修学旅行当日、俺達は東京駅の新幹線のホームにいる。
ホームの隅で出来るだけ人目を避けているが、それでも少し視線を感じる。まぁ、俺とルフェイの見送りがメイド服のレイナーレと着崩した着物を着た黒歌、そして幼女のオーフィスという物凄く目立つメンツだから当たり前か。
小猫とレイヴェルは学校で普通に授業を受けている。本人達は来たがっていたけど、その分昨日、可愛がったので我慢してくれた。
昨日は疲れた。小猫、レイヴェル、レイナーレ、黒歌、花蓮と五人同時に相手したからな。まだ腰が痛い。
にしても、花蓮が見送りに来ていないとは意外だな。あいつなら授業ぐらいサボりそうなのに。
隣ではイッセー達グレモリー眷属がリアス・グレモリーからフリーパス券を渡されていた。これは寺など悪魔が入れないような場所に入れるように陰陽師や妖怪だとかが発行してくれるものらしい。
俺とルフェイは人間なので関係ない。
「それじゃお土産をよろしくにゃ」
「OK。どうせ黒歌のことだから食べ物で良いだろ?」
「当然にゃ。変な置物とか貰っても困るだけにゃ」
これだから黒歌は分かっていないな。京都の置物は風情があって良いものなのに。
まぁ、俺も可愛くないから買わないんだけどな。
「我も行きたい」
オーフィスが制服の裾を掴んで上目遣いで言ってきた。
う~ん、可愛いし連れていこうかな。先生には適当に言っておけば大丈夫だろう。
「……霧識さん。変なことは考えていませんよね?」
ルフェイが低い声で言ってきた。何か怖いんだけど。
「悪いな、オーフィス。修学旅行だから生徒以外は無理なんだ。帰ってきたからデートしてやるから、レイナーレ達と大人しく待っていてくれ」
俺はオーフィスの頭を撫でながら言う。
すると、オーフィスがいきなり背伸びして俺にキスしてきた。
「分かった。これで我慢する」
オーフィスが少し頬を赤らめながらそう言った。
これ、大丈夫だよな?外で幼女とキスとか周りの人が警察に通報とかしてないよな?
「では、私もご主人様にいってらっしゃいのキスを」
「するか。こんなところで発情されても面倒だ」
レイナーレが唇を突き出してきたので頭を押さえる。
レイナーレはキス一つでも発情するので外では行為を抑えないとヤバいことになる。露出癖のあるレイナーレからしたらそれでも良いのかもしれないが、俺は露出癖がないので嫌だ。
「もう新幹線が来る時間だな」
俺は腕時計を見ながら言う。そろそろクラスに合流するか。
新幹線が出発してから十分間、ずっとルフェイが眩しい笑顔で俺の腕に抱き付いている。物凄く幸せそうなので、俺はその様子を観察している。これだけで京都まで時間を潰せるな。
ちなみに俺達は車両の一番後ろの席で、前の席はイッセーとアーシアだ。通路を挟んだ反対側にはイリナとゼノヴィアが座っている。
俺がチラッと見るとイリナが顔を真っ赤にして視線を逸らした。いつもより反応が過敏な気がするが、どうしたのだろうか?
「えへへ……」
「何でそんなに上機嫌なんだ?」
今朝から上機嫌だったが、新幹線に乗ってからは更にテンションが高い。
俺と修学旅行に行けることがそんなに嬉しいのだろうか?
