MCU:Fullmetal Alchemist   作:ゴミ収集者

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カード

扉の手前で止まっていた足を、エドは前に出した。

 

床に開いた四角い穴から、冷たい風が吹き上がっていた。艦の外の、高い空の匂いがした。穴の縁で千切れたケーブルが、風に合わせて揺れている。

 

コールソンは、その手前に仰向けに倒れていた。上着は脱げて、少し離れた床に落ちている。シャツの胸の真ん中が、黒く濡れていた。

 

「出血が止まらん」フューリーが言った。片手で脇腹を押さえたまま、もう片方の手を、コールソンの胸に当てている。指の間から、赤いものが溢れていた。「エルリック。そこの上着を取れ」

 

エドは、床の上着を拾った。重かった。

 

「畳んで、ここに押し当てろ。強くだ」

 

「分かってる」

 

フューリーの手と入れ替わりに、エドは上着を傷に押し当てた。右の手袋の下で、布が、あっという間に温かくなった。

 

エドは答えずに、体重を掛けた。胸が、浅く上下している。脈が、布の下から押し返してきた。弱いのに、速かった。

 

エドは、上着の端をずらして、シャツの裂け目に、左手の指先を触れた。

 

何が、どこを貫いて、どこが切れているか。穴は、細かった。細くて、深い。背中から入って、胸の真ん中へ抜けている。その縁を、指がなぞった瞬間、指先の熱が、すうっと引いた。

 

槍だ。

 

艦のラボで握った、あの冷たさと、同じだった。エドは、手を引いた。

 

〈兄さん、今の〉

 

〈ああ。槍の跡が、傷に残ってる〉

 

傷の形は読めた。読めても、直し方が分からなかった。人の体の組み立ては、鉄とは違う。どこをどう繋げば元に戻るのか、自分は知らない。知らないものを錬成すれば、何ができるか分からない。母さんの時に、嫌というほど思い知らされたことだ。

 

〈兄さん。それは、駄目だよ〉

 

〈分かってるって〉

 

自分でも、声が尖っているのが分かった。エドは、左手を握りしめて、膝の上に置いた。指の先が、まだ冷えていた。

 

「……エルリック、さん」

 

コールソンの目が、開いていた。焦点が、エドの顔の少し手前で合った。

 

「しゃべんな」

 

「来て、しまいましたか」

 

「来たよ。見りゃ分かるだろ」

 

「間に合う、と、思っていました。私が」コールソンの口の端が、少しだけ動いた。笑ったのだと、エドは遅れて気づいた。「お恥ずかしい」

 

「恥ずかしがってる場合かよ」

 

「長官」コールソンの目が、エドから外れた。

 

フューリーが、顔を寄せた。

 

「聞いてる」

 

「すみません、ボス。逃げられました」

 

「しゃべるな。目を開けてろ。俺を見ろ」

 

「いえ。私は、もう上がりです」

 

「許可しない」

 

フューリーの声は、低く押し殺されていた。片方だけの目が、動かなかった。

 

コールソンが、また目を動かした。今度は、エドを見ていた。

 

「エルリックさん。ウィンリィさんに、お伝え、ください」

 

「自分で言え」

 

「謝りに、行くと、約束しました。守れなかった時は、と」コールソンは、短く息を継いだ。「行けそうに、ありません」

 

「だから、自分で言えって。生きて、自分で」

 

「それは、難しそうだ」

 

笑う、と、胸が動いた。その途端、顔が歪んだ。エドは、上着を押さえる手に力を込めた。布の下で、何かが、ぬるりと動いた。

 

「あなたに、決めてほしいと、言いました」コールソンは続けた。声が、細くなっている。「あなたが、決めた。それは、あなたのものです。誰にも、渡さないで。私の、せいにも、しないで」

 

「ふざけんな」エドは言った。自分の声が、掠れているのが分かった。「俺はあんたに借りがある。保護の話も、設備も、全部だ。借りは作るな、作ったら返せって、師匠に言われてんだ」

 

「厳しい、方だ」

 

「あんた、そういう時にだけ軽口、叩くんだな」

 

「ええ」コールソンは目を閉じかけて、また開いた。「数えなくて、いいですよ」

 

「数える」

 

「……そうですか」

 

コールソンの唇が、もう少しだけ動いた。

 

「あの人たちは、まだ、一つに、なれていません。何かが、要る。……あなたなら、見えるでしょう。人の、継ぎ目が」

 

「何がだよ」

 

答えはなかった。コールソンの目が、もう一度、フューリーへ戻った。

 

「いいんです、ボス。これは、うまく回らなかった。あの人たちに、何か……立つ……」

 

そこで、言葉が切れた。

 

目の焦点が、すっと遠のいた。唇が、何か言いかけた形のまま、止まった。上着の下で押し返していたものが、薄れた。薄れて、やがて、なくなった。

 

