ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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ベンニーアの口調が難しい。


死神、拾いました

「……ん?」

 

駒王町から少し離れた町で英雄派に帝釈天、初代孫悟空と焼き肉を食べた帰りに公園の前で段ボールに入っている中学生ぐらいの女の子を見付けた。

ホームレスか?……いや、年齢を考えると家出という可能性も高いな。

放置するわけにもいかないから近付いて様子を見てみる。

 

その女の子は死神みたいな格好をしており、顔はどくろの仮面で隠れていて分からない。これだけでも充分に特徴的なのに、更に可愛らしいどくろで装飾された鎌を抱いている。

……うん、間違いない。死神みたいな、じゃなくて死神だ。

何で死神がこんなところに一人でいるんだ?トラブルとかではなさそうだが。

とりあえず話かけてみるか。こんな面白そうな展開を無視する俺ではない。

 

「よぉ。可愛い女の子がこんなところで何してるんだ?」

 

《……可愛いって。あっしの顔は仮面で隠れているから見えないはずですぜ》

 

あっし?変な喋り方をする奴だな。ますます興味深い。

ただ死神の女の子はその隠れた顔からでも充分に俺を警戒しているのが分かる。まぁ、夜中に怪しい奴が現れたら警戒するのは当たり前だ。

他の奴等から見たら死神の女の子の方が怪しいだろうが。

 

「いやいや、俺レベルになると顔を見なくても雰囲気で分かるんだよ」

 

ちなみにこれは本当。俺は可愛いものには本能で反応する。

その命中率は百パーセント。

 

《……ただの家出ですぜ。あんたには関係ありやせんので帰ってくだせぇ》

 

「それは無理な相談だ。関係はないかもしれないが、興味はある。何たってこんな普通の町中に死神がいるんだからな」

 

《そんなことは知った……ん?……何であっしが死神だって知っているんですかね?》

 

俺が然り気無く言った「死神」という言葉に更に警戒を強める死神の女の子。

これは失敗したか?ただ驚かせようと思っただけなのに。

 

「見たら分かる。何たって俺の名前は七瀬霧識。グリゴリの神器使いにして面白いことは何でも知っている男だ」

 

《はぁ……》

 

死神の女の子が怪訝な声を出す。

あれ?俺のことを知らないのか?

自分のことを結構な有名人だと思っていたのにショックだ。そして、それ以上に恥ずかしい。

何かいつもより俺のテンションが高い気がする。酒を飲みすぎたせいで陽気になっているのか?

帝釈天の奴が酒を必要以上に勧めてきたせいだ。普通の人間なら意識を失ってもおかしくない量だった。

 

《あっしはベンニーアと申します》

 

俺が名乗ったからベンニーアも仮面を外して自分の名前を言った。

やっぱり可愛い顔をしているな。こんな可愛い女の子が夜中の公園にいると変な男に襲われないか心配になる。

まぁ、襲われても普通の人間程度なら返り討ちだろうが。

……それにしてもベンニーアか。どこかで聞いた名前だな。

え~と、どこで聞いたんだっけ?俺の死神の知り合いとなると……思い出した!

 

「ああ、オルクスの娘か」

 

《あのクソ親父の知り合いですかい?》

 

さっきまでも十二分に警戒していたが、今の言葉で警戒レベルを最大まで上げたようだ。

ベンニーアが俺の首元に鎌を押し付けてくる。下手に動いてたら首を真っ二つにされそうだ。

何か発言するたびに失敗しているな。九重の時のトラウマを思い出して泣きそうになってきた。

とりあえず恐怖のおかげで酔いは覚めたし、ここは冷静に対処しよう。

最上級死神オルクスと人間のハーフ。こんな面白そうな存在を逃がすわけにはいかない。

 

「一回会って世間話をしただけだ」

 

ハーデスの野郎が禍の団に協力して三大勢力に色々と嫌がらせをしているからな。

その件について少し前にリゼヴィムとフェンリルをつれて話し合いに行ったのだ。俺一人なら門前払いを食らっていただろうが、さすがのハーデスもリゼヴィムとフェンリルは無視できなかったらしく快く交渉の場を用意してくれた。

