ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第123話 余裕

「いきなり何をする……って他の奴等はどこに行ったのじゃ?」

 

九重がいきなり腕を掴まれたことに対して文句を言おうとしたが、すぐに周りから俺と花蓮とルフェイ以外のメンバーが消えていることに気付く。

ここはさっきまでのバス停と一緒か。

 

「別の空間の京都に飛ばされたみたいだな」

 

飛ばすのはいいのだがもっと別の場所にしてくれれば良かったのに。

こんな場所じゃあイマイチ、テンションが上がらない。まぁ、それも曹操の目的の一つかもしれないが。

 

「お、可愛い金髪幼女がいる。霧識ちゃんの周りには可愛い女の子が多くて羨ましいな……」

 

げっ……。この声はまたあいつか。

声がした場所を見てみると俺達が乗る予定だったのとは違う路線のバスに上に九重をガン見している母親と、その母親を隣から見ている父親の姿があった。

前回もそうだったけど何で高いところから登場するんだ?

あれか。バカと煙は高いところが好きってヤツか。

 

「もう我慢できない!」

 

そう言うと母親が勢いよく九重に飛び付こうとする。

嫌だけど、やっぱり家族だな。父親以外、皆、九重を見た時の反応が同じだ。

俺は咄嗟に祓魔弾を取り出して、母親が九重に抱き付く前に発砲する。

父親から離れている今なら弾丸が当たるはずだ。

 

パアンッ!

 

ん?銃声?

祓魔弾は銃声がしないはずだが。どういうことだ?

手元の拳銃を見るとすぐに謎が解けた。

あ、間違えている。

母親は弾丸を避けると即座に体勢を立て直して俺を見る。

 

「いきなり何するのよ!?死んだら……って、それ自動拳銃では珍しいガス圧作動方式を採用しているというデザートイーグルじゃない!?しかも自動拳銃の中では世界最強の銃弾を扱える50口径!」

 

母親が祓魔弾と間違えて出したデザートイーグルに異様に食い付く。新しいオモチャを見付けて目をキラキラとさせている子供のようだ。

て言うか、詳しいな。こいつの趣味はよく分からない。

母親は更にデザートイーグルの雑学を語り出す。

九重はそんな俺の母親を怪訝そうに見る。

 

「……この変な女は誰じゃ?」

 

「誠に遺憾ながら俺の母親だ」

 

「……何故じゃろう。普段なら同情するところなのに納得できる私がいる」

 

失礼な。さすがに可愛い金髪幼女とはいえ、今の発言は許せない。

こんな獣じみた変態と俺を一緒にするな。

て言うか、俺と母親は全く似ていないどころかむしろ真逆だ。

 

「ねぇ、他にも持ってない?」

 

「まぁ、あるけど」

 

俺は更に数丁の拳銃を取り出す。

俺は現在、世界各国の拳銃を収集している。沖田師匠には悪いのだが俺には剣よりも拳銃の方が性に合っている。

 

「おぉ、これはコンバットマグナムにグロック17!更にこっちにはマイナーな拳銃まで!よくここまで集めれたね!」

 

母親が拳銃を次々に興味深そうに見ながら俺に尊敬の眼差しを送ってくる。

こんなことで尊敬されても嬉しくないんだが。

俺は何となくコバルトバイソンを母親の額に向けて発砲する。

 

「ちょ!不意打ちとか卑怯じゃない!」

 

母親は首を横にずらして弾丸を避ける。

ちっ……。この距離で避けやがったか。

だが、さすがに今のは焦ったようで少しテンパっている。

今までずっと余裕そうな表情をしていたけど、やっと驚かすことが出来た。

うん、少しスッキリした。

って、それどころじゃない。こいつらがここにいるのは予想外だ。とりあえずあいつらが来るまで時間を稼がないと。

 

「何を言う。これは正々堂々としたスポーツじゃなくて戦いだ。不意打ちぐらい普通だろ?格上を相手に真正面から戦う方が失礼だ。むしろ俺みたいな弱者の場合は有りとあらゆる手段を使って勝とうとするのが礼儀ってものだろ」

 

「……お兄ちゃん。さすがにそれはないよ……」

 

花蓮が引いたのか俺から数歩離れる。

花蓮にまで引かれるのはさすがに予想外なんだが。そこまで酷いことをしたか?

