異世界から帰ってきた魔神ですが、ダンジョン攻略を始めます 作:Revak
円卓の一人と戦った数日後。
ディノクは自宅でネットを見ていた。
「……俺の話題も出てるな」
ネットの掲示板やSNSを見ると円卓と同等に戦ってたこいつ誰やねん、という話題も上がっていた。
そして当然、ディノクの配信チャンネルに到達しチャンネル登録者や再生数が伸びていた。
ここまで伸びるとディノクとしては笑うしかない。元小市民としてはここまで伸びると怖い物があった。
まぁ小市民の癖に虐殺と化してたので小市民はおかしいかもしれないが。
「さて、次の告知ツイート頼んだぞ」
『Yes.master』
そしてパソコンが勝手にSNSをしてツイートをする。
その内容は同箱コラボ。黒羽レイとのコラボだ。
■
ディノクと神崎蓮は東京八王子のダンジョンに来ていた。
「えー、という訳でコラボ相手を紹介する。黒羽レイさんだ」
「ふふ、よろしくね」
黒羽レイ──神崎蓮は黒髪黒目。顔つきはボーイッシュ系で、俗にいう王子様系女子と言った風貌の女だ。
着ているのはぴっちりしたスーツだ。
身長は百七十五センチ。胸は八十センチもある。
・コラボキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
・王子様系女子に喰われる魔王系女子……ありだな
・間に挟まるとするかね
・ライン超えたぞテメー!
・拙者百合の間に挟まる男ぶち殺す侍。義によって虐殺致す
「いや百合じゃないが」
ディノクが読み上げられるコメントに対しツッコミを入れた。
自分は元男なので百合ではないというが、厳密には百合に入る。*1
「ふふ、まぁいいじゃないか。この後オフコラボしても……いいんだよ」
「いやしないが」
ディノクと蓮はこれで会うのは三度目だ。
一度目は歓迎会で。二度目は服を買う時だ。
八王子のダンジョンは森で構成されている。
階層が湧けられていない分非情に広大で、東京がすっぽり入るほどの広さを持つ。
そしてボスモンスターが各所に配置されており、それらは基本動くことが無いが人を使ってモンスタートレインをすることは可能だ。
と言ってもそう言った行為は犯罪行為なのですると捕まる。悪意の有無なく。悪意が会ったら罪が重くなるが。
ダンジョンスキルや魔法で嘘を見破る事も可能になったのでこの世界犯罪者には厳しくなっている。
木々が生い茂ってはいるが、隙間は多く動くのに苦労はしない。
空には偽りの太陽があり、これは外の時間と連動し昼と夜が変わる。
「という訳で、ダンジョン探索するぞー」
「レッツゴー、だね」
そうして二人は探索を開始した。
「お、早速出たね」
目の前に植物系のモンスターが出て来た。
形としてはハエトリグサに近い。それに根っこによる手足が付いている。
更にサイズも百八十センチで人型に近い。
「行くよ」
そう言って蓮がダンジョンスキルを行使した。
蓮のダンジョンスキルは【騎士】自らを騎士と見立てるスキルだ。
それによる身体能力の向上や騎士なら持っているだろう武装──盾と剣、全身鎧を生み出すことが出来る。
蓮の手足が鋼鉄の鎧に包まれる。これは材質こそ鋼鉄だがその実鋼鉄の何十倍の防御力を持つ。
そして右手には剣を。左手にはラウンドシールドが生成される。
そのまま蓮が突撃し、植物系モンスターを一刀両断した。
「おー」
ディノクがぱちぱちと拍手をする。
このダンジョンは中間ぐらいの強さで出現するモンスターも相応に強い。それを一人で難なく倒した蓮は中級以上の実力者だ。
「さぁ、解体しよう」
「おう」
そしてディノクが異空間から解体ナイフを取り出す。
このモンスターは素材にすると紙の原料になる。主に漫画雑誌の紙になる。
解体ナイフで解体され、異空間にしまわれる。
「その魔法便利だね……私も覚えられないかな?」
「ん、どうだろな……俺も感覚的に使えてるだけだから他者に教えるってのはちと難しいな」
「あぁ、天才肌の魔法使いにはそういう人多いね」
それじゃあ仕方がない、と蓮は肩を竦めた。
そうして更に五分ほどコメント欄と雑談をしながら進むとモンスターが出てくる。
今度は多く七体も出て来た。全て植物系モンスターだ。
二人で協力して倒す。
ディノクはワンパンで済むが蓮は何度か攻撃する事で倒す。
と言っても難なく倒している。練度は高い。
・ディノクっち強すぎて草
・レイも強い方なのにディノクだけ別の漫画かよってぐらい強いな
コメント欄もディノクの強さに関する事が多い。
「うし。今日はここのボスの一体、ゲヴェクスを倒すぞ」
素材の解体を終え収納したディノクが言った。
「ゲヴェクスはこのダンジョンでも中間の強さのモンスター。倒すと大量の素材が手に入る。換金すると百万はくだらないだろうね」
・百万?! うせやろ?!
