ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第127話 ジーク

「お主、色々な意味で最悪じゃの……」

 

九重を抱えながら次の交渉場所であるジーク達のところに向かって飛んでいると、いきなり小さな声で罵倒された。

もう九重の中で俺に対する好感度はゼロに近いようだ。何とかして挽回したいところだが方法が分からない。

まぁ、犯罪的な方法ならいくらでもあるが。だが、さすがにそれはしたくない。

今までも普通に数々の犯罪を犯してきたが、それをするともう人として終わってしまう。

 

ちなみにルフェイはいつもより濃厚なキスで大人しくさせた。あのままだったら怖すぎてゲームどころじゃないからな。

ルフェイはキスが濃厚すぎて腰を抜かしてしまったので、近くで俺の様子を撮影していたアンにイリナとまとめて世話を頼んだ。

イリナも直前の抱き付きと俺とルフェイのキスを見てダウンしたからな。何で仲間を二人も戦闘不能にしてるんだよ。馬鹿か、俺は。

まぁ、俺的には人数が少ない方が動きやすいけど。ただ、その分、我慢するのが難しくなるが。

 

「こんなことは言いたくないが母親を助けようとしている奴に、それは酷くないか?」

 

「確かにそれには感謝しておる。でもお主が最悪なのには変わらないのじゃ」

 

取りつく島もない。やっぱり幼女に見せるには早すぎたか。

でも九重の母親はもっと最悪なことをしているぞ。……とはさすがに言えない。

 

「ところで、どこに向かっておるのじゃ?母上がいる場所とは方向が違うようじゃが」

 

「下準備だよ。途中で邪魔が入ったら困るからな」

 

本当は別の目的で動いているんだが、これは言わなくていいだろう。

言ったら今のあるかないか分からないような好感度が更に下がるからな。

 

九重と適当に話しているうちに目的地に着いた。

そこには禁手になって背中から四本の腕を生えさせて六本の剣を構えているジークと、それに二本の聖魔剣で戦っている木場の姿があった。

少し離れたところでは血塗れのゼノヴィアが壁にもたれて休憩している。

俺に気付くと二人は戦闘をやめて、俺の方に注目する。

 

「霧識くん!助けに来てくれたのかい!?」

 

「そんなわけないだろう。お前なんか」

 

息子ごと全身切り刻まれてしまえ――と言おうとしたが九重の視線を感じてすぐに台詞を言い換える。

 

「ああ、そうだ。感動したか?」

 

「様子がおかしいようだけど大丈夫かい?もしかしてまだ昼間の疲れが残っているのかな?」

 

俺が普段なら絶対に男に言わないような善意の言葉を口にしたので木場に心配されてしまった。

ホモに心配されたら嬉しくないどころか寒気がするわ。

とりあえず俺は話を誤魔化すためゼノヴィアの方を見る。

 

「ゼノヴィア、大丈夫か?」

 

「ああ。これしきの事は大した問題じゃない」

 

出血の割りに怪我はそれほどではないようでゼノヴィアは思ったより元気そうだ。まぁ、それでも戦闘をするのは難しいだろうが。

にしても、この斬り方には違和感を感じる。相手を倒すためというより血で全身を彩るためと言った美意識すら感じる斬り方だ。

 

「どうだ、七瀬。僕の作品は気に入ったかい?」

 

「……作品?」

 

この血塗れのゼノヴィアのことを言っているのか?

 

「……ん?ああ、そう言えば君にはまだ僕の性癖を言ってなかったね。僕は血塗れの女子に興奮するんだよ。ああ……後、死体でもOKだけどね」

 

ジークが若干、息を荒げながら言う。

ジークはそんな性癖だったのか。全く知らなかった。

死体性愛というヤツか?微妙に違うようだが。

て言うか、血塗れの女子に興奮するとか猟奇的すぎるだろ。さすがの俺にも理解できない領域だ。

ジークは変態だらけの英雄派の良心だと思っていたのに残念だ。残りはヘラクレスだけか。あいつは大丈夫だろうな?

 

「そうか。だから僕を狙わずゼノヴィアだけを攻撃していたんだね」

 

「そうじゃないよ。本来なら邪魔者である君を殺してから作品に取り掛かった方がやりやすいからね。でも君からはウチの連中と同じ匂いがしたから出来るだけ関わりたくなかったんだよ」

 

まぁ、木場もホモだからな。その気持ちはよく分かる。俺も関わりたくない。

にしても、作品って言い方が気になるな。もしかしてジークは芸術家肌なのだろうか?

 

「なぁ、一つ聞いていいかの?」

 

急に九重が俺の服の裾を引っ張って不安そうな表情で話かけてきた。

何だろう。保護欲が掻き立てられて物凄く抱き締めたい。

 

「ん?俺に抱き付きたいのなら遠慮しなくていいぞ」

 

「そんなわけないじゃろ」

 

九重が冷めた目で否定してきた。

何だろう。目から汗が出てきた。

 

「……じゃあ、何だ?」

 

「……いや、さっきから変な奴しかいないから自分の常識が正しいのか不安になってきたのじゃ」

 

まぁ、確かにその心配は分からないこともないな。

九重は外の世界のことをあまり知らないようだし、それで周りが変態だらけの空間に放り込まれたら自分の常識を疑いたくもなるのだろう。

そうじゃないと色々とキツいものがあるからな。

 

「大丈夫だ。俺と九重は正しいから」

 

「お主は間違っておるのじゃ」

 

バッサリと切り捨てられた。

何で九重はこんなに俺に厳しいのだろうか?何かしたっけ?