 

「『忍法撒菱指弾』」

 

「ん?」

 

父親の方から攻撃の気配を感じたのでバックステップで避ける。

次の瞬間、さっきまで俺がいた場所に小さな穴があく。

攻撃の正体を確かめようとしたがすぐに消えてしまった。投影した物体を使ったのか。

投影があれば忍法に使う道具を持ち運ばなくていいから便利だな。

 

「おいおい、不意打ちとか卑怯だろ」

 

「これはスポーツじゃなくて戦いなんだろ?それに先に俺の可愛い妹に不意打ちしたのはお前だ」

 

予想通りの反応だ。こいつの場合は動きの癖よりも性格を読む方がやりやすい。

やっぱり俺には真正面から戦うよりも、こうやって自分のペースに巻き込む方があっている。

さっきの攻撃も予想していたから避けれたけど、そうじゃなかったら当たっていた。

 

「て言うか、何でお前らがここにいるんだ?確か外の連中の相手が仕事なんだよな」

 

こいつらと戦うためにコカビエルは外の方に行ったのに、これじゃあコカビエルが可哀想だ。

 

「乙女の勘ってヤツかな?何となくこっちに来た方が面白い気がしたの」

 

母親が顎に手を当てながら可愛らしく言う。

俺の母親って見た目は若いけど子供が二人いるし、そこそこ年は行っているよな。恥ずかしくないのだろうか?

後、乙女じゃなくて獣の勘の間違いだろ。

 

「ところで、拳銃かそこの超絶キュートな狐耳幼女を私に頂戴」

 

まさかの要求じゃなくて命令。なんてワガママな女だ。

この女の親の顔を見てみたい。と言うか、本当に見てみたい。

俺の家系の人間がどうなっているのか気になる。一人ぐらいマトモな人間はいるのだろうか?

 

「断る!両方、俺のものだ!」

 

「いつ私がお前のものになったのじゃ!?」

 

九重が驚愕の表情をする。

ここで九重に否定されると後の駆引きに影響が出る。こうなったら仕方ない。

 

「ほら、ガムをやるから」

 

「子供扱いするでない!」

 

そう言いながらも九重は俺の差し出したガムを受け取った。

後で他にもお菓子をあげよう。

 

「ねぇ、私にもガムくれない?」

 

「……まぁ、ガムくらいなら良いぞ」

 

俺は母親に向かってガムを投げる。

 

「ありがとう。ガムって美味しいよね。……ってガムはガムでもガムテープじゃない!」

 

母親はノリツッコミをしながら俺が渡したガムテープをあさっての方向に放り投げた。

酷いな。お前がガムをくれって言うからあげたのに。

 

「……ここ戦場じゃよな?ここは漫才の現場じゃないよな?」

 

九重が理解できないものを見るかのような表情をしている。

残念ながらここは戦場でもない漫才の現場でもない。ただの遊び場だ。

 

「いつもはもっと凄いぞ」

 

「そうですよね。今日は物足りないぐらいです」

 

ルフェイが俺の言葉に同意する。それを聞いてどうやら九重は理解を諦めたみたいでガムを食べ始めた。

 

「……昼間と違って余裕を感じるな。何かあったのか?」

 

父親が母親に隣に立つと俺を観察するようにジーと見てくる。

ふざけた感じはなくシリアスな雰囲気だ。

う~ん、シリアスにされると困るんだがな。どうしたものか。

 

「むしろ、こっちが俺の本性だ。昼間の方がおかしかったんだよ」

 

「……そうか。あの女に似ていて不愉快だな」

 

あの女って誰だ?

