異世界から帰ってきた魔神ですが、ダンジョン攻略を始めます 作:Revak
この名古屋ダンジョンに出現する中でメジャーなモンスターは以下の三対だ。
オーク。ピンクの肌をした二足歩行する豚型のモンスター。手には棍棒を持っている。
フォレストワーム。二メートルから五メートルほどの巨大なミミズ。丸呑みされることもあるので要注意。死体は肥料になる。
キラーラビット。人の頸動脈を己の牙で正確に狙って攻撃してくる兎。サイズも普通の兎程度なので油断すると普通に死ぬ。肉は美味。
これら以外にもスライムなどが出るが、それらは置いてい置こう。
名古屋ダンジョンは出現するモンスターが強いので中位ほどのダンジョン扱いをされている。
潜るのもガチ勢に近い者が多い。
「なんかでねーかなー」
ディノクはそう鼻歌を歌いながら森の中を歩く。
・選曲古いな
・お姉さんいくつ? どこ住み? てかラインやってる?
「名古屋市在住。二十歳。ラインは教えん」
そうコメントに返信しているとディノクを背後から狙う者が出た。
小さな兎──キラーラビットだ。
ディノクは咄嗟に拳を振るい、キラーラビットを爆散させた。
単純な話だ。百キロで走るトラックに子猫がぶつかれば死体はミンチよりひどいことになる。それと同じ。
「あ、これじゃ素材とれんな」
しまったな、とディノクは頬をかいた。
・ふぁーwww
・なんや今のパンチ
・あわれキラーラビットちゃん
「まぁ、素材はまた別のを期待するとして……ん」
地面が少し揺れた。
ディノクは素早くその場から脱した。
瞬間地面から巨大なミミズ──フォレストワームが出て来た。
「よし、俺のい──ダンジョンスキルを見せてやろう。"死ね"」
ディノクはただ一言そう発した。
それによりフォレストワームは死んだ。
生命活動を停止し、三メートルの巨体が地面に転がった。
・何今の?
・即死魔法?
「魔法じゃなくてダンジョンスキルだ。俺が意思を伝えるとその意思に相手は従う。まぁようするに死ねって言えば死ぬし裸踊りしろと言えばする」
・つよ
・無敵か~?
・催眠おじさん……てこと?!
「まぁ、今は弱くて自我の強い奴にはあまり通じないからエロ本のようにはいかないぞ。後は……」
ディノクは床に向かって叫んだ、
「"盛り上がれ"」
そういうと地面がぼこっと盛り上がった。
・おお、無機物にも効くのか
・解錠とかも出来そうだな
・モンスターも従えれたりするのか?
「やろうと思えば従えれるし、解錠も出来ると思うぞ……まぁ試してないし、鍛えてないからそこまでは出来ないが」
ダンジョンスキルは本人の理解と拡大解釈が重要で、後は鍛えれば強くなる。
最初から色々出来るスキルというのもあるが、何度も使ってスキルそのものを鍛えないと出力が小さいままである。
・今日はどこまで行くん?
「行けるところまで行くぞ。レッツゴー」
そうしてダンジョンを進んで行った。
■
「という訳で五十層まで来たぞ」
・何がという訳で???
・いきなり前人未踏領域来てて草
・君新人の癖に強すぎない?
という訳で、ディノクは名古屋ダンジョンの第五十層に来ていた。
朝の九時から三時間潜って来た。
配信用ドローンはドローンの中でもハイエンド品で、時速五百キロまでならついてこれる。
だが当然ディノクは通常形態でもマッハ八十五万ぐらいで移動できるのでその速度にはついてこれない。
故途中はディノクがドローンを抱えて移動した。
ソニックブームで壊れそうだが防護の魔法でディノクはドローンを守っていた。
「さて、後は何があるかな」
そうして森の奥を進んでいたディノクは森の中を進むと広間に出た。
そこには巨大なモンスターが居た。
五メートルほどの巨大な白い毛皮を持つ狼だ。どこか神聖さを感じさせる。
その狼──ボス名
自然の、と言う名がつくように自然を操る能力を持つモンスターだ。
「このダンジョンの最終ボスだな。こいつ倒せばダンジョンクリアか」
看破の魔眼の力で見たところダンジョンのボスだと判明した。
反作用型のダンジョンには核となるボスとダンジョンコアが存在する。
ボスは倒されてもダンジョンそのものに影響はないが、ダンジョンコアは破壊されるとダンジョンそのものが完全に消滅する。
そしてダンジョンコアに干渉するにはダンジョンのボスを倒すのが必須だ。
まぁ超人レベルなら広範囲攻撃でダンジョンそのものをぶっ壊す、という手段もとれるが。
・強そう
・(U^ω^)わんわんお!
