駅弁を食べたりルフェイとイチャイチャしているうちに京都についた。
何か途中で松田が元浜の胸を急に揉むという、吐くほど気持ち悪い現象があった。これに関しては腐女子達も気持ち悪がっていた。
多分、イッセーに彼女が出来たことで色々とストレスが溜まっているのだろう。
だが事情なんてどうでもいい。本当に気持ち悪かったので記憶から抹消しよう。
そして駅のホームを出たところで、ここにいるはずのない人物を見掛けた。
「ヤッホー、お兄ちゃん!遅かったね」
何故か花蓮が笑顔でこっちに向かって手を振っている。
その様子を見てどうリアクションを取っていいか分からず俺は苦笑し、ルフェイは露骨にガッカリした表情をしている。
本当にどうして花蓮が京都にいるんだ?
と言うか、何で俺よりも早く京都についているんだ?確かに今朝は家にいたはずなんだが。
「ん?」
よく見たら隣にいるルフェイの体がプルプルと震えている。何か寒気がするんだが。
次の瞬間、ルフェイが凄い勢いで花蓮に詰め寄った。俺は予想外の事態に思わず目を疑ってしまう。
「花蓮さん!何で京都にいるんですか!?今日、普通に授業ありますよね!?サボってきたんですか!?って、そこはどうでもいいんです!私も霧識さんとデートするためによくサボりますから!問題は今、ここにいることです!」
ルフェイのマシンガントークによる文句が始まった。
こんなルフェイ、始めて見たな。それだけ俺と二人っきりになれるのが楽しみだったのか。嬉しい話だ。
「え?え?どうしたの、ルフェイちゃん?いつもと様子が違うけど」
さすがの花蓮も戸惑っている。
安心しろ、妹。俺も戸惑っている。
「どうもしません!」
「お、お兄~ちゃん……」
花蓮がルフェイの迫力に押されて困ったように俺を見る。本当に怖いのか少し涙目になっている。
他の生徒は関わりたくないのか目線を逸らしながら通り過ぎていく。
この状況を丸く収める方法は分かっている。あまり乗り気じゃないけど、ルフェイとの約束もあるし仕方ない。
「きゃー!痴漢!」
急に悲鳴が聞こえたので見てみると「お、おっぱいを……」と言いながら、痴漢行為に励む変態がいた。
何か変態の様子がおかしいような。だが、そんなことはどうでもいい。変態の相手は周りの人達に任せよう。
今の俺の相手は花蓮だ。
「花蓮、何で京都にきたんだ?」
「そりゃ、お兄ちゃんに会うためだよ。お兄ちゃんに会うために学校に行っているのに、お兄ちゃんがいないんじゃ行く意味がないよ」
うん、予想通りの返事だな。
「じゃあ、俺に会ったことだし帰れ」
「お兄ちゃん、酷いよ!それに今から帰っても授業には間に合わないよ」
「だったら、いつ帰るんだ?」
「お兄ちゃんの修学旅行が終わったら、かな」
花蓮が涙目ながらもハッキリと答えた。ルフェイの視線が更に鋭くなる。
これは早く終わらせないと面倒臭いことになるな。周りの通行客は冷や汗を流しているし。
まぁ、そんなどうでもいいことより、問題はこれ以上ルフェイの機嫌を損ねることだな。
「早く帰らないと嫌いになるぞ」
これは前にルフェイに似たようなことを言われたことがあるな。
その時は一瞬で土下座した記憶がある。
「大丈夫。お兄ちゃんが私のことを嫌いになる可能性はゼロだから」
よくそこまで自信満々に言えるな。
曹操達と焼肉を食べた時は俺に嫌われているかも、って思って物凄く悲しそうな顔をしていたのに。
「確かに嫌いになる可能性はゼロだな。だが、今帰らないと修学旅行が終わって一週間、デートも夜の方もなしにするぞ」
「え、いや、それは……。お兄ちゃんは我慢できるの?」
明らかに動揺した様子で花蓮が聞いてきた。
「俺は他にも相手がいるからな」
会えなくなるのは悲しいがデートやHが出来ないだけなら問題ない。
「…………分かった」
花蓮が悩み抜いた末に断腸の思いと言った感じで答えた。
するとルフェイがいつもの様子に戻って、花蓮もホッとした。
「じゃあ、私は友達のところにいるから会いたくなったら、いつでも電話してね。一瞬で会いに行くから」
「京都に友達がいるのか?」
「別に住んでいるわけじゃないけどね。その友達も京都に旅行に来ているみたいだから、友達の泊まっている旅館に行くよ」
友達ねぇ。デュリオくんか?いや、そうだったら名前を隠す理由はないな。
別の教会関係者だろうか?