まぁ、今、気にすることじゃないな。他に気になることもあるし。

 

「そういや、確かお前達には監視役がいたよな?あのドSな人はどうしているんだ?」

 

「ん?瞬くんのこと?英雄派の人達に撒くのを手伝ってもらってね。て言うか、瞬くんを撒くの手伝ってもらったお礼に私達も手伝っているんだけどね。多分、今はバルバドスにいるんじゃないかな」

 

バルバドスってラム酒が有名な国だよな。前に飲んだことがあるけど美味しかった。

いや、問題はそこじゃない。どうやったらそんなマイナーな国に置き去りに出来るんだよ。

曹操、恐るべし。

 

「てめぇら!勝手なことしてんじゃねぇぞ!」

 

向こうの方から妙に疲労していて辛そうなフリードが怒鳴りながらやって来た。

 

「よぉ、パシリ。どうしたんだ?」

 

「誰がパシリだ、てめぇ!……ってツッコむのもしんどい」

 

そう言うとフリードは俺を無視して俺の両親を睨む。

無視されるとイラッとするな。たまにパシリの時に恩情でチップをやっていたけど今度からやらないぞ。

 

「お前らの仕事は外のレヴィアタンや堕天使総督の相手だって言ったよな!?それなのに何でわざわざ俺を倒してまでこんなところに来ているんだよ!?」

 

う~ん、俺は関係なさそうだな。時間潰しにはちょうど良いし、のんびり見とくか。

とりあえず俺は近くのベンチに座る。

 

「まだお菓子あるけどお前達もいるか?」

 

「お兄ちゃん、私も食べる!」

 

「私も貰います」

 

ルフェイと花蓮が俺の両隣に座ってお菓子を受け取る。

ん?九重が来ないな。どうしたんだ?

 

「……一つ聞きたいのじゃが本当に母上を助けてくれる気があるのか?」

 

そんなことを気にしていたのか。まぁ、俺のやり方を知らない奴からしたら遊んでいるようにしか見えないから仕方ないか。

いや、実際に遊んでいるけど。

 

「ちゃんと九重の母親は助けるさ。と言うより、すでに助かることは確定している。心配するな」

 

「どういう意味じゃ?」

 

「そのままの意味だよ。俺が可愛い女の子の期待を裏切るなんて有り得ない」

 

両親の登場は予想外だったが、俺のシナリオに狂いはない。絶対に八坂は助かる。

それよりも問題は助けた後のことだ。

 

「ちょっと霧識ちゃんだけズルいよ!私にもお菓子と可愛い女の子を頂戴よ!」

 

何か叫んでいるフリードを無視して母親がこっちに歩いてくる。

 

「俺の話はまだ終わってグワッ」

 

フリードが俺の母親の裏拳で吹っ飛ばされた。そして地面に倒れて動かない。

さっきもやられたって言ってたしダメージが残っていたのだろう。

 

「オーイ、フリード!大丈夫か!?」

 

返事がない。ただの屍のようだ。

 

「そこの粗大ゴミよりも問題は霧識ちゃんだけ周りに可愛い女の子をはべらせていることだよ!」

 

「知るか。自分で可愛い女の子を見付けてはべらせれば良いだろ」

 

相手が可愛い女の子だったら、あのシスコンも邪魔しないだろう。

 

「それが出来たら苦労しないよ!こうなったら霧識ちゃんを倒して女の子を奪うしか」

 

そう言った母親の手には聖剣アロンダイトが握られていた。

マジか。本気じゃねぇかよ。

まぁ、あの女の性格からして殺すつもりで来る可能性もあったが、どうやらその気はなさそうだ。

さすがに息子を殺すつもりはないと言うことか。

 

「……仕方ないな」

 

そう呟くと俺はお菓子だけを置いて立ち上がった。

そして俺の左手のひらから一本の禍々しいオーラを放つ刀が出てくる。

 

「それは何?」

 

「俺の秘密兵器の妖刀ムラマサだ。時間まで遊んでやるよ」

 

俺は刀を右手で掴んで母親に向ける。

これは将来、お義兄さんと戦う時のために用意した刀だ。でも、あんまり使いたくないんだよな。

まぁ、禁手をルフェイから禁止されているから、そんなことを言っている場合じゃないけど。




遂に秘密兵器登場。詳しい説明は次回です。

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