透き通る世界でシャーマンは愛の物語を紡げるか。 作:UMC OGASOU
シャーマンキングの原作には多分出てないっす。
古びた木製の扉が、ギイッと乾いた高音を立てて開いた。
対策委員会室の内部は、外の殺伐とした砂嵐の荒野とは対照的に、どこか生活感とどこか寂寥感が入り混じった独特の空気が漂っていた。
部屋の中央には、あちこちの塗装が剥げかけた長テーブルと不揃いなパイプ椅子。壁際には、書類が整然と(しかし大量に)詰め込まれた金属製のファイルラックが並び、小さな黒板やホワイトボードには無数の付箋や手書きのメモがびっしりと貼られている。
「あ……! ホシノ先輩、シロコちゃん! お帰りなさい!」
扉が開く音と同時に、部屋の奥からハキハキとした声が響いた。
黒髪のショートボブに編み込みのカチューシャ、赤フチのメガネをかけた少女――奥空アヤネが、抱えていた大量の資料をテーブルに置きながら顔を上げた。エルフのように少し尖った耳をぴこりと動かし、来客の姿を確認する。
その隣には、黒い猫耳と長いツインテールを揺らした少女――黒見セリカが、腕を組んで不機嫌そうに仁王立ちしていた。制服のスカートの下から覗く黒いスパッツが印象的な彼女は、入ってきた面々を鋭い赤色の瞳でジロリと見つめる。
「ちょっとホシノ先輩! 遅いじゃない! 先生が来てるならもっと早く連絡してよ!」
「うへ~、ごめんごめんセリカちゃん。途中で珍しいお客さんを拾っちゃってさ~」
ホシノが大きなあくびをしながら、ひらひらと手を振る。
「あらあら~☆ 先生、いらっしゃいませ!遠いところをようこそお越しくださいました!」
さらに奥の簡易給湯室から、パステルカラーの可愛いエプロンをつけた背の高い少女――十六夜ノノミが、お盆にお茶の入った湯呑みとお菓子のお皿を載せて、満面の笑みで歩み出てきた。ベージュのロングヘアを揺らし、黄緑色の瞳を細めて、まるで我が子を迎えるお母さんのような包容力溢れる雰囲気を醸し出している。
しかし、ノノミの視線が先生のすぐ隣に立つ男へと向いた瞬間、全員の動きがぴたりと止まった。
そこに立っていたのは――勝川ソウキであった。
前回の荒野での戦闘後、ゲヘナ学園の風紀委員会とシャーレの手配によって支給された「ゲヘナの黒い制服」。今のソウキは、上着のジャケットだけでなく、下も黒のスラックスを完璧に履きこなし、足元まで磨かれた革靴で統一された、完全な「全身制服」の装いであった。
上質な黒の生地に金の刺繍が映える重厚な制服は、一見するとゲヘナの要人か精鋭将校のようにも見える。しかし、当のソウキ本人は、ポケットに両手を突き突っ込み、背中をだらしなく丸め、首をポリポリと掻きながら「やあやあ」と緩い笑みを浮かべていた。
そして何より――その頭上には、キヴォトスの生徒であれば誰もが持っているはずの「ヘイロー」が一切存在しない。
「……ッ!?」
セリカの猫耳がピンと逆立ち、警戒色で瞳が収縮した。
「ちょっと! なになによ、その人は!? ゲヘナの制服を着てるくせに、ヘイローがないじゃない! 偽者!? 潜入捜査官!? それとも何かの不審者なわけ!?」
「あんたねぇ、初対面の相手に向かって『不審者』は失礼じゃない?」
ソウキはへらりと笑いながら、全身の制服を誇示するようにポンポンと胸を叩いた。
「見てよ、このビシッとした全身制服。シャーレの先生のお墨付きで、今日から君たちの助っ人兼、先生の護衛として派遣された勝川ソウキくんだよ。ツインテールちゃん、よろしくね」
「ツ、ツインテールちゃん!? なによその馴々しい呼び方は! あたしには黒見セリカっていう立派な名前があるのよ!」
セリカがキーキーと叫びながらソウキを指差す。