その際オルクスに会って軽い世間話をした時、娘が家出したみたいなことを言っていたな。バラキエルと違って親バカではないらしく気にしてはいないようだったが。

 

《……どんな話を?》

 

「『ハーデスの嫌がらせに付き合うのは面倒臭い』とか『どこの勢力もトップは変人ばかりだ』みたいな内容だったな」

 

ハーデスも大概、変人だ。一言で説明すると嫌がらせ至上主義。

まぁ、サーゼクスやミカエルに比べたらまだマシだが。

 

《……あっしについては何か言ってやしたかい?》

 

「特には何も。俺が聞いたのは名前だけだ」

 

《あっしを連れ戻したりは?》

 

「そんなことは頼まれていない。ここで会ったのはただの偶然だ」

 

仮に頼まれていても連れ戻したりはしないがな。

オルクスの言うことなんて聞く義理はない。

そんな面白くないイベントなんてやりたくない。逃がす方なら面白そうだが。それが駆け落ちとかだと更にやる気が出る。

 

「何だ、連れ戻してほしかったのか?噂に聞く『構ってほしかったから家出した』ってヤツか?だったら明日にでも冥府に連れ戻してやるぞ」

 

《そんなことはないですぜ。あっしはハーデス様とクソ親父のやり方が気に食わなくて家を飛び出してきやしたんですから》

 

俺は邪魔だとは思うが気に食わないってことはなかったな。まぁ、ハーデスのやり方が嫌いな奴の気持ちも分かるけど。

あのおっさん、ガキっぽいからな。

 

「なるほど。ところでどこかアテはないのか?」

 

《あったら、こんなところにいやせんよ》

 

「それもそうだな。だったら俺の家に来ないか?」

 

《……は?》

 

俺が笑顔で言うとベンニーアはキョトンとした顔をした。

 

 

 

 

 

 

「というわけで死神を拾いました」

 

家に帰ってくると、とりあえずリビングにいたルフェイ、オーフィス、レイナーレの三人にベンニーアのことを紹介した。

他のメンバーには後で紹介すればいいだろう。

事情の説明が終わったところでルフェイがレイナーレの入れた紅茶を飲みながら呆れたように感想を漏らす。

 

「いつかやるとは思っていましたけど、本当にやるとは……」

 

「おい、ちゃんと話を聞いていたか?俺は家出している少女を保護しただけで、可愛い女の子を言葉巧みに騙して家に連れ込んだりしてないぞ」

 

ていうか、いつかやるとは思っていた、って何だ?

俺は可愛い女の子にそんなことはしないぞ。普通に仲良くなるだけだ。

 

「……でも本当に何もしてないんですか?例えば酔っ払った勢いとかで?」

 

「その疑うような目をやめろ。俺がどんなに酒を飲んでも酔っ払わないのは知っているだろ?」

 

「でも……」

 

ルフェイの視線がベンニーアに移る。

いや、うん。言いたいことは分かるけど。

 

「ベンニーアさん、物凄く可愛いですし」

 

「気にするのはそこじゃないだろ」

 

確かにベンニーアは可愛いけど。

でも、本当に気にしないといけないのはベンニーアが家に入ってから(というより俺と会ってからずっと)警戒を解いていないところだ。

その証拠にレイナーレが出したホットコーヒー(ずっと外にいて体が冷えているだろうからベンニーアにだけは違うのを出させた)には手をつけず、俺達をずっと観察している。

 

「毒なんか入っていないから飲んだらどうだ?」

 

俺がそう言ってもベンニーアは飲もうとしなかったが、ルフェイが笑顔で勧めると渋々とだが飲んだ。

この差は何?やっぱり第一印象が怪しすぎたか?

