イカレポンチは意地でも勝ち逃げをし続ける。   作:永く輪

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時折、保存せずに投稿するポカをやらかします。


俺はやってない!(殺った)

暗い牢の中、石畳の上で血塗れ少年は縛られて横たわっていた。所々緑青色に薄く輝く手枷をつけられていて、額には古めかしい赤い文字で何か書かれている札が貼られている。見る人が見れば拘束されたキョンシーに見えるかもしれない。

 

 

「くそっ…………詰んでる……」

 芋虫状態でも魔法が封じられていても今の俺ならどうにかなると思っていた、だがスキルまでもが封じられている。本当になんにも出来ない。詰みだ。

 

まぁこんな姿な奴も悪いけどさぁ!確実に一人二人の血の量じゃない血の染みが着いた少年。証拠を身に纏って歩いているようなもんだ。

 

けどさ!話聞いてくれてもいいと思うんだ!

僕は王女なんて誘拐してないし、ダースガドなんて組織も知らない。身分証明に使えるギルド証はこんな時に限って無い!どこ行っちゃったの!?

 

 

「何にも悪いことはしてないんです!」

 

「街道をコソコソ歩いてただけなんです!

ほら、こんなに血塗れてるから!」

 

「この血は半分くらい自分のですし残りも悪い人たちの血です!」

 

「悪い人たちっていうのは、人からお金を奪ったり奴隷を持っている人のことです!」

 

「ここから出してください!」

 

そう宣う僕を目にして事情聴取しに来た衛兵さんは、何を言っても頭を抱えてこんな忙しい時期に…とか、更に上と揉めるぞ…とかややこしいだので話を聞いてくれなかった。

 

仕方ないので殺人現場を伝えるも、まぁ待て事が済んだら調査するからと言ってここを後にした。

 

事って何なんでしょうね!王女誘拐罪で死刑が決まった後かな?それとも王女誘拐その他諸々の罪をでっち上げた後かな?いやだ!俺は何も悪くな、

 

悪いか…?割と成り行きで人殺しまくったし。

 

あれ、この逮捕は正当?

そもそも本当に衛兵達がでっち上げしてくるか分かんないし。ご、誤認逮捕かもしれないし(白目)

 

でも王女誘拐罪は勘弁してほしい。明らかに凄惨な死と拷問が待ってるじゃん。まだ確定したわけじゃないけど!

てか、どうしよ勢い余って殺人自白しちゃったじゃん、報復とかされるんだろうか。

 

何でだぁ、どーしてこんな面倒くさいことになっちまったんだよぉ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

謎転移が発生して襲撃したアジトの目の前に飛んだ。

アジトを去って先ずは血を洗い流す場所を探す。人目につかない方がいい、誤解(事実)されては堪らない。

 

とはいうものの血を洗い流していい場所って誰か知ってる?

 

ここって大きな冒険ギルドじゃないから冒険者用の設備ないんだよね。となると何処かから濡れたタオルを拝借したいのだけれど、まぁ無理だね。

 

噴水広場を見つけたけどこで洗い流すのは……憚られる。

でも背に腹は変えられないか?

悩む頭に名案が浮かぶ。どっから布を持ってきてここで濡らして拭こう!

 

そう振り返ると中身のない籠を落とした推定主婦が顔を青白くして此方を見ていた。

 

「あ、違「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 

事件性のある悲鳴をありがとう。一刻も早くここから立ち去らねばならなくなった。さっさと別の水源を探そう。いや、この際用水路でもいいか。

 

用水路は向こうにあったかと振り返れば、火の玉と髑髏が音もなく此方へ接近していた。

 

「ヒギャッ」

 

なんなんだよもう!……あ、ゴーストの類ならスキルで倒せるんだった。

 

針を飛ばすも華麗に避けられる。この骸骨太いしアグレッシブだな。

 

よく見るとマントを着たバイザーに縦にスレッドの入ったフルメイルだった。紛らわしい。

 

第一発見者が俺を指差して殺されそうになったんです!と叫んだ。それに関しては明白なる濡れ衣だ!

 

「私は王国騎士団団長ォ、リセシア・リーム・ノストリリィ、!

