ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第114話 バス停

三日目の朝。

昨日と同じく起きてから自販機のところに行くとアーシアが飲み物を買っていた。あいつらは今日もトレーニングしているのか。

俺は簡単に挨拶すると本題に入る。

 

「昨夜はどうだった?」

 

「……今から挿れるというところで、初日と同じようにロスヴァイセさんがやって来て説教されました。ただ、何故か息が上がっていて怖かったですが」

 

「…………」

 

さすがに予想外だ。昨日は松田と元浜を中心に煽って覗き騒ぎを強化した上に、ルフェイに頼んで結界も強力なものにした。

ハッキリ言って真面目に教師の仕事をしていたら、計算上ではロスヴァイセが来るのは事が終わった後になる予定だった。

あの野郎、覗き騒ぎを生徒会に押し付けやがったな。そこまでして生徒に先を越されるのが嫌なのか。

ロスヴァイセって俺達とそんなに年齢は変わらないはずだよな?本当は行き遅れのアラサーだったりするのだろうか?

 

「どうかしましたか?」

 

アーシアが唖然としている俺を不思議そうに見ている。イッセーには勿体ないほどの可愛さだな。

 

「これでも駄目なら次はどうしようか考えていただけだ」

 

「……大丈夫なんでしょうか?ここまで失敗すると、成功するイメージがないです」

 

まぁ、確かに。俺も成功するイメージがない。

だが、ここまで努力したのに成功しないのは面白くない。何がなんでも成功してやる。

 

「大丈夫だ。今夜は修学旅行最後の夜。どんな手を使ってでもイッセーとアーシアを合体させてやる」

 

こうなったら最終手段を使うか。修学旅行が終わったらリアス・グレモリーがいる。今夜のうちに決着を着けないといけない。

 

「どんな手でもですか……?」

 

アーシアが不安そうな表情をする。

安心しろ。そこまで無茶苦茶なことはしない。ただ匙を除く生徒会メンバーには先に心の中で謝罪しておく。

 

 

 

 

 

 

 

部屋に戻るとまたもや寝惚けて幼児化したルフェイに癒されつつ堂々とイヤらしいことをしながら、俺はルフェイに下着をつけさせて服を着させる。それから朝食を食べて京都駅にやって来た。

昨日の夜、花蓮から電話があってここで待ち合わせすることになっている。

 

「あ、お兄ちゃんだ!」

 

花蓮が俺を発見するなりオリンピックの短距離でメダルを取れるんじゃないか、と思えるほどの猛スピードで俺に向かって走ってきた。

俺はそれを頭を右手で押さえて止める。

 

「朝から元気だな」

 

「そりゃ、ここ二日ほどちゃんとお兄ちゃんと話せてなかったからね。嬉しいに決まっているよ!」

 

そうか?時間は短いけど、ちゃんと話しただろ。

 

「まぁ、とりあえず落ち着け。押さえる手がしんどくなってきた」

 

これ、絵面的には平和だけど花蓮の力が強くて、俺的には全く平和じゃない。そろそろ腕の感覚がなくなりそうだ。

 

「じゃあ、お兄ちゃんが諦めて私の愛の抱擁を受ければいいんだよ」

 

「なるほど、それもそうだな。……って、こんな力で抱擁されたら俺が大ダメージを受けるだろ!」

 

思わずノリツッコミをしてしまった。

仮に俺だけだったらそれでも良いけど、今はルフェイが俺の腕に抱き付いているんだ。そんなことになったらルフェイも一緒に吹き飛んでしまう。

 

「……むぅ、仕方ないね」

 

花蓮が残念そうに頬を膨らませながら落ち着く。

俺は軽く右腕を振ってみる。うん、大丈夫そうだ。

 

「で、今日はどこに行くの、お兄ちゃん」

 

花蓮が笑顔で流れるような動作で俺の腕に抱き付きながら聞いてきた。

周りからの視線が痛いな。

まぁ、モデル顔負け(と言うか勝っている)の美少女二人を両手に花状態だからな。周りから嫉妬の視線の向けられるのは当然のことだ。

て言うか、ルフェイ一人の時でも向けられていた。

 

「そうだな、まずは――」

 

「あれ、霧識じゃないか。こんなところで奇遇だな」

 

後ろからゼノヴィアの声が聞こえたので振り返……れない。

両方から抱き付かれているので回転できない。ルフェイ一人なら動きを合わせてくれるが、花蓮が邪魔だ。

 

「花蓮、少し離れてくれないか」

 

「嫌」

 

「嫌じゃなくてだな。少しでいいから。このままじゃあ、俺が振り返れない」

 

「……本当に少しだけね」

 

花蓮はそう言うと俺の腕から手を離した。ルフェイも一瞬だけ離したところで俺は後ろに振り返る。

すると、すぐに二人が再度俺に抱き付いてきた。

 

「……言っても無駄だと思うが、人前ではもうちょっと抑えろよ」

 

イッセーが呆れたような口調で言ってきた。

 

「イッセーも同じようにアーシアとイチャつけばいいだろ?」

 

「はぁ?何でそうなるんだよ!?恥ずかしいだろ!」

 

何でって言われると、アーシアが物欲しそうにイッセーの腕と俺を交互に見ているからだが。

少しフォローしてやりたいところだが、俺が構いすぎるのも駄目だ。ここはアーシア自身に頑張ってもらおう。

 

「……ところで霧識くん達はどこに行くの?」

 

イリナが少し顔を赤らめながら聞いてきた。

勘の鋭いルフェイが怪しむようにイリナを見るが何も言わない。今は様子見と言ったところだろう。

 

