あと音也が若干空気かもや今回。
タイトルを間違えたのでかえました
さやかを呼ぶ三つの声。そして近づいてくる三人の影。二つは聞きいたことがあるが一つは全く聞いたことのない声。影もマンションの照明に照らされ姿を現す。
一人は桃色の髪をサイドにまとめたおっとりとした目の見滝原中学の制服を着用した優しそうな少女。名を鹿目まどか。
一人は長い黒髪を三つ編みに結び赤い縁の眼鏡をかけ同じく見滝原中学の制服を着用した大人しそうな少女。名を暁美ほむら。
一人は赤く長い髪を後ろにまとめ鋭い眼付きをし淡い緑色のパーカーと黒い短パンを着用した気が荒そうな少女。名を佐倉杏子。
「うッ、さやかその体...」
「さやかちゃん、大丈夫!?」
「杏子...まどか...転校生...」
救いを求めるような目で三人を見つめるさやか。
「なんだお前ら、こいつの知り合いか」
「今はアンタの相手をしてる暇はない。どっか行ってな」
「最近のガキはこんなに可愛げがないものなのか...」
音也のことを邪険に扱う赤い髪の少女とその扱いに歯をくいしばり静かに怒る音也。そんな音也を諌めながら恭介はまどかとほむらに話をふる。
「確か鹿目さんと転校生の暁美さんだよね?どうしてここに?」
「上条君!?えっとこれは...と、とと、とにかくここは私たちに任せて帰った方がいいよ!」
「そうです。上条さんは早く帰った方がいいです」
気まずそうになんとか恭介をこの場から離れさせようとするまどかとほむら。さやかの状態を見て早く帰ってもらった方が恭介とさやか双方の精神衛生上良いだろうと判断したためである。しかし少女達には男二人でさやかを取り押さえていたことなど露ほども知らない。
「まったく今までこいつを押さえていたのは俺達だというのに扱い悪いな。もう少し感謝というのはないのかお前ら」
「え、そうなんですか!ありがとうございます」
「今はそいつらの相手してる暇ねぇだろ!とにかくさやかをなんとかするぞ!」
必死にさやかの心配をする杏子。ボロボロの体でなんとか立っている彼女に言葉をかけるが目立った反応が帰ってこず焦りが募るばかり。
「さやかッ!!気をしっかり持てッ!!」
「そうです美樹さん!!気を確かにッ!!」
必死で呼び掛ける。反応は帰ってこない。そればかりかさやかの目がどんどん黒ずんでいく、闇へと沈んでいく。
「まどか...杏子...たすけて...」
「さやかッ!!!」
「あた、し...化け物に...なっちゃた...。きっと、恭介にも...嫌われちゃった...」
掠れた声で助けを求める。あれだけ反発していた杏子にも救いを求めて手をのばす。もう自分でも何がしたいのかわからない。ただ目の前の現実から逃げたくて、それが悪い夢だって信じたくて、みんななら何とかしてくれるかもしれないって思いたくて。声にならない声でただ空虚に助けを求める。
「ねぇ、どうして...。わたしは、だれなの...?」
そこには自分なんていない。
面影があるだけでガラスに映ったのは腐ったなにか。
自分が崩れていく。
壊れていく。
「きょう...こ...おし、えて...!!あたしは、どう...なったの」
最後に一緒にいた記憶のある杏子に問いただす。あの時、魔法少女をやめると宣言し自分の代わりに死んだ先輩が寂しくないようにと自身のソウルジェムという魔法少女の証を魔女の結界へと投げ込んだ。そこからの記憶がない。気づいた時にはどこか知らない場所にいた。意識を失っている間に何があったのか、その疑問を、嘆きを、杏子へとぶつける。
「ねぇ、おしえてよ...!!!あたし......魔法少女やめるって...ソウルジェム...投げ捨てたのに......」
ふと手に違和感を覚える。今まで錯乱していて気付かなかったはたまた感覚が鈍っていたことで気づかなかったのかはわからないが確かに何かを握っている。それは投げ捨てたはずのソウルジェムであった。
「あれ...まだ、持ってる...。ソウルジェム...なんで、まだもってるの」
まるで呪いのように自身の手に戻ってきているのを見て恐怖が芽生える。
「さやか......ソウルジェムが...真っ黒に...」
さやかのソウルジェムは本来サファイヤのように美しく煌めいた青色で構成されていた。しかし、今の彼女のソウルジェムは彼女の心情を現すようにどす黒く変色しており彼女の穢れを限界までため込んでいた。
「なんだそれは?そいつが黒くなるとまずいのか?」
ここで先ほどまで若干存在感が無くなりかけていた音也が口をはさむ。
「そうだッ!ソウルジェム浄化しないとさやかちゃん!」
「でも、グリーフシードなんて持ってんのかよあんたら」
「美樹さんのソウルジェムを探しているときに倒した魔女のやつを使いましょう!」
音也の発言によりハッとしたまどかがさやかのソウルジェムを浄化しようとする。ソウルジェム探しの中非常に少ないながらも魔女を倒していたグリーフシードを取り出す。
「さやかちゃんソウルジェム貸してッ!!」
「まどか...」
まどかが制服のポケットからグリーフシードを取り出し強引にさやかのソウルジェムへと当てる。しかし当てても元のきれいな青色は戻ってくることはなく依然としてどす黒いままであった。それどころか浄化したそばから濁っていく。ほむらもポケットから一つ取り出して当てるが効果はまるでない。