「まあまあ、セリカちゃん、落ち着いてください」
アヤネが間に入り、メガネの位置を直しながらソウキへ丁寧にお辞儀をした。
「初めまして、ソウキさん。私はアビドス高等学校・対策委員会で書記と会計を担当しております、奥空アヤネです。……先生から事前にご連絡はいただいておりました。『大変特殊な事情を持った、非常に力強い協力者』だと」
「あらあら〜☆ 本当にビシッとした素敵な制服ですね☆ ソウキさん、立ち話もなんですし、どうぞこちらへおかけになってくださいな☆ お茶とお菓子を用意しましたので☆」
ノノミが温かい笑みを浮かべ、長テーブルのパイプ椅子を引いてくれた。
「お、サンキューお姉さん。美味そうなお茶菓子じゃん」
ソウキは何の遠慮もなく、全身制服の裾を翻してパイプ椅子にドカリと腰掛けた。
「ん。先生も座って」
シロコが先生の椅子を引き、先生も苦笑いしながらソウキの隣へと腰を下ろした。
ホシノは「うへ~」と伸びをしながら、ソウキの対面にある長椅子にだらりと身を投げ出す。
一見すると、和やかなお茶会が始まるかのような光景。
しかし――アヤネが壁際のホワイトボードを引き寄せ、タクティカルタブレットの操作を始めた瞬間、室内の温度が目に見えて下がり始めた。
「……それでは、先生。そして特別協力員のソウキさん」
アヤネの声から、先ほどまでの丁寧な和やかさが消えていた。そこにあるのは、現実という名の絶望的な重圧に押し潰されそうになりながらも、必死に踏みとどまっている少女の悲壮な覚悟であった。
「本日、シャーレの先生にお越しいただいた最大の理由……我がアビドス高等学校が置かれている『致命的な現状』について、ご説明させていただきます」
アヤネがタブレットの送信ボタンを押すと、壁に設置された古いプロジェクターがヴーと低い動作音を立て、ホワイトボード上に鮮明なグラフと赤字の数字を投影した。
そこに映し出されたのは、右肩下がりに崩壊していくアビドス自治区の財政グラフ。そして、中央に大きく拡大された――見間違えようのない、膨大かつ凄惨な「金額」であった。
『アビドス高等学校・借入金残高:9億6500万円』
「――っ!?」
隣に座っていた先生が、息を呑む音が聞こえた。
大人の金銭感覚を持つ先生だからこそ、その数字の持つ破滅的な意味が瞬時に理解できたのだ。個人の借金でも、一企業の負債でもない。たった5人の生徒しか残っていない廃校寸前の学校が背負うには、あまりにも、あまりにも狂気じみた巨額の負債。
「き、9億……9億6千万円……!?」
先生の額から、ダラダラと冷や汗が吹き出した。声が震えている。
「はい……」
アヤネは悲痛な面持ちで頷き、メガネの奥の瞳を伏せた。
「数年前から始まった過酷な砂漠化により、自治内の住人は激減し、入学してくる生徒もいなくなりました。校舎の維持費、砂の撤去費用、そして自治体を維持するためのインフラ投資……それらを賄うために、当時の生徒会がカイザーローンをはじめとする金融業者から多額の融資を受けたのが始まりです」
アヤネの手が、震えながらホワイトボードの数字を指し示す。
「ですが、砂漠化は止まらず、収入はゼロになりました。現在、残された私たち対策委員会の5人で、バイトや手持ちの資金をかき集めて返済を続けていますが……」
「……返しても、返しても、減らないのよ」
セリカが絞り出すような声で呟いた。その拳は強く握り締められ、指先が白くなっている。赤色の瞳には、悔しさと怒りと、そして底知れない絶望の色が滲んでいた。
「あたしたちが毎月毎月、血の出るような思いで稼いできたお金は……全部『利息』の支払いで消えていくの。元金なんて、一向に減らない! どころか、金利が引き上げられて、放っておけばどんどん膨らんでいくのよ……!」
