分かっていた事だった。
何処までいっても自分達は道を外れた者。
⋯だが、この行き場のない激情をどうしたものか。
理屈では理解出来る。
しかし、感情が納得する事を
受け入れる事を許していない。
「こう言っては何だが、余計な事をしてくれた。
⋯儂らはそう思っておるよ。」
マルス王子率いるアリティア軍。
そのアリティア軍がサムシアンを討伐した。
しかし、それで得られたものは実のところそこまで多くない。
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サムシアンの根城にあった食料の備蓄は仲間達の遺体の埋葬を手伝ってくれた近くの者達に分けた。
彼等にとってサムシアンは確かに凶悪な集団ではあった。
それは間違いない。
しかし、その一方でサムシアンという抑止力があったからこそ他の山賊などが蔓延る隙もなく
彼等はサムシアンと上手く付き合う事で日々を乗り切っていた。
何せオレルアンにせよ、タリスにせよサムスーフ山にある集落を守れる程に余裕がある筈もなく
また彼等も無駄な期待と諦めていたから。
信じる者は救われると言うが、今の世の中においてはさながら信じる者は(足を)掬われる
と言った所だろう。
この集落において、マルス達アリティア軍に供与されたのが
マルス達が此処に留まり統治する。
或いはタリスなりオレルアンなりの駐屯戦力を待って行軍するのであれば、諸手を挙げて歓迎しただろうが。
そうではない。
ただ
更に言えば、サムシアンを倒しておきながらサムシアンの一味である
サムシアンを討伐し、それを見た
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話を少し変えるが、ファイアーエムブレムシリーズのひとつ『聖魔の光石』
この作品にはフリーマップと呼ばれるシステムが導入されており、マップをクリアした場合などにおいて敵シンボルがワールドマップ上に出現する仕様があった。
ある意味ではそれこそ現実により近いものでは無いかと思えなくもない。
統治する国が荒廃し、守るべき戦力がないのならば
悪漢どもか蔓延るのは決しておかしな話ではなく、一度制圧したとしても新たに脅威が出現するのもあり得る話。
ガルダはまだ海を隔てたとは言え、
だが、サムスーフ山に住む者達にその様な繋がりはない。
また、ゲレタが彼等を守る道理もない。
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「これからどうされる?」
「⋯敵討ち、と言いたいところなんですけどねぇ。」
大恩あるハイマンを殺されて怒りが無い訳では無い。
しかし、殺されても仕方ない事をしていたのもまた事実。
悪因が巡り、己の番になっただけ。
何と言うか疲れたのだ。
ゲレタは集落の者に別れを告げ、一先ずマルス達の後を追う事にした。
殺すかどうかは分からないが、何らかの踏ん切りは必要と思えたのだから。
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先行するマルス達であったが、ゲレタは単身であり
しかもオレルアン付近には足を伸ばした事もある。
その為、足並みを揃えねばならず
更にドルーア等にも警戒せねばならぬマルス達とほぼ同じタイミングでゲレタはオレルアン平原に辿り着いた。
まぁそのオレルアンが
「⋯⋯やってんなぁ、オイ。」
天馬騎士や騎士がそこあちらに見える戦場だった訳だが。
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戦争とは民にとって迷惑極まるものである
防衛戦であれば言うまでもないが、軍民が分離されていない中世において、侵攻戦であろうと民にとって戦争とは負担にしかならない。
また戦争において消費されるのは人命のみに留まらない。
武器や装備、食糧など必要とされる。
確かにある程度の備蓄はあるだろう。
しかし、それはどちらかと言えば急場を凌ぐ為のものであり、決して戦争の様な大量消費に耐え得るものではなかった。
では、足らぬものはどうするか?
仮に事態が俺の知る所と同じならば、既にドルーアがアカネイアを滅ぼしてから2年程経つ。
直接戦火が及んでいなかったであろうオレルアンとてドルーアに対して警戒しない訳にはいかないだろう。
そもそも、ドルーアから隠れてニーナを保護していた。
その時点で理解に苦しむ。
脱出を手助けした
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ドルーアにとって、最も近く
また邪魔であったのは隣国であるマケドニアであるのは間違いない。
仮にアカネイアに義理立てしてドルーアに抗したところで、アカネイアがそれに報いるだろうか?
