異世界から帰ってきた魔神ですが、ダンジョン攻略を始めます 作:Revak
渋谷ダンジョンを攻略した翌日。
ディノクは自宅のパソコンでポップコーンを食べながら映画を見ていた。
見ているのはゲームをサービス終了まで遊んでたら異世界に転移したので異世界を征服するという内容の映画だ。
気づいたら完結してて映画も幾つか出てたので見ていたのである。
そして映画を見終えて、なんとなくでSNSを開くとDMが来ていた。
DMを開くと其処は斬姫ルナからのDMだった。
『ネットでは初めまして? 斬姫ルナです! 今度栃木のダンジョンでコラボ配信しませんか?!』
「コラボ配信か……」
いいかもしれない、とディノクは考える。
同箱でのコラボとなると視聴者数は増えるし、美女二人だと画面も麗しいだろう。
ディノクは早速チャットを書き込んでいく。
『いいと思う。栃木のダンジョンとなると宇都宮の闘技場ダンジョンでいいか?』
『そこでいいです! どこまで攻略できるか二人で頑張りましょー!』
『日付はどうする?』
『では来週の土曜日どうですか? 土曜日の朝十時、宇都宮ダンジョン前集合で!』
『わかった。その日にコラボ配信しよう。早速告知ツイートしてくる』
『こっちでもしておきますね!』
そうしてコラボ配信が決まった。
■
そしてコラボ当日。
宇都宮のダンジョンの入り口前にディノクと莉子は来ていた。
「うし、それじゃあ配信はじめっぞー」
「はいっ!」
二人並んで人気のないところでドローンを使い配信を始める。
「こんちゃ! 斬姫ルナっす! 今回はSNSで告知した通り! 後輩のディノクっちとのコラボっす!」
「こんにちは、ディノクだ。今日は宇都宮ダンジョンを攻略するぞ」
・こんちゃ
・こん
・得乳美女二人か……来るぞ遊馬!
・宇都宮ダンジョンかぁ。ここ面白いよね
「視聴者の中には知ってる人もいると思うっすけど、改めて説明っす! この宇都宮ダンジョンは他のダンジョンと違い闘技場システムで、階層も一つ。アリーナだけっす。そこでモンスターが出てくるんで倒すと次は強いモンスターが出現する……ていうのが延々と続くダンジョンっす!」
「現在判明している中だと八十ターンまであるな。現状どうやれば攻略判定になるのかわかっていないダンジョンでもある」
莉子の説明にディノクが補足をした。
「と、いう訳で行くっすよ! レッツゴー!」
「おー!」
そして二人はダンジョンに入っていった。
ダンジョンに入ると其処は闘技場の通路だった。
何故かメンテナンスもされないのに常に火が付く松明を横目に通っていくと砂場の闘技場内、アリーナに着く。
「さて、最初はどうする?」
「十戦ごとに切り替えていきやしょう。観戦側の解説付きで」
「解説は得意だ。任せろ」
二人で中央に進むと白虎の方角からモンスターが出てくる。
ピンクの肌に人の胴体に豚の足に人の手。豚の頭──オークというモンスターだ。
オークは手に棍棒を持っている。
「オオオオオオ!」
オークが叫び突撃してくる。
「死ねっす!」
莉子が【切断】で首を跳ね飛ばした。
「うーん解説もくそもないな。不可視の斬撃を放ち相手の首を落とす。ワザマエだ」
・用法間違ってね
「んじゃサクサクいくっすよー!」
■
二時間後。
「あかんこれじゃ死ぬぅ?!」
莉子はいつぞやのように叫んでいた。
「おう、人間早々死なないから頑張れー」
気の抜けた応援をディノクは飛ばした。
・のんきw
・まぁまだあの時程絶望感はないしなw
・今二人だし余裕のよっちゃんイカよ
今ディノクと莉子は五体ごとに戦う人を変えてやっていた。
最初は二人一緒に戦っていたがそれだと敵がすぐ死んで絵にならないのでこういう形になった。
そして今五十戦目で、莉子はいつぞやのリベンジとばかりにミノタウロスと戦っていた。
「ブモオオオオ!」
ミノタウロスとは言うが最初に居たダンジョン──新宿ダンジョンのミノタウロスと比べれば数段弱い。
「うぉぉぉお! 解捌!」
・作品違うぞ!
・漫画の偉い人に怒られる!
