ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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狂気のシスコンと新たなバイト戦士1

俺は今、ユーグリットに呼ばれて、ユーグリットが住んでいるプレハブ小屋に来ている。

にしても、少し見ない間にかなり模様替えされたな。

そこら中にグレイフィアさんの写真に手作り人形(もしかしたら俺より上手いかもしれない)が配置されている。

しかも着替え中に入浴中の写真まである。どうやって撮ったのだろうか?

一般的なストーカーとはレベルの違う狂気すら感じる部屋だ。

グレイフィアさんに恐怖を覚えている俺には特に恐ろしく感じられる。早く帰りたい。話なら外でも出来るだろ。

 

「これはどういうことですか?」

 

俺が椅子に座ると同時に鬼気迫る表情で問い詰められた。

いきなり何言ってんだ?本格的に頭がイカれたか?

ていうか、それよりもまずお茶を用意しろよ。俺は雇い主だぞ。

 

「まずは状況を説明しろ」

 

「私はあの女は誰なのか、と聞いているんです」

 

この野郎、人の話を聞けよ。

そんな一方的に用件だけ言われても分かるわけがないだろ。

 

「……あの女?誰のことだ?」

 

「赤龍帝の家に住んでいる私の姉の似た容姿をしている女性のことですよ」

 

……ああ、ロスヴァイセのことか。遂にバレたか。まぁ、教えなかっただけで特に隠していたわけでもないけど。

後、どうでもいいけど『私の』を強調するな。

 

「……まだ気になることはあるが、大体の事情は理解した。で、その女を紹介しろ、ってのか?」

 

「そうです」

 

「いや、無理だろ。接触したらお前の生存が冥界にバレる可能性があるぞ」

 

「良いじゃないですか」

 

ユーグリットは表情を変えることなく当たり前のように答えた。

良いのかよ。軽いな。

いや、俺的にもお前の生存がバレて困ることはないけど。むしろ冥界がパニックになって面白そうだから歓迎するぐらいだ。

 

「別に隠していたわけじゃないですしね。ただ姉のことで心を整理するための旅に出ていたら、知らないうちに死んだことになっていただけですし」

 

どんだけ長い間、旅してたんだよ。帰らなくても誰かに真実を伝えておけばここまで大事にならなかっただろ。

しかも、まだ心の整理が出来てないし。むしろ病んでいるぐらいだ。

 

「まぁ、お前が良いならそれで良いけどな。紹介してやるよ」

 

俺は頭をかきながらそう答えた。

どうせ断ってもしつこいだろうから抵抗するだけ無駄だ。それにこれでロスヴァイセが落ち着くなら俺にとっても利益のある話だ。

 

「本当ですか!?」

 

ユーグリットは机にドンッと手を置いて興奮したようにグッと顔を近付けてきた。

近い近い。好みの女ならキスするけど、男なら頭突きを食らわすぞ。

 

「まだ話が残っているから落ち着け」

 

俺がそう言うとユーグリットは冷静になったのか、ゆっくりと椅子に座って話を促してきた。

 

「で、残りの話って何ですか?」

 

「何でロスヴァイセ――ああ、グレイフィアさんに似ている女のことな。何でロスヴァイセのことを知っているんだ?」

 

「それは直接見たからに決まっているじゃないですか」

 

「質問が悪かった。聞き方を変える。どういう状況でロスヴァイセを見たんだ?」

 

別にユーグリットの行動を制限しているわけじゃないが、ユーグリットの行動範囲でロスヴァイセを発見するのは難しいはずだ。

何せユーグリットが外に行くのは基本的に姉のストーカー、そしてフェンリル達の餌と機材の調達の時だけだからな。

後はたまに食料とかをまとめて買うぐらいか。

 

「その時、喉が乾いていたんですけど、飲み物を切らしていましてね。だから赤龍帝の家の冷蔵庫を借りることにしたんです」

 

「それ、不法侵入と窃盗だぞ。……って、問題はそこじゃない!」

 

ユーグリットが変なことを言ったせいで俺も変なことをツッコんでしまったじゃねぇか。

不法侵入と窃盗なんて普通だ。

 

「お前、何してんだ!?そんなことしたら見付かるだろうが!?」

 

「さっきも言いましたけど、別に隠しているわけじゃないですからね。別に見付かっても問題ありません。まぁ、一応バレないための工夫はしていましたけどね」

 

「……バレないための工夫?」

 

「はい。貴方の神器のレプリカを使っています」

 

……え?俺の神器のレプリカ?

ユーグリットが何を言っているのか理解できない。……少し頭の中で整理してみよう。

……よし、整理完了。

 

「そんなものいつ作ったんだ!?」

 

「結構、前ですね。これのためにレプリカ神器の開発を頑張っていたんですから。まぁ、まだ制限時間とか改良の余地はありますけど」

 

マジかよ……。全く知らなかった。

そりゃグレイフィアさんの入浴や着替え中の写真をバレずに撮影できるわけだ。何せ俺の神器は本気を出せば世界からも認識されないからな。

ここまで来ると呆れるを通り越して尊敬できる。

 

「じゃあ、次の最終確認で質問は終了だ」

 

これ以上、聞くと無駄に疲れそうだからな。まだ他にも気になる部分はあるけど、もうどうでもいい。

 

「ロスヴァイセはただ容姿が似ているだけで本当の姉じゃない。それでも良いのか?」

 

「それこそ問題ありません。あの憎きサーゼクスがいる限り、姉が私のものになることはありません。でも、あの野郎を殺すことは出来ない。私から姉を奪ったクソ野郎を殺すと、姉が悲しみますからね」

 

ふぅん。ストーカーだから無理矢理、強奪する作戦でも企んでいるのかと思っていたがそうじゃなかったのか。ちゃんと姉の幸せを考えているんだな。

まぁ、それ以前にユーグリットの実力じゃあサーゼクスを殺すのは厳しいけど。

後、どうでもいいけど、ところどころ口調が崩れているな。

 

「だから新しく私の姉になる人物を探すことにしたんです」

 

うん、意味が分からない。

別に新しい姉を探す必要はないだろ。……いや、姉の代わりを見付けることで精神を落ち着かせようということか?

