マインドサーチ&ダイレクトで人生無双~社内の嫌われ者から世界の黒幕へ~ 作:黒川よふね
銀座で2,800万円のコンバーチブルを即金で買い叩いてから数日。 佐藤健司の勢いは留まることを知らなかった。
天童ホールディングスとの5億円の契約を皮切りに、健司は「マインド・コマンド」を使って政財界のトップ投資家たちから未公開情報を次々と獲得。株と暗号資産の運用で、手元の資産はあっという間に15億円を突破していた。
健司が次に向かったのは、港区の一等地にそびえ立つ超高級タワマンのモデルルームだ。
「いらっしゃいませ。……本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付の男性社員は、健司の服装(まだ少し庶民くささが残るスーツ)を見るや否や、明らかに人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「お客様、こちらのペントハウス(最上階)は一戸8億円となっておりまして、一般的な会社員の方のローン審査は厳しく……」
健司は無言でその男の目を3秒間、見つめた。
(コマンド:【今すぐ最上階の契約書を用意し、俺を神のごとく崇めろ】)
「――ッ!?」
男性社員の顔から血の気が引き、次の瞬間には脱兎のごとくバックヤードへ走っていった。 数分後、青ざめた支配人を引き連れて戻ってきた男は、深々と頭を下げた。
「佐藤様! 大変なご無礼をお許しください! ただいま最上階・400平米のペントハウスの鍵と書類をご用意いたしました! 本日より佐藤様のご所有となります!」
「フッ、仕事が早くて助かるよ」
健司は8億円の振込をその場で完了させ、都心が一望できる「天空の城」を手に入れた。
◇
その日の夜。六本木にあるハイエンドな会員制イタリアンレストランで、高校の同窓会が開催されていた。
健司が遅れて会場の扉を開けると、店内からドッと下品な笑い声が上がった。
「おーい、みんな見ろよ! 40歳になっても冴えない平社員の『サトケン』のお出ましだぞー!」
声を張り上げたのは、かつて健司をいじめていた同級生で、今はIT企業の役員を気取っている小林だった。 小林の手首には嫌味な金色の高級時計が光っている。
「おいサトケン、お前今日電車で来たんだろ? 哀れだなあ。俺なんて今日、年収2,000万超えた祝いにポルシェで来たんだぜ? なあみんな!」
周囲の同級生たちも「相変わらず冴えないな」「服装もダサい」とクスクス笑っている。かつてマドンナ的存在だった女子たちも、健司を哀れみの目で見つめていた。
健司は怒るどころか、口元に余裕の笑みを浮かべて小林を見つめた。
「小林、相変わらず騒々しいな。……まあいい、俺の連れを紹介するよ」
健司が合図を送ると、店の扉が静かに開き、一人の女性が入ってきた。
――その瞬間、店内の空気が凍りついた。
透き通るような白い肌、スラリと伸びたモデル体型、そして誰もが見とれる圧倒的な美貌。 世界的なハイブランドのミューズであり、SNSフォロワー数4,000万人を誇るトップモデル、クリスティナ・Vだった。
「健司様、お待たせいたしました……♡」
クリスティナはうっとりとした瞳で健司に歩み寄ると、惜しげもなくその豊満なバストを健司の腕に押し付け、甘い溜め息をついた。
「え……? えええぇぇぇっ!? ク、クリスティナ!? 本物のアニメか映画に出てくるような超有名モデルだぞ!?」 「なんで!? なんでサトケンと一緒に……!?」
同窓生たちが目を丸くし、顎が外れそうなほど口ぐぐぐっと開けて固まっている。
小林が引きつった顔で叫んだ。 「ば、馬鹿な! お前みたいな冴えない平社員が、こんなトップモデル買えるわけ……いや、付き合えるわけないだろ!」
健司は冷ややかな目で小林を見つめ、静かに切り出した。
「小林、お前のポルシェって、型落ちの中古車だろ? しかも会社の経費で無理してリースしてるやつ。……あそこの駐車場に停めてある俺のコンバーチブルの隣だと、ちょっと見劣りするな」
「なっ……なんでそれを……!?」
「それと、年収2,000万で威張ってるみたいだが……俺の今日の『昼飯代の投資利益』より低いよ」
健司はスマホの画面をチラリと小林に見せた。 そこに表示されていたのは、資産口座残高:1,580,000,000円の文字。
「い……15億……!? 桁が……桁が違いすぎる……ッ!?」
小林はショックのあまりガクガクと膝を震わせ、その場に崩れ落ちた。 さっきまで健司を馬鹿にしていた同級生たちが、手のひらを返したように群がってくる。
「さ、佐藤くん! いや、佐藤様! 実は昔からすごいと思ってたんだよ!」 「佐藤さん、私……今フリーなの! 今度新しいマンション見せてくれない!?」
かつて健司を見下していたマドンナや同僚たちが、目をハートにして必死に媚びを売ってくる。
「あいにく、今夜はクリスティナとペントハウスでワインを開ける約束をしていてね。――失礼するよ」
健司は群がる群衆を冷ややかに一蹴すると、クリスティナの腰を引き寄せ、VIPらしく優雅に店を後にした。
背後からは、絶望と羨望に満ちた同級生たちの悲鳴が響き渡っていた。