「……ん。毎月、膨大な利息を支払うだけで手一杯。元金を返す余裕は、今の私たちには一切ない」
シロコもまた、水色と黄色のオッドアイを鋭く光らせながら、淡々と、しかし重苦しい事実を口にした。
「あらあら……☆ 困りましたね☆」
ノノミは無理に笑顔を作ろうとしているが、その表情には隠しきれない陰りがあった。
「うへ~……。おじさんたち、これでも結構頑張ってるんだけどねぇ……」
ホシノは長椅子に深く背をもたれかけ、天井の剥げかけたペンキをぼんやりと見上げている。その表情は一見するといつもの脱力顔だったが、前話でソウキが見破った通り、彼女の背後には「自分がなんとかしなければ」という破滅的な責任感と重圧の黒いモヤが、ますます色濃く渦巻いていた。
「先生……」
アヤネが切実な瞳で先生を見つめた。
「このままでは、あと数ヶ月で利息の支払いが滞り……金融業者によって学校の敷地、そしてこの校舎そのものが差押えられてしまいます。そうなれば、アビドスは完全に『廃校』となります……。私たちは……どうすればいいのでしょうか……っ」
重い。
重すぎる沈黙が、対策委員会室を完全に支配した。
壁の古時計がチクタクと刻む音だけが、虚しく室内に響き渡る。
先生は頭を抱え、大人として、教育者として、この5人の少女たちにどんな言葉をかけてあげればいいのか、言葉を失っていた。9億6千万円。返済の目途など立つはずもない現実。あまりの重圧に、空気そのものが凝固し、息を吸うことすら苦しくなるような絶望が、全員の胸を押し潰していた。
その――全員が絶絶望の底に沈み込み、誰も口を開くことができなくなった極限の緊張感の中で。
『バリッ……ボリボリボリボリ……』
『――ズズズズズズッ……。ふぅ』
静まり返った部屋に、信じがたいほど能天気で、無作法極まりない「咀嚼音」と「茶をすする音」が響き渡った。
「「「「「……え?」」」」」
対策委員会のメンバー全員、そして先生の視線が一斉に一方向へと集まった。
視線の先――長テーブルの上座で、全身ビシッと黒のゲヘナ制服を着込んだ勝川ソウキが、ノノミの出しておいた高級煎餅の袋を豪快に破り、口いっぱいに煎餅を頬張っていた。
そして、片手には熱い緑茶の入った湯呑み。
『ボリボリ……モグモグ……』
ソウキは全員の視線を浴びながら、制服の袖で口元を雑に拭うと、長椅子の上でダラリと背中を丸め、心底心底どうでもよさそうな顔で言い放った。
「ふーん……9億ね。まあ、なんとかなるっしょ」
「――――――――――――――――は?」
セリカの思考が、完全に停止した。
アヤネも、シロコも、ノノミも、ホシノも、そして先生すらも、ソウキが口にした言葉の意味を理解できず、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で固まった。
「あ、この煎餅美味いねお姉さん。醤油の香ばしさが効いててさ。お茶に合うわ」
ソウキは二枚目の煎餅を手に取り、バリリと音を立てて噛み砕いた。
次の瞬間――
『ドガァァァンッッ!!!!』
セリカが激高のあまり長テーブルを両手で力任せに叩きつけた。お茶の入った湯呑みが激しく揺れ、煎餅の皿が跳ね上がる。
「な……何が『なんとかなるっしょ』よーーーっっっっ!!!!!!」
セリカの猫耳が逆立ち、全身の毛を逆立てた猫のように、テーブルに乗り出さんばかりの勢いでソウキに肉薄した。赤色の瞳にメラメラと怒りの炎が燃え盛っている。
「あんたねぇ!! 9億よ!? 9億6千万円!! 桁が違いすぎるのよ!! 適当なこと言ってんじゃないわよ、この不審者ぁぁぁぁっ!!」
「ツインテールちゃん、声がデカいって。耳がキーンとするだろ」
