異世界から帰ってきた魔神ですが、ダンジョン攻略を始めます 作:Revak
数日後──五月二十五日。
ついにディノクのチャンネルが収益化し、スパチャも解禁された。
という訳でディノクはスパチャ初配信をするために愛知県岡崎市に来ていた。
「おー、なついわ」
そう呟きながらタクシーから降り、岡崎の大型ショッピングモールに来ていた。
ディノクは不破泰二だったころに何度か岡崎のショッピングモールに来た事がある。
今回はここで映画を見た後、昼食を食べショッピングをした後岡崎のダンジョンを攻略する予定だ。
そしてショッピングモール内に入っていく。
まだ五月なので熱くも寒くもない。
ディノクがポケットに手を入れかっこつけながら歩いて行く。
まずは通路を歩き映画館に行く。
見る映画は決まっている。ふわふわの呼吸で解き明かせ! 小さな体に宿る大きな謎というこの頃流行の映画を三つぐらいくっつけたB級映画だ。
ディノクはB級映画が好きという訳ではないが、たまには駄作を観ないと名作を名作として認識できなくなるので観ている。
そして映画館に辿り着き、ポップコーンとオレンジジュースを購入する。炭酸は飲めないので。
映画館に入り、スクリーンに向かう。
取った席は一番後ろの席だ。視力もいいので見やすいのである。
そして席に座ると映画が始まる。
上映開始して十分。ディノクは早速この映画を観た事を後悔していた。
ものすごく帰りたくなって周囲を見る。
そこには十人ほどの客しかいなかった。
意識をシャットダウンすることも視野に入れたがクソ映画を観る為という目的があるのでポップコーンを食べながら頑張ってみた。
十分ぐらいでポップコーンを食いつくしてしまった。
そして無駄に長い二時間半の映画を観終えるとため息を吐きながら一介のレストラン街に行く。
食べる物は決まっていない。
一階にエスカレーターで降りてレストラン街に入る。
そしてぶらぶら歩き、適当な店に入る。
入ったのは天ぷら料理店だ。
いらっしゃいませ、という声を尻目に案内された席に座り注文する。
頼んだのは一番高い料理だ。
最近金には困っていない。
配信外や配信でもダンジョンを攻略し素材を売却しまくってるので金には困らないのだ。
しかもクソ強いので死の危険は特にないし。
そうして頼んだ天ぷら御膳が来るとそれを食べ、ごちそうさまと言ってから会計をして店を出る。
「さて、ダンジョン行くか」
そうしてダンジョンに向かうのだった。
■
岡崎のダンジョンの第一層にディノクは居た。
「こんちゃー。今日も配信すっぞー」
・こんちゃ
・こん~
・ついにスパチャ解禁か!
「おう、SNSで告知した通り今日はスパチャ解禁と、岡崎のダンジョンに来てるぞ」
・よっしゃスパチャや! ¥5000
・ワイも少しだけ¥500
・うぉー! 俺を読み上げてくれ! ¥10000
「お、おい。そんなスパチャして大丈夫か? 金は大事にとっとけよ。俺金持ちだから金には困ってないから」
・ならなんでスパチャ解禁したんですかねぇ¥10000
・うるせぇ! お布施させろ! ¥5000
「いやまぁ先輩たちみんなスパチャ解禁してるからその流れに乗って……まぁいいや。今日はこのダンジョンを攻略する。ここは謎解き型のダンジョンだから、視聴者と一緒に攻略していくぞ」
・このダンジョン面白いよね
・モンスターはあまり出ないダンジョンだもんなぁ
・しかも短いし、危険性もあんまないよな
「ていう訳でいくぞー」
そうしてディノクが進んで行くとそこには石室があった。
そして扉が三つある。
それぞれの扉には「太陽」「月」「星」の紋章が刻まれている。
そして石碑があり、こう書かれている。
「三つの扉のうち、正しい道へ通じるものは一つだけ。太陽の扉『正しい道は月の扉ではない』。月の扉『正しい道はこの扉である』。星の扉『正しい道は太陽の扉である』。三つの碑文のうち、真実を語っているものは一つだけである……簡単だな」
・まぁ最初は簡単なのだろうよ
・えー? こんな問題も解けないの? こんな問題が溶けないのなんて小学生までだよねー! ぷぷー!
