マルス達はアカネイアの中心パレスを解放した。
それ自体は望ましい事であり、ドルーアに対する反攻の兆しとなるだろう事も間違いない。
少なくとも、マケドニアにもミネルバ王女の様に今のマケドニアに疑問を持つ者が居るのは良い事、なのだろう。
問題があるとすれば
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「話にもならん。
それがアカネイア騎士か?」
パレスに捕らえられていた聖騎士ミディア、重騎士トムス、ミシェラン。弓使いトーマス。
ボア司祭については老齢であり、また衰弱していたのもあるから許せるところはあろう。
パレスに近い町で参軍した弓騎士ジョルジュ。
ハーディンは最初期からマルスと共にいた訳では無いが、オレルアンにおいてマケドニアと激戦を繰り広げていた。
ビラク達も多少なりともこれまでの戦闘で実力をつけている。
それはこの軍に居る者であれば例外は無い。
そんなマルス達に協力を申し出るのは好ましく思えるが、実力が全く伴っていないのであれば問題でしかない。
これがまだ天馬騎士や竜騎士であれば多少実力が劣っていたとしてもどうにでもなろうが。
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ハーディン個人としてはミネルバ王女に対して好意など一欠片もない。
国王のやり方に不満を持ち、敵に通じるなどあってはならぬ事。
まして、これからの戦い次第でマケドニアを滅ぼす事もあり得るのだ。
しかも裏切った理由が『妹を助ける為』などと理解出来ない。
しかし、この軍の指揮官はマルス王子であり
ニーナ様から信を受けているのもまた王子なのだ。
あくまでマルス王子麾下の1人に過ぎない自分があまり強く意見を言って軍内の統率を乱すのはあってはならぬ。
確かにパレスは解放したものの、未だドルーアは強大なのだから。
それにしても、余りにも動きが悪い。
特に顕著なのが聖騎士ミディア。
良くこの程度の力量で聖騎士に任じられたものだ。
控え目に言ってハーディンの部下であるロシェより少し劣る程度。
それこそ常に前線に出ていたカインやアベルに比べるまでもない。
騎士勲章が余ってでもいたか?
ハーディンからすれば、今のビラク達は勿論自分さえも勲章を受けるに相応しいと思っていない。
それこそカインやアベルが先に勲章を与えられるに相応しいとさえ思っている。
これから従軍するとなれば、出来得る限り鍛えねばならんか。
ハーディンは頭の痛い問題に向き合わねばならなかった。
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旅は道連れとは言いますが、元山賊が綺麗どころを侍らしている様に見える状態は
いかんでしょう?
と思うゲレタです。
どうやらマリアは(王女呼びは止めて欲しいとの事)兄と何とかして話をしたいご様子。
⋯⋯どうやって?
いやまぁ
でもなぁ。
既にマケドニアを裏切っているミネルバとパオラ達。
それこそ騎士の中の騎士(冷笑)でもない限り、生かす理由がないと言うか。
それこそこれを許せば、組織として崩壊しかねない訳で
ましてや本来マケドニア王族として
それに仕える者として周囲に命令を下す事の出来る立場
それが己の信条の為に裏切るとして、誰がそれを受け入れようか?