「駄目だッ!まるで効果がないッ!!」
「グリーフシードはあの二つしかないよ...。どうしよう...」
「美樹さん!今何とかしますからッ!!」
濁り切ったとき何が起こるかはわからない。だが、良くないことが起きるという予感があった。
「もう...いいよ...みんな...」
さやかから制止の声が聞こえる。
「きっと、あたしは...このまま死んでいくんだよ...。それで、良いんだよ...もう...」
諦めの声が木霊する。
もうすべてがどうでもよくなっていた。
これは先輩を死なせた報いだと。
彼女の言葉を聞き、咄嗟に体が動いたものがいた。恭介である。恭介は考えるより先にさやかに抱き着いた。
「だめだよさやか、そんな投げ出すようなことを簡単に言ったら」
「きょう...すけ...」
「さやかはさっき僕に嫌われたかもなんて言ってたけど、そんなことはないよ。むしろどんな姿になったって僕は受け入れる。さやかがいくら拒絶したって僕はこうやって抱きしめて受け止めるよ。嫌うなんてとんでもない、むしろ大好きさ。だからさやか、簡単に死ぬとか言わないでくれよ。想い人を残して逝くなんてそれこそ僕は大嫌いだよ」
「......」
聞いているだけで恥ずかしくなるような台詞をスラスラと発する。まさしく音也のような調子の良い言葉が自然と出てくる。恭介は気の向くままに本心を吐露しありのままを伝える。
その言葉にさやかは動揺する。青白い肌に血色が戻っていくような感覚が出てくる。衰弱しきっていた心臓が激しく高鳴るような気がした。弱りきっていた彼女にはまさしく救いの言葉に感じられる程、甘美で魅力的な言葉だった。
「で、でも...恭介には、こんな姿...見せたくない......」
「見せたくなくたって僕は見つけるよ。だって大切な存在なんだから」
もはや告白とも捉えられるものに音也を除く一同は騒然とする。そして音也はニヤニヤしながらやり取りを見守り、こいつは将来女たらしになると確信した。
そんなやり取りをしている内にソウルジェムの濁りが止まっていた。
「おい、濁りが止まったぞ!」
「しかし、肝心のグリーフシードがありません......」
「どうしよう...」
先程の浄化で使いきってしまったためこれ以上浄化できないと絶望する。そんな中ある男が一筋の希望の光を照らす。
「そのグリーフシードってのはこれのことか?」
なんと音也がスラックスのポケットからグリーフシードを取り出したのだ。まさか魔法少女でもない一般人から出てくるとは思っても見なかったためこれには驚愕の声が上がる。
「な、なんでアンタが持ってんだよ」
「前にナンパした女とティータイムを楽しんでいたら変な空間に迷い混んでな。そのときに出てきた変な奴を倒したらぽろっと落としたから拾ったんだ」
「もしかして魔女を...倒したのですか...?!」
まさかの発言にまたもや三人は驚愕する。本来魔女と出会ったら逃げるかそのまま魔女に食われて死ぬかの二択である。とても一般人の敵う相手ではない。それを倒したと言うのだから驚くのも無理はないだろう。
「とにかく、使わせてもらうぞ」
「いいぞ、礼はいらん」
杏子にむかってグリーフシードを投げる。吸い込まれるように杏子の手の中に収まると即座にさやかのソウルジェムへと当てる。グリーフシードへと穢れが吸い込まれ元の輝きには戻らなかったものの青色が分かるくらいには回復する。
「とりあえずこんなもんで大丈夫だろ」
「さやかちゃん、よかったぁぁ......」
まどかは安堵した声をもらす。ほむらも一先ずは大丈夫かも、という面持ちで見守っていた。
しかし状況は未だ絶望的なことは変わらずさやかの体は腐ったままで解決法もわからなず仕舞いであった。
「みんな......」
「さやかちゃんにはみんな死んで欲しくないんだよ!生きていて欲しいんだよ!」
「そうですよ!だから美樹さん、そんなに自分を責めないでください」
そんな状況だからこそ各々で声をかける。解決法が分からなくてもさやかの精神だけは守りたいという想いは一同共通していた。
「とり...あえず...さ、恭介、ちょっと離れてほしい...」
「わかった」
ずっと抱きついた状態だったため苦しかったのか離れてほしいことを伝える。それを受けゆっくりと離れる。そのときにさやかは名残惜しそうにしていたことは誰も気付かなかった。
皆の励みのお陰でなんとか会話できるほどには立ち直るがそれでもギリギリの精神状態ではあった。その証拠としてみなの優しさが今はとても辛く、自責の方向へといってしまう。
「ごめんね、あたしのせいで、迷惑かけちゃった」
「まぁ、なんだ...今回はアタシも半分悪いし、あんたが謝ることじゃ...ねぇよ.......」
「さやかはすぐ自分を責めちゃうの、悪い癖だよ」
即座に恭介と杏子がフォローにはいる。また壊れることがないように。
「なにがともあれ青髪はもう大丈夫なのか?」
「分かりませんが、一先ずは大丈夫だと思います」
さやかが安定し始め胸を撫で下ろしたそのとき、少女達のソウルジェムが激しく点滅し始めるのであった。
めがほむ馴染みないから口調むずいよ。まだまだ続くよどこまでも。見返すと誤字脱字が多すぎる!