「そりゃ、これから三泊四日の間、霧識さんを独占できるからですよ。楽しそうに色々なことをやっている霧識さんを見るのも楽しいですけど、やっぱり一緒にいたいですからね」
俺は思わずルフェイの笑顔に見惚れてしまった。
本当、何でだろうな?ルフェイが相手だと、こんなウブな反応をしてしまうのは。
そんな俺をルフェイは不思議そうに見る。
「どうしたんですんっ」
俺は気付いたら空いていた左手でルフェイの顔をこっちに向けて軽くキスしていた。
俺がキスをやめると、ルフェイは軽く微笑んだ。
「もう駄目ですよ、こんなところで。ホテルまで我慢してください。私だって我慢しているんですから」
周りの連中は修学旅行でテンションが上がっていて騒がしいし、ここなら人目につきづらいからキスぐらいなら問題ないと思うが。
まぁ、向こうに羨ましそうに俺達を……というかルフェイを見ているイリナがいるが。
「いや、ルフェイが可愛すぎるから、つい」
「……卑怯です。そう言われると怒れないじゃないですか。でも、人前ではこういうのをやめてくださいね。……その、私が我慢できなくなりますから」
ルフェイが俺の腕に抱き付いたまま頬を赤らめて体をモジモジさせて言った。
そんな表情で、そんなことを言われると俺の方が我慢できないんだが。
ちょっと二人でトイレに行こうかな。神器を使えば激しいプレイは無理だけど、それなりのことはヤれるし。
「あ、そうだ。……一つ我儘があるんですけど、聞いてもらっていいですか?」
「我儘?ルフェイの頼みだ。俺の聞ける範囲なら何でも聞くぞ」
にしても、お願いじゃなくて我儘か。ルフェイにしては珍しいな。
花蓮と黒歌は我儘だらけだが。少しはルフェイを見習ってほしい。
「では、その……修学旅行の間は私以外を見ないでほしいんです」
ルフェイが恥ずかしそうに目線を逸らして遠慮がちに言った。
ヤバい。今日のルフェイは可愛すぎる。
いや、いつも物凄く可愛いけど、今日は更に可愛い。ホテルまで待てる自信がない。
だが一つ気になることがある。
「どういうことだ?今回は他のメンバーは来ていないが」
「え~と、霧識さんって可愛い女の子を見付けると、すぐに仲良くなるじゃないですか。今回は可愛い女の子を見付けても仲良くなるのをやめてほしいんです」
可愛い女の子と仲良くなるのをやめろ、か。俺にとっては本能みたいなものだから少し難しいけど、ルフェイの数少ない我儘だし仕方がないな。
「分かった、約束する。修学旅行の間はルフェイだけを見る」
「ありがとうございます」
ルフェイが満面の笑顔で返事した。
どうしよう?さっきから胸のドキドキがとまらないんだが。
……トイレに行こうかな。
「でも、普通に友達として仲良くなるのも駄目なのか?」
「駄目です!……霧識さんにその気がなくても、相手が惚れる可能性があるじゃないですか。だって霧識さん、格好いいし優しいし色々なことが出来ますし」
いつも皆に言われるがストレートに誉められると照れるな。
まぁ、だからと言ってやめる気はないが。
「……おい、いつまでいちゃついているんだよ?聞いているこっちが恥ずかしいんだが」
イッセーが席の上から顔をのぞかせて面倒臭い文句を言ってきた。
この野郎、良いところだったのに邪魔しやがって。ただで済むと思うなよ。
俺は光の剣をイッセーの右目に突き付ける。
「お、おい!いきなり何すんだよ!?」
「あぁ?それはこっちの台詞だ。邪魔してんじゃねぇよ、クサレ童貞が」
「うるせぇ!て言うか、こんなものを人前で出すなよ!周りに見られたらどうするんだ!?」
「問題ない。俺達以外には認識できていないからな。そんなことよりこのまま右目、潰してやろうか。隻眼の赤龍帝っておっぱいドラゴンより格好いいと思わないか?」
イッセーの潰れた右目を禍の団との戦闘のせいにしたら世間に受けそうだ。……他にも色々と面白そうなことが出来そうだな。