見るからに
地面から木の根の様な触手が飛び出て来た。
それらは音速を優に超えた速度でディノクに襲い掛かる。
「ふん」
ディノクは片手を軽く振るうだけで触手を防いだ。
・はっや
・ソニックブーム聞こえたぞ
コメント欄が敵の強さに驚く物に変わる。
「死ね」
ディノクは右手の指先を向け魔力のレーザー砲を放った。
黒い光が突き進む。
レーザー砲と木の壁が衝突し──数秒で木の壁は蒸発し
ディノクはトン、と地面を蹴る様に移動し
異空間収納の魔法で愛用の魔剣を取り出す。
取り出したのは勇者と戦っていたときに使っていた剣、解放の魔剣だ。
異世界産の
相手が特定条件を満たさないとダメージを受けない特性だったり、単純に防御値が一万あるなどでも無視してダメージを与えれる剣だ。
と言っても魔神の権能に前者は無視できる権能がある為後者目的でしかあまり使わないが、それでも不壊の特性を持つ剣なので好んで使っている。
その剣をもってして、
ボスモンスターとして相応の力を持つモンスターだ。
振るう木の根の触手はマッハ二でソニックブームを巻き起こせるし自然を拡大解釈することで台風すら生み出し操れる。
だが、言ってしまえばその程度で──星に影響を与えるような出力は持っていなかった。
故に魔神にあっけなく倒されてしまった。
「さて、解体ナイフを……」
ディノクは解放の剣をしまった。
そして解体ナイフで素材に変えようとすると狼の体が光り、崩れた。
すわ最期の攻撃かと警戒すると其処に残ったのはねじ曲がった黒檀の杖だった。
「こりゃ魔法の杖か?」
そう思いディノクは杖を取り看破の魔眼で見る。
「……樹木操作の力が籠った杖、か。こんなのあるんだな」
・ダンジョンボス限定のドロップ品だな
・なぜかダンジョンボスだけこういう特殊効果付きのアイテム落とすんだよなー
今のところダンジョンから鉱石や食料は見つかっているが、飲むと体が治るポーションなど、そう言った素材は殆どない。
地球上に存在する物質の延長線上の物しかなく、使えば特殊効果を発揮するアイテムというのは超レアだ。
ゼロでないのはこういったダンジョンボスのドロップアイテムなら稀にあるからだ。
「じゃあ、これ提出して終わるとするか。長時間の配信視聴ありがとなー、おつー」
・乙
・楽しかったわ
・リアル無双ゲームはやっぱ見てて楽しいわ
・褐色美女(*´Д`)ハァハァ
そうして平和的に初めての配信は終わった。
■
ディノクは転移の魔法でダンジョンの外に出た。
魔法は極めれば死者蘇生すら可能にする。ディノクアはそこまでは出来ないが大軍の転移ぐらいなら可能にする。
ダンジョン入口の役所の換金所でディノクは素材を換金する。
おもな素材はオークの肉とトレントの木材だ。
現実の木々を伐採することなく木材を得られるのでダンジョンの木には一定の需要がある。
そうしてすべて換金するとしめて五十四万円になった。
プロのワーカーならば一度のダンジョンアタックで二十万ほどは得られる。その倍以上というのは優秀と言っていいだろう。
「こちらの杖ですが、上で鑑定をしますので、入金はまた後日となります。それでも大丈夫ですか?」
「問題ありません」
「ありがとうございます。恐らくは一千万以上には成ると思います」
一千万という金額の高さにディノクは若干ビビりつつ「ワカリマシタ」と返した。
そしてダンジョンを出て、家に帰るのだった。