・は? メスガキには負けないが?
「答えは聞く必要あるか?」
・いやーないでしょ
・こんな問題わからねぇわけがねぇべな
「んじゃあ太陽の扉開けるぞー」
・は?
・草
そしてディノクは太陽の扉を開けた。
その先はなかった。
「は?」
ぶっブー、と不正解の音が響いた。
「…………」
ディノクは無言で扉から離れる。
「……今のは視聴者を試したんだ」
・何のために?
・あたまゆるゆるか~?
・憐れんで恵んでやろう¥10000
「あ、スパチャありがとう……正解はあれだ、星の扉だ」
そう言って今度は星の扉を開けた。
その先には通路があり、そこにはモンスターが居た。
もはやおなじみとなりつつあるミノタウロスだ。
と言ってもこの個体はそこまで強くない、雑兵だ。
「はいさくっと"死ね"」
即死をぶっパし殺し、死体は放置して先に進む。
・戦闘力だけは最上位層並みあるよな……
・その代わり頭が緩いのかもしれん
・またも緩いかもよw
・↑ライン越えだぞてめー!
「はいコメ欄で喧嘩しない。荒らしに反応するのも荒らしだからなー……んで次はこれか」
そこには三つの石像があった。
通路を防ぐようにフードを被って顔をわからなくした石像だ。
その石像の台座には何か書かれている。
「これも前の部屋と同じ感じだな……とくると、答えはBの石像だな」
ふん、とディノクは石像をぶん殴って壊した。
・壊す必要あったか?
・もしや後ろの扉がお見えになっていない?!
・く、くるんちゅ……
・これが"ワイルズ"か
・何年前のネタだよ
「サクサク行くぞー」
そう言って次の部屋に入った。
先には扉があり、扉の前には台座がある。
台座には四つ横並びで穴が空いている。
左手側にはテーブルがあり、その上には箱がある。
箱には四つの石があった。
「この石を嵌めろってことだろうが……順番はどこかな、と」
ディノクは台座を見る。
そこにはこう書いてあった。
「赤の魔石は、青の魔石より左にある。緑の魔石は、赤の魔石の隣には置かれない。白の魔石は、一番左にも一番右にも置かれない。青の魔石は、白の魔石の隣に置かれる……こういうの苦手なんだよなぁ」
そう言って適当にカチャカチャ石を並び変える。
・適当にやっても開かんぞー
・だからと言って壊すのはなしだよ
「赤白緑青か?」
・ちゃうぞ
・答えは赤青白緑や¥1000
「お、そうか。サンキュー」
そしてその順番に石を嵌め直すと扉が開いた。
「お、開いたな……じゃあ先へ進むぞー」
■
あの後更に三つほど問題を解いて最奥に辿り着いたディノクはモンスターと対峙していた。
五メートルほどの巨大な亀だ。名をソーラータートル。
名前の由来はこの亀の甲羅を加工するとすごく効率のいいソーラーパネルになるからだ。
「うし、"死ね"」
だが即死技の前には無力である。
この世界のダンジョンのモンスターはすべからずディノクより格下なので即死が通じるのである。
ソーラータートルは死亡した。
ディノクが解体ナイフを異空間から取り出し解体し、素材を収納した。
「という訳で謎解きダンジョンクリアだ! 配信視聴ありがとうな~!」
・おつ~
・謎解き(物理)でしたね
・やはり暴力……暴力は全てを解決する!
・次の配信も楽しみにしてるわw
・おつしたー!
こうして謎解きダンジョンは終わった。