恭介と音也   作:ラーキキ

8 / 12
今回長くなりました、すいません。2話に別けよう思ってたら1話に集約できるやんでやった結果こうなりました。お許しを。後csmイクサベルト買いました、315です。

追記 文をちょっとを追加しました


愛のラプソディー • 君がとても大切だから

 ソウルジェムが激しく点滅する。

 

「げッ、このタイミングで魔女かよ」

「行かなくちゃ...!」

 

 魔女の反応を察知したさやかは魔女のもとへと向かおうとする。それを音也を除く全員が止める。

 

「さやかはここで大人しくしてろ。私が行く」

「そうだよ!さやかちゃんはここで大人しくしてないと!」

「美樹さん、無理はしないでください」

「さやか、今は無理をしない方がいいよ」

 

 今の体では戦うどころか魔女のもとへ向かうことも難しい。ろくに体を動かすことが出来なければ足手まといもいいとこ、下手すれば先輩が死んだシーンを再び繰り返すことになってしまう。杏子にとってもそれだけは避けたかった。

 

「そうだ、お前はここでじっとしとけ」

「あたしは...正義の...魔法少女...なんだ...ここで、止まるわけには」

 

 さやかはブレーキが壊れていた。先輩の死という十字架が彼女に重くのしかかる。ここで行かねば最後まで役立たずになってしまう、その焦りが彼女の朽ちた体を動かした。その様子に誰も何も言うことができなかった。必死な形相で追い詰められていく彼女にどうしても言葉をかけることができなかった。

 そんな中音也がまた口を開く。

 

「いいからじっとしてろ。こういう時は素直に言うことを聞くもんだ。じゃないとまーた壊れちまう。いいか、張り詰めた糸はすぐ切れる。そしてお前はもう切れている。そういうことだ」

「でも─」

「さやか、こいつの言う通りだ。今は大人しくしておけ」

「......わかった」

 

 音也の説得と杏子の迸るあまりの圧に屈して渋々指示に従う。さやかのとても悲しそうな顔に心を痛める面々であったが無理に行かせてしまうよりかはさやかのためにもここで待機してほしいという気持ちが強かった。

 

「おい、ピンク髪」

「わ、わたしですか?!」

「お前以外に誰がいるんだ。その魔女とやらの位置はどこだ」

「えーっと、この反応の強さからしてすぐ近くの路地裏とかにいるかもです」

「そうか、わかった」

 

 まどかから魔女のおおよその場所を聞いた音也はまた足を動かす。音也の言葉を聞き音也がこれからしようとしていることを察知した杏子は語気を強めて彼を止める。

 

「ちょっと待ちな。あんた、もしかして魔女と戦おうっていうのかい」

「あぁ、当然だろう」

 

 音也はあっけらかんとした態度で言い放つ。まるでそれが当然の義務だとでも言わんばかりに。

 

「やめとけッ!いくら魔女を倒したことがあるって言ってもそれはただの偶然だ!行ったところで魔女に食われて死ぬのがオチだぞッ!!」

 

 杏子は魔女に食われて死んだ人間を見ている。それもかつて慕っていた人間の死。とても呆気なかった。命がそこら辺の雑草のように簡単に刈り取られるような光景。今まで使い魔を放置していたのにいざ目の前で目撃してしまうとその光景はとても衝撃的でなんとも胸糞悪いものだった。

 だからこそ、またあんな光景を見たくない杏子は目の前の自殺しにいくような音也を止められずにはいられなかった。

 

「お前も黙って青髪の面倒でも見てるんだな赤髪。あまり音也様を見くびるなよ」

「あたしは本気で言ってるんだぞ!あんたそんなに死にたいのかッ!!!とにかくここはアタシに任せてあんたこそじっとしてろ!!」

「誰がお前みたいなガキに任せられると言うんだ。そもそも子供はとっととおうちに帰っておねんねする時間だ。早く帰れ」

 

 一切聞く耳を持たない音也に杏子は段々苛立ちを覚える。目の前の男は本気で魔女と戦おうとしている。なんとしてでも止めなければならない。これで死なれたらまた胸糞を増やす結果になってしまう。

 しかし杏子の言葉を無視して音也は魔女のいる路地裏へと走っていく。

 

「あぁーもうッ!!アイツ人の話聞かなすぎだろ!!」

 

 あまりの自由奔放さから苛立ちを爆発させ音也を追う。しかし途中で止まり、さやか達の方へと振り返り指示をとばす。

 

「あんたらはさやかを頼む。魔女とあの馬鹿はアタシがなんとかするから」

「でも、一人じゃもしなにかったら!」

「アタシを誰だと思ってる。魔女くらいあんな馬鹿守りながらでも戦えるさ。じゃあ...頼んだぞ」

 

 そうして自信満々に言い放つと音也を追いかけていくのであった。

 

「「「「......」」」」

 

 杏子と音也がいなくなり辺りは沈黙が支配していた。恭介は何を話せばいいのか分からず、さやかは自分への不甲斐なさから口を開くことができず、まどかとほむらは恭介とさやかに事情を説明しようとするが何から話せば良いのか分からず仕舞いであった。

