろ。
というか生きてるか…?
いや生きてるか多分。
魔力は持ち主が死ぬと霧散するから、希少属性を感じるってことは死後まもなくでなければ死んでないはずだ。
取り敢えず肩を揺さぶるべく彼は子供の元へ向かうのだった。
「………あー、意識ない奴は頭打ってないか確認した方がいいんだっけ?」
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端的に言うと子供は起きなかった。いや、ちゃんと生きてたよ。でも頭打ってたっぽい。
初級治癒魔法をかけた後、男を縛り上げて、ギルドへ子供を連れてき(この時はちゃんと空いてた)事情説明の後、貸し出してもらった荷車と共に縄男を衛兵詰め所へ連行した。
本当はこっちに子供を連れてくべきらしいが、ギルドの方が近い且つ子供の意識がないことを考慮してお咎めはなかった。
ギルドに戻った後、応接室に連れてかれた。皮のソファ2つがツヤのあるテーブルを挟んで置かれている。先にいる人がいないので勝手に座ってもいいだろう。
どうなるんだろうか、普段依頼をこなすくらいしかやってこなかったので何が起きるのか予想がつかない。
単に事情聴取の可能性もある、言葉足らずだったか、何かよろしくないことをしてしまったか。
考えていても埒が明かないな(明いた事はない)。
一旦何聞かれても答えられるように自分を整理するか。
俺はアルハト、多分孤児。
一番古い記憶は半年前のギルドの診療所の寝床で、依頼を終えてギルドに報告した後帰ろうとしてぶっ倒れたらしい。
起きる前の記憶はほとんどない。なんというか空白ではないのだが、思い出せない。頭の何処かに存在しているのは分かるんだがどうにも思い出せない。
そこら辺を調べてもらうにはお金がいるらしいので呪いかも知れない程度の認識だ。
常識は覚えているし、なんとなく勘で分かってしまうこともあるのでわざわざお金出す必要も無いかなと。
2年前から冒険者をしていたらしく現在D級だ。一番上はS級らしい、Sってなんだよ。
2年でD級は早い方らしい。そこそこ優秀なのでは?
オドからなる魔力の性質(属性相性)は氷に少しの適性と耐性があって、聖と闇の耐性が死んでいる。
適性というのは火とか水とか色々ある属性を扱うことへの才能だ。
耐性は属性への対抗力、あるほど影響を受けづらくなるし、低いと敏感になるのでその属性の扱いが上手かったりする。まぁ耐性ないので火傷しちゃうけどね。いわば素手から火を出すようなものだ。
なので聖属性のC級以上の治癒魔法を受けると肉がぶくぶくして変色していく。ほんと怖かった。思い出したくない今でも怖気がする。
※彼は即座に暴れ弾ける腕をきり落としました。
まぁいい事としては、少ない魔力、技術で高い効果を受けられるくらいかな?
なので耐性が低いことがデメリットに直通な訳では無い。
俺はスキルを持っていて、鑑定してもらったところ、おもちゃ箱というスキルらしい。ふざけてるのかな?
珍しいスキルらしいが、よく分かんないのひと言である。
内容としては、他人には見えない箱を何処からか出してその中から針を出す。出した針は速度を出して動かせるが物理的に攻撃出来なくて、その場に文字通り釘付けにする程度である。
ある程度針漬けにすると行動をある程度制限できたりもする。動きがゆっくりになる。
スキル:足止め針 の方が合ってる気がする。
おもちゃ箱だとしたら中身が針の筵って物騒すぎないか?