「まずは天龍寺に行くつもりだ」

 

「……そうなの。私達も同じだから一緒に行かない?」

 

イリナがにやけそうになるのを我慢しつつ言う。イリナも本当に可愛いな。修学旅行が終わったら、どうやって可愛がろうか。

 

「ルフェイ、どうする?俺はどっちでも良いが」

 

「私もどっちでも良いです。目的地が一緒ならどうせ会うでしょうし」

 

まぁ、それもそうだな。

それにバスも同じだと思うし、断ったところで一緒に行動することになるだろう。

 

「私は反対。これ以上、人数が増えたらデートって感じがしないよ」

 

花蓮が胸を押し付けながら上目遣いで誘惑するように反対する。

それで俺が堕ちると思っているのだろうか?残念ながら俺はそこまで甘い兄じゃない。

まぁ、二人っきりだったら堕ちていただろうが。

 

「言っておくが、これはデート以前に修学旅行だ」

 

「私は修学旅行じゃないよ」

 

それを言われると困るな。普通の相手なら『だったら帰って授業を受けろ』って言うところだが花蓮には通じないし。

 

「そういや、今さらだけど何で花蓮が京都にいるんだ?今日は平日だから普通に授業があるはずだろ?」

 

イッセーが不思議そうに聞いた。

本当にイッセーはどうしようもない馬鹿だな。学習しろ。それともわざとか?

花蓮が俺の腕から離れると、無表情で目にもとまらない速さでイッセーの目の前まで行く。そして一切の躊躇なく虫を踏み殺すかのようにイッセーの足の爪先を踏みつけた。

 

「うぐっ!」

 

「……ねぇ、何回も言ったよね?虫けら如きが私の名前を呼ぶなって。そんな簡単なことも覚えられないのか、お前は。鳥以下の記憶力しやがって。そんな意味のない脳なんていらないよね?もし次、私を名前で呼んだらお前の首を斬ってデュラハンにしてやるからな。分かったら返事しろ、ゴミ虫」

 

花蓮が映画で見るヤクザとかとは比べ物にならないぐらい怖いドスの効いた低い声を出す。

実際に睨まれているイッセーだけでなく見ているだけの松田と元浜、桐生まで体を震わせている。

ちなみに花蓮に言い寄った連中は同級生、先輩関係なくコレで心を折られている。中には不登校になった生徒までいるほどだ。

コレがバレて後輩女子の俺に対する評価が落ちないようにフォローするのに疲れたものだ。

て言うか、デュラハンって俺と脅し方が一緒だ。さすが兄妹。変なところで似ているな。

 

「は、はい……。すみませんでした、七瀬さん」

 

そこには後輩に怯えて震えながら敬語で謝る情けない変態の姿があった。

花蓮はイッセーの謝罪を聞くと満足そうな表情をし、イッセーの股間を蹴りあげてから俺の方に戻ってくる。

 

「……ねぇ、これって良いの?」

 

イリナがどうしたらいいか迷った様子で聞いてきた。

 

「問題ない。他の一般人には認識できないようにしているから」

 

「……そう言う問題じゃないんだけど」

 

じゃあ、どういう問題だ?

股間を押さえて悶絶しているイッセー、怯えている変態達。……うん、問題はないな。

 

「そろそろバスが来る時間だから並ぼうよ、お兄ちゃん」

 

花蓮が俺の前まで来ると、さっきとは別人みたいに可愛らしく笑う。

 

「ああ、そうだな」

 

そう言いながら頭を撫でると、花蓮はうっとりとした顔で「えへへ……」と笑った。

ルフェイが物欲しそうに俺を見ている。

両手は塞がっているし、どうしようか。お尻なら撫でることは出来るけど外で欲情されても困るからやめておこう。

ああ、そうだ。良いこと思い付いた。俺は自分の声を周りに認識できないようにする。

 

「そんな顔しなくても大丈夫だ。今夜もちゃんと気持ち良くさせてやるから。愛しているぞ、ルフェイ」

 

俺が耳元で愛を囁くと、ルフェイは顔から湯気が出そうなほどに顔を真っ赤にする。予想以上に効果バツグンのようだ。

とりあえず俺は花蓮の頭を撫でつつ、さりげなくルフェイのお尻を触りながらバス停に並ぶ。ルフェイはさっきの愛の囁きが効いているのかお尻を触わられていることに気付いていない。

 

「そう言えば昨日、霧識達はどこを回ったんだ?」

 

不意にゼノヴィアがそう聞いてきた。バスが来るまでの雑談だろう。

 

「昨日は最初に二条城に行って、それからは色んなところを聖地巡礼していた」

 

にしても京都は聖地が多い。さすがに昨日一日だけでは目的の場所を全て回ることは出来なかった。

 

「何!?京都に聖地があるのか!?」

 

どうやらゼノヴィアが変な勘違いをしているようだ。面白そうなので誤解を解くのはもうちょっと後にしよう。

 

「ああ、大量にある」

 

「知らなかったわ。ミカエル様のAとして毅然とした態度をしないと」

 

イリナが気合いを入れている。こっちも勘違いしているようだ。

その後、二人を適当に弄りつつバスが来るのを待った。




前回もそうでしたが主人公がアーシアと二人で会話していると、どうしても寝取られ展開を想像してしまう。
いや、さすがに書かないですけどね。

後、補足するとロスヴァイセは覗き騒ぎを生徒会に押し付けたのではなく、力業で一瞬で片付けました。まぁ、後始末とかは押し付けていますけど。
では感想待ってます。
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