 重々しい空気が充満し誰も何も話せない。そんな中、沈黙が耐えられなくなったのかさやかが口を開く。

 

「ねぇ、まどか...きいて......マミさん死んじゃった......あたしのせいで......」

 

 先輩の死を告白する。震えた声でなんとか伝える。許しを乞うような、懺悔するようなかたちで必死に言葉を紡ぐ。これだけは伝えないとという気持ちが口をあけさせる。

 

「あたし、ダメだよね......マミさんころしちゃった...まどかにもひどいこといっちゃった...ほむらにも、つめたいたいどとっちゃった...。きょうすけも...かってにうでなおしちゃった...みんなに、めいわくかけちゃった...」

 

 これまでの罪の告白とでも言おうか。罪の十字架に耐えられなくなり全てを打ち明ける。全ての責任は自分にあるとでも言わんばかりに重々しく話す。先程まで、みなの尽力で保っていた精神がまた壊れる音がする。

 

「杏子が言ってたよね、あたしはボンクラだって。なんの現実も見れてないボンクラだって。今はその通りだなって思う。あたしがもっとちゃんとしてれば、マミさんは死ななかった...。まどかやほむらとも一緒にやれたかもしれない...。恭介にもこうやって迷惑かけなかった......。全部...あたしのせい...」

 

 徐々にまた戻っていく。

 その様子にまどかが語り掛ける。

 

「さやかちゃん、杏子ちゃんから聞いたよ。マミさんは魔女に食べられて死んじゃったって。さやかちゃんのせいじゃないよ。むしろマミさんはさやかちゃんを守ってくれたんだよ。せっかくマミさんが守ってくれたのにさやかちゃんがそんな状態じゃあ天国でマミさん悲しんじゃうよ。だからさ、元気出して」

 

 優しく慰めるように語り掛ける。その様子はまるで女神のよう。

 

「美樹さんは美樹さんなりに頑張ったんですよね。ならそんなに落ち込まなくても良いと思います。こうやってすっごく反省していますし、鹿目さんも言うようにこうやって落ち込んでいてはそれこそ、巴さんに迷惑がかかってしまいます」

 

 ほむらも寄り添いながら、語り掛ける。

 

「でも...みんなに迷惑かけちゃったし...」

「私は迷惑だなんて思ってない。むしろもっと頼って欲しかった。それにさやかちゃんに酷いことなんて言われたことないよ、私は」

「まどか......」

「私も冷たい態度をとってしまったのは何か事情があったからなんですよね。いや、美樹さんがどんな態度をとろうと私は美樹さんの味方です。私は魔法少女として一緒に頑張りたいです」

「ほむら......」

 

 さやかの目に光が戻っていく。二人の言葉が彼女に救いをもたらしたのだ。十字架が軽くなっていくような気がした。

 そんな中恭介はある言葉が引っかかっていた。

 

「ねぇさやか、一つ聞いて良いかな?」

「な、なに」

「腕を治したってどういうこと?いや、これは責めてる訳じゃないんだ。どうしても気になって」

「そ...れは」

 

 言い淀むさやか。これを言ってしまえば本当に恭介に嫌われてしまうかもしれない、そんな恐怖が全身を支配する。

 否定が怖い

 拒絶が怖い

 あらゆる負の想像が頭の中を駆け巡る。しかし言わないと嫌われてしまうかもしれない。進むも地獄退くも地獄とはまさにこの事だろうか。

 

「さやかちゃん、ここは正直に打ち明けた方がいいよ。大丈夫、私が何とかフォローするから」

「私も頑張ります!」

 

 まどかが前へ進むように背中を押してくれた。ここまで来たらそれを無下にすることは出来ない。覚悟を決め全てを打ち明ける。

 

「あたしは、恭介の腕を治したかった。そのために恭介の腕を治す願いを叶える代わりに魔法少女として魔女と戦う運命を受け入れた...受け入れたはずだった...でもそれで恭介の腕が治ったってこと」

「願いを叶えるだって!?それに魔法少女や魔女と戦うだなんて...理解が追い付かないや」

 

 あまりに急な話に恭介は頭が整理できないでいた。ただ一つ理解したことは、さやかが過酷な運命を受け入れて自分の腕を治してくれたということだった。

 

「上条さん、話すとちょっと長くなるのですが...」

「大丈夫暁美さん、そういうのは後でじっくり聞くよ。それよりもさやかが腕を治してくれたってことが重要さ」

「ごめんね、勝手なことして」

 

 不安な表情でさやかが謝る。きっと自分は拒絶される、そう思っているに違いない。

 しかし返ってきた言葉は想像の反対をいく言葉だった。

 

「謝らなくていいよ、むしろ嬉しい。さやかがそこまで僕のことを想っていてくれたなんて。お陰でまたバイオリンを完全に弾けるようになった。感謝してもしきれないよ。確かに最初はちょっと複雑な思いだったけどさやかの言葉を聞いたらそんな思いどうでもよくなったよ。思えばいつもさやかに支えられてばっかりだね僕は...」

