ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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クリスマス1

二学期の終業式が終わった後、家のメンバー+アザゼルでイッセーの家の上階VIPルームに集まっていた。

俺は終業式をサボってオーフィスとデートしていたが、そこはどうでもいいだろう。大体、終業式なんて何が面白いんだよ。俺に言わせればただの時間の無駄だ。

ちなみにヴァーリも参加している。普段ならこういうイベントはサボるのに幼女が絡んだ時だけ積極的だ。

 

他には、この地域一帯の天界スタッフをまとめているシスター・グリゼルダも参加している。

グリゼルダは転生天使でガブリエルの『Q(クイーン)』だ。

フルネームはグリゼルダ・クァルタ、皆からは『クイーン・オブ・ハート』と呼ばれている。

エクスカリバーの時の交換条件で俺もたまに天界側の仕事を手伝うことがあるが、その時にお世話になることが多い。

そしてゼノヴィアと同じ施設の出身で、仕事の先輩でもあるらしい。そのせいかゼノヴィアはグリゼルダに頭が上がらない。

まぁ、グリゼルダは怒ったら怖いからな。

最近はゼノヴィアの暴走を抑えるのに色々と活用させてもらっている。

 

全員、集まったところでイリナが代表して今回の集会の主題を口にして話し合いが開始した。

今回のイベントは簡単に説明すると、俺達がサンタになって町の皆にプレゼントを配ろう、というものだ。プレゼントは都市伝説になる程度のもの。下手に豪華なものを渡すと大騒ぎになるからな。

何でも普段から色々と利用している町だからクリスマスぐらいは祝おうということになったらしい。

正直、俺的にはそんなものはどうでもいい話だ。個人的に可愛い幼女とかにはプレゼントを配るけど。

俺がイベントに参加する理由はただ一つ。ルフェイ達のサンタコスを見ることだ。

それさえ見れれば後はイッセーやアザゼルに丸投げだ。

 

俺がオーフィスを膝の上に乗せながら一緒にお菓子を食べて話し合いを聞き流していると、すでにサンタ服を着たルフェイとレイナーレが衣装を持ってきた。

そしてルフェイが皆に衣装を配り終えると俺のところにやって来て手を後ろに回しながら恥ずかしそうな表情でポーズを取る。

 

「この衣装、似合って――」

 

「ああ、最高に可愛い」

 

ルフェイが食べてしまいたいぐらい可愛すぎるので感想を聞かれる前に答えながら写真を撮ってしまった。

本当はもっとべた褒めしたかったんがお義兄さんがいるので、後でお持ち帰りするまで我慢だ。

 

「褒められるのは嬉しいんですけど、定番の台詞ぐらいは言わせてください」

 

可愛らしく頬を膨らませながら文句を言う。

一瞬、理性が飛びそうになった。その格好にその仕草、俺を悶え死にさせる気か。

 

「仕方ないだろ。ルフェイの可愛さを前にして台詞を待つ余裕なんてなかったんだから」

 

「その通りです」

 

気付いたらお義兄さんが隣にいて俺の意見に同意しながらルフェイの写真を撮りまくっていた。

お義兄さんも俺と同じでルフェイのサンタコスだけが目的でここにいる。

多分、写真を撮り終わったら部屋に戻ってのんびり紅茶でも飲んでいるだろう。

 

「ところでご主人様、私はどうですか?」

 

次にレイナーレがクルッと回転して全身を見せるようにしながら感想を求めてきた。

ミニスカから伸びた綺麗な足が素晴らしい。町を歩いたら特殊な趣味の奴を除いた男が全員振り向くレベルだ。

 

「スカートが短すぎる。お前は俺の所有物なんだから、俺以外の男がいるところでそういう格好をするな」

 

「……え?あの、え~とその……すみません。着替えてきます」

 

レイナーレが予想外のことを言われて照れているのか湯気が出そうなほど顔を真っ赤にしながら俯いて部屋から出る。

あ、壁にぶつかった。ちゃんと前を見ろ。

普段からそういう反応だったら、もっと可愛がってやるのに。まぁ、いつもの方が面白味はあるけど。

レイナーレと入れ替わりにイリナがやって来た。

 

「この時期になるとあの日のことを思い出すよね」

 

