ぽんぽこぽんぽこ。
と亜季はドラムを叩き終わり、思い悩む。
「……むー」
最近師匠がおかしい、と。
ドラムを教える時は真剣でまともなのに、それ以外の時が、どうもよそよそしい、と。
いやよそよそしいというか、なんというか、言語化出来ないナニカを感じていた。仲良くしてくれはするものの、挙動不審気味と感じていた。
たしかに今までお友達が少なかったとは聞いてはいた。だから対人関係に難有り……という訳ではない。なにせヨッパや音祢とは普通に話しているし、今まで自分ともまともに話していた。
なのに、なのにだ。
最近自分にだけ、何故か変な感じがする、と。
「なんでだと思う? 音祢さん」
「それあたしに聞くんだ……」
「だって本人に聞けないし……」
呆れた表情を返す音祢。
ちなみに桂香はまだゲーセンに現れていない。だからこそ聞けた話題ではあるが。
「私には聞かないのー?」
「ヨッパさんは……まぁ、その……」
「お? なんだ? うん?」
そこに面白がったヨッパが参戦してくる。
が、亜季はなにやら口ごもり、
「人の心がたまに無いので……」
バッサリ、切り落とした。
「……アキちゃんも言うようになったねぇ」
「ああああ今のなしでごめんなさい!」
「いや分かる。ヨッパは人の気持ちが分からない」
「なんだとーう⁉︎」
だいたい普段の行いのせいである。
「でまあ、フレの話だっけ?」
「あっ、はい」
そして話は戻る。
「自分で考えなさい」
「ええええええええ」
が、バッサリ切り落とされた。
「じゃ、じゃあヨッパさん!」
「んー? じゃあ私も自分で考えなさいって回答で」
「ええええええええ」
が、バッサリ切り落とされた。
「どういうことなの……」
動揺する亜季。
考える。考える。考える。
「なにか悪いことしたのかな……」
だが考えれば考える程に、悪い考えしか出てこない。
しかしそんな亜季を見て、音祢もヨッパも苦笑する。
「それは無いと思うから大丈夫だよ」
「そ、そうなの?」
「うん。大丈夫平気平気ー」
「そ、そうなんですか……?」
ぽんぽん、と両肩を叩かれて懐疑的な目で二人を見る亜季。主にヨッパを。信頼が無さすぎる。
「それにほら、見てみ?」
「う?」
だがその時、丁度ゲーセンに桂香が入ってきた。
見てみろ、と言われたが故に目線が合う亜季。
「ぁ……」
ふわ、と桂香が微笑んだ。
「……あれが悪感情もってるように見える?」
「み、見えません」
「でしょ?」
溜息を吐かれながら、亜季は音祢から背中を押される。
「お疲れ様、アキさん」
「お、お疲れ様です。師匠」
「……? さ、今日も始めるわよ」
「はいっ!」
そして、今日も始まる。
真剣に、和やかに。
だが、二人の距離はどこか近く。
だが近過ぎた際の桂香はどこか不審に。
亜季は思う。何かが変だ、と。でも何が変なのかは分からない、と。
違和感。
それに気付いていながら、何なのかが分からない。
いや、一度は気付いた筈。
なのに、もう忘れてしまっている。
「……ま、言えねーわな」
「……だねぇ」
「……あれ? ヨッパ知ってんの?」
「……さあてね?」