もっとこう、
コンコン
そうこう愚痴に入り始めたくらいでノック後部屋のドアが開いた、
入ってきたのは確か副ギルド長の女の人だ。黒髪紫眼麦肌の眼鏡をかけたピシッとしたスーツの人だ。
極稀に受付をしているのをみたことがあった。
名前は………スレネー・カールマンだったか。
「すみませんアルハトさん、お待たせしました。」
「いえ、自分が持ってきた事ですし、対応してくださってありがたいくらいです。
副ギルド長が来たってことは何か事情が?」
「カラトミア男爵家はご存知ですか?____」
要約するとあの子供(少女らしい)を養子にしていた家がなくなっていて身寄りが無いこと、血縁者は居ないらしい。
俺が捕まえたマント男が家を襲った集団の関係者っぽいから何か知らないかとのこと。
俺は何処の者か聞いたら切りかかってきたから知られたくない所の所属なのでは?と答えた。他に知っていることは…
「足を動けなくしたら、直ぐ剣を投げてきたのでここらの剣の流派じゃなさそうですね。」
それなりに冒険者しているが、剣が投げられているのは見たことがない。まぁ集団戦の範囲でしか見てないけど。
……これが謎に出て来る勘。多分記憶の断片なんだろうけど。
あとはもうないかな。
その後は少女は教会で面倒をみるから会ってやってくれだそうだ。お礼がしたいらしい。
何かの用事ついでにいけたらいいな。
ま、アクシデントはここまででついに本懐である日銭稼ぎだ。早起きの甲斐を見せてくれ。
応接室を出て階段を下り出た賑やかな広場の横に大きな依頼板がある。幾つか等級ごとに依頼が区分されていて、今日は一つ上のレートCを受けてみようと思う。
冒険者はランクで、クエストや魔物はレートで評価されている。
受けられるのは一つ上までの位だ。
残念な事にレートDの依頼にやりたいタイプの討伐が無かった。俺の早起きは?
そろそろCをやってもいいかなと思ってたしいいんだけどさ、Cの方にスカイバード亜種の依頼があったのでそれを受ける。受付の人には怪訝な顔をされたが俺は飛行生物との相性が良いと思ってるので気にしない。
スカイバード亜種は巣作りをするタイプの魔鳥だ、形的にはワイバーンを鷲にした感じのやつだ。原種と変わらず雌雄の番で、一方が卵を守り一方が餌を狩る。餌を蓄える習性があり、麻痺毒で弱らせた獲物を羽化した雛に食わせる。原種と違うのはブレスにも麻痺毒があることだ、原種は爪と牙、尾に麻痺毒がある。
麻痺毒なら初級解毒魔法(聖)で問題なく対処できるし、飛行中のを針漬けにして落とすことも出来る。後は地面に固定して殴るだけだ。ドラゴンとかじゃないからそこまで耐久がないのもポイントが高い。
俺の主武器は円盾と片刃剣だ、軽めで長め。
ちまちま削って倒す戦い方だからあんまり相手が頑丈だと長引きすぎて、他の魔物が寄ってくる。
今回の依頼は子供が攫われたので巣に突っ込んで救出してくれ(意訳)というもの。
狩りをしている方を潰した後、巣の方も潰すというプランだ。
村への道中にて遭遇した青いデカ鳥(今回の標的)を動きを封じた上でタコ殴りにした後、討伐証明部位(嘴)を剥ぎ取り、残りをギルドからずっと引いてきた空の荷車に載せる。もしかしたら村にないかもと持ってきて正解だった。
コイツは村で解体してもらって、調理もしてもらおう。鳥系の魔物は俺の口に合う。
村に着いた後、ここら辺の魔物情報とか被害を聞いて、件の巣へ向かう。森の崖にあるらしい。
あった。高くね?
巣に途中で拾った石を投げる。出てきてもらわねば何もできないからな!
「ギガァ!!!、クルハーファァァァァァァ!!!!!」
叫びながら飛び出してきた、急降下だな。
勢いのまま尾を叩きつけてくる。
盾じゃぺしゃんこになるな、地面に飛び込み回避する。
そのまま転がって立ち上がると、足の爪の横薙ぎが見える。これは盾でないと間に合わないな。
角度を付けて逸らす。反動で後ろに下がるがまぁ距離を取れるしいいか。
「ファァァァァァァァァン!!!フガッフガッ
フハァァァァァァァァン!!!」
様子見をしていたようだが、突如興奮し出した。片割れを殺されたことに気づいたか?
さっきからスキルの針を飛ばしたり、空間に針を設置して空中トラップを仕掛けたりしているが、動きが鈍るまであと七割か。物理ダメージが入らないからさっさと落ちてきてほしい。
スキルの針は幾ら刺しても、少し痛いだけで血が出ない。ゴーストとかにはダメージが入るのだが…
低コストの治癒魔法と実質拘束スキルを軸にしたゾンビ戦法→チクチクアタック
火力が無い!