エドは、手を離さなかった。

 

離したら、確かめたことになってしまう。

 

「フィル」

 

フューリーが、そう呼んだ。エドは、初めてその名前を、その口から聞いた。

 

答えはなかった。フューリーは、しばらくの間、動かなかった。それから、コールソンの瞼に手を伸ばして、閉じさせた。その手の甲に、コールソンの血がこびりついていた。

 

通路の向こうから、走ってくる足音が聞こえた。ヒルだった。後ろに、担架を持った二人が続いている。

 

担架は、いらなかった。ヒルは、扉の手前で足を止めて、床の上のものを見て、それから何も聞かなかった。

 

「……ロキは」フューリーが言った。

 

「ロキは、バートンの機で艦を離れました。セプターも一緒です」ヒルの声は平らだった。平らにしてあるのだと、エドには分かった。「コールソンの武器で壁を撃ち抜かれても、立って出ていきました。ソーは檻に入ったまま、落とされています」

 

「ハルクは」

 

「艦外へ。戦闘機を壊して、そのまま落ちました。バナー博士の生死は、確認できていません」

 

エドの背中が、冷たくなった。

 

「バートンは」

 

「ロマノフが確保しました。意識があります。目が、戻っています」

 

その名前が出た時に、エドは、ようやく顔を上げた。

 

安堵が、胸に落ちた。落ちた先に、ぽっかり穴があった。穴の中に、安堵は、すぐに吸われて消えた。

 

「コールソンの遺体を、医務室へ」フューリーが言った。立ち上がろうとして、脇腹に手をやり、一瞬、顔をしかめた。「丁重にだ」

 

エドは、上着を持ったまま、立ち上がった。袖から、まだ温かい血が、指の間に染みていた。

 

ヒルが、エドの腕に触れた。

 

「エド。それは、私が預かるわ」

 

「……いい。後で、持ってく」

 

ヒルは、少しの間エドを見て、頷いた。

 

***

 

ナターシャが現れたのは、担架が通路の角を曲がった頃だった。

 

髪が乱れて、頬に擦り傷がある。両の拳に、赤く腫れた跡があった。何も言わずに、エドの隣に立って、担架が去った方を、同じように見ていた。

 

「聞いたわ」

 

「ああ」

 

「あなたの言った線を、探したの」ナターシャは前を向いたまま言った。「近くで見たら、本当にあった。目の縁に、細くて、青いのが。殴って、頭を打たせたら、消えたわ。それで、あの人は、私の名前を呼んだ」

 

「そうか」

 

「手柄を、あなたに分けるつもりはないけど」

 

「要らねえよ」

 

ナターシャが、横目でエドを見た。何か言うかと思ったが、何も言わなかった。代わりに、エドの手の中の上着を、見た。

 

「その血は、拭いておきなさい」

 

「分かってる」

 

「手袋もね。乾くと、革が固まって、動かなくなる」

 

「……分かってるって」

 

ナターシャは、それ以上言わなかった。エドの肩に、一度だけ、軽く手を置いた。置いてすぐに、離れた。

 

エドは、ひとり、通路に残った。

 

穴から上がる風が、まだ頬を撫でている。上着の布を広げた。内ポケットに、黒い手帳のようなものが入っていた。身分証だった。それと、ペンが一本。ほかには、何もなかった。

 

車のダッシュボードにあった、古いカード。サインをもらうのだと言っていた。エドは、ポケットの内側を、指でもう一度なぞった。ここには、ない。艦のどこかに置いてあるのだろう、と思った。

 

エドは、上着を畳んだ。畳みながら、頭の隅で、小さな引っ掛かりが、ひとつ、生まれた。生まれたけれど、形にならなかった。

 

***

 

三十分ほどして、エドは艦橋の隣の会議室へ呼ばれた。

 

長いテーブルがあって、スタークとロジャースがいた。スタークは鎧を脱いで、シャツの袖を肘まで捲っている。額に煤がついていた。ロジャースは、立ったまま、窓の外を見ていた。窓の向こうでは、片方の羽根が回り始めた巨大な艦体が、雲の中を進んでいる。

 

エドは、壁際に立った。誰も、どこに座れとは言わなかった。

 

「ソーは」ロジャースが言った。

 

「確認中だ」スタークが答えた。「落ちたのは、艦の下だ。彼なら、死にはしない。たぶん」

 

「たぶん、か」

 

「バナーについては、もっと『たぶん』が増える」

 

ロジャースは、窓の外を見たまま、頷いた。

 

扉が開いた。フューリーが入ってきた。着ていたコートは脱いで、シャツの脇腹に、新しい包帯が見えている。右手に、小さな紙の束を持っていた。

 

誰も、口を開かなかった。

 