ソウキは耳を指でほじりながら、全く動じる様子もなく、だらしなく首を横に振った。
「だいたいねぇ! あんたに何が分かるのよ!?」
セリカは悔しさと怒りで声を震わせ、涙目になりながら叫び続けた。
「あたしたちがどれだけ苦労して……毎日早朝から深夜までバイト掛け持ちして! 食費も節約して、欲しいものも全部我慢して! それで毎月毎月、血の出るような思いで利息を納めてるか分かってんの!? それを……『なんとかなるっしょ』だなんて……他人事だと思って好き勝手言わないでよーっ!」
セリカの絶叫は、アビドス対策委員会全員の悲痛な心の叫びでもあった。アヤネも唇を噛み締め、シロコも静かに拳を握り締めている。
しかし、ソウキはそんなセリカの怒気と絶望のエネルギーを真っ向から受け止めながら――いつもの、拍子抜けするほど緩く、けれどどこか絶対に揺るがない微笑みを浮かべた。
「他人事だから言ってるわけじゃないって、セリカちゃん」
ソウキは静かに湯呑みをテーブルに置いた。
制服の胸元を少しだけ緩めると、両手を広げ、ひらひらと軽やかに振ってみせた。
「命まで取られるわけじゃなし。生きてりゃなんとかなるって。『オポナ』の精神よ」
「……は? オ……オポナ……!?」
セリカの激怒のテンションが、聞き覚えのない謎の単語によって一瞬だけ躓いた。
「なにそれ……急になに怪しい呪文唱えてんのよ……!?」
「呪文じゃないよ」
ソウキは八重歯を見せてニッと笑った。
「俺の故郷……まあ、俺の師匠っていうか、シャーマンの教えみたいなもんさ。『なんとかなる』って意味の合言葉だよ」
(くくく……言っておるわ、ソウキのやつ)
ソウキの精神世界で、持霊ヘクトゥーパが呆れたような、しかし満足気な笑い声を上げた。
(『オポナ』……言葉の響きこそ妙だが、あれはソウキのシャーマンとしての根底にある死生観そのものだからな。どれほど絶望的な死線を前にしようとも、『生きている限り、可能性はゼロにはならん』という絶対の肯定)
ソウキは椅子の上で少し体を乗り出し、涙目になっているセリカ、そして固まっているアヤネやホシノたちの顔を順番に見回した。
「いいか、ツインテールちゃん。そしてアビドスの皆」
ソウキの声には、不思議な温かさと、魂を直接揺さぶるような説得力が宿っていた。
「9億6千万円なんて数字、確かにでかいよ。普通の女子高生がバイトで返せる金額じゃないのも当たり前だ。でもさ……それでお前ら、死ぬわけ?」
「っ……死ぬわけじゃないけど……!」
「だろ?」
ソウキは自分の胸を叩いた。
「命が残ってりゃ、なんとかなるんだよ。ヘイローがあろうがなかろうが、頭の上に光の輪が浮いてようが浮いてまいがさ。こうやって呼吸して、温かいお茶飲んで、煎餅食えてんだろ? 身体が動いて、心が生きてるなら、なんだってやり直せるし、どんな絶望だってひっくり返すチャンスはあるんだよ」
ソウキはノノミの煎餅をもう一枚手に取ると、笑って言った。
「一番ダメなのはさ……『もう無理だ』って諦めて、生きているのに心が死んじゃうことだ。数字に殺されるなよ。9億だろうが100億だろうが、お前たちの命や、ここで笑い合ってる時間より重いわけねえんだからさ」
「……っ」
セリカは二の句が継げなくなった。
「生きてりゃなんとかなる」。
根拠なんてどこにもない。具体的な返済プランがあるわけでもない。ただの底抜けな楽天家のお花畑な意見と言ってしまえばそれまでだ。
しかし――ソウキの全身から溢れ出る、一切の迷いのない「揺るぎない肯定感」と「脱力感」が、冷たく固まっていた彼女たちの心を、激しい熱となって溶かしていく。
「……うへ~」
静まり返った部屋に、本日何度目になるかわからないホシノの声が響いた。