「そんなことない!!支えられてるのは私の方っていうか」

「とにかくありがとう、さやか」

「.......!!」

 

 たった一言の感謝の言葉。それが心に染みていく。体が火照っていくのを感じる。涙なんて出ないのに泣いているような感覚に陥る。

 ずっと求めていたかもしれない言葉。

 ずっと聞きたかった言葉。

 それがこうして聞けた。言ってくれた。

 人のために願っても意味がない、報われないなんて杏子は言っていた。今は違うと断言できる。そんな気がした。

 

「そうだ、ずっとさやかに渡したいものがあったんだ」

「渡したいもの?」

 

 そういうと恭介は一枚のCDをとりだす。

 

「入院してるときは君から何枚もCDを貰ったよね。ずっと僕を励まそうとしてくれた。退院後は腕が使えない僕を見かねて甲斐甲斐しく世話をやいてくれた。それに過酷な運命を受け入れてまで僕の腕を治してくれた。でも、僕はなにもできなかった。だからさせめてものお返しで曲を作ってきたんだ。さやかの好きな曲が分かんなかったからさ。試行錯誤して作った。受け取ってくれ」

「恭介...!」

 

 恭介がさやかを探していた理由、それはCDを渡すためだった。恭介がさやかのために作曲した世界で一つだけのCDであった。今までの恩返しの意味を込めた大切なCD。それをプレゼントしたかったのだ。

 さやかはCDを受け取ろうとする。しかしすぐに腕を引っ込めた。

 

「嬉しいよ恭介、とっても嬉しい...でも、さ、恭介には私にじゃなくてもっと素敵な人のために作曲すべきだよ」

「どういうことだい?」

 

 さやかは思い出してしまった。仁美が恭介に告白することを。これを受け取ってしまったら仁美に悪い気がする。せっかく時間をくれたのに出し抜くような真似をしているんじゃないかと不安になる。そうだ、彼には仁美がいるじゃないか。こんな化け物よりも相応しい人が、そう思ってしまった。そう思うと受け取ってはいけないような気がした。

 

「あたしなんかよりもずっといい人がいる。その人のため作曲した方が絶対よかったよ、うん。だからさ、受け取れないや」

 

 未練を絶ちきるように心苦しい中必死に告げる。これでいい、これで恭介にとってもいい結末なんだと言い聞かせて。

 しかし恭介から予想外のこと言われる。

 

「もしかして、志筑さんことかい?それなら安心して。僕は志筑さんの告白、断ったんだ」

「え...うそ...」

 

 これにはさやかも虚を突かれたような顔をした。予想外の展開であった。まさか恭介が告白を断っているとは思わなかった。仁美はかなりいい人だ、頭が良く才色兼備でお淑やかな子だ、断る要素なんてどこにも無いだろう。なのになぜ断ったのか不思議でしょうがなかった。

 

「確かに志筑さんはいい人だ。でも恋愛的に好きかって言われると違う。あくまでも友達だ。好きと言っても友愛みたいなもの。それにさ、僕にはもっと大切な存在がいる。だから断ったんだ」

「そう...なんだ...」

 

 "もっと大切な存在"この言葉に妙に胸が高鳴る。なぜだかはわからなかった。

 ピンときてなさそうなさやかの様子を見かね答えを告げる。

 

「君のことだよ、さやか」

「......え?!」

 

 まさかの回答に理解が追いつかない。幻聴なのか、はたまた聞き間違いか、さやかの頭の中が目まぐるしく回転する。とにかく混乱していた。

 

「いつも僕を支えてくれたからさ、今度は僕が支えたい。その体で大変な思いをたくさんすると思うからさ、だから今度は僕の番なんだ」

 

 一度区切ると、深呼吸をした。

 そして

 

「付き合ってほしいな。もし了承してくれるならCDを受け取ってほしい」

 

 心臓が高鳴った。

 気分が高揚する。

 今までの重さが嘘みたいに無くなっていく。

 恭介の言葉を聞いた瞬間さやかは抱きついていた。考える暇なんて無かった。ただその言葉が嬉しくて抱きつかずにはいられなかった。

 

「恭介ぇ!!あたしもずっと好きだったよ恭介ぇ!」

「うおっと...。はは、そんなに嬉しかったのかい?」

「あたりまえだよぉ!!」

 

 さやかは泣いていた。これまでの悲しみの涙ではなく嬉しさの涙を流していた。自身の恋が成就し我を忘れて恭介の胸元でたくさん泣いた。もう悲しみを帯びた少女の面影は少し無くなっていた。

 

「よかったね、さやかちゃん!」

「美樹さん、おめでとうございます!」

 

 この一連の出来事を見ていたまどかとほむらは心から祝わずにはいられなかった。不幸だらけで泣いていた友達が、今こうして嬉しさを全面に出している。それだけで笑顔になるには十分であった。




原作主人公とループしてる人が脇役という恐ろしさ、怖いですね。どうしてもさやかと恭介に比重がよってしまうんです。あとうちの恭介ちょっと男前すぎるなぁ。多分音也の影響ということで
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。