フューリーは、テーブルの前で足を止めて、手の中のものを、天板に放った。

 

紙の束が、滑った。ロジャースの前で、止まった。

 

カードだった。

 

古い紙の、小さな札が、何枚か重なっている。端が擦り切れて、黄ばんでいる。その表に、血が付いていた。

 

「フィルの上着に入っていた」フューリーが言った。「あんたにサインをもらうつもりだったらしい。結局、もらえなかったな」

 

ロジャースは、手を伸ばして、一枚を取った。裏を返した。自分の顔が、そこにあった。血で、指が汚れた。

 

エドは、動けなかった。

 

上着に、入っていた。

 

違う。あの上着は、さっきまで、この手の中にあった。内ポケットには、身分証とペンしか入っていなかった。確かめたのは、自分だ。

 

血を見た。カードの端に付いた、赤いもの。指の腹で、ぬぐった跡だった。傷から噴き出る血は、噴き出した形に飛ぶ。飛んで、線になる。点になる。こんな、きれいに一方向へ引いた跡にはならない。

 

カードは、あの上着の中にはなかった。誰かが、あの人が死んだあとに、どこかから持ってきて、血をなすりつけた。いつ。誰が。聞かなくても、答えは見えていた。

 

フューリーは、続けていた。

 

「通信も、キューブの居場所も、バナーもソーも、今は何もない。頼りにしていた目を、一つなくした。当然の報いかもしれん」短く息を挟んで、「テッセラクトで兵器を作る計画があったのは事実だ。ただ、それに全部は賭けていなかった。もっと危ない方に賭けていた。アベンジャーズ計画だ。スタークは知っている。並外れた人間を集めて、何かもっと大きなものになれるか、見たかった。俺たちには戦えない戦いを、戦ってもらうために。フィル・コールソンは、最期まで、その考えを信じていた。英雄を、信じていた」

 

スタークが、椅子を引いて立ち上がった。もう聞きたくない、という歩き方で、扉へ向かった。

 

「古臭い考えだがな」フューリーは、その背中に言った。

 

エドの耳の奥で、さっきのコールソンの声が鳴った。

 

あの人たちに、何か……立つ……。

 

あの言葉の続きは、これだったのか。それとも、あの人は何も知らずに、ただ、そう信じていただけなのか。エドには、分からなかった。

 

息が、喉に詰まった。

 

怒鳴りたかった。テーブルの上のものを、全部ひっくり返して、あんたは死人を使うのか、と、叫びたかった。

 

叫べば、どうなるか。

 

ロジャースは、カードを握りしめている。出て行ったスタークの足音は、怒っていた。ここに集まった大人たちの腹の底に、火が灯ったのが、エドには分かった。フューリーの狙いは、当たっていた。

 

ここで俺が叫んだら、その火は、消えるかもしれない。

 

消えたとして、ロキは、止まらない。ニューヨークの人間が、巻き込まれる。

 

言わない。今は、だ。あの人の最後の言葉を、嘘にしたくない。エドは、握りしめた拳を、後ろに隠した。

 

扉を出る直前、スタークが、一度だけ振り返った。エドの顔を見ていた。短い間だった。眉が、わずかに動いた。何かを知っているのか、知らないのか、エドには判別がつかなかった。ただ、ラボでこの男に言われた言葉が、頭に浮かんだ。

 

隠してることを、隠してる。

 

エドは、目を逸らさなかった。逸らせば、認めたことになる。かといって、見返し続ければ、これも、答えになってしまう。まばたきを一度だけして、視線を、血のついたカードに落とした。

 

顔を上げた時には、スタークの姿は、なかった。

 

ロジャースが、カードを握ったまま、エドの方を向いた。

 

「君は、彼の最期に居たそうだな」

 

「居た」

 

「何か、言っていたか」

 

エドは、少し迷った。全部を言えば、さっき胸に生まれた引っ掛かりも、一緒に出てしまう。

 

「ウィンリィ……俺の義肢を整備してる奴に、謝りたいって。約束してたんだ。危ない場所に、俺を出さないって。守れなかった時は、謝りに行くって」

 

「律儀な人だ」

 

「そうだよ。どうでもいいとこで、律儀だった」

 

声が、思ったよりも普通に出た。ロジャースは、何か言いたそうに唇を動かして、結局、カードを胸の前で、持ち直した。

 

「君は、まだ子供だ。ここから先は、君が付き合う必要のない戦いだ」

 

声に、責める調子はなかった。言わずにいられない、という言い方だった。

 

「……誰がガキだ」エドは、小さく噛みついた。それから、カードを握るロジャースの指を見た。血で汚れた指を、拭おうともしていない。エドは、息を吐いた。

 