「じゃあ、お兄ちゃんと分かれる前に」
花蓮が俺の目の前まで来ると、そのまま背伸びしてキスしてきた。こんな人前で恥ずかしくないのか?……ああ、そう言えばレイナーレと同じで花蓮も露出癖があったな。
ルフェイの機嫌がまた悪くなっているんじゃないか、と思ったが別にそんなことはなく普通にしている。
まぁ、今さらキス程度のことを気にしても仕方ないか。
「いつでも電話してね!」
それだけ言うと花蓮は手を振りながら笑顔で走っていった。
「じゃあ、そろそろ私達も行きましょうか」
ルフェイが花蓮と会う前の様子に戻って幸せそうな笑顔で俺の腕に抱き付いてきた。
「そうだな、行くか」
確か最初はホテルに集合だったな。
今、気付いたんだが周りに駒王学園の生徒がもういない。早く移動しないと。
京都駅から歩いて数分、目的のホテルを発見した。名前は『京都サーゼクスホテル』。少し離れたところには『京都セラフォルーホテル』もある。
どうやらシスコン魔王は京都が大好きらしい。
俺とルフェイはホテルに入ってホールの方に移動する。
中は豪華だけど、グレモリー本宅と比べると見劣りするな。まぁ、あんな城と比べること自体が間違っているか。
そして俺達がホールに入ると、生徒達は全員床に座って先生達の注意事項を聞いていた。
前に立って今から注意事項を言おうとしていたロスヴァイセが俺達に気付いた。
「やっと来たんですね。遅刻ですよ。早く座ってください」
何か物凄く軽いんだけど。生徒が遅れて来たのに、教師としてそれでいいのか?
「え~と、遅れてきた理由とか聞かなくていいのか?」
「いいんですよ。どうせイチャイチャしていて遅れたんでしょ?羨ましいですね、本当に。まぁ、私には関係のない話ですけどね」
まぁ、今もルフェイが笑顔で俺の腕に抱き付いているから、そう見えても仕方ないか。
にしても何かロスヴァイセがやさぐれている。
理由は昨日、彼氏にフラれたことで間違いないだろう。ロスヴァイセが彼氏を紹介しろとうるさいので、適当に彼女募集中の堕天使を紹介したのだが失敗した。
ロスヴァイセを振った堕天使曰く「面倒臭い」だそうだ。
これ以上ロスヴァイセの相手をするのが面倒臭いので俺達も列に並んで床に座る。
て言うか、俺達が遅れた理由を誰も言ってないのかよ。京都駅で花蓮に絡まれていたのを何人も見ているはずだろ。
その後、ロスヴァイセの注意事項……というより愚直を聞いて、次の先生の最終確認が終わると俺達は解散した。
そしてホテルの従業員から部屋のカギを受け取って最上階に移動する。
「ふかふかで気持ち良さそうなベッドですね」
ルフェイが部屋に入って一番最初の感想がこれだった。
他に見るところがあるだろう。まぁ、気持ちは分かるけど。
「じゃあ、早速」
「……何で服を脱ごうとしているんだ?」
ルフェイが荷物を置くといきなり制服を脱ぎ出した。
「……だって新幹線で言ったじゃないですか。ホテルまで待ってください、って」
脱ぎかけの制服姿がエロいルフェイが顔を赤らめて上目遣いでそう言った。可愛いし、もう襲ってもいいかな。
て言うか、新幹線で言っていたのは文字通りの意味だったのか。さすがに予想外だ。
「確かにそれは非常に魅力的な提案で迷うところだが、今は京都観光をしないか?それなら夜でも出来るし」
「でも、今日はずっと霧識さんに抱き付いていたせいで、その……」
完全に発情してしまっているようだ。仕方ない。
町中で変なことになるよりマシだ。
「じゃあ、少しだけな。本番は夜だ」
「はい!」
ルフェイが物凄く良い笑顔で返事した。
いきなりコレだと結構大変な修学旅行になるかもしれない。まぁ、これに関してはいつものことか。
軽くヤってルフェイが落ち着いたところで、京都観光に行くためにホテルの一階に下りる。
すると入口のところでイッセー達を発見した。
「イッセー達はどこに行くんだ?」
「俺達は伏見稲荷に行くつもりだ」
「伏見稲荷?行っていいのか?」
午後の自由時間に行っていいのは京都駅周辺だけのはず。伏見稲荷に行くには一駅進まなければいけない。
「松田と元浜が先生に確認したらOKだったらしい」
伏見稲荷か。確か伏見稲荷には妖怪がいたよな。
前に京都に来た時は中学生で悪魔だとか妖怪だとかの存在を知らなかった頃だ。ちょっと妖怪の様子を観察するのも面白いかもしれない。
「じゃあ、俺達も一緒に行く。元々、どこに行くとか予定を決めていたわけじゃないし。ルフェイもそれでいいか?」
俺が「行く」と言った瞬間にイリナが嬉しいような焦ったような複雑な表情をした。
本当に今日のイリナは様子がおかしいな。気になるけどルフェイとの約束があるし、今は放置だな。
「私は霧識さんが行くならどこでも行きます」
ルフェイが俺の腕に抱き付きながら返事した。もしかして修学旅行中はずっと抱き付いているつもりなのだろうか?
それは俺も幸せなのだが少し動きづらい。
「おいおい、何勝手に決めてんだよ?」
「別に良いではないか、イッセー。皆で行った方が楽しいぞ」
ゼノヴィアがそう言った。
ゼノヴィアもたまには良いことを言うな。いつもは変態発言しかしないのに。
「じゃあ、伏見稲荷に行くぞ」
「何で急に現れて霧識が仕切ってんだよ!?」
そんなイッセーのツッコミを無視して俺達は駅に向かって歩き出した。
次回、九重が登場です。
やっと九重が出せる。ここまで長かった。
では感想待ってます。