「その場合は私が治します!」
アーシアも席の上から顔をのぞかせてそう言ってきた。
眼球を潰しても治せるのか?ライザーは眼球も復活したけど。
「アーシア、そういう問題じゃないぞ!?」
イッセーが焦ったようにアーシアに注意する。
そうだ、問題はそこじゃない。せっかく壊した眼球を治してどうする。
「だったら首を斬ってデュラハンにしてやる」
「何を物騒な話をしているんだ?」
気付いたらゼノヴィアが俺の隣にやって来ていた。
いつの間に来たんだ?怒りのあまり気付かなかった。
「うおっ!危なっ!」
いきなりイッセーが悲鳴を上げた。
見てみたら俺が無意識に付き出した光の剣をイッセーが避けていた。
チッ。避けなくて良かったのに。
まぁ、いい。イッセーに対する罰は後回しだ。今はゼノヴィアの話を聞くか。
「で、ゼノヴィア。何か用か?」
「ちょっと話があってな。だが、その前に座りたいんだが」
仕方ないな。
ルフェイを膝の上に移動させて、ゼノヴィアを俺の横に座らせる。
そして座るとゼノヴィアは口を開いた。
「今、私はデュランダルを持っていないんだ」
「その話か」
「ん?知っていたのか?」
「まぁな。その件で教会が俺のところにやって来たからな」
あいつらデート中にやって来やがって。もし男なら半殺しにしていたところだ。
まぁ、向こうもそれが分かっているから使いを女にしたんだろうが。
「何の話をしているんだ?」
事情を知らないイッセーが質問してきた。
「正教会に属している錬金術師がデュランダルの攻撃的なオーラを抑える方法を見付けたらしい。で、それを簡単に言うとエクスカリバーを鞘にしてデュランダルの力を制御するという方法だ。そのせいで俺のエクスカリバーも回収されてしまった」
後、お義兄さんの持っていたエクスカリバーも渡した。フェンリルを手に入れた以上、支配の聖剣の役割は果たしたからな。
まぁ、その分、光の剣や祓魔弾を何個かもらったけど。
ついでにデュランダルとエクスカリバーのレプリカが完成したら貰う約束もした。
「何か不機嫌そうですね。エクスカリバーとデュランダルの合体なんていつもならテンションが上がりそうですのに」
ルフェイが不思議そうに聞いてきた。
「まぁ、確かに聖剣同士の相乗効果でパワーアップするらしいから興味深くはある。でも、勿体ない気がするんだよな」
「勿体ないですか?」
「エクスカリバーもデュランダルもそれ単体で完成している。合体させるよりバラバラに使った方が効率が良い」
ゼノヴィアがデュランダルを扱いきれてないから仕方ないと言えば仕方ないんだが。
でも、エクスカリバーじゃなくても他のランクの低い聖剣を使えば良いと思うんだが。エクスカリバーの使い手がいないならともかく存在するんだから。
「……どうせ私がデュランダルの力を抑えきれないのが悪いんだ。あー、不甲斐ない」
ゼノヴィアが自虐モードに入っている。
この状態のゼノヴィアは面倒臭いから放っておこう。まぁ、普段も面倒臭いけど。
「え~と、何かあったらアスカロンを貸せばいいのか?」
「ああ、そうだ。いつも剣を借りてすまないな、イッセー」
「俺も使うけど、場合によってはゼノヴィアに貸した方が効率が良いからな」
イッセーも剣術は覚えた方がいいぞ。宝の持ち腐れだ。
そんな調子ならアスカロンも俺が貰うぞ。
そしてゼノヴィアは自分の席に戻っていた。
その後、木場もやって来てスケジュールの確認をしたが、クラスの腐女子の連中が騒いでうるさかった。
俺は彼女がいるんだから変な妄想に使うな。イッセーはどうでもいいけど。
もし俺をBL的な妄想に使いたいなら相手はギャスパーにしろ。ギャスパーなら問題ない。
イッセーとサイラオーグの練習試合のシーンは書くことがないのでカットしました。
このシーンは主人公がいないところで原作通りのことが起きています。
では感想待ってます。