イリナが懐かしむような口調で言う。

あの日か。確かに俺も最近、あの日のことをよく思い出す。

 

「ああ、そうだな。あれは俺が小学二年か、三年の頃だったか……」

 

「そうそう。……ん?」

 

俺の言葉に疑問を覚えたのか不審げな表情をするイリナ。

だが、俺はそんなことは無視して言葉を続ける。

 

「煙突から家の中に入ろうとしているサンタを見付けて、石入りの雪玉を投げて倒したことがあったな」

 

「一体、何の話をしているの!?ていうか、何してるの!?」

 

「昔、サンタが来ないことにイラついて夜中に探しに行った話だが?」

 

懐かしいな。で、サンタを倒した後はプレゼント配りに同行させてもらったんだよな。

その時のことはずっと夢だと思っていたが、最近になったサンタの実在を知った。サンタが実在するということは、多分あの日のことも夢じゃなくて現実だったのだろう。

イリナの後ろについてきていたゼノヴィアが俺の話を聞いて感慨深そうにしている。

 

「そうか。霧識にもちゃんと子供らしい時期があったんだな……」

 

失礼な奴だな。俺は子供心を失った覚えはないぞ。

 

「そういうことじゃないと思うよ!サンタを倒した、って言っているし!」

 

「何を言う、イリナ。そこにサンタがいたら倒したくなるだろ?」

 

サンタを倒した俺が言うことじゃないが、全く意味が分からない。

サンタがどんな悪いことをしたんだよ。むしろ世界中の子供にプレゼントを配っている素晴らしい人物だぞ。

 

「でも、あの都市伝説は本当だったんだな」

 

「都市伝説って何だ?」

 

「私が教会にいた頃に聞いたことがあるんだ。数年前にサンタが謎の幼女に襲われてプレゼントを全部奪われた、って話を」

 

へぇ、教会内でも有名な話なのか。

……ん、今の話、おかしくないか?

 

「ちょっと待て。俺はその時は女装してなかったし、プレゼントも強奪してないぞ」

 

まぁ、見た目に関しては素の状態で女だと間違えられた、と言われればそこまでだが。

実際によく勘違いされていたし。

 

「そうなのか?」

 

「ああ、俺は『警察に突き出すぞ、不審者』とサンタを脅してプレゼント配りに無理矢理、同行させてもらっただけだ」

 

「それはそれで酷い話だね……」

 

イリナが呆れたように苦笑した。

そうか?子供だということを考慮すれば可愛いものだろ。

 

「でも、確かそういう話だったよな?」

 

「うん。私もそう聞いたわ」

 

ゼノヴィアに聞かれてイリナも同意する。

どうやら頭の残念なゼノヴィアの勘違いということはないらしい。いや、イリナも天然なところ(まぁ、そういうのも可愛いんだが)があるからな。

まだ二人が同じ勘違いをしているという可能性もある。

もしくは噂自体が間違っているか。

 

「あ、その話、多分私」

 

近くでオーフィスを羨ましそうに見ながら話を聞いていた花蓮が手を上げた。

 

「お前だったのかよ……」

 

「うん。どこの国だったかは忘れたけど、ママとパパと色々な場所を回っていた時に空飛ぶ変な人を見かけてね。捕まえるためにママに投げてもらったらサンタだったから、そのままプレゼントを奪ったの」

 

喋り方は可愛いのに言っていることは最悪だな。

ていうか、母親が娘を投げるなよ。

 

「でも、これって運命だと思わない、お兄ちゃん。だってサンタを倒した兄妹なんて私達だけだよ」

 

「だろうな」

 

他にもそんな兄妹がいたらどんだけ襲われてんだ、って話だ。

そんなことになったらトラウマでサンタがプレゼントを配るのをやめてしまうぞ。

サンタの今後を心配していると、急にオーフィスが更に不安になるようなことを宣言した。

 

「サンタ、我も倒す」

 

「さすがにそれは勘弁してやってくれ」

 

オーフィスに襲われたらサンタが死んでしまう。

もしそんなことになったら世界中の可愛い子供達が悲しむからやめてくれ。

まぁ、可愛くないガキ達はどうでもいいけど。

 

「そういえばサンタが理由も言わずに仕事を休んだ、って話も聞いたことあるような……」

 

イリナが思い出したかのように言う。

それ、完全にまた襲われるんじゃないか、って怯えているよな?

