辺境貴族の俺と婚約した黒幕公爵家の令嬢が可愛すぎた件 作:平成オワリ
エクリアと一緒にパーティー会場を歩くと、盛大な拍手で迎えられる。
俺たちが着替えている間に用意されたヴァージンロード。
そこを歩いていると、涙ぐんでいるルーンと、肩を支えているリオウが見えた。
「エクリアァ! 幸せになんなさいよぉ! アンタは人一倍頑張り屋さんで、抱え込んじゃうんだからぁ!」
「アクセル! これ以上ルーンを泣かしたら許さないよ! というわけで、君はエクリアとお幸せに!」
「もちろんだ」
リオウが伸ばした手を軽く叩き、泣いてるルーンを見る。
「エクリアのこと、絶対に幸せにするから」
「泣かしたら、蹴るからね!」
「任せてくれ」
エクリアを見ると、彼女は意外にも優しく微笑んでいた。
もし二人が姉妹だったら、エクリアが姉でルーンが妹だったかもしれないな。
「アクセル様! お幸せに!」
「エクリア様ぁ! とってもお綺麗ですぅ!」
知っている生徒、知らない生徒。
俺たちの道を祝福するように、左右に分かれて声を掛けてくれる。
その中には家族枠として、シュシュやメイドたちもいて、涙ぐみながら微笑んでくれていた。
――本当に色々あったなぁ。
王都に来てから……いや、その前からか。
魔物に襲われてる馬車を助けたら、それが黒幕宰相なんて呼ばれてる公爵とそのご令嬢だった。
第二王子が婚約破棄をすると言いだし、気付けば俺がエクリアの婚約者になって……。
――英雄と言われるゼクト父上と戦わされたのは、俺の人生で一番の危機だったかもしれないけど。
終わった今ならそれも良い思い出だ。
おかげで認めて貰えて、辺境伯家の養子にもなれたわけだし。
――あ、王宮政務室のみんなだ。
俺が王宮政務室で勉強させて貰ったのは、そう長い期間じゃない。
だけど彼らの専門分野における思考の深さは、本当に驚かされたし、濃密な時間だった。
――それに、学園にも通わせて貰えた。
エクリアの護衛という名目だけなら、別に授業を受けさせてもらう必要もなかった。
後でユリアさんに聞いた話だが、それもウーガーさんが提案し、みんなで宰相に頼んでくれたらしい。
「これでお前も一人前の男だなぁ!」
「結婚が一人前なら、僕たちみんな半人前じゃない?」
「い、いい出会いがあるのを待ってるだけです!」
「ユリアは一生白馬の王子様を待ってそうだね」
みんなの声は大きく、まだ離れてるのにしっかり聞こえてきた。
普段は止める役のウーガーさんが一緒に騒ぐのは珍しい。
それがおかしかったのか、エクリアがクスッと笑う。
「楽しい人たちですね」
「ああ。最高の先輩たちだよ」
――いつかもっと立派になって、恩返しをしたい人たちだ。
多くの人たちの祝福を受けながら、俺たちは階段を上がる。
待っていたのは王族と、ライド家の面々とゼクト父上。
そしてこの国の黒幕公爵と呼ばれ、政治を一手に担う宰相――ジェラード・リンフォード様。
俺とエクリアは軽く目配せをして、別れて互いの親の前に立つ。
「アクセル。エクリアを頼むぞ」
「はい。ジェラード義父上。必ず、エクリアを幸せにします」
誓いを告げると、宰相は無言で頷いた。
「エクリア様! こいつは賢い振りしてだいぶ馬鹿だから大変だと思いますが! 言ったことは絶対守るし、頼りになるやつなんで、安心して身を委ねてやってください!」
「はい。よく存じてます」
さすがの父上も、この場では言葉遣いがちゃんとしてた。
ところでエクリア。俺、馬鹿じゃないよな?
父上に合わせて頷いているだけだよな?
「……ふふ」
俺が心配になって見ていると、少し悪戯げに笑った。
可愛い……なんて感想がすぐでてしまう辺り、これから振り回されそうだ……。
「アクセル・ヴィスペリア辺境伯子息! そしてエクリア・リンフォード公爵令嬢!」
本来、この式典では国王様から祝福の言葉を受けるという話を聞いていた。
しかし立ち上がったのは、ユリウス第一王子。
つまり、王国の中で王位継承が定まったということだろう。
ユリウス様は俺を見て、ニッと人懐っこい笑みを浮かべて言葉を続けた。
「王国の宝である二人の未来に、栄光あれ!」
盛大な拍手。
俺たちは生徒や来賓たちから見える位置に移動した俺たちは、お互いに向き合う。
「エクリア。愛してるよ」
「私も、お慕いしております」
余計な言葉は必要なく、行動で示す。
俺とエクリアは、この国の未来を担う人たちの前で愛を誓いあった。
◇ ◇ ◇
時間というのはあっという間に過ぎていくもので。
俺とエクリアが王都を旅立つ日がやってきた。
「アクセル様、馬車の準備ができました」
「ありがとうベイル」
元侯爵で元騎士団長のベイル。
そして学園で知り合ったミラベルにレゼ。
王宮執務室からはティノ。
王都で知り合い、そして俺の部下として付いてきたいと言った彼らを受け入れ、今がある。
「それじゃあエクリア、行こうか」
「はい、アクセル様」
エクリアの手を掴み、一緒の馬車へ。
初めて出会ったときと同じ道を通りながら、俺たちはヴィスペリア辺境伯領へと向かう。
その道中は当然も話題が尽きることもなく、楽しい時間が続くのであった。
第一部完!
そしてここまでが書籍の一巻分の内容になります!
書籍ではアクセル視点では見れない各キャラの内心や、新しい物語。
それにイチャイチャにバトルなど、すべて合わせると4万文字以上の加筆をさせて頂きました!
特に終盤の学園ジャックなどは展開を丸ごと変えて、バリバリ戦います!
可愛いイラストも盛りだくさんなので、書籍版もぜひ、よろしくお願いします!
※Web版もちゃんとこのまま続きますので、引き続きお付き合い頂けたら幸いです!