マインドサーチ&ダイレクトで人生無双~社内の嫌われ者から世界の黒幕へ~ 作:黒川よふね
日本の政財界、そして世界の投資市場を裏から完全に掌握してから半年。
佐藤健司の日常は、かつて終電間際のオフィスでカップ麺をすすっていた頃とは完全に別世界のものとなっていた。
都心の一等地にそびえ立つ、地上50階の超高級タワマン・最上階ペントハウス。 400平米を超える広大なリビングからは、東京タワーと都心の夜景が宝石箱をひっくり返したように輝いている。
「健司様、お口を開けてくださいませ……あーん♡」
キングサイズのソファに身を委ねる健司の口元へ、フォークで最高級のシャインマスカットを運んでくるのは、天童財閥の元・高飛車令嬢、天童華蓮だ。
かつて男たちをゴミのように見下していた彼女は、今やエプロン姿(下はシースルーのドレス)で、健司に少しでも褒めてもらおうと頬を染めてすり寄ってくる。
「ん、美味いな」
「まあっ……! 嬉しいですわ健司様! 健司様のために、山梨の農園をまるごと一つ買い叩いて正解でしたわ♡」
健司が頭を撫でてやると、華蓮は「あはぁ……っ」と甘い吐息を漏らし、そのまま健司の膝の上に頬を擦り付けた。
「ずるいですわ華蓮! 健司様、今夜は私がお世話をする番です!」
反対側から健司の腕を抱きしめてきたのは、世界的なトップモデル、クリスティナだ。 フォロワー4,000万人を誇る世界のミューズが、部屋の中では完全に甘えん坊な猫と化している。
「健司様のために、パリのコレクションのオファーをすべてキャンセルしてきましたの。私にとって、世界中のランウェイより健司様の隣の方がずっと価値がありますわ♡」
豊満なバストをこれでもかと押し付けながら、うっとりとした瞳で健司の唇を見つめてくる。
「クリスティナ、仕事はほどほどにしておけよ。ファンが泣くぞ」
「ふふ、健司様がそうおっしゃるなら、明日だけ復帰してあげます。その代わり……今夜は朝まで私を離さないでくださいね?」
そこへ、冷えた最高級シャンパンとグラスをトレーに乗せて歩いてきたのは、警視庁特務捜査課の元・エース、桐生葵だ。
黒髪ショートに、自宅用のゆるいシルクシャツ。ピシッとした警察制服を着ていた頃の面影を残しつつも、その瞳には健司への底なしの愛情と忠誠心が宿っている。
「健司様、本日届いた政財界からの『ご機嫌伺い』のリストと、献上品の目録です。……なお、健司様を少しでも不快にさせそうな怪しい動きは、私の権限で全て裏から未然に処理しておきました」
「助かるよ葵。優秀な護衛兼秘書だな」
健司が葵の腰を引き寄せて引き寄せると、クールだったはずの元捜査官は一瞬で顔を真っ赤にし、健司の胸元に顔をうずめた。
「くっ……健司様にそう言っていただけると、警察を味方につけて裏工作に奔走した甲斐がありました……っ。……あの、私も……華蓮やクリスティナみたいに、頭を撫でていただいてもよろしいでしょうか……?」
「もちろんだ」
健司が葵の黒髪を優しく撫でると、葵はうっとりと目をつむり、健司の体にぴったりと密着した。
◇
かつて自分をいじめ、手柄を奪い、バカにしていた元上司や同僚たちは、いまや健司の会社の末端で泥のように働かされている。 自分を見下していた同級生たちは、健司に一口の出資をもらうために、毎日ペントハウスの受付で土下座まがいの頭を下げ続けている。
だが、今の健司にとって、そんな連中の存在などもはやどうでもよかった。
左手には世界を魅了するトップモデル。 右手には最高級の甘えを見せる財閥令嬢。 そして背後には、国家権力すら動かして自分を守る美貌の警察官。
「健司様、今夜は誰と一緒に休まれますの……?」 「ふふ、3人一緒でも、私は一向にかまいませんわよ♡」 「健司様が望まれるなら……どのようなご奉仕でもいたします……っ」
3人の美女たちが、競い合うように健司に愛を囁いてくる。
グラスのシャンパンを呑み干し、健司は夜景に向かって静かに口元を緩めた。
「――そうだな。夜は長い。ゆっくり楽しむとしよう」
40歳。人生のどん底から始まった男の「最高の無双日常」は、これからも永遠に続いていく。