 

「そういやルフェイはクリスマスに思い出とかあるのか?」

 

「私ですか?私の場合は毎年、兄が私の枕元にプレゼントを置いてくれていました。というより、今でも貰っています」

 

今でも、って……。

さすがにそろそろ普通にプレゼントをやっても良いと思うぞ。もうサンタに夢を見るような年齢じゃないんだから。

 

「可愛い妹のためなら当然です。もちろん今年もルフェイが喜ぶようなプレゼントを用意していますよ」

 

「それは嬉しいですけど、今年は普通に渡してください」

 

「な、何故……」

 

驚愕した表情をするお義兄さん。

いや、それはそうだろ。バレバレのサプライズなんて面倒臭いだけだぞ。

 

「プレゼントを置くついでに、私の寝顔写真も撮っていきますからね。あれのせいで目が覚めてしまうんです。本当にやめてください」

 

「それなら大丈夫。今年はシャッター音のしないカメラを用意していますから」

 

そういう問題じゃないと思うぞ。

ルフェイが言っているのは俺と過ごす夜を邪魔するな、ってことだ。

 

「……って、何か話がずれているけど、私がしたかったのはこういう話じゃないよ!」

 

イリナがやっと気付いたのか話を戻そうとする。

俺も完全に忘れていた。軽い冗談のつもりだったのにここまで話がずれるなんて。

 

「イリナが言いたいのは俺の誕生日会のことだろ?」

 

「……分かっているなら何で誤魔化したの?もしダーリンがあの日のことを忘れていたら、って思うと私悲しくなるんだよ」

 

イリナが少し不機嫌そうになって俺を睨む。

あの日は確かに俺にとっても特別な日だからイリナがもし忘れたら、って思うと悲しくなるな。

でも良い意味だけじゃなくて悪い意味でも特別な日だからな。一部の記憶は忘れたい。

 

「悪かったな。ただの冗談だ。イリナって反応が可愛いから弄りたくなるんだよ」

 

「も、もう!またそんなこと言って誤魔化すんだから!」

 

満更でもなさそうな顔をしながらイリナが視線を逸らす。

やっぱりイリナの反応は素直で可愛いな。

今すぐ抱きたいがミカエルが開発している子作り部屋が完成するまで我慢だ。早く完成しないかな。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。私は可愛い?」

 

花蓮が四つん這いの状態で近付いてくると上目遣いで俺を見てきた。

だから何で皆、俺を悶え死にさせようとするんだ?そんなに連続でやられると理性を抑えるのが難しいんだが。

 

「何度も言わせるな。当然、可愛いぞ」

 

「えへへ……」

 

俺が頭を撫でながら言うと、花蓮は幸せそうに微笑む。

今回はギリギリ絶えたが、次きたらヤバいな。

 

「ところで、さっき言っていた誕生日会って何なの?」

 

「昔、イリナとイリナの両親に誕生日を祝われたことがあるんだよ」

 

「ダーリンの両親もいたけどね」

 

「その話はするな」

 

イリナの追加情報に俺は顔を歪める。

さっきまで幸せだったのに、あいつらのことを思い出したらイライラしてきた。

次、会ったら絶対に斬る。

 

「ふーん、でもその話っておかしくない?」

 

「どこが?」

 

「だって私、その誕生日会に参加した記憶がないよ?」

 

そういや、そうだな。確かに花蓮はあの誕生日会に来ていなかった。

俺と花蓮は一歳しか離れていないから、まだ生まれたてなかったってこともないし。

何で両親は花蓮を連れてこなかったんだ?

まぁ、あいつらの考えていることなんて分かるわけないから、考えるだけ無駄か。

 

「そろそろ、皆さんを天界へお連れする時間です。そこで、企画の中身――プレゼントの確認と、ミカエル様から年を明ける前のご挨拶を頂ける予定です」

 

グリゼルダが時計を確認すると、皆に聞こえるようにそう言った。

やっとか。俺は基本的に天使達から警戒されているから天界に行くのは初めてなんだよな。

楽しみだ。




久し振りに原作を読みながら話の展開を考えました。
基本的な流れは18巻と同じになります。

では感想待ってます。
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