「……あの人にも、同じこと言われたよ。出さないようにするって」エドは言った。「でも、来るって決めたのは俺だ。人が死ぬのを見るのは、初めてじゃない。八つの時に、母さんを亡くした。二年前には、世話になった大人を。助けられなかった子供もいる。……前にやってた仕事でも、それなりに見てきた。数えたくねえけど」

 

ロジャースの手が、止まった。

 

「ガキ扱いが嫌なんじゃねえ。ガキでいられる時間が、とっくに終わってるだけだ。……止めてくれたのは、ありがたいと思ってる」

 

ロジャースは、しばらくエドを見ていた。それから、短く息を吐いた。

 

「……分かった。君が決めることだ。ただし、無茶はするな」

 

「内容による」

 

ロジャースの口の端が、ほんの少しだけ動いた。笑いかけて、やめた顔だった。

 

「……それなら、内容を先に言う。後で聞かなかったとは言わせない」

 

「言わせねえよ」

 

張りつめていた部屋の空気が、少しだけ、緩んだ。エドは、壁に背を預けた。目を閉じかけて、思い直して、開けた。

 

今は、緩んでいた方がいい。そう思った。

 

ロジャースが、カードを内ポケットにしまって、部屋を出ていこうとした。扉の手前で、フューリーが言った。

 

「エルリック。お前は残れ」

 

ロジャースは、エドを見た。エドは頷いた。扉が閉まった。

 

部屋に二人だけになった。フューリーは、窓の外を向いたまま、しばらく黙っていた。

 

「上着の中を見たな」

 

エドは、答えなかった。

 

「止血を、お前が代わった。ポケットに手が触れたはずだ」

 

「……身分証と、ペンだった」エドは言った。「カードは、入ってなかった」

 

「そうだ」

 

あっさり認められて、エドの方が、言葉に詰まった。

 

「ロッカーにあった。血は、俺が付けた」フューリーは言った。窓の外を向いたまま、声に抑揚がなかった。「ヒルにも、いずれ知れる。あいつは気づく」

 

「死んだ人間を使って、あいつらの尻を叩いたのか」

 

「ああ」

 

「あの人に、頼まれたのか」

 

「頼まれてはいない」フューリーは、そこで初めてエドを見た。「だが、止められもしなかっただろう」

 

エドは、握った拳を、体の横で開いた。閉じた。また開いた。

 

「あんたは、嘘で人を動かす。それは、分かった」

 

「分かった上で、残るのか」

 

「あんたのために残るんじゃねえ。俺が、決めたんだ」

 

「構わん」フューリーは言った。「理由は、何でもいい。ロキを止めるのに要るのは、手だ」

 

扉の方へ歩き出したエドの背中に、声が追ってきた。

 

「お前は、気づく目をしている。大人が隠したがることに」

 

「だったら何だよ」

 

「そういう目は、役に立つ。ただ、使う前に潰れる奴も多い。覚えておけ」

 

エドは、振り返らなかった。扉を開けて、通路へ出た。後ろ手に閉める音が、必要以上に大きく響いた。

 

黙っていたつもりだった。その沈黙が、最初から見抜かれていた。悔しさと、背筋の寒さが、一緒に来た。

 

〈あの人、最初から、兄さんに見せたんだよ〉

 

〈ああ。気づく奴かどうか、試したんだ〉エドは、通路の壁に、拳を一度だけ当てた。鈍い音がして、機械鎧の指が痺れた。〈くそ。最悪だ〉

 

***

 

医務室の端のベッドに、バートンは座っていた。

 

上半身を起こして、膝に肘をついている。額に、湿布のようなものが貼られていた。弓も矢筒も、ない。あの黒い装備から、病衣に着替えさせられていた。ベッドの脇には、外された拘束帯が垂れている。

 

エドが入ると、顔を上げた。

 

目の縁は、元に戻っていた。細い線は、どこにもなかった。灰色がかった、ただの目だった。

 

「……お前か」

 

声に、角があった。施設で聞いた、あの声だった。エドは、扉の手前で足を止めた。何を言うか、決めていなかった。

 

「ナターシャから聞いた」バートンが言った。「お前が、俺の目に線があると教えたって」

 

「教えたって程じゃねえ。見ただけだ」

 

「見ただけで、よく分かったな」

 

「入られた跡を、見たことがあった。それだけだ」

 

バートンは、少しの間、エドの顔を見ていた。それから、視線を落とした。

 

「全部は、覚えてない。ただ、お前が目の前に立った時のことは、覚えてる。撃てと言われた」

 

「言った」

 

「撃てなかった」

 

「だろうな。外し方で分かった」

 

「……お前、何歳だ」

 

「十五。もうすぐ十六」

 

「十五で、よく、あんな真似をするな」

 

「あんたも、あの施設で、同じことをしたろ。俺は、十五で庇われた。借りがあるんだ」

 

バートンは、小さく鼻を鳴らした。笑ったのかもしれない。

 