この下賤もの!!!!!!!!!くたばれ!!!!!!」

 

「ちょっ、と待って」

 

剣閃が頬を掠める。まずい、この見た目と第一発見者の証言は致命的だ。

 

足止めしようにも俺以外には見えない筈の針を全部避けるし、弾くし、あれ?俺のスキルって見えるんだっけ?

 

明らかにその辺の街にいていい奴じゃない!

何なんだよコイツ! 

 

捕まるわけにはいかない!今に関していえば冤罪だがすぐに余罪が見つかる。正直罪だとは思ってないが、殺した相手は偉い人と繋がりがありそうだった。何されるか判らない。俺は全力で逃げる!

 

魔力を回して身た、ッ

 

「こ、こで魔力……ぎ………」れかよ

 

足元の感覚が分からなくなり薄れゆく視界の中、剣が迫る。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

……今に至る。視界は振れる事なく普通に気絶して完全拘束されている。視界の振れ?分離は魔力切れの時は起きないのかも知れない。騎士団長を名乗る女が何かしたのかも知れないが。

 

どうしよう、案外自業自得かもしれない。次があれば計画的に行わなければいけないな。ここで終わりかもだけど。

 

一回死んで何ともなかったといえど、国家権力の一部たる衛兵の詰め所に多分拘置されているので死ぬまで殺されるかもだし、何より何も抵抗出来ない。多分体が朽ちなきゃ死なない(?)と思うからどうにかなると思うんだけど、何もできないからなぁ。

 

 

どうしよ、今のところ芋虫みたく這うことしかできない。

 

うううむ謎転移起きれ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ。

 

浮遊感が起きることもなく。そもそもこれだけなんなのか分かってないんだよな。何も出来ないし考えるだけ考えるか。

 

縄か手枷か足枷かお札かその全部かに何かしらの封印があると見た。どうにか壊せれば脱出できるかもしれない。

 

どうやって?お札は頭擦り付ければいけるかもしれないな。やってみるか、うりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!

 

額が痛くなっただけだった。俺の顔は更に汚くなったのにこの紙は変化なし。そりゃ保護の結界してあるわな。

 

一旦気絶してみるか、そんで視界が振れた時にスキル使えるかもだし。

 

いや、でも今魔力回復してなかったな、というか吸われてるだろ。魔力回復は期待できないな。

魔力切れで気絶したら視界振れ起きずに拘束されて今に至る訳だし、普通に気絶するだけかも。

 

単純な気絶なら平気か?

 

本当に他に手が無い。くそ、やるしかないのか?気絶するまで頭床にぶつけられるか?

 

あ、舌噛めばいっか。でも視界振れが起きるならどっちも一緒か?だいぶ賭けだぞ?

 

うーむ、このまま捕まったままは面倒だしなぁ。

 

そもそも舌食いちぎったら失血死で死ぬんかな?

止まるくね?

 

うーん詰み?

 

……舌食いちぎって喉に詰まらせて死ぬか?

 

これしかないな、苦しそうだなぁおい。

 

なるべく舌の根元に歯を当てて……………

 

 

 

 

 

 

…………成功はした。

 

ふー、今の状態で深呼吸って意味あるのかな?視界だけで体というかなんとういうかはないんだよな。ゴーストに近いのかも。………死んでないが?

 

この状態になると魔力が回復していたので俺の'体'を直す。直ったね、んじゃ拘束具どもを針で機能不全にして脱出しだぁ〜!

 

逃げるぞぉ!

 

視界が広がり重なる。体の方の視点が起きたみたいだ。

 

「!!!」

 

あっ吐く息がない、息を吸えない!

 

「っがはぁ……うおぇぇ!、はぁーふー」

 

思い切り胸を叩いて、無事舌だったものと血液と吐瀉物を吐き出す。

 

視界多重の歪みと合わさって結構気持ち悪いな。完全に慣れるのは時間がかかりそう。

 

窒息だとこういう事が起きるのか……二度と使うことがないといいな。

 

さぁこのまま縄切って檻切って脱出でもするかな?

 

捕まると面倒だけど、なんか今忙しいらしいしいけるでしょう。ごめんね!

 

 

こうして殺人鬼が世に放たれたのである。

 




未だに血塗れ…
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