莉子は不可視の斬撃を飛ばし、ミノタウロスを斬っていく。
かすかとはいえダメージが入ってる時点で新宿のミノタウロスより弱いだろう。と言っても莉子もわずかとはいえ成長し強くなっているのでその差もあるが。
「最! 大! 出力! ──
莉子は最大出力でダンジョンスキルを行使した。
ダンジョンスキルは基本ノーコスト、あるいはローコストで現象を起こす。
だが鍛え方次第では魔力やスタミナと言った物を消費することになってしまう事がある。
一概にそれは悪いとは言えず、逆に『魔力やスタミナを消費するなら威力は高くなるはずだ』という思い込みから実際に威力が上昇することもある。
莉子は典型的なそれであり、魔力を大きく消費する事でダンジョンスキルの威力を上げた。
不可視の斬撃が飛ぶ。
だが不可視とはいえ地面を斬っていきながら飛ぶ。
ミノタウロスは回避しようとするがそれよりも斬撃の方が早い。
ミノタウロスは縦に真っ二つに斬られるのだった。
「シャア! 勝利!」
・乙!
・ミノタウロスは強敵でしたね……
「ンじゃあここからは俺だな」
ディノクが前に出た。
「いや、ここからは共闘にしませんか? うち一人じゃ正直これ以上ソロだときついんで」
「ん、そうか? じゃあそうするか」
・お、共闘北か
そしてモンスターを解体し収納バッグに入れると次のモンスターが出現する。
「──あぁ、こりゃ俺一人じゃないと不味いわ」
・なんかやべぇの来たんだけど」
出て来たのは五メートルほどの機械的なモンスターだ。
頭部と胴体が一つになったような形をしており非常にでかい。
右手にはチェーンソーを。左手にはマシンガンを装備している。
二足歩行ではあるが足にはキャタピラが付いている。
「あれ、見たことないモンスターなんすけど……」
莉子が若干引きながら言った。
本来五十回目ではサカグチというサムライに似たモンスターが出現するはずだ。
だが、目の前のモンスターは侍とは似ても似つかぬ容姿である。
「下がってろ。俺がやる」
そう言ってディノクは前に出た。
目の前のモンスター……看破の魔眼で観えた名はソニックゴーレムという。
非常に強力な存在だ。ソニックの名の通りその速度は音速である。
ソニックゴーレムが突撃した。
両足のキャタピラを拘束回転させての突撃である。
「ディノクさん?!」
ソニックゴーレムが右手のチェーンソーを振り落とした。
ディノクはそれを後ろにジャンプする事で回避する。
だが回避も読まれていたのか左手のマシンガンをディノクに向かって放つ。
まるで弾丸一つ一つに意思があるかのようにディノクに向かって綺麗に飛んで行き、全弾命中する。
「想定よりは強いな」
そうは言うもディノク本体は無傷だ──本体は。
だが服はところどころ破けてしまっている。乳首が丸見えだ。
この衣装の下には普通の下着をつけているのでそちらの防御力は一般的な下着と同程度しかないのである。
だから簡単に破ける。
と言っても下着以外は修復が始まっている。時期にに直るだろう。
ディノクは地面に着地するとその場で正拳突きを放った。
それだけで衝撃波が舞い散りソニックゴーレムに罅がはいる。
だが、破壊には至らなかった。
ソニックゴーレムが胴体を開け、そこからレーザー砲を放った。
「なんの」
ディノクもまた右手を突き出し魔力のレーザー砲を放った。
数秒レーザー同士が衝突し合う。
だが徐々にディノクのレーザーの方が勝っていく。
「"魔神の閃光"」
魔法名を与える事で威力を底上げし、レーザーがソニックゴーレムの上半身を被った。
「ち、しぶといな」
だがソニックゴーレムは死んでいなかった。
体がへこみ傷ついてもなおまだ稼働を続けている。
「死ねや」
ディノクはそう言い跳躍。ソニックゴーレムの眼前まで移動すると殴った。
それだけでソニックゴーレムの上半身が消し飛び、ソニックゴーレムは完全に停止した。
「しかしこいつなんだったんだ?」
ディノクが着地しながら疑問を浮かべた。
それに答えるのは莉子だ。
「多分イレギュラーモンスターじゃないっすかね。私の時に居たミノタウロスみたいに」
「イレギュラー……あぁ、聞いたことある。数パーセントの確立で出現するモンスター、だったか」
ダンジョンはゲームと違い完全にこう、というシステムで動いていない。
だからその階層より強いモンスターが出現したり外見は同じでも強さが違うモンスターが出現することもある。反作用の代物だからだ。
「んまぁ、これからは普通の奴来るだろ。パーティプレイと行こうや」
「はいっす!」
ソニックゴーレムは魔法的手段で動いてるだけで、機械的要素はない。
更に言えばその素材も単なる石などなので素材としての旨味も無い。
残骸を放置し、次のモンスターを待ち構えるのだった。
最終的にディノクのチャンネル登録者が三十万人突破するのだった。