ホシノは長椅子の上で呆れたように天井を見上げ、それから「ふふっ」と小さく吹き出した。
「うへへ~……。先生の護衛くん……度胸があるっていうか、大物だねぇ……」
ホシノのオッドアイに、先ほどまでの重苦しい影が少しだけ薄れていた。
「おじさんたち、ここ数ヶ月ずーっと『9億』って数字に追われて、息をするのも忘れてたかもな~……。『生きてりゃなんとかなる』、かぁ……。うへへ、いい言葉だねぇ」
「……ホシノ先輩まで何納得してるんですか!」
アヤネが慌てて声を張り上げたが、そのメガネの奥の瞳からは、先ほどまでの悲壮感が消えていた。アヤネは深々と溜め息をつくと、肩の力を抜いてパイプ椅子の背もたれに体を預けた。
「はぁ……。全くです。ソウキさんの仰ることは支離滅裂で、会計としては到底受け入れられない暴論ですが……」
アヤネは少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。
「でも……不思議ですね。そう言っていただくと……なんだか、本当に『なんとかなる』ような気がしてきてしまいました」
「あらあら〜☆ 素晴らしいですね☆」
ノノミが嬉しそうに手を叩いた。
「はい☆ 私もソウキさんの考え方に賛成です☆ どんなに大変な時でも、こうしてお茶を飲んで笑う余裕を忘れてしまったら、何のために頑張っているのか分からなくなってしまいますものね☆」
「……ん」
シロコが静かに頷いた。
「ソウキの言う通り。生きていれば、またチャンスはある。……例えば、カイザーローンの闇銀行を襲撃して、借金証書を直接奪い取るとか」
「シロコちゃん!!??」
アヤネが叫んだ。
「だーめーでーす!! 銀行襲撃は違法ですと何度も言っていますよね!? どうしてすぐそういう物騒な方向に行くんですか!!」
「……ん。効率的な返済方法だと思うけど」
「効率の問題ではありませんーっ!」
アヤネとシロコのお決まりのやり取りが炸裂し、部屋の中にドッと笑いが広がった。
先ほどまで部屋を押し潰していた「息もできない絶望の空気」は、ソウキが持ち込んだ圧倒的な脱力感と、「生きてりゃなんとかなる」という根拠のない肯定感によって、跡形もなく吹き飛ばされていた。
先生もまた、胸を撫で下ろし、ソウキの肩をポンと叩いた。
「……ありがとう、ソウキ君。君の言う通りだね。私たちが最初から諦めてちゃ、何も始まらない。大人の私までパニックになってしまって情けないな」
「へへ、分かればいいんだよ先生」
ソウキは嬉しそうに八重歯を見せた。
「よし! じゃあ借金問題は『なんとかなる』ってことで解決したからさ! 次は晩飯の話をしようぜ! 俺、砂漠を歩いてお腹ペコペコなんだよね!」
「解決してないわよーーーーーーっっっっっ!!!!!?????」
セリカの今日一番の叫び声が、アビドス高等学校の夕暮れの校舎に響き渡った。
「金額は一銭も減ってないでしょーが!! なんで『解決した』ことになってんのよ、この不審者ぁぁぁっ!!」
「あはは! セリカちゃん怒ると顔が真っ赤で可愛いねえ!」
「茶化すなーーっ! あんた、今日からあたしのバイト先で強制労働決定だからね!! 借金の足しになってもらうわよ!!」
「えー、俺労働きらーい」
脱力するソウキと、キーキーと怒り散らすセリカ。それを見守るホシノたちの和やかな笑顔。
沈みゆく夕日が、対策委員会室の窓から差し込み、彼女たちの影を長々と床に伸ばしていた。
絶望的な9億6千万円の借金。しかし、アビドス対策委員会の胸の中に灯った「小さな希望の火」は、異界から来たこの適当で温かい青年の手によって、確かに少しだけ大きく揺らめいたのであった。
☆をつけてみたが、なんか入れるとこミスってるかもなぁ…
あー難しい