ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第125話 助っ人

「予定よりも遅かったな。サボりか?」

 

俺はムラマサを肩の上に乗せながら軽い調子で皮肉っぽく言う。

本当ギリギリ間に合ったな。もし間に合わなかったらフェンリル達を呼んで両親を足止めさせることになるところだったぞ。

でも、そんなことにならないで良かった。フェンリル達が怪我をしたら可哀想だからな。

 

「これでも呼ばれてから急いで来たんですけどね。途中で何人か禁手使いがいて大変だったんですよ」

 

お義兄さんが不満げに返事する。

この戦闘狂達が。一々、戦わなくても方法はいくらでもあるだろ。

 

「文句があるなら……ん?」

 

ヴァーリが俺に文句を言おうとした直後に目線がある一点に集中する。

何があるんだ?

見てみると、そこには棒状のお菓子をポリポリと可愛らしく食べている九重の姿があった。

しまった!九重がいること自体が予想外だからこの展開のことを失念していた。もしヴァーリが九重を認識したら戦いどころではない。

俺は即座に九重をヴァーリから認識できないようにする。

するとヴァーリは鎧のマスク部分を収納してから目を何回も擦りながら確認する。

 

「今、そこに狐耳のオーフィスの次ぐらいに可愛い幼女がいなかったか?」

 

「うん?いきなり何を言っているんだ?もしかしてここに来るまでに幻術系の技でも食らったか?」

 

頼む。ここで諦めてくれ。

そうじゃないと敵が増えて面倒臭いことになる。

 

「……ああ、そうだな。今、食らった。霧識、狐耳の金髪幼女を俺に認識できないようにしただろ!?」

 

ちっ……。気付きやがったか。

これでヴァーリは敵確定だな。何で助っ人が一瞬で敵になっているんだよ。有り得ないだろ。

俺はルフェイと九重が座っているベンチに移動しながら母親に話かける。

 

「母親よ!そこにいるロリコン……じゃなくて白龍皇の足止めを頼む!」

 

「任せてといて!可愛い息子の頼みぐらいちゃんと聞いてあげるから!」

 

お前、この前まで俺のことを忘れていたのによく可愛い息子とか言えるな。

……ああ、そうじゃないのか。俺の女装姿……つまり文字通り可愛いという意味か。

 

「あの白いのは助っ人じゃないのか?」

 

九重がお菓子を食べながら首を傾げて質問する。

可愛いな。頭を撫でるぞ。

と言うか、すでに撫でている。

 

「助っ人ととして呼んだんだがな。今は敵だ」

 

「敵味方の区別がよく分からないのじゃ……」

 

九重が気持ちよさそうにしながらも呆れた感じで言う。

基本的に俺には敵味方の概念はないんだがな。それでも今のヴァーリは間違いなく敵だ。

 

「出来れば私の相手もしてほしいんですけどね。前は決着がつかなかったですし」

 

お義兄さんが話かけると俺の母親は楽しそうに笑う。

 

「君は聖王剣の人だよね?うん。私も君とは決着がつけたかったんだ」

 

良かった。母親の興味はすでに妖刀からお義兄さん達に移っている。

母親の発言を聞いた父親が花蓮との戦闘を中断して人を殺せそうな視線でお義兄さんを睨む。

て言うか、多分普通の人間なら殺せないまでも気絶はさせられるだろう。それぐらい怖い。

 

「ああ、それにしても歴代最強と噂される白龍皇と聖王剣の使い手を同時に相手できるなんて……。それに両方かなりイケメンだし。何か逆ハーレムみたいでテンションが上がるよ」

 

母親が非常にウットリとした顔をする。

え、この女って可愛い女の子だけじゃなくてイケメンもOKなの?

守備範囲が広いな。

母親とは反対に父親は鬼の形相で指をボキボキと鳴らしながらヴァーリとお義兄さんを睨む。どう見ても裏の怪しい仕事をしている人間にしか思えない。

 

「お前ら、俺の可愛い……それはもうこの世に比べるものがないくらい可愛い俺の妹を誘惑したんだ。ギネスに載るぐらいの世界一残虐な殺し方で見るも無残な姿にしてやるから覚悟しろよ、クソ共!」

 

いや、それギネスに載せられないから。だって間違いなく十八禁だし。

子供には見せられない。と言うか、一般人に見せては駄目な内容だと思う。

俺が考えられる範囲での一番グロテスクな処刑方法は……うん、駄目だな。こんなのを子供に見せたら恐怖で失神してしまう。

 

この場にいたら俺達まで巻き添えを食らってしまう。早く二条城に逃げないと。

ムラマサを一旦、俺の体の中に戻そうとした瞬間に驚いた声が脳に直接響いてきた。

 

『え!?もう終わりなの!?』

 

『ああ、そうだ』

 

『もう全身が敏感になって今からが気持ちいいところだったのに酷くない?もう誰でも良いから斬らせてよ……』

 

ムラマサが行為の途中で散々焦らした結果、我慢できなくなった女性みたいな艶っぽい声を出す。

何で刀がそんな声を出せるんだよ。って、俺の中から色々なものを見ているからか。

 

『もうちょっと我慢しろ。ちゃんと斬らせてやるから』

 

『本当?もし嘘だったら限界ギリギリまで精神を食べるからね』

 

それは怖いな。ただ口調は何故か恋する乙女みたいで凄く可愛らしいが。

俺はムラマサにちゃんと約束してから体の中に戻す。

展開次第では斬らない可能性もあるんだが。本当に大丈夫だよな?