こんなことになるならインパクトとか考えず普通に接すれば良かった。これも特撮のシナリオとか書いてより演出に拘るようになったせいだ。

ベンニーアがホットコーヒーを飲み干して落ち着いたところで俺に視線を向けてきた。

 

《……で、あっしをここにつれてきた本当の目的ってのは何ですかね?》

 

「だから何度も言っただろ?目的なんてない。可愛い女の子をあんな寒いところに放置できなかっただけだ」

 

《あっしが可愛いから助けたと?》

 

「そうだ」

 

仮にいたのが男だったら放置する以前に目にも入らなかっただろう。

男が何人、野垂れ死のが興味ない。

 

《……つまり、あっしを手篭めにすることが目的だということですかい?》

 

「違う。そんなことは企んでいない」

 

死神とのエッチというのは興味深いが積極的に俺から誘うつもりはない。ベンニーアがヤりたいというのは喜んで付き合うが。

にしても、ここまで疑われると俺の怪しさというよりベンニーアの方に問題がある気がする。

多分、冥府なんかにいたせいで人間が何の得もないのに他人を助けるのが信じられないのだろう。まぁ、俺も何の得ななかったら助けないけど。

俺にとって『可愛い』と『面白い』は何物にも勝る価値があるから助けただけだ。

 

「そうですよ。私のご主人様がそんな生温いことをするわけないじゃないですか。言葉では表せないくらい凄いことがベンニーア様を待っていますよ」

 

「余計なことを言っていないで掃除でもしてろ、変態メイド」

 

言葉では表せないくらい凄いことって何だよ。そんなことをした記憶はないぞ。

本当、レイナーレは録なことを言わないな。

 

「霧識はやりたいことをやっているだけ。だから裏はないし怪しむ必要もない。ベンニーアも好きなようにやればいい」

 

俺の膝の上に座っているオーフィスがフォローしてくれた。

子供の言うことだからかベンニーアもあっさりと「そうですかい」と納得する。

オーフィスの本当の年齢については今、言う必要はないだろう。

 

それにしてもオーフィスは可愛い上に気が利くな。

お礼に頭を撫でるとオーフィスが気持ち良さそうにする。

次に俺は本当に部屋の掃除を始めたレイナーレを無視してベンニーアに話かける。

 

「まぁ、どうするかは自分で判断してくれ。ここに残るなら生活に必要なものは全部俺が準備するし自由も約束する。出ていくというのなら止めはしない」

 

《……本当にあっしを助けても何も得はないですぜ。それでも良いんですかい?》

 

ベンニーアが最終確認するかのように聞いてきた

他にしたいこともないようだし、やっと考えが決まったようだな。

「だから何度も言わせるな。俺が好きでやっていることだ。気にしなくていい。それに助けても損はないしな。お金には困ってないし」

 

もしお金がなくってもすぐに稼ぐ方法もある。適当な悪魔の貴族の弱味を握って脅せば済むことだ。

 

「ああ、でもそうだな」

 

と、俺は右手でベンニーアの頭を撫でながら続ける。

 

「どうしても無償で助けられるのが嫌だというならオーフィスの遊び相手になってくれ。後は笑ってくれれば充分だ」

 

「……わ、分かりやした。では少しの間、お世話になって後はそれから考えやす」

 

何故かベンニーアが顔を赤らめながら俯く。いきなりどうした?

 

「ちなみにこれは格好つけているわけではなく、本当に霧識さんにとって可愛い女の子の笑顔はお金以上の価値があります。後、霧識さんはこういうことを計算でも天然でも言うので気を付けた方がいいですよ?」

 

ルフェイが謎の忠告をする。

どういう意味だ?俺は天然じゃないぞ。

まぁ、それは気にしないとして、また俺の家に住人が一人増えた。




前回の後書きで書いた通り、今回で一旦休憩します。
ベンニーアの続きとか九重とか書きたい話はまだまだあるんですが、アイデアがまとまっていません。
今後はアイデアがまとまり次第、不定期で更新していこうと思います。
案外早く更新したり、中々更新しない可能性はありますが、もう更新しないということはありません。

後、溜まっていた番外編の方をそろそろ書いていく予定です。Rー18の方は普通に書くよりも難しいので二日に一回とかは無理ですが、最低でも一週間に一回を目標に頑張っていきます。
他にも放置していた作品をオリジナルをメインに復活する予定なので、暇な時にでも読んでくれると嬉しいです。

では感想待ってます。
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