アカネイアからすれば、マケドニアは
何ならマケドニアの『ドルーアが復活した』という報告自体の真偽すら疑いかねない。
ドルーアに付かねば、アイオテ時代の様に奴隷として扱われる可能性も否定出来るものか。
だからこそ、ミシェイルは父を殺してまでドルーアに付いた。
それしかマケドニアの民を守る道はないのだから。
グルニアとて、グルニア王がドルーアに付くと決め
グルニア騎士団もそう動いた。
にも関わらず、最も生かしてはならぬ筈のニーナを生かしている。
「己の好き勝手したいならば、国や立場を捨てれば良かろうに。」
原作では美談のように語られているが、結局のところミネルバ達はマケドニアの民に受け入れられずマケドニアを滅ぼし
カミュはカミュとして生きていけず、シリウスとしても受け入れられず
だからこそ、他所の大陸に流すしかなかったのだろう。
マルスやニーナ視点で言えば、カミュやミネルバ達は讃えるべき英雄だろう。
⋯だが、彼等の祖国であるグルニアやマケドニアからすればどうだろうか?
グルニアは一度ドルーアに与し、そしてアカネイアを滅ぼし勝ちを得た。
だが、抵抗の旗印たるニーナを生かしたばかりに逆襲を許し
挙句グルニア本国すら戦火に晒され、アカネイアの統治を許さねばならなくなった。
マケドニアもドルーアに与しながら、ミネルバ等の煮え切らない態度と行動がミシェイルを追い詰め
漸く軛から解き放たれた筈が自らの手で首輪を付ける結果となる。
⋯では、あの戦いで命を落とした者達は何だったのか?
カミュがシリウスと己を偽らねばならなかったのも、ある種の自責の念があったから
そう信じたいものだ。
マルスが大陸を統一し、王となる。
聞こえはよいが、それはアリティアの王位にすら就かなかったマルスに様々な問題を押し付ける事に他ならない。
アカネイアの王族たるニーナもまた戦争後、その地位を捨てている。
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「⋯見える景色は違うだろうが、捨てるとしてもやり方があんだろうに。」
結局のところ、今もなお続く戦火。
その理由の一つにはカミュやミネルバの責任もある。
まぁ別に会うこともないし、会いたいとも思わないのでどうこうする話ではないが。
ゲレタは戦場を遠望し、近くの集落に向かった。
ゲレタは集落にて人を募る。
「戦う必要はない。
まだ少しばかり注意をひいて貰う。報酬は用意するし、前払いとして多少だが食料などを渡す。」
勿論、余所者であるゲレタを無条件に信用する者はいない。
しかしある者が食料目当てに声を挙げる。
ゲレタはその者に食料を渡し、少しだけ待つ様に伝え周囲を見渡す。
そうして十名程が集まり、ゲレタは戦地に赴く
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「敵が来ても何もしなくて良い。
やるのは剥ぎ取りだけだ。剥ぎ取った装備はそのまま報酬にするから、終わって帰ったら金に換えると良い。」
ゲレタはそれだけ言うと、近付いてきた騎士を皆殺しにした。
「⋯癪な話だが、勝手に死なれるのも納得出来ん。
こんな所で果ててくれるなよ。」
ゲレタは集落に連れて行かれ、住民から感謝された。
何せ生きる事が苦しい中での臨時収入なのだから、彼等とて粗忽に扱えない。
ゲレタは感謝される事を寧ろ厭い、言葉少なくその場を辞した。
「⋯夜の乱れっぷりに涙が出るわ。」
「⋯⋯助けてくれてありがとう。
でも、どうして?」
「気の迷いだ。それ以外に表現出来ん。」
それは温かな出会い
「私はリンダ。あなたは?」
「ゲレタだ。元山賊。」
「山賊!?あなたが?」
そして全てを変える出会いだった。