 

「おい、九重にルフェイ。逃げるぞ」

 

俺はお菓子をしまってから九重とルフェイを抱き抱えて背中に翼を広げる。

すると九重がいきなりのことで驚いたのか暴れながら逃げようとする。

 

「ちょ、いきなり何をするのじゃ!?」

 

「暴れるな。今から九重の母親のところまで行くんだから」

 

俺がそう言うと九重は暴れるのをやめて真剣な表情になった。

 

「本当か?」

 

「最初からずっとそう言っているだろ?」

 

俺が飛ぼうとした瞬間に二条城の方から巨大な光の柱が見えた。

あれはゼノヴィアのデュランダルの聖なるオーラだな。もう戦闘は始まっているのか。

急がないと。

 

「行かせるわけないだろうが!」

 

「なっ!?」

 

復活したフリードが襲いかかってきた。

ちっ……。完全に存在を忘れていた。

この態勢じゃ反撃できないぞ。

 

「それはどうかな?」

 

花蓮がフリードを横からぶん殴ってぶっ飛ばした。

ナイスだ。助かった。後で何か褒美をやらないとな。

 

「てめぇ……」

 

フリードがフラフラとしながらも花蓮も憎々しげに睨む。

どう見ても限界だ。まだ疲れが残っているのだろう。

ただそれでも戦う理由は一つ。俺の両親に対するどうしようもない怒りを発散したいのだ。

 

「お兄ちゃん、ここは私に任せて先に行って!」

 

花蓮が格好つけながら言う。

これは俺が絶対に言うことがない台詞だな。いや、ネタなら言うかもしれないけど。本当の意味で言うことは有り得ない。

俺は誰かを利用することはあっても、誰かに何かを託すことはないのだから。

 

「ああ、任せた!」

 

俺はそれだけ言うと二条城に向かって飛び立つ。

すでにヴァーリ達も戦闘を開始している。

激しすぎる。あんなのに巻き込まれたら死ぬな。

 

「んっ、ひゃ……。へ、変なところを触るでない……」

 

飛んでいる途中で急に九重が顔を赤らめながら色っぽい声を出した。

本当に幼女か?と疑いたくなるほどエロい。

 

「ん?ああ、悪いな」

 

適当に謝って誤魔化してからセクハラをやめる。

にしても、この歳でここまで過敏に感じるのか。これは将来有望だ。

開発のしがいが……って思考が変態的な方向に。

さすがに九重に手を出すのは色々な意味でヤバい。後、3、4年は自重しないと。

 

ちなみにルフェイに関しては何もしていない。何か嫌な予感がするので自重している。

と言うか、ルフェイが俺の体を触っている。

おい、待て!それはさすがにマズイ!落ちたらどうする!?

 

「ん、あれは……」

 

ルフェイの然り気無い(たまに過激だけど)セクハラに耐えつつ飛行を続けているとイリナとジャンヌが戦っているのが見えた。

戦況はジャンヌの方が優位だな。

 

「よぉ、大丈夫か?」

 

地面に降りてルフェイと九重を離してからイリナに話かける。

 

「霧識くん!?どうしてここにいるの!?」

 

「どうしてって……。遅れてきたらイリナが戦っているのが見えたから助けに来ただけだが」

 

何をそんなに驚いているんだ?しかも何故か顔が少し赤いし。

 

「あ、キーくん!ヤッホー!遅れてたから心配してたんだよ!」

 

ジャンヌが親しげに俺に向かって手を振ってくる。

何をやっているんだ、あの馬鹿は。

俺は思わず頭を押さえる。

 

「え?え?キーくん?何か親しそうだけどどういう関係なの?」

 

イリナが予想外の事態にパニクりながら俺とジャンヌを交互に指差す。

これ、隠せる雰囲気じゃないな。まぁ、イリナならバレても問題ないか。

 

「前に説明しただろ?英雄派に情報を提供してくれるショタコンがいるって。それがジャンヌだ」

 

「キーくん、その紹介の仕方は酷くない?せめて金髪の超絶美人なお姉さんとかにしてよ」

 

否定はしないが何とも図々しいな。自分で言うのかよ。

そして俺の紹介も間違ってないだろ。

 

「そんなどうでもいいことより現在の状況はどうなっているんだ?大体の予想はつくが一応質問しておこう」

 

「キーくんを巡って女と女の戦いをしているところだよ」

 

「ふーん。それは男として光栄なイテテッ」

 

ジャンヌの冗談に乗ろうとしたらルフェイが不機嫌そうに頬を可愛らしく膨らませながら俺の頬を引っ張ってきた。

 

「霧識くんを巡ってって!いや、それはその……えーと……」

 

更にテンパって手を前で振りながらアワアワするイリナ。

すでに告白もした後なのにそんなに焦らなくていいだろ。まぁ、そういうところも可愛いが。

 

「……ふーん、ただの冗談のつもりだったんだけど、これは……」

 

ジャンヌが意味深な笑みを浮かべる。また変なことを企んでいるんじゃねぇだろうな?

まぁ、そのことは後回しだ。先にやることをやらないと。

俺はルフェイが手を離したら頬をさすりながらジャンヌに命令する。

 

「ジャンヌ、曹操を裏切って俺につけ」




最初、ヴァーリは普通に味方のはずだったんですけどね。九重の存在を思い出したら敵にしか思えなくなりました。

では最後に一言。感想ください。
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