「借りの話は、あとだ」

 

「あとって、いつだよ」

 

「俺が自分で、数え終わってから」バートンは言った。「それより、フィルは」

 

エドの口の中が、乾いた。

 

ナターシャは、席を外していた。まだ言っていなかったのだ。それは、何となく分かった。言えなかったのか、エドに任せたのか。

 

「死んだ」

 

バートンの顔は、動かなかった。表情が、動かなかった。動かないまま、肩だけが、ほんの少し、落ちた。

 

「いつだ」

 

「三十……もう、一時間くらい前だ。ロキに、槍で」

 

「……そうか」

 

それきり、バートンは、床を見ていた。長い間、そうしていた。エドは、何か言おうとして、やめた。言うべきことが、見つからなかった。

 

「俺は、あいつに、ずいぶん借りがあった」バートンが言った。誰に向けた言葉とも、つかなかった。「施設に入った時も、その前もだ。返し損ねたな」

 

エドは、その言葉を、胸の中で繰り返した。

 

返し損ねた。

 

「さっき、数え終わってからって言ったろ。……もう、数え終わらねえじゃんか」

 

「ああ。数える相手が、いなくなった。残るのは、覚えてることだけだ」

 

「同じだろ、それ」

 

「違う」バートンは言った。「数えるのは、返すためだ。覚えてるのは、忘れないためだ」

 

エドは、返事ができなかった。

 

「行け」バートンが言った。「俺は、ここにいる。まだ、動けない」

 

「あんたに、動いてもらわなきゃ困る時が、来るかもしれねえ」

 

「その時は、動く」

 

それだけで、十分だった。エドは、バートンの顔を一度だけ見て、頷いて、扉を出た。

 

廊下の壁に、スタークが寄りかかっていた。

 

紙のカップを片手に持っている。湯気は、もう立っていなかった。中身を飲むでもなく、ただ持っているだけに見えた。

 

「そうか」スタークは、カップの縁を指で弾いた。「コールソンは、私のところに、書類を持って三回来た。毎回、私は聞かなかったことにした。三回目は、彼も諦めたのか、置いて帰った。あれは、礼儀ってやつだったんだろうな。無視される前提の」

 

「……そうなのか」

 

「そうだ。今になって、読んでおけば良かったと思ってる」

 

エドは、返事に困った。スタークの声は、いつもの調子だった。軽くて、早口で。軽いまま、一箇所だけ、音が低く沈んでいた。

 

「工房の約束は、取り消さない」スタークが言った。「君が先に生き延びれば、だが」

 

「それ、さっきも聞いた」

 

「大事なことは、二度言うことにしてる」

 

スタークは、カップを傾けて、中身が冷えているのに気づいたように、顔をしかめた。それから、エドを横目で見た。

 

「君は、顔に出るぞ」

 

「出てねえ」

 

「出てる。あの紙を見た時にな。何を考えたかは、聞かん。ただ、言いたくなった時は、先に私に言え。私は、聞かなかったことにはしない」

 

エドは、スタークの目を見た。冗談の影は、どこにもなかった。

 

「……何の話だ」

 

「そうか」スタークは、あっさり頷いた。「ならいい」

 

「拘置区画を見てくる。ロキが、なぜコールソンを選んだのか、考えたい」

 

「選んだ?」

 

「偶然には、見えなかった」

 

壁から体を離して、カップを廊下の隅のくずかごに、遠くから放った。縁に当たって、床に落ちた。スタークは拾わずに、歩いていった。

 

エドは、その背中を見送った。

 

〈言わないの?〉

 

〈言わねえ。まだな〉

 

エドは、落ちたカップを拾って、くずかごに入れた。

 

***

 

その後、エドは医務室の脇の洗面所で、手を洗った。血のついた上着は、洗面台の脇に畳んで置いた。後で、ヒルに渡す。

 

蛇口の水が、赤く、薄く、排水口へ流れていった。右の手袋を外すのに、時間がかかった。革が、血を吸って、固まりかけていた。

 

指の関節を一本ずつ動かして、機械鎧の接ぎ目に入り込んだ血を、爪の先で掻き出した。左手の指も、洗った。素手の指の間から、水が、冷たかった。

 

鏡の中の自分は、目の周りが赤かった。泣いたわけでは、ない。ただ、赤かった。

 

〈兄さん〉

 

〈なんだ〉

 

〈ヒューズさんの時と、似てるね〉

 

〈……似てねえよ〉エドは、水を止めた。〈あっちは、俺のせいだった〉

 

〈今日のも、兄さんのせいじゃないよ〉

 

〈分かってる〉

 

分かっていた。それでも、手の中にあった温度が、少しずつ冷めていく感触は、あの時のままだった。人は、同じようには、死なない。なのに、手のひらの方は、同じように、覚えている。

 