……ああ、分かった。アレだ。ツンデレというヤツだ。

俺の周りで言うとレイヴェルがそうだな(最近はツンの部分が全然ないけど)。

同じ金髪だし、そうに違いない。

そう思うとさっきまでの自殺したくなるような悲しみも癒されてくる。

 

「……何じゃ?急に笑顔になって。気持ち悪いのじゃ……」

 

九重が俺から距離を取ったが、これはツンデレだ。

だからこの後にはデレが待っているはずだ。俺はそう信じている。

 

……ん?何か忘れているような。

思い出した。俺は九重がツンデレかどうかを考えるためにここに来ているんじゃなかった。

俺はジークと木場の会話に割り込む。話の内容は録なものじゃなかったので割愛。

 

「ところでジーク。向こうの方で俺の両親がヴァーリとアーサーを相手に戦っているんだが」

 

俺が戦闘している方向を指差しながら言うと、ジークが怪訝な顔をした。

 

「だから何だ?その情報を僕に教えて何をさせる気なんだ?」

 

「分からないのか?今、ヴァーリ達に加戦すればあの憎き変態夫婦を倒せるかもしれないぞ」

 

ジークは俺の母親に恨みがあるようだからそれを利用する。

自分の力で倒せないなら倒せる可能性がある奴に頼めば良い。

 

「確かに君の両親が英雄派に加担したのは知っているけど、それで本当に良いのかい!?」

 

木場が何か言っているけど無視だ。

曹操が何の目的で俺の両親を仲間にしたかは知らないが、あの二人には世界のため俺のためやられてもらわないと困る。

何なら死んでも問題ない。と言うより、そっちの方が好都合だ。

 

「……なるほど。確かにあの二人と組めば変態共を倒せる可能性はある。それにここでなら殺してもアーサー達のせいに出来る。これは千載一遇のチャンスというわけだ」

 

ジークが猟奇的な笑みを浮かべる。何があったのかは知らないが、よっぽど怒りが溜まっているのだろう。

 

「それにあの女の血塗れ姿……。想像しただけで興奮してくる」

 

あれ?今度は頬を赤らめているんだが。

何か心配なんだけど。本当に大丈夫か?

 

「じゃあ、頑張ってこいよ!後、ヴァーリとアーサーには俺の名前を出させば話を分かってくれるはずだ!」

 

とりあえず俺は手を振って移動を開始したジークを見送る。

まぁ、何とかなるだろう。

 

「……ふむ。やっぱり彼は良いお尻をしているね。それに良いものを持っているようだ」

 

「気持ち悪いことを言ってんじゃねぇ!」

 

「グハッ!」

 

木場が移動しているジークのお尻を観察しながら変態的なことを言っているので回し蹴りで吹っ飛ばすと壁に勢いよく激突して気絶した。

この野郎、戦闘中もずっとそんなことを考えていんたんじゃねぇだろうな。そりゃジークも避けたくなるわ。

 

「……良いものって何じゃ?」

 

九重が不思議そうに首を傾げる。

さすがにその意味を幼女に教えるのはハードルが高いな。まぁ、もう少し大きくなったら直接体に教えることになるだろうが。

 

……あ、良いこと思い付いた。

 

『なぁ、ムラマサ。戦闘は無理だけど血は吸わせてやるよ』

 

俺が語りかけるとムラマサは嬉しそうな声を発した。

 

『本当!?』

 

『ああ。多少、影響が出るぐらいまでならOKだ』

 

俺はそう言うと体からムラマサを出して木場の右腕を軽く斬る。

そして俺は傷口にムラマサを当てる。

こいつを満足させておかないと俺に被害が出るからな。木場の犠牲ぐらいなら安いものだ。

 

『どうだ?』

 

『んー、本当は人間の血が良いんだけどね。まぁ、最近は食べてなかったし悪魔の血で我慢しておくよ』

 

こいつは本当に悪魔などを倒すために作られた存在なのだろうか?

ムラマサが血を吸い終わったところで体の中に戻す。

 

「さて、ここでやることも終わったし、そろそろ次の場所に移動するか」

 

「……いや、まだやることは残っているじゃろ?」

 

俺が翼を広げようとした瞬間に九重が呆れたような声で止めてきた。

うん?まだ何かあったけ?

俺が不思議そうにしていると、九重が無言である方向を指差す。

 

「あ、ゼノヴィアのことか」

 

出血でしんどいせいか意識はあるようだが静かにしていたので完全に忘れていた。

まぁ、すぐに治療すれば問題ないだろ。

俺はスマホを取り出してアンに電話をかける。

 

「怪我人がいるからそっちに運んで治療してほしいんだけど良いか?」

 

『お断りします。この二人の世話だけでも面倒臭いのにその上、怪我人の治療なんてやってられませんよ。私は便利屋じゃないんですよ』

 

アンが不満を隠そうともしない態度で断ってきた。

だが、その返事は予想の範囲内だ。俺もアンの立場だったら絶対に断るからな。

俺は追加の報酬をアンに伝える。すると凄い勢いで食い付いてきた。

 

『そ、それ本当ですか!?』

 

「ああ、もちろん本当だ」

 

本当はゼノヴィアは助けるためにこんな豪華な報酬は出したくないんだがな。でも九重を好感度をこれ以上、下げないためだ。仕方ない。

 

その後、アンがゼノヴィアを運ぶのを確認してから、俺は九重を抱えて移動を開始した。




今回は特に書くことはありません。

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