でも、姉の幸せについて冷静に考えていたし。

う~ん、よく分からない。もしかしてユーグリットは最初から変な奴だったのだろうか?

それなら一応、納得は出来るが。……出来るか?

まぁ、考えるだけ無駄だし思考を放棄するか。今のところ俺に損はなさそうだし。

 

「OK。ただし一つ条件がある」

 

「……条件ですか?」

 

「そう、条件。紹介するのはバイトの後任が決まってからだ。お前がいなくなるとフェンリル達の世話が大変になるからな」

 

フリードでもいいけど、長期で雇うには奴は弱い。もし何か問題が起きた時、フリードでは対処できないだろう。

短期のヘルプぐらいなら問題ないだろうけど、それでは根本的な問題解決にはならない。

 

「別にやめるつもりはないですよ。住む場所まで用意してもらった上にこれだけ稼げるバイトなんて他にないですから。それに良い子達ばかりで特に難しくもないですし」

 

「やめる気はなくても、ここにいられる時間は減るだろ。見付かれば間違いなく大騒ぎになるし、お前だってロスヴァイセと一緒にいたいだろ?そうするとフェンリル達を世話するのが難しくなる」

 

ロスヴァイセもここにユーグリットと一緒に住めれば簡単な話なんだけどな。でも、それは無理だ。

ロスヴァイセはグレモリー眷属だし教師の仕事もあるからな。

 

「それもそうですね。だったら、ちょうど良い人を知っていますよ」

 

ユーグリットは特に悩む様子もなくそう答えた。

この仕事に適任の奴を知っているのか?並みの実力じゃ出来ないぞ。

 

 

 

 

 

 

「こちらが私の後任になる方です」

 

数日後、ユーグリットに呼び出されて紹介されたのは、机に突っ伏してやる気なさそうにしているどことなくヴァーリに似た顔をしている中年のオッサンだ。

……こいつで本当に大丈夫か?こんなだらけたオッサン、普通のバイトでも落とされるぞ。

 

「どんな奴なんだ?」

 

「名前はリゼヴィム・リヴァン・ルシファー。前ルシファーと『リリス』の間に生まれた息子で、聖書には『リリン』という名前で刻まれています」

 

「へぇ、こいつが……。……って、リゼヴィム!?」

 

予想外の展開にリアクションが遅れてしまった。

 

「はい、そうです」

 

マジかよ。こいつがヴァーリが恨んでいる祖父で、サーゼクスとアジュカに並んで超越者と呼ばれる男。

かなりの大物じゃねぇか。

 

「でも、イメージと違うんだが。本当にこんな仕事をクビになった上に嫁にまで捨てられて生きる気力を失った中年オヤジみたいな奴がリゼヴィムなのか?」

 

「そうでーす。僕ちんがリゼヴィムでーす」

 

リゼヴィムらしき人物が机に突っ伏したまま適当に間延びした声で返事した。

こいつ、本物か?威厳的なものが全く感じられないんだが。

 

「悪魔の生は無駄に長いですからね。生きる意味を失ってこんな感じになる悪魔も珍しくありません」

 

ふーん、生きることに飽きたってことか。俺ならそんな状態になったら自殺するな。面白くない世界で生きることはただの苦痛だ。

まぁ、俺はこの世界自体に興味を持っているから悪魔と同じ寿命があっても飽きないだろうが。

 

「だから前から貴方に紹介しようと思っていたんですよ。リゼヴィムが引き込もっているせいで中々連れてこれませんでしたが」

 

「どういうことだ?」

 

「人間でも悪魔でも生きようとするには目標が必要です。でも今からそれを見付けるのは難しい。仮に見付かったとして録なものじゃないでしょう」

 

まぁ、ヴァーリやアザゼルから聞いた話ではかなり問題のある性格をしているらしいからな。

下手したら思い付きで世界を滅びす、とか言いかねない。そんなことになったら俺が困る。

 

「次に必要なのは生きる楽しみ……つまり娯楽です。娯楽と言えば貴方でしょう」

 

「俺にこの駄目ニートを立ち直らせろ、ってことか?」

 

「そういうことです」

 

マジかよ。何でユーグリットの要求を聞く代わりにバイトの後任を紹介させたのに更に面倒事を頼まれてんだよ。

まぁ、超越者なら期待は出来るし、この仕事をこなすのにも問題ない。

少し様子を見てみるか。

 

「よし、じゃあ面接を始める」

 

リゼヴィムの向かいの席に座ると俺はそう切り出した。




何故か主人公とリゼヴィムが手を組んで世界に喧嘩を売る姿が想像できるけど、そんなことにはならないはず。

では感想待ってます。
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