エドは、手袋を絞って、水を切った。濡れた革を、指に通した。冷たかった。それから、洗面所の扉に手をかけた。

 

借りは、返せる相手がいなければ、残ったままになる。

 

イズミの言葉が、頭に響いた。作ったら、返せ。

 

返す先が、いなくなった。ならば、残りを、どこへ返すか。

 

扉の向こうで、重い足音が、ひとつ、通り過ぎた。スタークだった。

 

***

 

拘置区画の廊下には、まだ血の匂いが残っていた。

 

ガラス張りの部屋の中央で、スタークが立っていた。檻の落ちた床の穴を、見ている。洗面所を出たエドは、足音の後を追ってきたのだった。

 

廊下の反対側から、ロジャースが入ってきた。

 

「フューリーのやり方は、気に入らない」ロジャースが言った。声は低かったが、固かった。「あの人の死を、人を集める札にした」

 

「ああ、気に入らない」スタークが、顔を上げなかった。「だから、あの男の笛で行進するつもりはない」

 

「分かる。だが、あの人が集めなければ、俺たちはここにいない。ロキは、もう動いている」

 

「それも事実だな。で、俺たちは、あの男が書いた筋書きの通りに動くわけだ。コールソンの死まで、筋書きの一行にして」

 

「そうは言っていない」

 

「言ってなくても、そうなる」

 

どちらも、間違ったことは言っていない。エドには、それが分かった。分かるから、余計に、胸の奥が煮えた。どちらの言い分も、あの人の死の上に乗っている。

 

「二人とも、合ってる」

 

エドが言った。二人が、同時に振り向いた。エドは、入口から数歩、中へ入った。

 

「フューリーは汚ねえ。あのカードは、嘘だ。俺は、あのおっさんを許してない」エドは、唇を噛んだ。「でも、あのおっさんの狙い通りに、今こうして全員が揃ってる。……悔しいけど、筋書きには乗るしかねえ」

 

「君は、乗るのか」ロジャースが言った。

 

「乗る。ただし、あの人の書いた意味のままじゃ乗らねえ」エドは、スタークを見た。「あんたは、使われるのが嫌なんだろ。なら、使われる前に、先に動け。あのおっさんの筋書きの、一行先を行け。そうすりゃ、使われたんじゃなくて、こっちが使ったことになる」

 

スタークの目が、わずかに動いた。

 

「あんたもだ」エドは、ロジャースに言った。「命令で動くほうが、楽だろ。でも今は、命令が汚れてる。だったら、あんたの判断で動け。あのおっさんの許可は、要らねえ」

 

「……」

 

「コールソンさんは、あんたたちが一つになるところを見たがってた。カードは嘘だったけど、あの人の願いは嘘じゃねえ。だったら、本当にしちまえばいい。そうすりゃ、あのカードの嘘も、本当になる」

 

廊下に、沈黙が落ちた。スタークが、短く笑った。笑いというより、息の漏れる音だった。

 

「……丸め込まれた気がするな。十五の子供に」

 

「ガキ扱いしたきゃ、後でしろ。今は、先を行く話だ」

 

「分かった」ロジャースが、静かに言った。「どうすればいい」

 

「ロキの、次の手を読む。あいつは、何をしたがってる」エドが、スタークを見た。「あんた、一番頭が回るだろ。怒るのは、後でいい」

 

スタークは、檻の穴に目を落とした。それから、ゆっくりと息を吸った。

 

「勝つだけじゃ、足りないんだ、あいつは。見られたい。自分が勝つところを、全員に」

 

「観客か」ロジャースが言った。

 

「そうだ。シュトゥットガルトは、予告編だった」スタークは、そこで言葉を止めた。「あの装置は……」

 

「キューブは、通り道がいる」エドが言った。ラボで読んだ時の、左手の冷たさが、まだ指に残っていた。「でかい力を一点に束ねるなら、束ねる受け皿と、それを途切れさせない動力がいる。置く場所は、勝手に決まらねえ。選んでるはずだ」

 

「大きくて、途切れない」スタークの顔から、血の気が引いていった。「……くそっ」

 

「どうした」ロジャースが言った。

 

「僕の家だ」

 

ロジャースが、眉をひそめた。

 

「スターク・タワーだ。あの自家発電なら、街の電力を食わずに、装置を動かせる。置くなら、あそこしかない。僕が、設計した」スタークは、拳を握った。「あの野郎、僕のタワーを、舞台にする気だ」

 

「確かか」

 

「確かじゃない。だが、ほかに思い当たらない」

 

ロジャースは、スタークを見て、それからエドを見た。何も言わなかった。言わないまま、頷いた。

 

エドは、息を吐いた。さっきまで、二人は別々の方を向いていた。今は、同じ一点を見ている。

 

***

 

格納庫は、まだ煙っていた。

 

