私の前世は明日を救えなかったスーパーロボット   作:狼二世

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47.漆黒、閃光

 黒い巨人と対峙する、六枚羽の天使。

 アース・アンゲスと対峙したヴェスキュリアスは、その翼でアマツシマを――世界を守るかのように立ちふさがる。

 巨人には顔もない。目もなければ口もない。それでも、ヴェスキュリアスという異物を前に、動揺しているように見えた。

 

 圧倒していたはずの敵が、未知の力を発揮して食い下がってくる。人間で当てはめるのであれば、警戒をするのも無理はないだろう。

 だが、対峙するムァンとエテニアは未だに余裕はなかった。

 ――一瞬で決めなければ、押し切られる――

 そう、理解しているからこそ、行動は早かった。

 

「……エテニアっ!」

『分かっています、フィールド、推力全開!』

 

 ヴェスキュリアスが白銀のフィールドを纏い、急加速する。アース・アンゲルスは反応する間もなく、胴体部に直撃を食らう。

 フィールドがゆがむ。だが、展開したハイロウが機体の全部に展開をすると、突撃の衝撃が強化される。

 

 黒い巨人の上体が傾く。次の瞬間、巨体が吹き飛ばされた。

 今まで悠然と立っていた巨体が宙を舞い、そして海面へと突き刺さる。その衝撃で、海面が浮かびあがる。

 

「波がっ?」

 

 衝撃で発生した巨大な波――それがアマツシマへ向かうのを見て、思わずムァンは叫んでいた。

 だが、すぐさまトキハから通信が入る。

 

『そちらは任せて、大丈夫、被災者なんて出させやしないわ』

 

 同時に、サブモニターには、沿岸にバリアを展開して待機するヴェスレギオンの姿があった。

 ムァンは小さく息を吐くと、再びアース・アンゲルスへと対峙する。

 巨人は、ゆっくりと起き上がる。同時に、巨体の各部から黒い触手を伸ばす。

 標的はヴェスキュリアス。

 ムァンは操縦桿を握りなおすと、機動に集中。一定の距離を保ちながら旋回し、触手を回避する。

 

(……この密度、突破するには最大の火力をぶつける必要がある)

 

 ムァンはコンソールを操作する。ハイロウ・ウイングの装備によって追加された装備を確認していく。そして、一点で止める。

 

(これならいける)

 

 すぐさまエテニアに確認をする。

 

「エテニア、バインドハイロウの準備は?」

『いつでもいけます』

 

 コンソールの表示が切り替わったことを確認すると、ムァンはすぐに次の行動へとうつる。

 

(カタログスペック上の有効射程距離の外……ならっ)

 

 そこに飛び込むのは、パイロットの仕事である。

 

「分かりました、有効射程に突入します! 多少の被弾は覚悟してください!」

『大丈夫、お姉さまならやれますからっ!』

「そういって油断しないように!」

 

 操縦桿を握り、フットペダルを踏みこむ。

 推力の増大による急速な加速。正面には触手の塊――だが、それも意味はない。

 ヴェスキュリアスの正面に触手が迫る。しかし、その動きは見えている。機体をわずかによじることによって回避。なおも迫るが、スラスターの推力で突き放す。

 上から、下から、左右から縦横無尽に迫る攻撃を、爆発的な推力によって振り切る。同時に、肩部のハイロウによって攻撃を切断する。

 

 完全に機動に集中したムァンは、その攻撃を一撃も触れることなく突破した。

 

『有効射程内に入りました!』

「展開!」

 

 ムァンの合図に、両肩のハイロウが分離する。

 光の輪は四つ、八つに分割すると、巨人の四肢へと向かって飛ぶ。

 そして、光の輪が巨人を拘束した。

 ハイロウから黄金の光があふれる。対アンゲルスのフィールドであり、その粒子が全身を拘束する。

 そのすきに、ヴェスキュリアスは攻撃の準備を行う。

 

 スラスターをホバリングのみに集中させると、一層のビームドライブユニットと二層のバリアを正面へと展開する。

 

「フィールド・ハイ・ブラスト! 展開!!」

 

 ビームがバリアによって圧縮され、球になる。強烈な光とプラズマを放ち、その一撃を発揮する瞬間を待っている。

 

「エテニア、行きますよ!」

『はいっ!』

 

 合図とともに、白銀の光球が放たれる。

 阻むものは存在しない。防げるものは存在しない。

 銀の光を放つ太陽ともいえる一撃は、アース・アンゲルスへと突き刺さった。

 

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