戦火の汚泥   作:外道山賊

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筆者はカミュが嫌いです。
それだけは分かって読んで欲しい。




やりたい事は分かるけどねぇ。


異なる温度

「⋯それはまた。」

 

ゲレタが助けた少女マリアから聞いた話にリンダは言葉を詰まらせる。

 

 

 

ゲレタは

 

 

「とは言え、マケドニアにとってドルーアは隣国であり

またマケドニアとドルーアは他の国と陸続きではない。

仮にアカネイアへ義理立てしてたならば、マケドニアが真っ先に滅ぼされると思うがな。」

 

仮にマケドニアをドルーアが放置したとしても、アカネイアは必ずマケドニアにドルーアを攻める様に命じるだろう。

そして食料をアカネイアに依存しているマケドニアに断る術はなく、ドルーアとて攻めてくれば踏み潰す事を躊躇うまい。

 

 

 

「つまりマケドニアはドルーアに従わなければ滅ぶ訳だ。」

 

事もなげにゲレタは言い切った。

 

 

 

 

マリアは表情を暗くし、手を握りしめた。

 

 

 

「己の主義主張に生きたいなら、国や組織を離れるこった。

ミネルバ王女やその騎士達は少なくともマケドニアの騎士として扱われてきた。

騎竜も天馬も個人のものではない。其れ等全てをマケドニアに戻した上で反逆したきゃ勝手にすれば良いと思うがな。」

 

長生きも成功もしないだろうが

 

 

 

 

----

 

 

 

 

「マケドニアのミネルバ王女とその騎士が裏切ったと聞く。

⋯さて、どうする?」

 

メディウスにとってマケドニア王ミシェイルは利用価値が無い訳では無いものの、その妹ミネルバにそこまでの価値を見い出していない。

 

 

「調べる他にないかと。

そも、ニーナの生存自体怪しむべき所があると。」

 

 

アカネイア王族だとて、所詮ニーナ個人は小娘に過ぎない。

アカネイア王国が存在し、機能するからこそ王族として遇される。

 

或いはアカネイア王国に未だ忠を誓う者達か。

 

 

 

アカネイア王国を滅ぼし既に2年経った。

にも関わらず、今の今までニーナが隠れ住みそしてオレルアンに独力で逃れた。

 

 

そんな夢物語の様な事はあり得ず、旧アカネイア王国において動ける余力のある有力者には目を配っている。

にも関わらず、動けたとなれば

 

 

「確かミネルバとその騎士はオレルアンに向かう前、パレス付近で残敵の掃討にあたっていたな?」

 

「⋯その時にはまだパレスにグルニアの黒騎士団がいたはずですな。」

 

 

 

その頃パレス付近で旧王国軍による反攻作戦が実施され、結果駐留していたドルーア軍は壊滅的被害を受けたとある。

 

 

 

「⋯⋯どうやらネズミがいる様だ。」

 

「調べます。」

 

 

 

 

ガーネフは足早にその場を後にする。

 

 

 

「薄汚い盗賊の末裔らしい。

さて、であるならばどうするか。」

 

メディウスは闇の中で考える。

 

 

 

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マルス達はアカネイアの中心、アカネイア・パレスの攻略にかかっていた。

ミネルバとて、妹マリアやパオラ達の事が気になるものの助けてくれたマルス王子に不義理は出来ぬとパレス解放戦に加わった。

 

 

 

「さて、目出度く出遅れた訳でありまして」

 

「どうするの?」

 

「⋯どうすっかねぇ。」

 

ゲレタ達はパレスに程近い町まで来ていた。

 

 

丁度闘技場もある事だし、路銀稼ぎと鍛錬する事とした。

 

マリアという回復役もいるので尚良し。

 

 

 

 

 

 

 

 

「出禁になった、解せぬ。」

 

「それはそうよね。」

 

「そうなると思ってた。」

 

 

ゲレタは苦々しく闘技場を見上げる。

 

 

「⋯やはり見せ物としては良くなかったか。」

 

何せゲレタの戦い方は血の一滴すら流す事を許さぬもの。

興行として考えると盛り上がりに欠ける所があった。

 

 

しかも、高額な相手だろうとお構いなしに一方的ともなれば出禁扱いもやむを得ない。

 

 

 

 

一方容姿端麗なリンダは闘技場の華ともなり得る存在だったが、相棒であるゲレタが出禁になった事であっさり闘技場参加を止めていた。

別に彼女自身闘技場を使う事に前向きではなかったのだから。

 

 

 

----

 

 

 

「活況に満ちている、とはお世辞にも言えん空気だな。」

 

 

寧ろ此処は人の感情の坩堝だった。

 

 

 

「子供?」

 

リンダの目に映ったのは、身なりが決して良いとは思えない子供と住民と思われる者が揉めている姿だった。

 

 

 

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マルス王子はこの町において、悪名高い『ノルダの奴隷市場』から子供達を解放した。

 

子供達は奴隷として売られる予定だったものであり、アカネイア各地から集められたもの。

 

 