壁際に、バートンが立っていた。病衣ではなく、黒い装備に着替えて、弓を肩に掛けている。いつの間に来たのか、エドには分からなかった。

 

片方の羽根が回り始めた艦の振動が、床から伝わってくる。

 

スタークの鎧は、格納庫の隅に、無残な姿で置かれていた。エンジンの回転に巻き込まれた肩と胸の装甲が、ひしゃげている。関節の一枚が、外れかけていた。

 

「溶接機を持ってこい」スタークが、技術員に言った。「本来は半日仕事だ。一時間で、無理やり通す」

 

エドは、ひしゃげた肩の装甲を見ていた。見ていたというより、目が離せなかった。ひしゃげた縁から、見たことのない層が覗いていたのだ。

 

「なあ。外側だけなら、俺が直せる」

 

スタークが、振り返った。

 

「外側だけ?」

 

「中は触らねえ。あんたの仕事だ。……でも、外装なら、溶接より早い」エドは、目を逸らした。「ついでに、その金属がどうなってるか、見てみてえってのも、ある」

 

「下心が丸見えだぞ」

 

「うるせえ」

 

スタークは、エドの顔を見た。それから、鎧を見た。短く笑った。

 

「いいだろう。外側だけだ。直せるなら、な」

 

エドは、ひしゃげた肩の装甲に、左手を当てた。

 

金属の声が、指に流れ込んできた。その途端、エドは息を止めた。

 

「……何だ、これ」

 

「どうした」

 

「軽いのに、硬い。しかも、層になってる。違う金属が、薄い膜みたいに、何重にも重なってる。こんな組み方、見たことねえ」エドは、手を離さずに言った。声が、勝手に弾んでいた。「どうやったら、こんなもん作れるんだ」

 

「ほう」スタークの目が、わずかに細くなった。「触っただけで、積層まで分かるのか」

 

「分かる。分かるから、直せる」

 

エドは、肩の装甲から左手を離し、両手を打ち合わせて、そのまま装甲に押し当てた。

 

光が、格納庫の薄暗がりを、青白く裂いた。ひしゃげた装甲が、波打つ。折れた骨組みが、継ぎ目から繋がり、元の形へ巻き戻っていく。外れかけた関節が、一枚ずつ、音を立ててはまった。

 

エドは、手を止めなかった。直すのは、外側だけだった。ひしゃげた装甲板と、折れた骨組み。傷んだ部分を、元の層の順番どおりに、組み直していく。中の回路や機構には、指一本触れなかった。あれは、この人の領分だ。

 

手を離した時、鎧の外装は、元の姿に戻っていた。掌が、じんと熱かった。

 

『トニー様』ジャーヴィスが言った。『外装の損傷、全て修復を確認しました。ただし、推進系は損傷したままです。出力は七割』

 

スタークが、口を開けたまま、エドを見ていた。

 

「……半日かかる仕事を、三分か」スタークは、直った肩の装甲を、指で叩いた。「いいか、よく聞け。うちの廃棄場には、捨てるしかなかったスクラップが山ほどある。それが元の合金に戻って、貴重な材料を何度でも使い回せるんだぞ。経理が泣いて喜ぶ。この億万長者の僕が、唸ってるんだ。今のうちに、誇っとけ」

 

「言っとくが、新しくは作れねえ」エドは言った。「ここにあるものを、組み替えてるだけだ。材料がなけりゃ、同じものは出せない。足りない分は、補えねえんだ」

 

「それでいい。壊れた物を、継ぎ目なしで戻せる。それだけで、世界中の工場が君を欲しがる」スタークは、にやりと笑った。「中は触ってないな」

 

「触ってねえ。あんたの仕事だろ、そこは」

 

「だな。中は私が見る。……まあ、七割あれば、ニューヨークまでは持つ。戦える状態じゃないがな。着いたら、タワーに新型がある」

 

エドが何か言い返す前に、スタークが笑った。短く、乾いた、本物の笑いだった。

 

「ジャーヴィス。この子供に、工房の入館証を作っておけ。廃棄場の山を、片っ端から片付けさせる。給料は、浮いた材料費から出す」

 

『かしこまりました、トニー様。経理部が泣いて喜びます』

 

その時、ロジャースの手首で、短い雑音が鳴った。艦の通信が、ようやく一瞬だけ戻って、すぐに切れた。

 

「通信は、まだ死んでる」ロジャースが言った。「向こうで、ばらばらになる」

 

エドは、周りを見回した。壊れたパネルが、床に散らばっている。配線、基板、細い金属線。

 

「待て」

 

エドは、しゃがんで、パネルの残骸に左手を当てた。基板の回路が、指の中に流れ込む。耳元に着けていた自分の通信機を外して、見本に並べた。艦の周波数も、これで分かる。

 