・三十分で、百万! パパパッとやって、終わり!
・命の危機があるのにぱぱぱって出来るんですかね
そうして二人雑談しながら奥に進む。
モンスターが出現してもディノクが魔力弾撃つなり蓮が斬るなどで済む。
そうして十分ほど歩く事で広間に出た。その中央には人型の植物系モンスターが居る。
一言で言えばそれはアルラウネだ。肌は薄い青色で髪は葉っぱで出来ており、花が一つ咲いている。
ゲヴェクスが微笑むと周囲の地面から植物の太い根が出現した。
鞭のように振るわれるそれを二人はガードする。
ディノクは素手で弾き、蓮は盾で弾いた。
「前衛は私が」
「おう」
そして蓮がダッシュで近づく。鎧を装備しているとは思えぬ速度だ。
それに対しゲヴェクスも植物で攻撃しようとするがディノクが後方から魔力弾を放つことで阻止される。
「あーアアアアア!」
ゲヴェクスが叫んだ。
誘惑の音色という技だ。相手を催眠状態にする技である。
だが二人には効かない。蓮は【騎士】を拡大解釈し自身に騎士道精神を宿らせることで無効化し、ディノクは精神操作無効の耐性で防いだ。
ゲヴェクスが蓮によって袈裟斬りにされた。
それだけであっけなく絶命──とはいかず植物のツタによって蓮の足が捕まれ、遠くに放り投げられた。
ディノクが宙に浮き、蓮をキャッチする。
・お姫様抱っこキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
・王子様系女子が逆に食われるのもアリ
・夏油君。それは"アリ"だ
「大丈夫か?」
「──うん。大丈夫だよ」
ディノクが着地し、優しく蓮を降ろした。
「じゃあ次は俺だな」
ディノクがそう肩を回しながら言うとトン、と地面を蹴って移動。
刹那でゲヴェクスの前まで移動すると一発ぶん殴った。
それだけでゲヴェクスの頭部がはじけ飛び、ゲヴェクスは死亡した。
「……君やっぱり強いね。円卓と戦っていたのは伊達じゃないか」
そう蓮は肩を落とした。
「そいじゃ解体すんぞー」
そうして解体ナイフを当て解体する。
すると幾つかの植物の束とはちみつ入りの瓶に変わった。
瓶は無から生成されている。
「この液体はなんだ?」
ディノクが先駆者である蓮に問いかける。
「高級品のはちみつだね。滋養強壮にもよくて、パンとかバターに入れると非常に美味らしい」
「へー……今度ダンジョン食材使った料理配信でもすっかね」
「それだとダイブライブだと配信出来ないから、Youtubeとかで配信しないと駄目だねぇ」
「あー、おれYouTubeチャンネル持ってないんだよな……今度作るか」
動画を見る用のアカウントはあるがディノクとしてのアカウントはない。
「それじゃあ、今日の配信は終わりだ。見てくれてありがとうな!」
こうして配信は終わった。