原作二部において、ミネルバはマケドニアの騎士達に背かれている。
本当にミネルバやパオラ達のしたことがマケドニアの為なれば、
マケドニアの兵に受け入れられていれば、あの様な反乱が起きるはずも無い。
結局英明なミシェイルを除き、再びアカネイアの下についてマケドニアが良くなった訳では無いのだろう。
感情で言えば、ミネルバ王女を支えるべきパオラ、カチュア、エスト。
その三人全てがマケドニアに残り、ミネルバ王女を懸命に支えたならばまた違ったかも知れない。
だが、エストはアリティアに行く事を選んだ。
事情を知る者は口を噤むしかなく
知らぬ者は寧ろ『ミネルバ王女を見限った』と見える事もあろう。
そりゃミネルバも王権を放棄するわ。
針の筵も生易しいものだろうし、彼女を支持する者も殆どがマケドニアを裏切ったとなれば尚更。
まぁ結果マケドニアは消滅する訳でして
しかし、土地としての不便さは変わらず王都との便は悪い。
発展する要素、何処よ?(白目)
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そんな事を幾ら考えても明日を生きる為に必要なものは欠かせない訳でして
「見た目がね。
なまじ容姿が整っている者達がやるから違和感が酷い。」
「でもやらないと生きていけないのよね?」
「そうだね。」
リンダとマリアの切り替えが凄いわ。
ま、クライネとカタリナにそれをさせるのは気が引けるのは確かなんですけどねぇ。
あいも変わらず襲ってくる
⋯普通に教育に悪いと思わなくもないが、⋯その
「凄い。」
「どうやったの?」
カタリナの方は何か感じ入るものがあるらしく、目をキラキラさせてるし
クライネもやり方を聞きに来る始末。
おじさん君達の将来が心配でならんのやけど。
俺は黒
リンダは栗色
マリアは赤
クライネは金髪。
カタリナは紫
見事に誰も被っていないが、兎にも角にもクライネとカタリナは俺達を庇護者として見てはくれているらしい。
今はまだ奴隷生活の影響からか身体が弱っているだろうから、無理はさせたくない。
出来れば定住したいところではあるのだが、面子が面子(俺は除く)
良からぬ事を企む者が現れないとも限らない。
⋯マジでどうするかねぇ。
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アカネイアの中心にして象徴たるアカネイア・パレス。
パレスが解放され、しかもニーナが軍勢を以てパレスを解放した。
との報がアカネイア全土に広まるや各地に潜伏(本人談)していた者達は先を争うかの様にパレスへ参じ、ニーナへの謁見を求めた。
まぁ要するに
とは言えニーナのみで謁見するのは色々と問題がある。
その為、マルスがその場に同席する事となったのだ。
マルスはニーナより
アカネイア貴族や有力者の心情を除けば、だが。
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「闘技場にゲレタがいた!?」
「ああ、どうやらそうらしいな。」
ジュリアンはナバールからの話に驚く。
そもそもゲレタという男は手の内を明かす事をとても嫌う。
曰く
「そんなに能力が高い訳ではないからな。
となると意表を突く。そこに活路を見い出すしかねぇんだわ。」
との事
何言ってんだ、コイツ
当時ジュリアンやハイマンも含めたサムシアンの面々はそう思っただろうに違いない。
まぁその直後、ハイマンは心底おかしそうに笑った訳だが。
そんなゲレタが衆目の集まる闘技場に参加する。と言うのは違和感があった。
しかも、自分達があの町に居た事や、その後パレスに向かったことは住民も知っているだろうに。
ならば、何故来ないのか?
ジュリアンには分かりかねる問題だった。
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「ちくしょう、惜しい事をしたかも知れねぇな。」
闘技場を仕切る男は苦々しく呟く。
数日前、闘技場は嘗て無い活況の中にあった。
というのも、相手の実力に関わらず瞬殺する男ゲレタと
その容貌に見合わぬ大胆な戦闘を繰り広げる女リンダ。
対照的とも思える二人の存在は闘技場を大いに盛り上げた。
特に女性でありながら、相手に必殺を叩き込むリンダ。
彼女を求める観客は多かった。
だが、ゲレタは余りにも強過ぎた。
どれだけ掛け金をつり上げて、強い相手を当てようが関係なく瞬殺。
格上の相手に完勝する。
それは観客を魅了するには充分に過ぎたが、ゲレタに支払う勝ち金や相手にしたくないと思う者達が思いの外増えてしまう。
結果ゲレタを出禁とした。
それ自体は仕方ない事だ。
しかし問題はそれにより人気のあり、相手にも困らなかったリンダ。
彼女もそれ以降闘技場に姿を見せなくなった事。
町に彼女の姿を探したがすでに遅く、町から去っているらしい。
「ちっ、まさかゲレタとそこまで仲が良かったとは思わなかったが。」
人の命を娯楽としているのが闘技場。
マルス王子達がアカネイアを解放した。それ自体は歓迎するところではあろう。
しかし、である。
アカネイアの民にとって、ドルーアやそれに従うマケドニア、グルニアの軍勢を退けたとしても
ドルーアなどを滅ぼさねば安心出来ない。
それを紛らわす為の娯楽でもあるのだ、闘技場とは。
そして、奴隷の消費先であり
奴隷の需要があるところでもあるのだ。
「ノルダの所が潰されたのは痛えな。
ま、直ぐに元に戻るだろうが。」
闇は深く
人の心も荒む。
それが戦争なのだ