「通信機を作る」エドは言った。「五つだ。三十秒くれ」

 

「作る?」ロジャースが言った。

 

「向こうでばらばらにならねえようにだ。黙って見てろ」

 

エドは、両手を打ち合わせて、床に叩きつけた。散らばった残骸が、光の中で浮き上がり、小さな粒になって、一か所に集まっていく。粒は、形を結んだ。基板に付いていた小型の電池を割って、一つずつ、芯に仕込んである。耳に収まる大きさの、小さな機械が、五つ。

 

エドは、立ち上がって、手のひらに載せたそれを、順番に配った。一つは、自分の耳に残した。

 

最初は、バートンの前に立った。

 

「あんたからだ」

 

バートンは、手のひらの小さな機械を、見つめた。

 

「声が、一番長く、途切れてただろ」

 

バートンは、何も言わなかった。通信機を、耳に付けた。それから、ほんの少しだけ、目を細めた。

 

次は、ナターシャ。ロジャース。それぞれの手に、同じ小さな機械を、押し込んでいく。

 

最後の一つを持ったまま、エドはスタークの前で手を止めた。

 

「……あんたは、いらないか? ジャーヴィスがいりゃ、どうにでもなるだろ」

 

「ああ。周波数くらい、ジャーヴィスが三秒で合わせる」スタークは、エドの手の中の機械を見た。少し間を置いて、手を出した。「だが、君は僕の合金を読んだろ。なら、こっちも君の作った物を読ませてもらう。お互い様だ」

 

「……好きにしろ」

 

「そうする」

 

「周波数は、艦のと同じに合わせてある。向こうで、艦が落ちても、俺たち同士なら届く」

 

ロジャースが、通信機を耳に付けたまま、エドを見ていた。ナターシャも、見ていた。スタークも、機械を握ったまま。

 

誰も、口を開かなかった。さっきまで子供と呼んでいた相手が、いつの間にか、自分たちの命綱を握っていた。そのことに、全員が同時に気づいたような沈黙だった。

 

「……エルリック」ロジャースが言った。「君は、本当に」

 

言い切る前に、エドが言った。

 

「あんたらは、戦う相手のことしか言ってねえ」

 

ロジャースの口が、止まった。

 

「ニューヨークには、何百万人も人がいる。ロキは、その真上で舞台をやる。避難は誰がやる。艦と地上の警察は、繋がってねえだろ。逃げ道なら、足場でも橋でも、俺なら即席で作れる」

 

ロジャースが、短く息を吸った。

 

「……そうだ。市民の避難を、誰も考えていなかった」

 

ナターシャが、耳の通信機を指でつまんで、確かめるように押さえた。スタークは、受け取った小さな機械を、光にかざして、目を細めた。

 

ロジャースは、盾を背に付けた。ヘルメットを被った。そこにいたのは、ただ一人で盾を持つ男ではなく、人を率いる男だった。

 

「作戦を言う。スターク、先行してタワーを押さえろ。ナターシャ、バートンと俺は輸送機で続く。バートンは上から援護だ。エルリック」

 

「なんだ」

 

「君は、市民の避難路を作れ。足場でも、橋でも、通路でも。人が逃げられる場所を、君の手で作ってくれ」

 

「任せろ」

 

「無茶は——」

 

「約束できねえ」

 

「……それでも、頼む」

 

エドは、にやりと笑った。

 

スタークが、鎧の中で、肩をすくめた。

 

「いいチームだ。ようやく、チームらしくなった」

 

輸送機の前で、若い乗員が、一行の前に立ちふさがった。

 

「許可のない方は、ここから先は——」

 

「坊や」ロジャースが言った。「やめておけ」

 

乗員の目が、ロジャースの盾に落ちて、それから、スタークの鎧に移った。両側へ、退いた。

 

「あんたの許可は、俺にも要るのか」エドが、通りがかりに言った。

 

「……いえ」

 

エドは、輸送機のタラップを駆け上がった。

 

扉が閉じる直前、エドは、艦の奥を振り返った。拘置区画のある方角。あの人が最後にいた場所を、頭の中で一度だけ辿った。

 

拳を握った。借りを返しに行く。あの人に、そして、自分に。

 

エンジンが、吼えた。格納庫の扉が開いて、空が見えた。輸送機が、艦の下へ滑り出して、地平線へ向かって、一直線に加速した。

 

耳の奥で、雑音が弾けた。

 

『聞こえるか』ロジャースの声だった。

 

『大きくクリアに、キャップ』スタークが答えた。

 

『聞こえてる』ナターシャ。

 

『こっちもだ』バートン。

 

四つの声が、エドの耳の中で、重なった。まだ、ぎこちなかった。

 

雑音の向こうで、バートンが一度だけ咳払いをした。

 

エドは、窓の外を見た。雲の切れ間から、夕方の光が差していた。

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