 

住民達をして

 

「小汚い子供」

と言わしめる存在だ。

 

 

当然だが、住民達は子供達を忌避しており町の住人として見ていない。

 

本来ならば奴隷として他所に売られゆく子供達だったが、マルスがそれを咎めた為奴隷商は已む無く子供達を解き放つ。

 

 

 

引き取り手の居ない子供達を、だ。

 

 

 

 

期せずして自由を手に入れた子供達だが、身寄りのいない彼等に出来る事は限られる。

 

そう、物乞いだ。

 

 

 

しかしである。

物乞いなどパレスに程近いこの町にとって好ましくないものであり

またアカネイアが再興されるであろう明るい空気に水を差す様なもの。

 

 

故に子供達と住民は衝突する事となったのだ。

 

 

 

----

 

 

 

まぁ衝突と言ってもマトモに食事も与えられていない子供と苦しいながらも生活出来ている大人で勝負になる筈もなく、追い出される事がほぼ確定していたが。

 

 

「止めとけ。」

 

何かを言いそうなリンダとマリアをゲレタは制止する。

 

 

 

「今のところ2人だが、それ以外にも居たらどうする?

助けて施した所で此処から離れにゃ何も変わらん。」

 

 

 

成る程マルス王子は奴隷解放という正しい事をしたのかも知れない。

だが、マルス王子はあくまでもアリティア(亡国)の王子に過ぎず、アカネイアにおいて何の権も持たぬ者である。

 

 

確かにファイアーエムブレム(ニーナからの信の証)を持っているが、それで皆が従うならばそもそもアカネイアは滅んでいまい。

 

 

 

溺れる者は藁をも掴む。

これは助けを求める者はどれだけか細い希望だろうと頼るものとされる。

 

 

だが、藁を差し出す者は気をつけねばならない。

相手は必死に縋ろうとしているのだ。共に水の中に落ちる様では意味がない。

 

 

 

 

助ける者にはそれなりの地力が必要であり、それを自分達は有し得ぬ。

少なくとも、今の様な状況で人を助けると言うのは素晴らしい事であり

 

 

また一方で無責任とも言える話でもあった。

 

 

 

 

----

 

 

 

 

確かにゲレタも気紛れとは言え、リンダとマリアを助けはした。

 

 

だからこそ、彼女達を放置して去る事は出来ていない。

⋯まぁリンダは割と放置するつもりがあったのはそうなのだが。

 

 

 

 

悪い例で言えばグルニアのカミュ。

彼は前述した様にグルニア、つまりドルーアに従いアカネイアを滅ぼした側だ。

 

 

にも関わらず、アカネイアの唯一遺された王族たるニーナを匿い

あまつさえ、ドルーアの親衛隊とやらを退けてまでニーナをオレルアンに逃している。

 

 

本来ニーナを守りたいのであれば、グルニアの黒騎士としての

騎士としての立場すら捨てて彼女を守れば良かった。

 

であれば、ドルーアやグルニアにとって忌々しかろうが筋は通せただろう。

 

 

 

ところがそれを選ばず、しかし原作ではグラでトロンを

事もあろうに自国グルニアに攻め寄せられている状況でエストにメリクルを持たせ、逃がしている。

 

 

これが祖国グルニアに対する裏切りでなくて何だと言うのか?

 

 

その上それでもそこで死んでおけばまだ収まりもついたと言うのに、シリウスとして後の戦争にも参加している。

命を賭してグルニアのユミナ、ユベロを助けようとしたロレンスに比べ、余りにも情けないとしか言いようが無い。

 

 

 

どの様な気持ちでアカネイアの苛政に苦しむグルニアを眺めていたのか?

到底理解し難いところがあろう。

 

 

 

 

そして救えない事に助けられた側のニーナは敵将であるカミュに助けられた事をグルニアでの戦闘前になって漸くマルスに打ち明けている。

更にアカネイア再興の為、ハーディンとの仲を深めねばならなかったが、彼女の心の中には常にカミュがいた。

 

 

 

 

 

「もう滅んでしまえよ、そんな国。」

 

当時設定を見たゲレタはそう吐き捨てたものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果としてリンダとマリアの説得もあり、ゲレタは2人の孤児を引き取る事となる。

 

1人は金髪

もう1人は紫の髪をした少女だった。

 

 

 

 

 

マリアは姉ミネルバとの再会を望まず

リンダもまたマルス達との合流を望まなかった。

 

 

マリアは今姉に会った所で感情に任せた話しか出来ないと

リンダは考えたい事があるから

 

そして孤児二人を引き取った責任を果たすべき。

そう考えたからだ。

 

 

 

 

何せアレなところがあるゲレタだ。

間違いなく何処か致命的な所がズレる。

 

それは二人の共通するところであったそうな。

 

 

 

「⋯⋯解せぬ。」

 

そう言われたゲレタは盛大に顔を顰めるのだった。




お気に入り登録増え過ぎて草ぁ!


絶賛入院中なので投稿は不定期になるが、相スマヌ
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